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前方への移動、落下時における上半身の使い方について。

今日は8月11日、土曜日でしかも祭日ですから、世の中はお盆休みに突入ということで、帰省ラッシュに海外旅行と景気の良い話題でいっぱいです。
毎年のことですが、私にとっては両親は既に他界し、故郷宇和島には生まれ育った家もありませんので、帰る場所は今住んでいる広島しかなくなりました。
再来週には時期をずらして福島に赴任している長男家族が帰ってきますので、4人の孫たちを交え楽しい時間が過ごせるのではと期待しています。

さて、世の中が盆休みなら、この時期にしか私の元を訪れることができないという、日頃休みなくスポーツに打ち込んでいる選手たちが、ここぞとばかりにやってきてくれます。

これも私にとっては大きな楽しみの一つとなっています。

それぞれ年齢も性別も違いますが、彼らはすべてサッカーをやっている子供たちです。
これまでにも色々なことを指導してきました。
私が教えているのは『体を動かす』という基本的な技術です。

技術という言葉にはいろいろな意味があると思いますが、私が言う技術とは『自ら意図(企図)した筋肉の収縮活動を、反復継続して行うことのできる能力』です。

この言葉の意味が分からないという人は、改めてこのブログを読み返してください。
ですから、たんに私が考えていることを伝え、それを表現できるようになっただけでは、私が求めている技術を身につけてくれたとは言えません。

ある目的に対して、なぜその体の使い方が有効なのか、その動きを行うためにはどういう意識が必要なのか、私が提示したことにできるだけ近づいてほしいですし、それ以上に自分がその動きに対してどう考えて体を動かすかという、『自らが意図して』という部分が最も大切なこととなります。

同じことを伝えたとしても、受け取る側の理解はそれぞれで、私は彼らとの関係の中で、いかに正しく理解してもらえるように伝えるか、少しずつ少しずつ時間をかけて進めています。
だからこそこうして一定の間隔を空けてでも、私の指導を受けたいと思ってくれる選手たちは大事にしているのです。

さてこの夏のテーマは、『動き出しをいかに速くできるか、そのための体の使い方は』ということを考えています。
『90分間頭と体を動かし続けることができる能力』とならんで、サッカー選手のとって最も重要な能力だと考えています。


この問題に関してはすでに一つの答えが出ています。

その場に居着いてしまった体を、地面反力を使わないと動き出せないという固定概念を捨て、股関節を中心としたアイドリング状態から、自分の進みたい方向へ、『落下と捻転』を同時に行い、『重心を移動』させることで、無駄に筋力を使って疲労させることもなく、一度地面を押して踏ん張るという予備動作をしないことで、相手に動きを悟られることなく動き出せるというものです。

この動きが一番難しいのが、前方への動き方です。
左右や後方への動き出しは、落下よりも捻転の要素が大きいため、ほとんどの選手は一度の指導でコツをつかんでくれます。
しかし前方への動き出しに関しては、前方へ重心(股関節部分)を落下させるという感覚がとても難しいのです。

体を『く』の字にしてお辞儀をするような動きではなく、全身をできるだけ真っ直ぐにしたままで前に倒れていく感覚です。
言葉にするのは本当に難しいのですが、真っ直ぐを維持するために力んでしまっては全く違う動きになります。

その前に、落下と捻転という動作でなぜスピード感のある動き出しが出来るのかという問題です。
落下と捻転は、その動作によって変形した骨格を、元に戻そうとする力を利用することが目的なのです。

ですから、いかに速く捻じり戻せるか、いかに速く落下した部分を引き起こせるか、この動作こそが目的なのです。

それが分かったうえでもう一度前方への動き出しをイメージしてもらうと、落下させるときの上半身の使い方が、引き起こしのスピードを決めるということになります。

ただ前に落ちるのではだめなのです。

このことをずっと考えてきました、それが現在指導させてもらっている地元の競輪選手とのやり取りの中で、言葉にすると『体の前側をつぶさない』という使い方に辿り着きました。

落下させるためには、全身をいかに脱力させられるかがポイントになるのですが、脱力状態から素早く引き上げるためには、完全に脱力してしまっては引き起こしに予備動作が必要になるのです。

それが最近話題にした、体を真っ直ぐに戻すために、体を一度『く』の字にする予備動作が必要になるという話です。

できるだけ予備動作を排し、地面反力を使わない動き出しの方法を探し続ける中で、問題になったのが上半身の前後の意識でした。

固めてもダメ、完全に脱力してしまってもダメ、体のどの部分をどう意識するか、私が腹筋運動をさせないことや、体幹を安定させることが目的のトレーニング動作もさせないことの意味が、今頃になって自分の中で整理されてきました。

単純に体幹を安定させてというレベルのことではなく、いつも大切だと言っている背骨を動かしてくれる背中の筋肉と、体の前側で肋骨を守り、体を丸めるように作用する胸筋や腹筋、それらをどれくらいの割合で作用させることが、目的としている素早い動き出しにおける『落下』という動作を可能としてくれるか、試行錯誤を続けています。

