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生涯一トレーナー「西本直」が話しておきたいこと

木を見て森を見ずにならないために、丸ごとひとつの体と仲良く付き合っていきましょう
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目指すべきは自分自身の変化であり成長!

今日もブログを読んで頂きありがとうございます。今日は野球の話題です、興味のない方はスルーしてください。このブログはサッカーに関わる方が沢山見て頂いていると思いますが、野球小僧だった私には今回のWBCにおける日本代表の戦いぶりは、これまでに経験したことのない興奮を覚えました。先に行われたサッカーのWカップでは、4強に勝ち進んだチームの異次元な戦いぶりやプレーに、日本との差をまざまざと見せつけられましたが...
今日もブログを読んで頂きありがとうございます。

今日は野球の話題です、興味のない方はスルーしてください。

このブログはサッカーに関わる方が沢山見て頂いていると思いますが、野球小僧だった私には今回のWBCにおける日本代表の戦いぶりは、これまでに経験したことのない興奮を覚えました。

先に行われたサッカーのWカップでは、4強に勝ち進んだチームの異次元な戦いぶりやプレーに、日本との差をまざまざと見せつけられましたが、そんなことは別としてサッカ-というスポーツの素晴らしさを十分堪能させてもらうことが出来ました。

これまで関わってきた競技の中では、それぞれのレベルで頂点を目指す試合にも何度か立ち会わせてもらいましたが、今回のような戦いの中にスタッフの一員としてその場に居たかったかと聞かれたら、正直私には荷が重いというか、ベンチの中で息をすることすら忘れてしまうほどの極限の緊張感を味わうことになったと思います。

選手たちは勿論スタッフの皆さんにも最高の敬意を表します。

大会は終わりましたが、日本のマスコミの常で次から次へと裏話的な話題が報道され、そろそろ次の話題に進んでくれないかなと食傷気味です。

そんな中、野球解説者の古田敦也さんの記事が目に留まりました。
大谷翔平選手に関してのことですが、彼は日本人という枠をはみ出した、ある種突然変異ともいえる人間だというのです。

大袈裟に聞こえますが、記事ではキリンという動物の進化を例に出して突然変異を説明しています。
私も初めて知りましたが、元々キリンという動物の首は我々が知っているような長い形状ではなかったそうです。
それがまさに種の突然変異によって、元の種よりも長い首のキリンが誕生し、遠くが見渡せることで危険を察知しやすくなり、また高い木の葉も食べられるという、キリンにとって利点となることが多く、そこから交配が進み長い年月をかけて今のようなキリンの首の長さになったというのです。

古田さんも根拠のある資料を見たのでしょうからそのことを信じるとして、動物の進化の過程では突然変異という過程は種を保存していくという意味でも普通にあるそうです。

大谷選手に話は戻りますが、ウィキペディアによると身長は193㎝体重は95.3㎏とのことです。
日本では、ここまでの高身長の選手は、球技においてはバスケットボールかバレーボールの選手を目指すことが多かったと思います。

彼の家系はご両親や兄姉のお二人も高身長のようで、まさに生まれ持った遺伝的なアドバンテージはあったようです。

そんな彼も日本ハム時代は身長に比して少し細身の体に見えていましたが、大リーグに移籍してからは年々見るからに体が大きくなってきました。

老害と言われるようになってしまった元名選手からは、野球選手がウエイトトレーニングをやって体を大きくすることでマイナスなことの方が多いと盛んにコメントしていましたが、今回の活躍それも二刀流の大活躍を見てどう思っているのでしょうか。

私もウエイトトレーニングで、たんに体を大きくすることやパワーも増すという考え方には反対の立場を取り続けています。
自分の生まれ持った骨格に、その筋肉量が相応しいか、骨の連携連動を邪魔することにならないか、そんな心配をしています。
決して全否定しているのではなく、生まれ持った体に対してというところが難しいのです。

野球という競技では打者であれば絶対的なパワーがあることは当然有利になります。
しかし、ただ打つだけではなく走らなければなりませんし、指名打者でなければ守備力も要求されます。
加えて大谷選手は投手としての能力を要求されるのですから、どんな風に体づくりと動きづくりを両立していくのかということは、過去に日本人選手は誰も経験したことがない未知の領域だったと思います。

日本人限定ではなく、多くの人種のるつぼとなっている大リーグという組織の中でも、大谷選手のような万能な能力を持つ選手はいなかったのです。

古田さんの突然変異という表現の意図するところはここにあるのではないでしょうか。
もしサイボーグに大谷選手の能力を備えさせようとしたら、大谷選手が出現する以前にはどんな風にプログラミングしたら今の大谷選手のようになれるのかさえ分からなかったのではないでしょうか。

