陸上日本選手権100メートル決勝を見て、背中で走るという意味を考える。

昨夜行われた陸上の日本選手権第2日、注目はなんといっても男子100メートルの決勝でした。

世界陸上の出場権をかけ、そして日本選手権優勝という名誉をかけ、さらには日本人初の9秒台を最初に記録する選手に成るという歴史的な快挙をめざし、日本の陸上競技史上ここまでレベルの高い選手たちが、すべて揃ってスタートラインに付くレースは初めてだと思います。

昨日リアルタイムでレースをテレビ観戦した後、気付いたことをツイッターに書きました。

その後も何度もレースを見直し、さらに今朝もまたまた何十回と見直しました。

全体を見たり、ひとりひとりの動きを見たりと、何度見ても飽きないというか、色々なことが見えてきて本当に楽しませてくれるレースでした。

誰か興味のある人が身近にいれば、それこそ何時間でもしゃべり続けるだろうと思います。

優勝したサニブラウン・アブデル・ハキーム選手の走りを、私の視点で分析してみます。

まずはスタート姿勢です、ケンブリッジ飛鳥選手の身長180cmを大きく上回る188cmの長身ですが、頭の位置を比べると一番低いことが分かります。

スタートライン手前についた手の肘を少し曲げて、重心を下げ前方に飛び出しやすくしています。

隣のレーンの多田選手が、手幅を広くして頭の位置を下げているやり方とは明らかに違うのが分かります。

ケンブリッジ選手も肘を曲げていますが、頭の位置はサニブラウン選手の方がさらに低く、お尻の高さはとび抜けて高いです、このことで長身の体をスタートで浮かないように工夫しているのだと思います。

スタートの反応は多田選手がダントツでした、体を支えている両手を地面から瞬間的に離すことで、体が地面に対して前方に落下して行くことをきっかけにしてスタートすることが今の主流です。

サニブラウン選手は一歩目を左足から出していきますが、前方に落下していく体を低く保つために、右手右肩は当然前に出ますが、左手を伸ばしたまま大きく後方に振り上げて行きます。

後方といっても上半身は地面とほぼ平行な角度ですから、伸びた左腕は真っ直ぐ地面と垂直に伸ばされています。

この手の上がり方も他の選手の中で一番高く真っ直ぐ上がっています。

これは肩関節や肩甲骨周辺の筋肉の強さと柔軟性がなければここまでの角度にはならないと思います。

もちろん上がったものは振り下さなければならないのですが、前方に振り出されていた右腕を、肩甲骨もろとも大きく引き起こすことで、作用反作用の働きで、振り上げられていた左手は、やはり肩甲骨からしっかり前方に振り出されるという、ダイナミックな動きが繰り返されていきます。

少し背中を丸めているように見えますが、普通背中を丸めて猫背になると肩甲骨の動きが阻害される要因になるのですが、骨盤から背骨を中心に大きくうねるように動かすことで、肩甲骨の可動範囲が大きくなり、そのおかげで広背筋の機能を十分に引出すことが出来るので、骨盤の後方をしっかり引き上げるという動きにつながっています。

スタートから数えて15歩目まで、スピードを上げて行くための加速期と呼ばれる状態が続いています。

面白いことに隣のレーンの多田選手も、この15歩目まではサニブラウン選手とまったく同じ歩幅とリズムを刻んでいます。

身長が違い足の長さも当然大きく違う訳ですから、サニブラウン選手がストライドよりも加速に重点を置いて15歩目までを走っていることが分かります。

問題はここからです、サニブラウン選手が加速期から中間走に入ると、そのストライドが多田選手と明らかに違ってきます。

上半身が少し起こされた分、骨盤の後傾が取れ、股関節の自由度が高まるため自然にストライドが広がって行きます、

着地の位置も、大きく膝を引き上げ前方に足を降り出すということをしていませんので、重心である股関節の真下、体が通り過ぎた後に足を付く、という感覚になるので、前方に移動する体に対してブレーキがほとんどかかりません。

着地の瞬間、後方の足の股関節も伸展が出来ていますので、無理なく前方に振り出されていき、それが繰り返されていきますので、加速期に得られたスピードを中間走で落とすことなく、最後まで走り切ることが出来るのだと思います。

