子供たちの吸収力、成長するスピード、少し侮っていました。

7月8月と夏休みを利用して、遠方から指導を受けにきてくれる人が増えています。
月末には大阪府立大学サッカー部の夏合宿地へ乗り込んで指導させていただく予定もあります。

初めての方、もう何度目かの方、それぞれに目標があり私の指導に期待を持って指導を受けてくれます。
夏休み中ということもあって、この時期にしか来られないという小学2年生から高校1年生まで、いわゆる育成年代のサッカー選手たちです。

中には親の援助に頼らず、自分でアルバイトして貯めたお金で、関東地方からの交通費と指導料を捻出したという、何とも見上げた心構えの高校3年生もいました。

これまでの私が指導してきたのはプロやそれに準ずる競技レベルの選手たちでした。
正直、小学生の子供相手に何を教えれば良いのかと、指導を依頼されるたびに頭を抱えることもありました。

今、夏休みを利用してスペインから一時帰国し、先月と今月の二回に渡り、それぞれ4日間連続のトレーニングを行ってくれているのも、日本でいえば小学6年生の男子選手です。

この子のことは何度記事でも取り上げましたが、初めて来たのが小3の時で、その時のことは全く覚えていないというほど、本当に幼い子供でした。

それが3年半の歳月を経て、半年に一度とはいえ私の指導を受け続けてくれました。
と言うよりご両親が連れて来たと言うのが正しい言い方かもしれません。

今回は、これからに備えて体づくりのためではなく、動きを正しく力強く行えるようにするための「伸kingトレーニング」を行ってもらうことが主な目的です。

私自身がそうでしたが、小学生の時にはあらゆる競技種目で学校代表として活躍し、小さな街とはいえ宇和島市内でも一目置かれる存在でしたが、中学に上がると細いのを通り越して、まさに痩せぽっちの体では、体格に恵まれた同級生や先輩たちに太刀打ちできず悔しい思いをしました。

「現在の私のような人間が身近に居れば、人生が変わっていたかもしれない」と言うのが、今の私の原点です。

それでも指導対象が競技スポーツ選手で、勝負の世界で生きて来たので、子供相手に自分のモチベーションが保てるか心配な部分もありました。

5年前に大きな転換期があり、そう言う現場から離れてしまい、それが逆に自分の反骨精神に火を付け、それまでやって来たことを整理し、さらに発展させる努力をして来ました。

5年前の私と今の私を比べれば、考えていること指導していることのレベルは全く違うものになっていると思います。

あの時点の私を評価し、声を掛けてくれた現名古屋グランパスの風間八宏監督にして、今の私のやっていることを理解するのは難しいと思います。

彼でさえ理解できないと言ってしまえば、極論ですが現在の指導者の中に私を評価できる人間はいないと言うことです。

現実として私から学んでくれた人たちがどんなに頑張っても、大きな組織を動かすところまでは至っていません。

固定概念、既成概念というものの壁は、思った以上に厚いようです。

そのことを嘆いていても仕方のないことですが、現実としてそうなのだから、やはり世の中を変えて行くのは無理なのかなと諦めかけていた矢先に、何人かの育成年代の指導をさせていただく機会を得て、少し考え方が変わって来ました。

子供だと思って、理論的な部分を理解することや正しい体の動きを身につけさせるのは難しいと、それこそ固定概念を持っていましたが、子供達の能力を甘く見過ぎていました。

彼らは保護者の意向が強いとはいえ、自分でも私の指導に興味を持ってわざわざ広島まできてくれた子供たちです。

自分にとって有益であると感じてくれたら、私の想像をはるかに超えるスピードで、指導内容を吸収してくれるのです。

これはもう驚きでしかありませんでした。

今指導している6年生にしても、2クルー目の二日間を終えたところですが、器具を使ったトレーニングでは、私が要求している動きを正確に行えるようになり、その効果がはっきり見えてきて、体つきや姿勢にも変化が見えます。

当然肝心の動き作りにも好影響を見せ、スムーズな一歩目の動き出しや、横や後方へのターンの動きでも、1ヶ月前とは比較にならない力強さを感じるようになりました。

またすぐにスペインに帰っていきますので、継続した指導はできませんが、体と頭が何かを感じてくれれば今回の指導は成功だと思います。

同年代の子供達も指導者の元で筋力トレーニングを行う子供が増えてきたそうですが、体づくりが先で、そのあとで技術を身につければ良いという考えのもとでトレーニングを行うことは、私の考えとは少し違うので、そこが難しいところではあります。