大谷翔平という存在は、そういう人知を超えたまさに人類の突然変異としか言いようがない存在かもしれません。

近い将来、大谷選手のトレーニングのやり方や考え方が公になると思いますが、それでも同じことを行ったからと言って同じ能力を身に付けることはできないと思います。

これはイチロー選手にも言えることですが、イチロー選手が行っているトレーニングを真似したところで、イチロー選手にはなれないということです。

日本の選手は有名な選手結果を残している選手のやり方を真似る選手が多いですが、先ずは自分の持って生まれた体にどういう能力が備わっているのかを知るところから始めて、その特徴を生かすためにはどうすればいいのかをそれぞれが考えなけらば成長はありません。

目指す目標は大谷翔平でもイチローでもなく、自分自身の変化であり成長なのです。

人類の歴史を変えるかもしれない突然変異が、日本人から生まれたという事実で、これまで色々な意味で海外の選手には敵わないと思ってきたことを、忘れ去ってしまう時代が来るかもしれません。

大きなお世話ですが、大谷選手には出来れば体格に恵まれた元スポーツ選手の女性と結婚してもらって、さらなる進化した子孫を残してもらいたいなと思います。

とは言いながら現状はまだまだ体格に恵まれず、遺伝的な身体能力にも恵まれない日本人の子供たちの方が圧倒的に多いと思います。

そんな子供たちにもスポーツが楽しいものだと希望を思ってもらえるように、体の使い方という側面の指導を行うことで、少しでもお役に立ちたいと思います。

4月の頭には、故郷愛媛の八幡浜工業高校のサッカー部の選手たちが広島に来るということで、短い時間ですが指導させてもらうことになっています。

また以前から縁がある千葉の競輪選手の山賀雅仁さんの紹介で、後輩の選手が指導を受けに来てくれることになっています。

新たな出会いは私にとっても新たな発想を生み出す原動力になります、お互いが楽しいと思える時間にしたいと思います。

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短時間の指導でもサッカー選手に大きな変化をもたらす実践的な理論であることを証明してきました!

今日もブログを読んで頂きありがとうございます。15日水曜日夕方4時から6時までの2時間、東京にある日大鶴ケ丘高校サッカー部の指導に行ってきました。経緯はツイッターやブログにもすでに書きましたが、ご縁の始まりは2018年12月に、谷監督が倉本君の主催する育成年代のサッカー指導者の6か月講座で、私の担当する回を受講してくれたことでした。その際に走るという行為を説明するDVDも購入して頂き、直ぐに選手たちと一緒にドリ...
今日もブログを読んで頂きありがとうございます。

15日水曜日夕方4時から6時までの2時間、東京にある日大鶴ケ丘高校サッカー部の指導に行ってきました。
経緯はツイッターやブログにもすでに書きましたが、ご縁の始まりは2018年12月に、谷監督が倉本君の主催する育成年代のサッカー指導者の6か月講座で、私の担当する回を受講してくれたことでした。

その際に走るという行為を説明するDVDも購入して頂き、直ぐに選手たちと一緒にドリルに取り組んでくれたそうです。
その後講座の実践編にも参加して頂き、私の考え方や方法論を信じて指導を継続してくれた数少ない指導者の一人でした。

それから約3年が経った2022年1月に連絡があり、大学1年生でサッカー部のボランティアコーチをしている今回の東京行きの決め手となった秋元コーチが、谷さんから学んでいることを直接広島に行って私から学びたいという申し出があったという連絡がありました。

私にとっては何より嬉しいことで、快諾し直接指導を行いました。
あれから1年、その秋元君からもう一度広島に行って学びを深めたいという連絡がありました。

そこで考えたのが、同じお金を使って指導を受けてくれるのなら、私が東京に出向いて選手たちを指導する様子を見せることの方が彼の為になるし、何より講義と実技をそれぞれ3回ずつ受けてくれた谷さんのお役にも立てると思ったのです。

既に3年間取り組んでくれている西本理論を、私が直接指導することでどんな変化があるか、それを現場で証明して見せようと思いました。

あまり他の方のやっていることを気にしないタイプの人間ですが、たまたまSNSで見たトレーニングの指導動画に少し違和感を覚え、自分のやっていることに対してあまり大きな評価と言うか、これは基本の部分でと実戦的な効果をうたってこなかったことが、大きく広がりを見せなかった原因なのではと思いました。

今回は2時間という短い時間の中で、選手や指導者の皆さんがあっと驚くような変化を見せてやろうと、我ながら大いに意気込んでの指導となりました。

秋元コーチは私から学んだFBTや西本走りのドリルを正しく伝えられるようになりたい、そのことがチームのために自分に与えられて役割だと思ってくれていました。

今回事前に話をしたのは、勿論そのことは大事なことではあるけれど、それが結果として選手たちのプレーに直接大きな変化を感じさせるものでなければ、それぞれのドリルがただのドリルに終わってしまい真剣に取り組んでくれなくなるということでした。