その瞬間の体勢や、目的位置までの距離、またボールに対してどう関係するのかなど、目的とする次のプレーに応じて変わってくるので、こういう風に使うことが絶対だというものはありません。

しかし、前方への落下時の基本的な上半身のバランスが分かれば後は応用で、まさに『自らが意図した』、自分が何をしなければならないのかを考える力の勝負になってきます。

もちろんこの場で、今の時点でわかっているコツというか感覚を、明かす気はありません。
私の元を訪れ学び続けてくれている選手たちとの関係の中で気づきを深めてきたことですから、明日から一人ずつ丁寧に指導していきます。

こうして様々な競技、さまざまな年代の選手たちとの関係の中で、私自身が学びを深め成長させてもらっていることを本当にありがたく感謝しています。

一つの組織に組み込まれてしまえば、私の発想力もすぐに底をついてしまうかもしれません。
人間の体の仕組みを考え、それをいかに効率よく機能させるか、ゴールがどこにあるのかさえ見えてきませが、面白い仕事をさせてもらっています。

明日からは体力勝負の日々が続きますが、暑さに気を付けながら子供たちと一緒に頑張ります。


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予備動作を考える。

今日はまず書いておかなければならないことがあります。
このブログを書き始めてはや5年、最初の一文から真剣に読んでくれて、紙ベースに印刷して分類し、いつでも見られるように持ち歩いているという方、毎日更新されていないとわかっていても、必ず1日一度はページを開いてしまうという人から、今日、初めて私のブログを目にしたという方まで、様々な方が見てくれていることは本当にありがたいことです。

なぜ私がこのブログを書き始めたか、どんな気持ちで書き続けているか、これまで何度も、いえ何十回とそのことについて書いたこともあると思います。

前回のブログ、有名選手の名前をタイトルに使ったことで、普段多い日でも閲覧数が100くらいの数(そのこと自体本当に有難いと思っています)が、その数倍の数になりました。

有難いことではあるのですが、過去にも何度か同じようなことが起こった時、必ずと言って良いほどブログに関する批判的なコメントを、ブログやツイッターに投稿してくる方があります。

本当に何度も書きましたが、私のブログは有料でもありませんし、一定の対象者に対しての指導を目的としたものでもありません。
今流行りの動画や写真をふんだんに使うこともなく、ひたすらその時に感じた自分の気持ちを文字にして綴っているだけのものです。
内容の中に参考にしていただくようなことが書いてあれば、役に立てていただければ嬉しいですし、自分はこう思うということがあれば、それぞれで何かを考えて行くきっかけにしていただければいいでしょう。

その内容に対して、どうこう言われる筋合いのものではありません。

初めて読む人にもよく分かるように書けというのなら、いま書いている分量の5倍くらいの文字量を毎回書いても間に合いませんから。

たまたま目に入ってきた私のブログ、受け取り方は様々で言いたいこともあるでしょう。
ただ私からのお願いとしては、何か言いたいことがあるのなら最低限5年間の私の歩みをしっかり読み込んだ上で思う所があれば言ってきてください、それなら聞く耳も持つかもしれません。

そうでなければ申し訳ありませんが、そのコメントに対して何かを答えるという気持ちにはなれません。
私の考え方の本質を、もし知りたいと思ってくれるのなら、最初から全ての内容を真剣に読んでください、それ以外に方法はないと思います。

私はこれまでもこれからもずっと変わりませんから。
こうして同じような文章を何度も書かなければならないことが少し残念です。

さて、気を取り直して今日の本題です。
『予備動作』について思うところを書いておきます。
と言っても、このことについても熱心な読者の方にとっては、既に何度も書いてきたことなので、おさらいのつもりで読んでいただければ結構です。

『予備動作』は『居着く』という状態と同義語と言っても過言ではありません。

が、予備動作イコール良くない動作ではないことを最初に言っておきます。

例えば、テニスのサーブを待つレシーバーは、サーブの動作に入ってトスを上げるボールの高さや角度、またサーブを打つ選手の体の向きから判断して、ストレートなのか変化球なのか、またどのコースを狙っているのかを一瞬で判断します。

その判断が正しかったとしても、初速が300キロを超えるようなスピードのサーブを打ち返すことは容易なことではありません。
ですから予想した方向への移動をスムーズにするために、『プレジャンプ』と言うのでしょうか、小さくステップして一度沈み込む動作をした後動き出すという動作をします。

これは悪いことでしょうか、そんなことはありません。

良い意味での予備動作、素早く動き出すと言う目的に対して、必要不可欠な動作と言っても良いと思います。

ただこれはテニスコートの縦の長さがあるから許されるのです。
サーブをする側の選手からしても、レシーブの選手がいわゆる山勘でどちらかに動いてしまったとしたら、予定していたコースを変えることもできるかもしれません。