最後の伸びが良かったという表現もありますが、相対的な問題で、他の選手がラスト15メートルあたりから、重心である股関節を一番先に運べなくなり、腰が残って足だけを前に出しているように見えたり、逆に上半身だけを前に運ぼうとしているように見えるため、明らかに失速してしまいますから、体の動きを変えることなく走ることが出来れば、当然その差は大きく開いてしまいます。

35歩でゴールしましたが、16歩目から最後の35歩目まで、動きの変化はまったく見られませんでした。

欲を言えば、私が理想とするマイケルジョンソン選手のように、もっと骨盤を引き起こし背筋を反らす姿勢が出来れば、さらにスム-ズに走れるとは思うのですが、100mという距離を考えると、加速期の重要性は200mとも400mとも違いますので、これでいいのかもしれません。

腕の振りも他の選手が、速く振ることを重視して肘を曲げ手のひらが顔の高さ以上にまで上がっている選手が多い中、肘をあまり曲げずに腕全体を大きく後方に引き上げるように使っています。

人間の体は四足動物であった時の名残で、手首と足首、肘と膝といった具合に両者の動きには大きな相関がみられます。

肘を曲げて小刻みに速く振るということは、膝を曲げてピッチを上げることにつながります。

サニブラウン選手の使い方は、乱暴な言い方をすれば手足を丸太棒のように振り回して走っているように見えます。

一般的に言われるような綺麗な走りではありませんが、肩甲骨から肩関節、そして腕全体を一体化してダイナミックに使うということは、そのまま足の動きを骨盤から股関節、そして足全体を大きく使うということにつながっているのだと思います。

どこかで見たなと思ったら、サッカーオランダ代表のロッベン選手の走り方に似ていることに気付きました。

どちらも少しだけ猫背に見えますが、必要以上に背中を反らして、胸を張ったような姿勢になってしまうと、逆に肩甲骨の動きが制限されてしまい、動きが小さくなってしまうので、これはこれでサニブラウン選手の体には合っているのだと思います。

さて現在18歳とのこと、山縣選手や桐生選手は名前を知られるようになった頃から比べると明らかに体が大きくなっています、ケンブリッジ選手も同じです。

確かに海外の一流選手たちを見ると、筋肉隆々でとてもこんな人たちにはかなわないという印象を与えられてしまいますが、筋肉の仕事は地面を蹴飛ばしたり、必要以上に腕を強く振ったり、無理に膝を引き上げることではありません。

必要な動作を行ってもらうために、骨を動かし関節の角度を変えてもらうことがその仕事です。

スタート直前、選手たちの後方からの映像がありました、残念ながら2レーンからサニブラウン選手辺りで、映像が切れてしまいましたが、全員の後ろ姿を見せて欲しかったです。

多田選手など、他の選手に比べれば、日本的に言うと線が細いと言われる体つきでしたが、結果は堂々の2着でした。

サニブラウン選手の肩のあたりは筋肉隆々というよりも、すっとしていて肩甲骨や肩関節の動きを邪魔しない、良い筋肉の発達のさせ方かなと思いました。

活動拠点を海外に移す選手が増えてきましたが、たんに海外の選手たちのような体に憧れてしまうと、ケンブリッジ選手のように上半身の筋肉、とくに肩関節周囲の筋量が増えすぎてしまうことにもつながってしまったのかもしれません、それがスムーズな体の動きを邪魔しているのではと思ってしまいました。

サニブラウン選手がこれからどんなトレーニングをして、どんな体になって、どんな走り方を目指していくのか興味は尽きませんが、どうか肉体改造などという言葉に踊らされて、彼本来の良い面が消えて行かないことを祈るばかりです。

昨日のレースは昨日のレース、負けた選手たちも黙ってはいないと思います。

また同じメンバーが、いや私が知らない逸材が出てきて、9秒台の記録を目指してしのぎを削るレースを私たちに見せて欲しいと思います。

今現在であれば、陸上競技を行っているジュニアの短距離選手たちがお手本にする走り方は、文句なく多田選手です。

それぞれの肉体の個性で、同じ動きを目指してもそうはならないのが人間の面白い所です。

すべての選手が9秒台を目指せるわけではありません、それぞれの目標に向かって、夢や理想を追うのではなく、自分にとって一番効率的な体の使い方を模索して欲しいと思います。