では2時間で何が変わったか、サッカー選手にとって一番楽しいこと、それはボールを強く遠くに蹴ることが出来るようになることではないでしょうか。

都心の住宅街の中にある人工芝のグランドでしたが、ぐるりとグランドを囲むように位置する戸建ての住宅から、うるさいと苦情が来たほど、選手たちの蹴るボールの音は大きく鋭いものに変わりました。

選手たちも谷さん秋元君も、その大きな変化に驚くばかりでした。

そして選手たちの動きをよく見ればボールを蹴る際の体の使い方だけではなく、ボールを追って走る姿や待っている時の姿勢も明らかに2時間前とは違っているのです。

前半に体の仕組みや各種のドリルを指導している時には、真剣に話を聞きドリルにも取り組んでくれてはいましたが、選手たちに楽しそうな笑顔は見られませんでした。

それが自分の蹴るボール、またチームメートたちの蹴るボールの勢いが明らかに変わっていることが分かると、もうボールを蹴るのが楽しくて仕方がないという笑顔いっぱいになったのです。

その動き1つ1つが実は前半説明し、ドリルを行う際にできなかった動きが、当たり前のようにできていることに気付くのです。

これこそが今回私が見せたかったことなのです。

西本理論は基本中の基本であると言えば言うほど、実戦的なものとは違うと思われがちだったものを、これこそまさに選手の動きと意識を短時間で変えられる、超実践的な理論であり方法論であるということを証明したのです。

勿論3年間の地道な取り組みがあってのことで、指導者も選手も全く私の指導を受けることが初めてという状況なら少し話が変わってくるかもしれません。

それは申し訳ないですが、変化を理解できないレベルだからです。

何が問題で何が変わったのかが理解できないレベルの相手に指導すると、私が感じた手応えほどの実感はないと思います、まあそれでもしっかり指導する準備は出来ているつもりですが。

現場で指導する機会が殆どなくなってしまったからこそ、私自身が歩みを止めることなく常に進化していなければ、今回のようなことにはならなかったと思います。

私が去った後の選手たちは、当然これまで以上にFBTや各種ドリルに本気で取り組むようになるでしょうし、指導する秋元コーチも自信を持って指導できると思います。

私から学び指導していることがサッカー選手の体の使い方を変え、プレーそのものを変えているんだと胸を張って指導してくれると思います。

2時間のために東京までと言われることもありましたが、そんなレベルの話ではなく私にとっても彼らにとっても大きな意味がある2時間でした。

余談になりますが、私という人間をどう捉えるかは出会った時の状況や、私のことを知ったきっかけによって全く違うことになっているんだと改めて思いました。

というのは指導の後高田馬場駅近くにホテルを取って頂いていてその近くの店で食事をするという話を聞いたときに、働きながら夜間の専門学校に通う為利用していたのが高田の馬場駅でという話になり、「え、西本さんは鍼灸師の資格がある施術者でもあるのですか」と驚かれたことでした。

私がスポーツの世界に進んだのは間違いなく施術者としての腕を買われてのことでした。

今の様な活動で出会った方には意外に感じられたようでした。

逆に今回の出張で東京に向かう新幹線の車内に登録外の番号から電話があり、留守電を聞くと故郷宇和島から遠くない八幡浜工業高校サッカー部の監督をしているという方からの電話で、今度広島に遠征に行くので故障している選手を何人か治療して欲しいという連絡でした。

SNSもチェックしてくれているし本も読んでくれているという話でしたが、それなら今私が東京に向かっていることやどういう目的で指導に行くかなどは分かってくれていると思うのですが、どうやら全く知らないようでした。

そのあたりのことを説明すると、ならば全員で体の使い方の指導を受けたいという話になりましたが、その方が私を知るきっかけと言うのが、県外で理学療法士をしているお兄さんから広島に西本さんという凄腕のトレーナーがいるから、何かあれば行ってみたらと言われていたそうです。

そうです、その方にとって私は施術のプロという側面しか知らなかったのです。

実際にこれだけ仕事の幅を広げてしまうと、私はこれこれこう言うことが出来る人間ですと説明することの方が難しくなってきました。

野球に関わっていた頃の私を知っている人たちは、サッカー選手の指導に行くと言えば不思議そうな顔をしますし、サッカーの仕事をしている頃の私を知っている方は、野球選手を相手にしていた私を何故違う競技の指導が出来るのかと、やはり不思議な顔をします。