とにかく子供達の成長には、本当に驚かされます。

現時点で指導者やトップレベルの選手たちの意識を変えることよりも、小さい頃から私の考え方の元にトレーニングを積んだ子供達が成長し、「これが人間にとって効率的な体の使い方ですよ」と、当たり前な顔をしてプレーしてくれる日を待ったほうが、間違いなく早いような気がしてきました。

現在一般的に信じられ行われているトレーニングに対する固定概念ができてしまわないうちに、私の指導を受けることができれば、世の中少しは変わって行くと思います。

さて、何度か紹介している遠隔サポートの宮澤さんから近況報告がありましたので紹介します。

お疲れ様です。
ブログ等いつも読ませていただき、納得したり、再確認させられる事が多々あり、日々のトレーニングに活かせています。

先日、やり取りをした時と比べ、特に前への動き出しと、そこからのアイドリングステイを特に意識しています。

自分は前線の選手なので、相手DFに対して、前からディフェンスをする事が多いのですが、明らかにそこでボール奪える回数が増えたように思います。
基本的に無理に奪いに行くようなエリアではないですし、相手の方が数的にも有利な状況です。
ですが、相手に寄せていくと、相手は「まだ大丈夫」とボールを持っている所のスキをついて奪えたりします。

従来の地面を蹴る走りで取ろうとすると、一瞬予備動作があるので、敵も今までの経験でなんとなく、一気に寄せてくるタイミングが分かるんだと思います。

ですが、西本さんの理論の加速だと、地面を蹴らずに一歩目も速くなるので、敵からすると「なんでもう相手がここに」と感じるのではないかと思います。

同じような状況で、ボールがゴールラインを割りそうで、相手DFがそのまま、出してゴールキックにしようとするシーンがありました。

後ろから自分が走って追っていましたが、相手DFも上手くコースを切ってそのまま出そうとします。

一瞬、諦めた風を装いながら、ボールがラインを割りそうなところで、一気に加速したところ、そのまま、相手を回り込んでボールを取り、マイボールにすることができました。

側から見ると、相手がマヌケだったとか、上手く回り込んだという感じだと思いますが、あの加速の時も一切地面を蹴らずスッと前へ出た事が、「敵からしたら想定外のタイミングで来た」と感じていたのではないかと思います。

また、上手くアイドリングステイ出来ているときは、とにかく動き出しが速いです。
それこそ、勝手に身体が反応すると感じる時さえあります。


ただ、悔しいのは、興味があるのか無いのか何なのか分かりませんが、「本当にその走り方意味あるのか」とか、「ふざけてるのか」と言われたり、聞いといてこっちが真面目に説明しようとしても真面目に聞こうともしないのは、悪気がないにしても腹立たしいですね。
やりもせずに、そういった判断をして、自分の可能性を狭めているのは可哀想でもありますが・・・。

成長してるのは間違いないです、しかも、今までより速いスピードで。
自分はブれずにこのまま継続していきます!
そして、自分のパフォーマンスや結果で西本理論の正当性を証明します。

この年齢からさらに急成長を遂げて、周りの度肝を抜かせることが一つのモチベーションになってます。

自分で、ドリルの後に試合の動きをイメージしながらアイドリング、ダッシュ、アイドリングステイや左右横の動き、言ってみれば、シャドーボクシングならぬ、「シャドーサッカー」のように自分なりにトレーニングを発展させてみたりして、とにかく、無意識レベルで試合中に常にその動きが出来るように工夫もしてみてます。

この辺も、もしかしたら試合中に正しい身体の使い方が出来ることに繋がっているかもしれません。

社会人という中で時間の確保には日によって差が出るからこそ、必ず毎日、質にこだわって続けていこうかと思います。

自分はこの遠隔サポートがなければ、今シーズンで引退していました。

膝の痛みがなく、思いっきり出来るどころか、以前より一歩が速くなったり、コントロールが正確になったり……こんなにもパワーアップ出来るとは本当にビックリです。

この理論は正しいですし、遠隔サポートでも自分のようにビックリするほどの成長を実感できます。

自分も精一杯、目標に向けて、この理論とともに出来る事をやっていこうと思います。

宮澤さんとは遠隔サポートの関係のみで、実際にお会いしたことはありません。
それでも私の送る一文字一文字を真剣に読み解き、送った動画をお手本として動きを繰り返し、さらには自分でも様々な工夫を取り入れた結果、こんな感想を送ってくれるレベルにまで成長しているのです。

周囲からの、私の提唱する動きへの偏見というか、いろいろ言われることがあると思いますが、それこそ笑って受け流してください。
宮澤さんが苦労して身につけつつある動きを、そんな人たちに教える必要などありませんから。