サニブラウン選手は今日の200メートル決勝にも出場予定です、どんな走りを見せてくれるか楽しみです。

最近「背中で走る」という言葉を使う指導者が増えてきたということを聞きましたが、本当の意味でその言葉の意味を理解し、それを正しく選手に伝えて指導出来ているのでしょうか。

今日書いたことの中に、「背中で走る」ことの意味というかヒントがたくさんあったと思います。

聞こえの良い言葉で本質を見失わないようにして欲しいと思います。

今日の記事は、自分にとっても重要な内容ばかりで、赤や青の色付けが途中から出来ななりました。

興味のある方は、理解できるまで何度でも読む努力をしてみてください。


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現在の環境下でもリハビリトレーニングの指導は出来るようです。

スポーツトレーナーという仕事の内容は、まさに多岐に渡ります。

その仕事の中でも、ケガをした選手を復帰させるためのリハビリトレーニングは大きな仕事の一つになります。

チームに所属していた時にはほぼ毎日一緒にいるわけですから、練習中にせよ試合中にせよ、どんな状況でケガをしてしまったのかということは、目の前で見ていることがほとんどです。

また選手の平常時の動きや身体能力といったことも把握できています。

新人や移籍してきた選手の場合は、それがまだきちんと把握できていないこともありますが、条件としては毎日接することができるので、復帰へのシナリオも描きやすかったと思います。

そんな環境の中で仕事をさせてもらっていたので、私が担当した選手は、元のレベルにしっかり戻してあげることができたと思います。

それが今また、過去に経験してきたようなリハビリトレーニングを依頼されることがあるとは思っていませんでした。

20年以上も前、主力選手のアキレス腱断裂からの復帰を目指すトレーニングを担当した時、クラブには同じようにアキレス腱断裂をした一般の方から、私にリハビリの指導をして欲しいという問い合わせがあったそうです。

もちろんチームの仕事で手一杯なことは分かっていますから、クラブの担当者も丁重にお断りしたようで、私には後日談として伝わってきました。

私自身はそんな大ケガをしたことはありませんが、普段運動不足のお父さんが、子供さんの運動会で張り切って、アキレス腱を断裂したなどという話はよく聞かれる話です。

ただその後のリハビリに関しては、医療機関でしっかり指導を受け、日常生活はもちろん、スポーツに親しんでいた人たちも、ちゃんと元のスポーツ活動に戻っているものだと思っていました。

私が担当するのはチームの選手たち、医療機関が担当するのは、当然そこを訪れた患者さんたちということになります。

両者の間には少しだけ違いがあると思います、リハビリトレーニングのゴールというか、元のレベルが違うということです。

トップレベルのプロスポーツ選手としての動きを取り戻し、戦いの場に戻ってはじめて復帰したと言える競技スポーツ選手と、最低限自分の日常生活に支障がないところまで戻すことが目的となる一般の方という意味です。

一般の方と言っても、まさに色々な状況の方がいるわけで、アマチュアレベルとはいえ真剣にスポーツに取り組んでいる人もたくさんいます。

プロの選手でもそうですが、一般の方の場合大きなケガをすると、そのことがきっかけでスポーツを離れてしまうことが多いようです。

私は与えられた環境の中で、1日でも早く確実に復帰させることを目的に、ありとあらゆることを考え、選手と一緒に頑張ってきました。

教科書的な考え方で、手術の内容に応じてカレンダー通りにメニューを進めていくという発想はありませんでした。

今思い出してみると、リハビリの進行度合いについて、チームドクターから具体的な指示を受けた記憶がありません。

けっして無視していたとか、連絡体制が不十分だったという訳ではなく、きちんとした処置をしていただき、あとは日々接している私が責任を持って任されていたということだったと思います。