今はそう思われることが楽しいとさえ思えます、これだけ色んなことをしてそれぞれの立場で結果を残してきたのですから。

滅多になくなった選手を直接指導する機会ですが、彼らをあっと言わせるような指導が出来るようにもっともっと腕を磨いておきます。

日大鶴ケ丘高校サッカー部の皆さんありがとうございました。

私が今伝えようと思っていることに辿り着いた経緯を少し書いておきます。

今日もブログを読んで頂きありがとうございます。花粉症の症状に悩まされ続けています。昨日は3.11、あれから12年が経ちましたが、当事者の皆さんの悲しみは癒えることが無いと思います、改めて犠牲になられた方々のご冥福をお祈りします、合掌。今日は何故私が今のような考え方で、選手や指導者の皆さんを指導しているかということを、もう一度整理しておきたいと思います。結論から言えば、「今日明日に結果を求められることがな...
今日もブログを読んで頂きありがとうございます。

花粉症の症状に悩まされ続けています。
昨日は3.11、あれから12年が経ちましたが、当事者の皆さんの悲しみは癒えることが無いと思います、改めて犠牲になられた方々のご冥福をお祈りします、合掌。

今日は何故私が今のような考え方で、選手や指導者の皆さんを指導しているかということを、もう一度整理しておきたいと思います。

結論から言えば、「今日明日に結果を求められることがない立場になったから」ということでしょうか。

これから書くことは過去の話で、よく言われる歳を重ねた人間がやってはいけないことのひとつに数えられる、過去の自慢話に聞こえるかもしれませんが、決して自慢話ではなく試行錯誤の仮定の話とご容赦ください。

今伝えていることは、人間として生まれ持った能力を効率的かつ効果的に発揮できるようになるためには、体の仕組みと言うかカラクリを知って、それに沿った体の使い方が安心安全にスポーツ活動を続けられる基本であるということです。

過去の私は常に結果を求められるチームや選手たちを相手に仕事をしてきたため、自分で言ってはいけないのですが、そんなきれいごとでは済まされない厳しさを選手に求めてきました。

彼らは大袈裟な言い方になりますが、命を削ってでも目の前の結果を求めて競技に臨んでいます。

安心安全どころか、限界ギリギリいやそこを超えて行かなければならないとお互いに思ってきました。

先日ツイートした、あるフィジカルトレーナーが、トレーニングを指導している動画でも、どうやったら選手個々が自分の能力を向上させられるか、またそれをここ一番で発揮できるかというぎりぎりを攻めている指導でした。

自分もこんなことが出来るようになりたい、デモを見つめる選手たちの目は光り輝いていました。

過去結果を求められるチームや選手たちを指導していた頃の私も、ある意味同じ事をやっていたのかもしれません。

走り込みなどというトレーニングは必要ないと今は言っていますが、川崎以前の私の指導にはその発想はありませんでした。

ただ最近紹介したマラソン指導者の佐々木功さんの考えの基本となっていた、毛細血管を拡張しなければ全身の筋活動を高めることはできないという考え方が私の中にも根底にあって、平成8年の三菱重工広島の時のように、半年先には中国地区予選を突破しなければ都市対抗野球の全国大会に進めないという至上命令の中で結果を出さなければいけないという厳しい条件の中でも、選手たちに足りないものはその部分であると確信した私は、年明けのトレーニングから多くのランニング量を課しました。

野球は瞬発力の競技ですが練習に賭ける時間は長く、休んでいる時間が長く練習全体に集中した緊張感が感じられませんでした。
土台である毛細血管への血流量を増やすということから始めることは、決して遠回りではないと考えたのです。
選手にとってはつまらない練習だったと思いますが、結果が出たことで後になって納得できた選手もいたと思います。

選手に対する説明では、三角形の頂点を高くしようと思えば、その底辺が広ければ広いほど高さも出せる、東京タワーのような二等辺三角形で高さが出来たと思ったら、何時ポキント折れてしまうか分からない、とにかく先ずは基礎固めだと妥協を許しませんでした。

もう昔のことですが一応名前は出さずT選手としておきます、私が広島を離れV神戸のフィジカルコーチとしてバクスター監督の元仕事をしていた時のことです。

Wカップ予選が行われるためJリーグは短い休みの期間がありました、前期の最終戦が広島との対戦となりましたが、試合終了後T選手が私を探しに来ました。

何事かと話を聞けば、Wカップ予選のメンバーから漏れてしまったが、何時緊急招集されてもいいように準備しておきたいから、私とマンツーマンで合宿を行いたいというのです。

明日からの休みを楽しみにしていましたし、何より今は別のチームで敵味方の関係、どうして私にと理由を聞けば、アキレス腱断裂からの復活を期して一緒にトレーニングした時間が充実していたので、安心して頼めるのは私しかいないということでした。