周囲がその正しさに気づかないうちに身に付けてこそ、宮澤さんのアドバンテージとなるのです。

大丈夫です、数年後私の指導を受けて子供たちが、固定概念に凝り固まった大人たちをあっと言わせるパフォーマンスを見せつけてくれ、一体何が起こったのかと驚き、その動きを認めざるを得ない日がきた時、周囲の人に言ってあげてください、「あれが僕のやっていた動きだよ」と。

私も同じです、楽しいじゃないですか、そんな日がそう遠くない先にやってくるのですから。
競技レベルの選手や指導者の意識が変わらないのなら、私を信頼し指導を受けてくれる育成年代の子供たちに、しっかり身に付けてもらう指導をする方がよほど楽しいです。

施術行為も同じです、痛いところも揉んだり叩いたり突っついたりでしか良くならないと思っている人たちの意識を変え、体を整えるという意識に目覚めた人が、その日を境に人生が変わるほどの体験をしてくれるところを目の当たりにできることも、私の仕事の醍醐味です。

50代最後の一年が始まりましたが、私にはまだまだやらなければならないことがたくさんあるようです。

西本塾をすでに受講してくれた人を対象とした「深める会」を、9月10日に行います。

私の考え方に賛同して、すでに指導活動を行ってくれている人もありますが、本当に根っこの部分を理解し、自分でやって見せ、正しく伝えられているか確認しにきてください。

私の伝えた言葉をそのまま伝えてくれているとは思いますが、少し心配なところもあります。
多くの方の参加を期待しています。


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「いかに素早く前方向に動き出せるか」実はこれが一番難しいことのようです。

今日は8月13日、世間はみんなお盆休みということで、郡山に住んでいる長男家族も、休みを利用して帰省しています。

子どもが小さいことと、長距離の車の運転が苦にならないようで、郡山から車で帰省しています。
当然帰りも車なわけで、2時間でも長く感じる私から見れば、信じられないことです。

帰省してもベースキャンプは廿日市市の嫁の実家で、今日の午後と明日はこちらに来るということで、午前中にブログを書いています。

今朝は男子200m決勝、ウサインボルトのラストランを、リアルタイムで見ようと、早起きしました。

どんなスーパースターにも終わりがあるわけで、心情的にはアンカーとしてトップでゴールインし、金メダルを最後の手土産にして欲しいという気持ちもありましたが、残酷な結末が待っていました。

それにしても日本チームのバトンパスは、他のチームとは比べられないほどのスムースさで、4人の合計タイムではメダルにはとても届かないなか、ボルトの途中棄権があったとはいえ、堂々の銅メダルを獲得してくれました。

今大会唯一のメダル、世界との差は開くばかりですが、こんなところに日本人のまじめさというか、真剣な取り組みが実を結ぶのですから、走るという行為の本質にも、もっと目を向けて取り組んでくれれば、他の種目でももう少し何とかなるのではと思ってしまいます。

今朝は起き抜けに玄関のドアを開けて空を見上げましたが、明らかに雲の様子が違い、心地よい北風が吹いていました。

久し振りに冷房が要らず、窓を開けて過ごしています。

私の完全な休みは今日だけで、昨日もそして明日も予約を受けています。

さてここからが本題です、陸上競技は当たり前ですが、前に向かって走ります。

しかし、他の競技では前後左右、そしてジャンプ動作もありますから上下に動く動作も必要になります。

私の仕事場である「Conditioning Studio 操」の入り口には、もう一つの名前を掲示しています、それが「動きづくり研究会 西本塾」です。

ですから私の元を訪れてくれる人たちの目的は、大きく二つに分かれ、体の不調を軽減するために施術を受けにくる方と、スポーツ選手として、少しでも良い動きが出来るようになりたいと思って来てくれる人たちです。

この「少しでも良い動きが出来るようになる」ということの意味を説明することは、とても難しいことです。

トレーニングも目的は、筋力アップや体のサイズアップといった、体づくりが目的であり、その結果としてスポーツ動作が向上するというのが一般的な考え方だからです。

肉体改造とか体づくりではなく、トレーニングの目的は「動きづくり」ですと言っても、理解してくれる人はほとんどいません。

では「動きづくり」を目的としてトレーニングを重ねた選手たちが、最終的に求める良い動きとはいったいどんなものなのでしょうか。

なぜか今、指導を依頼される競技の中で圧倒的に多くなったサッカーという競技において、自他ともにトレーニングの効果を実感できる動作はどういうものなのか、逆に言えば、改善するのが一番難しい動きとはどういうものなのか、ここ数カ月の指導の中で、一つの答えが見えてきました。