今スポーツトレーナーと言う仕事が確立されて、プロという組織の中には必ず配置されていると思います。

そんな中で行われるリハビリトレーニングですが、ケガをした選手が全員きちんとした形で復帰できているかといえばそうではありません。

今日はそのことがテーマではなく、今の私が対応できる相手、ここに通ってきてくれることが前提の選手に限定した話となります。

ケガをしてしまうことに、年齢も性別も関係ありません、スポーツの種目によって受傷しやすい体の部位が決まっているということはありますが。

中でもサッカー選手の場合多いのが膝の関節部分のケガです。

靭帯の損傷や断裂、半月板の損傷、新聞のスポーツ欄にはJリーグの選手が、これらのケガをして全治何ヶ月と、毎日のように載っています。

統計は分かりませんが、プロアマ問わず膝のケガで手術が必要な選手は、1年間でどれくらいの数になるのでしょうか、おそらく相当な数になると思います。

そんな選手たちを待ち受けるのが、医療機関での手術であり、その後のリハビリということになります。

どの医療機関でも手術が出来るわけではありませんので、設備が整い同じような部位の手術を数多く手がけた医師に、依頼することが多いようです。

そのことが専門性を高め、膝の手術なら〇〇病院の〇〇先生が良いよと言う評価に繋がって行きます。

医療機関には理学療法士という専門職がいて、リハビリの指導をしてくれるのですが、日本の医療制度の中で、私が選手にしてあげた内容と時間を、一人の患者さんにかけられるかといえばそれは無理なことです。

申し訳ない言い方になりますが、それはある意味仕方がないことで、日常生活に復帰させることがゴールであることに満足はできなくても、それ以上を望むことはできないことだと思います。

いつものように前置きが長くなりましたが、そんな中の一人が手術前のトレーニングから、復帰までの指導をしてほしいという依頼を受けました。

私の元を訪れたのは昨年の11月、10月にサッカーのプレー中に前十字靭帯断裂という大ケガをしてしまい、学校の関係で12月に手術を受ける予定が決まっていた中学2年生の女子選手でした。

靭帯の再建術を自己移植で行うということで、前述のように一般的な過程をたどれば、おそらく彼女が望ような、復帰後改めて大きな目標に向かってサッカーを続けるという結果にはならないだろうということは想像できました。

とはいえ、チームに所属していた時のような、選手とトレーナーと言う関係ではありませんから、あの時と同じように彼女を復帰させる自信があるかと言われれば、安易に請け負える仕事ではありませんでした。

私の指導を受けるためにはお金もかかることですから、毎日来てもらうという訳には行きません。

1ヶ月に一度程度の頻度で来てもらい、次の1ヶ月の間にやってもらうことを指導すると言うことになりました。

そんな関わり方ですから、正直どこまでの結果に持っていけるのか約束できないことは、最初にお断りしました。

まずは手術のために入院する前の術前トレーニング、これが実はとても大事なのです。

長期間の入院となりますので、それだけで筋力は落ちてしまいます、元々の筋力がある方ではなかったと思うので、ここである程度の筋力をつけさせることは、退院後のトレーニングに大きな違いが出てきます。

さらには、トレーニングの方法を知っておいてもらえば、術前と術後はほぼ同じメニューから始まるので、一石二鳥となります。

その後、退院して指導が始まりましたが、本人は勿論、付き添ってくるお母さんも、私の話を真剣に聞き、指導するトレーニングをしっかり覚えて帰ってくれました。

術後半年が過ぎ、来月の練習復帰に向けて順調に回復してくれています。

おかしな言い方になりますが、これは私にとって想定外の素晴らしい成果が現れています。

先日最後のチェックのために来ていただきましたが、私のオクタントトレーニング(OTT)で全身の関節の連動性を確かめましたが、初めてのOTTにも関わらず、これが現在中3の女の子かと思わせるほどのしっかりとした力強さと、関節の可動域の連動を見せてくれ、本当に驚きました。

その後屋外に出て、走ると言う行為の体の使い方を指導し、ボールを蹴ることも行ってもらいましたが、これなら半月後からチームの練習にも少しずつ入っていけると確信しました。

靱帯断裂の大ケガから、月に一度の指導で、ここまでしっかり回復できたのは、本人の努力としか言いようがありません。

毎回指導したことを、自宅で真剣に継続してくれなければ、これほどの効果があったとはとても思えません、それくらい毎回の変化は大きなものでした。

私の指導のモットーである「ケガする前より逞ましく」この言葉がぴったり当てはまりました。

半年前より体は一回り大きくなり、表情も自信に満ちていると言うか、もう少しで大好きなサッカーが思いっきりできる、それも半年前の自分以上に動ける体を手に入れたわけですから、どんな動きができるのだろうとワクワクしないはずがありません。

1週間の遠隔サポートでも、大きな変化をもたらすことができるという自信もできましたが、こんな形のリハビリトレーニングの指導でも、期待以上の効果を発揮できるという新たな発見というか経験をさせてもらいました。