そこまで言われたら仕方がないと直ぐに準備し、指定された千葉のトレーニング施設に合流しました。
5日間の約束だったと記憶していますが、代表に呼ばれるかどうかはまったく分からない状況の中のトレーニングでした。
極端な話、明日にも声がかかるかもしれないし、最後までないのかもしれないのです。

それこそいつ呼ばれても最高の状態で合流できるように、彼の特長であるフィジカルの強さを磨き上げつつ、疲労が溜まり過ぎないようにという難しいトレーニングになりました。
期日と目標が設定されている訳ではないので、朝から晩まで彼の状態を確認しながら、まさに彼のことだけを考えた5日間でした。
5日後、彼はまだ可能性がある限り合宿地に残るということでしたが、私は千葉を離れました。

自宅に帰りつく直前くらいのタイミングで彼から連絡があり、代表チームから2名がイエローカードの累積で出場できなくなったため、直ぐに合流できるかという連絡があったそうです。

代表のスタッフも、まさか休みに入ってもずっとトレーニングを継続していたと思わなかったでしょうから、彼が準備はできていますと即答した時には驚いたと思います。

実は当時の代表チームのキャプテンが彼と毎日連絡を取り合っていたようで、T選手なら大丈夫ですと太鼓判を押して推薦してくれたようでした。

合流直後の試合でゴールを決めた彼はそのまま代表チームにとどまり、本戦にも出場しました。
あの5日間は彼の人生を変えるくらいの大きな意味を持っていたことになりました。

その時のトレーニングはグランドレベルも、器具を使ったトレーニングも他の選手ではとても対応できないハードなメニューで、今言っていることとは正反対のことを要求していました。

そんなことも経験してきたからこそ、今の発想に辿り着いたというか、対象とする選手が変わってきたことで、変わらざるを得なくなったと言った方が正しいのかもしれません。

勝つことが最大の目的ではない選手や指導者に対して、先ずは育成年代の子供たちをどう育てて行くかという問題に対する私なりの答えを伝えています。

スポーツには勝つという最大の目標があり、そのために努力するわけですが、その過程と言うか道のりは、遠回りに見えることが実は確実に歩みを進める正しい道だと今は確信しています。

どんなレベルの選手たちであっても、サッカーであれば『90分間頭と体を動かし続けることが出来る』という能力を磨くことが、一瞬の勝負を制するよりも大事なことだということが、私が経験してきた中でも結論です。

私の言うことやって見せることに、目先の派手さはありません、話を聞いて目を輝かせて聞いてもらえるような内容でもありません、それでも伝えなければならないことだと思っています。

15日水曜日、そのことをコーチングスタッフと選手たちに再確認してもらうために、日大鶴ケ丘高校サッカー部の練習場に行ってきます。

今日はこの2週間の間にあった事に対する雑感です。

今日もブログを読んで頂きありがとうございます。春3月、桜の便りが待ち遠しくなってきました先週はCOACH UNITED ACADEMYの撮影があり、加えてというか、その数日前から花粉症の症状がひどく、撮影自体は何とか終えたものの、帰宅してからはとてもブログを更新する体力も気力もありませんでした。という訳で、2週間ぶりの更新となります。たかが2週間という時間の間にも、色々なことがあり色々なことを考えさせられることがありま...
今日もブログを読んで頂きありがとうございます。

春3月、桜の便りが待ち遠しくなってきました
先週はCOACH UNITED ACADEMYの撮影があり、加えてというか、その数日前から花粉症の症状がひどく、撮影自体は何とか終えたものの、帰宅してからはとてもブログを更新する体力も気力もありませんでした。
という訳で、2週間ぶりの更新となります。

たかが2週間という時間の間にも、色々なことがあり色々なことを考えさせられることがありました。
先ずはそのCOACH UNITED ACADEMYの動画撮影のことから書きます。
事の始まりは、もう9年近く前になりましたが、私のことを様々な媒体で知った方が、直接話を聞きたいということから始まった『西本塾』と称した勉強会の、第2回に参加してくれた、地元広島出身の倉本和昌君が、自ら立ち上げたセミナーに、私が講師として参画し、そのセミナーの座学と実技の両方を複数回受講してくれた『蹴和サッカースクール』を主宰する『上田原剛』さんから、スクールの生徒で高校進学を間近に控えた選手の、根本的な体の動きを改善したいという依頼があり、選手直接ではなく上田原さん経由の遠隔サポートという形で指導をさせてもらいました。
元々、私の指導を複数回受けてくれている方ですから、本来であれば今回依頼があった件に関しても、自分で解決できるようになってもらうことが一番なのですが、そこをあえて私の力を借りたいと思ってくれたことが始まりでした。