結果として同じような動き出しができるのであれば、プレジャンプは小さいほうが良いと言うことになります。

これが体を使うと言う技術です。

サッカーで言えばPKの状況です、GKがプレジャンプからどちらかに動く動作を見せてしまったら、キッカーは逆のコースに蹴れば良いと言うことになります。

流れの中のシュートに対しても、プレジャンプをすることで味方の選手に当たったりしてコースが変わってしまったような場合、なす術なくゴールに吸い込まれてしまったと言うシーンもよく目にします。
空中に浮いている体はコントロールできないからです。

プレジャンプはイコール居着くことから地面を押して、その地面反力を移動のエネルギーとして使わなければならないと言う固定概念が体に染み付いているからです。

このことについては詳しく書いた過去記事があるので興味があれば探してください。
その記事を読んで指導を受けにきてくれた選手の感想も、記事にしてあるので私一人の思い込みでないことはわかって頂けると思います。

この地面反力を使わないでも移動できるという体の使い方を、『落下・捻転・重心移動』と言う言葉をキーワードに指導をしています。
ただここ一番で、力む踏ん張ると言う動作を行ってしまうのが人間で、改善して行くには継続以外方法がありません。

20年前、私は1シーズンだけですが、当時のバクスター監督の要請でヴィッセル神戸のフィジカルコーチとして仕事をしたことがあります。
30歳を過ぎた主力選手が多く、彼らをピッチに立たせるということが主な仕事になってしまい、能力向上というよりはコンディショニングの方に苦心したことを覚えています。

そのシーズン、デンマークから『ミカエル・ラウドルップ選手』が在籍していました。
その顛末も過去記事にありますので割愛しますが、練習を見ていると、彼があまりにも簡単に日本の選手をドリブルで抜いて行くので、チームを離れる時に通訳に頼んで、どんな意識で行っているのか聞いてもらったことがありました。

それが今回取り上げている『予備動作』でした。

当時は三浦カズ選手の全盛期でしたが、彼のようなオーバーアクションで自らフェイントをかけるのではなく、相手が自分から動いてくれるわずかな予備動作、地面に居着いて地面反力を得ようとする動きを察知して、その逆の方にボールを運んでいると事もなげに言うのでした。

その頃はまだ私自身いまのような理論構成ができていませんでしたので、なるほどそう言うことかと自分で動きを再現して見せることはできませんでしたが、今になると彼のシンプルな発想を形にできる能力はすごいなと感じます。
帰国後次のW杯に兄弟で出場し、華麗なプレーを見せてくれたことをよく覚えています。
彼にはバクスター監督から『オクタントトレーニング』で、体のキレを作ってくれという要求があり、何度も彼の体を相手に格闘した事も良い思い出となっています。

前回の記事にも書きましたが、ボールを受ける止める時、体をくの字にすることで、ボールの勢いを吸収するという動作はまさに理にかなっている動作です。

しかし、そのくの字にしてまっすぐに戻すという一瞬の動作を見逃さず、目の前にスッと入って来ることができる選手がいたとしたら、動作を中断することはできませんから、ボールを取られてしまったり、無理に動作を中断するとバランスを崩してしまうことにもなります。

鳥かごと言うのでしょうか、ボール回しを見ていると、くの字のあるなしや大きさが個人によって違うことが見て取れ、改善の余地ありと感じたのです。

くの字になることは必然で、それをいかに小さくするか、相手に分からないくらい動きを体の中の操作で行ってしまうことは出来ないか、まだまだ書き足りませんがこれくらいにしておきます。

居着くことを逆手に取って使えば、そのことがフェイントになったりもします。

まずは自分の体を自分の思い通りに動かせるようにしておくことが大前提です。


プロフィール

Author:西本 直
1993年、Jリーグサンフレッチェ広島を皮切りに、社会人野球三菱重工広島・協和発酵・ヴィッセル神戸・川崎フロンターレ、そして広島カープ佐々岡真司投手など、プロアマ問わず競技レベルのスポーツ選手から一般の方まで、トレーニングやメンテナンスの指導を行ってきました。
その経験と知識の蓄積を「西本理論」としてまとめ、一人でも多くの方に実践していただくことが、これからの私の使命であると信じ、このブログから発信していきます。
私の理論はスポーツ選手のみを対象としたものではなく、ビジネスマンや家庭の主婦まで老若男女すべてに当てはまる不変のものです。
指導や講演のご依頼も受け付けています。
実名でツイッターも書いていますので、チェックしてみてください。
2013年9月9日にConditioning Studio 操をオープンしました。
また、遠隔地にお住まいの方を対象とした動き分析とアドバイスを行っています。
詳細は「スタジオ操」のホームページ内の「遠隔サポート」をご覧ください。
今年は「西本塾」3月10・11日と9月8・9日に、「深める会」を4月8日と10月7日に、そして「走り方錬成会」を12月29日に予定しています。
現在9月8・9日に行う第27回西本塾の募集を行っています。
詳細はStudio操ホームページ内の「講習会情報」をご覧ください.
「1回5分体が喜ぶ健康術」はアマゾンで在庫切れのことが多く、購入希望の方にはご迷惑をおかけしています。
出版元からの購入は可能ですので、ガリバープロダクツ(代)082-240-0768までお問い合わせください。

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