すべては本人の、絶対に復帰したいという強い気持ちと、私の指導を信じて継続するという覚悟があったからだと思います。

お母さんからの紹介で、高校生男子のリハビリも継続中ですが、現在の医療制度に不満を言っても仕方がないことで、何としてもという気持ちさえあれば、私がお役に立てるということが分かりました。

どんなことを頼まれても、その信頼に応えるために全力を尽くす、そのスタンスを守り続けて一人でも多くの方のお役に立ちたいと思います。


8月、西本塾を行います。

不定期開催となっております「西本塾」ですが、今年2回目、通算24回目の西本塾を、8月26・27の土日に開催を予定しました。

詳細の確認及び申し込みは、「studio操」のホームページ内にあります「講習会情報」をご覧ください。

「深める会」も9月10日に1日開催で行うつもりですので、予定しておいてください。

西本塾の開催も数を重ねてきましたが、現在は私自身が伝えておかなければならないと思うことが明確になり、伝える側としての準備が整ったと思える状況になったときに開催するというスタンスを取っています。

もちろんこれまでもそうでしたが、ブログに書いた内容をもっと知りたい、また書かれたことを体験したいという気持ちで参加してくれる人に対しても、ただそれに応えるのではなく、文字では表現できない人間の体の仕組みやその使い方を知ってもらうために、毎回真剣に取り組んできました。

今回の募集は、初めて参加してくれる人が対象ですが、どんなジャンルの方が参加してくれたとしても、レベルを落とすことなく「正しいものは正しい、良いものは良い」と確実に理解してもらえるような会にしたいと思っています。

施術行為でもそうですが、スポーツ競技を行うに際して、それぞれの経験則が重視されることは当然のことです。

しかし、施術も競技動作の指導も、最終的には誰のために行っているのかということに尽きるのではないでしょうか。

施術であれば方法論を学び、自分が身につけた技術を誠心誠意行なっているということは当然というか基本的なことだと思います。

その行為を評価してくれるのは、誰でもない施術を受けてくれたその人しかいないのです。

先日もあるスポーツ選手が、自分の気になる部分の改善を目的に施術を受け、それを行なってくれるトレーナーの一生懸命さは十分伝わってくるのだが、施術が終わって「どうですか」と問いかけられたときに、目的とした部分の改善というか変化は感じられず、「ありがとう」としか返事のしようがなかったと言うのです。

自分の技術を発揮することで改善ができないのなら、もっと効果のある技術を身に付ける努力が必要です。

競技の指導者も同じです、自分の指導したことで選手の能力の向上がないのであれば、違う何かを探さなければならないことは当然のことです。

私は特定の競技や組織の監督でもコーチでもありません、しかし、選手個人の能力を向上させるという意味では、人間そのものを相手にする監督でありコーチであると思っています。

そういう意味で私は自分のことを「指導者」と呼ばれることに違和感はありません。

今中学生のプロ棋士「藤井4段」のデビュー以来の快進撃が話題となっています。
将棋や囲碁であれば、使用する駒は共通で、我々一般人が指す将棋盤や駒とは違う高価なものだとは思いますが、当然対局する二人が使うものは同じなはずです。

しかし、スポーツ競技では駒は生身の人間です。

監督の最終的な仕事は、与えられた駒の中で最も力を発揮してくれそうな手駒を選び、それを配して戦術を組み立て戦いに勝つことだと思います。

私の仕事はまさにその駒を磨くことです。

スポーツにおける監督という立場は、最終的に勝ち負けという結果に左右されるので、選手一人一人の能力を見極め、向上させていくというところまですべて一人で行うことは難しいと思います。

また、指導者からの目線と選手本人の思いにも、微妙なズレがあると思います。

過去の経験上ですが、選手の個性というか適性を決めてかかってしまい、能力の向上を認めてあげられないこともあったように思います。

選手の能力を見極め、向上できる余地はないかと分析し、それがあると感じたら一緒に向上する努力の方向性を指し示してあげるのが私のやり方でした。

その結果として個人の能力が向上し、チーム自体の成績にも繋がっていくわけです。

「自分はもっとできるはずだ」みんなそう思っています、しかし、身の程をわきまえない勘違いしていると一蹴されることがほとんどです。

それは何故か、「人間として持って生まれた能力という概念」や、それを発揮できるようになるための努力の方向性を指し示してあげることができないからです。

私が指導していることはとても基本的なことです。
ただこの部分をおろそかにしたまま、それぞれの競技動作の習得に励んできたため、砂上の楼閣の例え通り、伸び代が少なくなっているのだと思います。