具体的に選手の動きが変わって行く様子に、私から学んだことは理屈だけの机上の空論どころか、こんなにも選手の動きと意識を本質的に向上させられるものだということに、大袈裟に言えば感動したという言葉を使ってもいいくらい驚いてくれました。

サッカーの指導者として既に評価を受けている上田原さんにして、私の存在を知り指導を受けるまでは、私の持っている人間の体そのものの動きを改善するという視点は持っていなかったようです。

そのことを知り指導に活かそうと思っても、なかなかストレートに繋げることは難しいと思いますが、今回のことで改めて同じ育成年代のサッカー指導者に、私の考え方を広く知ってもらうことが絶対に必要なことだと確信し、COACH UNITED ACADEMYの担当者に私のことを伝え、取り上げて欲しいということになったようです。

倉本君との出会いから9年、やっとと言うかこういう形で取り上げてもらう機会が出来たことは、継続してきて良かったと素直に思えました。

内容はこのブログに書き続けてきたことのほんの一部に過ぎませんが、動画を見た指導者の皆さんにが、そういう考え方があったのかと、少しでも気付き意識を変えてもらうきっかけになればと思います。

有料メンバーしか視聴できない動画ですが、4月の後半あたりに表に出るようなので、興味があればぜひ会員になって動画を見て欲しいと思います。

次は、先日2日の中国新聞の文化面に載っていた記事についてツイートしたところ、3000以上の表示回数があったようです、私のツイートとしては異例の数字です。

内容は呉市にお住いの舞踊評論家の女性が書かれた文章で、「バレエを習わせたら、何か資格が取れますか、社会に出てバレエは役に立つのでしょうか」という、いわゆる費用対効果のことを聞いてくる保護者が多いという話から始まっていました。

経済の先行きが不透明な中、時間と労力と資金をつぎ込むのだから、事前にそのことを知りたいというまさに現実的な質問なわけです。

これはバレエに限った話ではなく、スポーツ全般に言えることだと思います。
日本では野球を筆頭に、ほんの一部のエリート選手が脚光を浴び、普通では考えられないようなお金を稼いでします。

保護者の頭の中にも、自分の子供がそうなってくれたらという淡い期待と言うか夢があるのでしょう、しかし現実はそんなに甘いものではないということも分かっていると思います。

塾に行かせて、有名中学・高校・大学と進めれば、費用対効果という意味では、それなりのリターンがあると考えられるので、親子ともどもどちらかと言えばスポーツよりも勉強の方に気持ちが行くことは仕方がないのかもしれません。

記事を読み進めると、「美しい姿勢やきれいな身のこなしは、お子さんの生涯の財産になりますよ」と答えることにしていると書いてありました。

Studio操に中学生の頃から体の調整に通ってくれバレエを小さい頃から習っているという高校生がいたのですが、先日来所した際に、高校を卒業して大学に進み、バレエを続けるという話を聞きました。

彼女はプロのバレリーナになれるわけではないかもしれませんが、身に付けてきたものはまさに一生ものだと思います。

記事の通り、姿勢も立ち居振る舞いも優雅で、また言葉遣いもきちんとしていて、年に数回しか来ることはありませんでしたが、高齢の方が多い中で彼女が来てくれることはとても楽しみな時間でした。

学歴の無い私の言葉では説得力がありませんが、一流大学を出た政治家や官僚たちの表情には、人としての温かさや優しさを感じられません。
また歩く姿勢や立ち居振る舞いにも、どこかぎこちなさを感じます。

続いて「正しいレッスンを繰り返し受けることにより身体はしなやかで強さを増す。そして骨格や筋肉が本来あるべき位置に収まるとエネルギーはがすっきりと流れるようになるのだ。これが『洗練』である。身に付いたものは、誰も奪い取ることはできない。」というとても素晴らしい説明がありました。

さらに、「でも本当は好きなことを続けさせてあげてください、そう伝えたいのだけれど」という言葉で結ばれていて、この方の優しさが伝わってくるとても良い記事でした。

この言葉で費用対効果を聞いてくる保護者がどれくらい納得してくれるかは分かりませんが、人として生きて行くことの意味、大袈裟に言えば人の幸せって何だろうと考えるきっかけになるような、深い文章でした。

私は30代前半から、一部のトップアスリートを対象として、勝つことが至上命令と言うべき世界で仕事をしてきました、まさに費用対効果を求められる仕事で結果を残してきたつもりです。

それが歳とともに少しずつ変化し、と言うか心のどこかに自分はまだそういう世界で必要とされているんだという気持ちが消えておらず、誰に対しても厳しさが前面に出てしまう場面が多かったのですが、最近は子供たちが体を動かすことを好きになって欲しい、それがサッカーでも野球でもバレエでも何でもいい、楽しそうだから自分もやってみたい、やってみたら本当に楽しかった、だから続けたい、そういう循環の一部でお役に立てる存在でありたいと思うようになりました。

誰かのためにの具体的な対象が定まってきたということでしょうか。

広く発信してきた中で、本当に私の考えていることが重要だと思ってくれる選手や指導者に真剣に向き合い思いを正しく伝え、それをどうやって活かしてもらうかという具体的な伝え方が出来るようになればと思っています。

15日には東京の日大鶴ケ丘高校のサッカー部に行かせてもらうことになっています。
ちょうど1年前、個人的に指導を受けに来てくれた『秋元隼和コーチ』からもう一度直接指導を受けたいという連絡があり、同じ費用をかけてくれるのなら私の方から出向いて指導させて欲しいというお願いをして、それが今回実現しそうなところまで来ました。

私がたった一度、学校に行って直接指導したから、選手やチームが大きく変わるとは思っていません。
私から直接指導を受け、考え方や実際の体の使い方に共鳴してくれた若い秋元コーチが、これから指導者として成長していくために、私がどうやって選手たちを指導するのか、それを間近で見て学ぶ機会になればと思います。

こういう指導者を一人でも増やしたい、これが私の一番の願いです。

知的好奇心というアンテナを高く掲げていれば、新聞の小さな記事からも学ぶことはたくさんあります。

学び経験したことを少しでも伝えて行きたいと思います。

目的を見定めれば方法論はいくらでも工夫できるはず。

今日もブログを読んで頂きありがとうございます。広島市内、冷たい雨が降り続いていますが、こうして一雨毎に春が近づいてくるのを感じます。ここ最近のブログでは、大きなテーマとして『走るという行為』そのものにおける体の使い方ということが多くなっていると思います。それほどスポーツと走るという行為は切っても切れない関係にあると思います。結論から言うと走るという行為を練習することは、競技動作を向上させるという目...
今日もブログを読んで頂きありがとうございます。

広島市内、冷たい雨が降り続いていますが、こうして一雨毎に春が近づいてくるのを感じます。

ここ最近のブログでは、大きなテーマとして『走るという行為』そのものにおける体の使い方ということが多くなっていると思います。
それほどスポーツと走るという行為は切っても切れない関係にあると思います。

結論から言うと走るという行為を練習することは、競技動作を向上させるという目的に対して有効であるということは間違いないと思います。

「ちょっと待てよ、西本はサッカーの練習においていわゆる走り込みという練習方法はとらない必要ないと言ってたんじゃないのか」という突っ込みがありそうですが、まさに言われる通りです。

サッカーという競技に限れば、時間走や距離走という走ることだけが目的となる練習は要らないと確かに言ってきました。
そんな時間と体力があるならば、私の提唱している走るという行為における体の使い方を身に付けて、もっともっと沢山サッカーの練習そのものにかける時間を増やしたらどうですかということです。

サッカー未経験の私から見れば、特に狭いフルピッチの4分の一程度のコートを使って行うゲーム形式の練習をみていると、ボールがピッチ外に出てもゴールが決まっても、直ぐにプレーが再開されまさに息つく間もなくプレーが継続されて、ほぼ全員が立ち止まるという瞬間もありません、ですから一定の時間で水分補給の休憩が入ります。

一定のスピードで走り続ける持久走など問題にならない運動量で、これこそがサッカーに必要な持久力を養成しているのだと感心しました。

当然走り続けるだけではなく頭もフル稼働しているはずですから、トータルとしての運動量は未経験者には想像もつかないものでした。

それでも指導者は、その練習で持久力をもっと高めて欲しいと『走るという行為』自体のトレーニングを課し選手もそれを当然のこととして受け入れていました。

走るという行為を練習するというのは、その走り方体の使い方を練習することを目的としてもらって、体の仕組みに沿った効率的な体の使い方で走れるようになってもらい、そのうえでサッカーという競技そのものの練習にかける時間を増やした方が選手個々の能力そしてチームとしての戦術の浸透という、本来の目的に叶っていると考えることは間違っているのでしょうか。

生活のすべてをサッカーという競技のために使えるプロの選手たちなら、先ずは走り込みで体力の養成などという言い古された考え方も成り立つかもしれませんが、時間的な制約のある育成年代の子供たちにはそんな時間の余裕はないと思いますし、何よりサッカーがしたいと集まった子供たちに、今日はボールは使わないで20分走をやるよと言って喜ぶ選手がいるでしょうか。

では私の提唱する走り方を身に付けるためにはどうすればいいんだという、またしても突っ込みがあるでしょう。
こちらの方こそ簡単なことではありません、素走りをやらせてタイムを計りその短縮が成長だという物差しの方が簡単です。