私のやっていることに指導者が興味を示さなくても、「もっと上手くなりたい、このままでは終われない」と必死にもがいている選手たちは気付き始めています。

昨年3月に出版させていただいた「1回5分 体が喜ぶ健康術」ですが、一般の方向けの健康指南書として、私のこれまでの集大成としての考え方を網羅した内容で書かせていただきました。

その最後の章に番外編として、あるスポーツ選手のエピソードと題して、私のトレーニング論のさわりのような内容を加えさせていただきました。

この本がたくさん売れてくれて重版になることが条件ではありましたが、続編の執筆を前提に書いた一章でした。

A君としてありますが、前後の文章からサンフレッチェ広島の青山敏弘選手であることは、サッカーファンならすぐに分かったと思います。

一昨年、JリーグのMVPを獲得した大活躍は記憶に新しいところですが、スポーツ選手にとって過去はどうでもいいことで、今この瞬間に不安があると、明日の自分に大きな不安がのしかかってきます。

西本理論を知り、その効果を身を以て体験したからこそ、指導の継続という最も重要な部分がネックになっていました。

今私のいる場所と、チームの練習場や自宅との距離、その移動時間を考えると足が遠のいてしまうことも仕方がないこととだと思っていました。

しかし、あの頃の動きを取り戻せない自分に危機感を持ち、私と同じ感性と技術を身に付けた息子智志に白羽の矢を立ててくれ、現在二人三脚で復活に向けて努力してくれています。

これまで何人かのJリーグの選手が私の指導を受けにきてくてました。
「良いものは良い、正しいものは正しい」と心から思ってくれたとしても、「継続」のふた文字が選手の能力向上という、一番大切な目標に届かないことが現実でした。

智志にはしっかり頑張ってもらって、続編のトレーニング論の内容は私との合作になってほしいと思っています。

そのためにも重版になってほしいと思っていますので、改めて多くの人に本を買っていただけるよう、周りの方にも是非勧めていただきたいと思います。

私の理論による指導は確実に選手の動きを改善します。
この考え方を知り身に付けていく過程は、選手にとってとてもエキサイティングな日々だと思います。

小学生からトップ選手まで、私を信頼し期待してくれる選手に対して、私の全てを発揮してその期待と信頼に応えます。

来週また一人トップレベルの選手を迎えます。
大きな声では言えませんが、私から見るとまだまだです。

だからこそ迎える私の方がやりがいを感じています。
短い時間だとは思いますが、大きなお土産を持って帰ってもらう指導をしようと思います。

個人指導、そして今回募集を始める「西本塾」、私がやらなければならないことは結果を出させることです。
そして選手が結果を見せてくれることで、私の理論の正当性を広く知らしめ、指導者として学んでくれた人たちが胸を張って指導ができるようにしていきたいと思います。

もう私一人の問題ではなくなっています、自己満足ではなく、私が誰かの役に立ったと心底思えるように精一杯頑張ります。


プロフィール

Author:西本 直
1993年、Jリーグサンフレッチェ広島を皮切りに、社会人野球三菱重工広島・協和発酵・ヴィッセル神戸・川崎フロンターレ、そして広島カープ佐々岡真司投手など、プロアマ問わず競技レベルのスポーツ選手から一般の方まで、トレーニングやメンテナンスの指導を行ってきました。
その経験と知識の蓄積を「西本理論」としてまとめ、一人でも多くの方に実践していただくことが、これからの私の使命であると信じ、このブログから発信していきます。
私の理論はスポーツ選手のみを対象としたものではなく、ビジネスマンや家庭の主婦まで老若男女すべてに当てはまる不変のものです。
指導や講演のご依頼も受け付けています。
実名でツイッターも書いていますので、チェックしてみてください。
また、2013年9月9日にConditioning Studio 操をオープンしました。こちらもご覧ください。
また、遠隔地にお住まいの方を対象とした動き分析とアドバイスを行っています。
詳細は「スタジオ操」のホームページ内の「遠隔サポート」をご覧ください。
今年2回目の西本塾を8月26・27の土日に開催を予定しています。
詳細はstudio操のホームページ内の「講習会情報」をご覧ください。
なお、今回も参加者が5名に満たない場合は開催しません。
9月10日には深める会も予定しています。

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