しかし、私が指導しているやり方で、少しずつでも体にこれが自然な動きだよと染み込ませて行けば、結果として以前にも紹介した中学生のように、たった1か月の指導で持久走で自己最高記録が出ましたという報告があるのです。

走り込みをやり続けてもこんな結果は出なかったのです。
そして走るということ自体が苦手で好きではなかったという選手が、その意識が消えることでプレーに集中できる時間が増えれば、当然の結果としてもっと上手くなりたいという本来の目的に近づくことが出来るはずです。

とここまでは過去書いてきたことのまとめのような話でしたが、では長く走り続けることが目的の長距離走に関して、私はどう考えているかを少し書きます。

元陸上選手で現在帝京科学大学の駅伝チームのアドバイザーを務める『浅井えり子』さんをご存じでしょうか。
1959年生まれですから、私と一つ違いの方で知らない方も多いと思いますが、現役時代は日本を代表する選手でした。

なぜこの方の名前を出したのかと言うと、もう40年近く前のことになりますが、私がまだ東京で会社勤めをしていた頃、趣味で走っていたのですが、今と違って情報が乏しい時代で、当時彼女を指導していた『佐々木功監督』の著書『ゆっくり走れば速くなる』というタイトルに興味を覚え、真剣に読んだことがありました。

LSDロングスローディスタンス理論とも呼ばれ、体の隅々の毛細血管を目覚めさせることが競技能力の向上に繋がるという理論のようでしたが、私は別の見方をしていました。

佐々木監督は52歳で早逝され、後に続編のような形で浅井さんも同じタイトルの本を出されました。

ゆっくり走って速くなるなんてどう言うことだろうと読み進めて行き、私なりの解釈ですが『出来るだけ長い時間を走り続けて行くためには、無駄な体の動きが排除されて、それぞれの体の仕組みに沿った自然なフォームが形作られて行く、その形が出来上がって初めてそこにスピードを加えた練習をしてこそ、本来の能力を発揮できるランナーになれる』ということではないかと思いました。

練習方法の一つとして紹介されたもので印象に残っているのは、テニスコートくらいのスペースの中を、ぐるぐる回ったり逆回りをしたり、対角線に走ったりと、傍から見ていればこの選手は一体何をしているんだろうということを、1時間も2時間も続けるのだそうです。

トラックでもロードでもなく、景色さえ変わることのない狭い空間を走り続けることで、まさに自分の心と体に向き合い対話するという、走る禅と言うような練習を繰り返したそうです。

毛細血管の理論は別として、そこで培われた自然な体の使い方でスピードを上げられてこそ、長距離種目で安定した結果を残せるというのが、師弟で得られた結論と呼ぶべきものになったのではないかと今では想像しています。

私がサッカー選手にとって必要な走るという行為の体の使い方はこうですよと言っていることも、ある意味同じだと思います。

42.195キロを走り続けるためには、出来るだけ無駄な力を使わない方が良いということは誰が考えても分かると思います。
ではその体の使い方を見つけるためにはどうすればいいか、その究極の方法が『ゆっくり走れば速くなる』という言葉に集約され、浅井選手はその言葉を信じて結果を残していきました。

当時は瀬古選手などが全盛の頃で、私も神宮の絵画館前で中村監督の見守る中、修行僧のような表情でものすごいスピードで走り続ける姿を見たことがありましたが、佐々木監督と浅井選手の取り組みにも賛否両論あり、私もまだ知識も経験もありませんでしたので、何が正解なのかは分かりませんでしたが、今でもそのことは大きなヒントになって残っています。

こういう練習方法も、実業団のトップ選手だからこそ時間をかけて行えた練習方法だと思うので、唯一無二のこれが正解ということではなかったと思いますが、浅井選手によれば素質に恵まれず大きな実績もなかった自分が、大きな大会で活躍できるようになったのは佐々木監督が考えてくれた練習方法があったからだと述懐していました。

こういう例はその他の競技でもたくさんあると思います。
ただ今の私の立場で言わせてもらえば、プロのサッカー選手であっても走り込みという練習に費やす時間と体力があるならば、サッカーそのものの練習にそれを使うために、走る練習というのは走り方を習得することが目的であるということで良いと思います。

ただその走り方を学ぶ相手が、地点間の距離を競う陸上競技の選手で、その成果がタイムの短縮であるという認識しかできない指導者と選手の意識が変わらなければ、この先ずっと同じ状況は続くのでしょうね。

走るという行為が、体の仕組みに沿った効率的で効果的な体の使い方で行うことが出来るという確固たる信念と指導力がある人間が、残念ながらまだほとんどいません。

来週育成年代を対象としたオンラインセミナーの撮影が予定されていますが、私の考え方の一端でも伝えることが出来ればと思っています。