それは、「いかに素早く前方向に動き出せるか」ということのようです。

ようですというのは、もしかしたらこれからもっと難しい問題に直面するかもしれませんし、これまでそのことに対する私の指導が的確でなかったことが原因だったかもしれないからです。

「人間の体はね・・・」という言葉から始まるのが私の理論というか、体に対する向き合い方です。

これまで経験してきたことや、たくさんの素晴らしい選手の動きを見てきた中で得た、最大公約数的な人間という動物としての効率的な動きを、こういう意識でこうやって体を使えば、誰でも効率的で効果的な動きが出来るのではという仮説を立て、自分の体で試し実証して得たことを、選手に伝えてきました。

頼まれてもいないし、間違っても私にアドバイスを求められることなどあるはずのない選手の動きであっても、私ならこうアドバイスする、こういう風に体を使えばこんな動きが出来るのにと、想像を膨らませているだけでも楽しい時間を過ごすことが出来る、何というかお気楽な性格の私です。

そうやって思いついたことを伝え続けてきた中で、私と出会った選手たちが確実に変化し、成果を残してくれることで、私自身にも自信ができ、もっと良いものがあるのではという欲も出てきました。

明日も来ることになっている高1のA子ちゃんですが、このブログでも何度か取り上げたことがあるので、分かる人も多いと思います。

A子ちゃんは、大学1年になったお兄ちゃんの影響でサッカーを始め、お兄ちゃんの高校進学のために広島に移り住みました。

中学時代は広島のクラブチームに所属していましたが、それほど目立つ選手ではなかったようです。

それでもサッカーを始めたころからの夢であった、強豪校への進学を目指し、真剣にサッカーに取り組んでいました。

その当時の指導者やご両親にして、今のA子ちゃんの姿は想像できなかったかもしれません。

それが昨年の10月から6か月間に渡って、私の元に週に3回くらいの頻度でトレーニングに通い続け、みるみるうちに周りから一目も二目も置かれる選手へと成長していきました。

残念ながら直接プレーを見る機会がなかったのですが、兄妹とは言えライバル心むき出しで、お互いを褒め合うことのないお兄ちゃんから、「A子は凄いです」の言葉を聞いて、これは本物だと確信していました。

お盆休みをもらって広島に帰ってきた翌日からトレーニングに来ていて、意識の高さは想像以上です。

久し振りにトレーニングを指導し驚いたのは、高校では同じ環境で器具を使ったトレーニングは出来るはずもなく、5カ月のブランクで、それぞれの種目にブレが出ているかなと思っていましたが、それどころか逆に、4月以降もずっと私の元に通い続けていたかのような動きを見せてくれるのです。

これなら強豪校の一員として、それぞれそれなりの実力を持って入部してきたライバルたちに臆することなく、それどころか一歩も二歩もリードできていると思いました。

「動きが良い」という言葉はとてもあいまいで、客観的な評価にはなりません。

なぜA子ちゃんの動きをそう感じたのか、5か月前のA子ちゃんや、お兄ちゃんのH君、そして同じく高1になったS太たちの動きが一つの基準になっていた私には、その後に指導した人たち、遠隔サポートを含みますが、やはり彼らはトレーニングに取り組んでくれた期間が長く回数も桁違いに多いからそうなったのであって、他の人に同じ動きを要求するのは難しいと思っていました。

その一番難しい動きと言うのが、今日のテーマである「いかに素早く前方向に動き出せるか」ということでした。

走るという行為は理論の部分から丁寧に説明し、順を追ってドリルを実行していただければ、必ず現状より上達できます。

上達と言うのは、「楽に速く走れるようになる」ということです。

横への動きも、相手に視線を向けたまま、上半身をできるだけ正対させたままで骨盤の動きで対応できるようになったり、後方へのターン動作も同じようにスムーズに一歩目が出せるようになります。

人間がその場からどちらかの方向へ移動するためには、これまでは地面に圧力をかけ、その反力を得るというのが常識でした、それを地面に「居着いてしまう」という言い方で、マイナスな面が多いと考え、別の体の使い方を考えました。

それが、「落下」「捻転」「重心移動」の3つを、一瞬にして行うことが、最も効率的な動き出しが出来るカギになるではないかという結論を得ました。

私自身が動きの達人とか、誰にも真似のできない凄い動きを身に付けているという訳ではありません、本当に普通の人間です。

最大公約数的な観点で超一流選手の動きを分析していく中で思いついた効率的な動きですから、誰にでも習得可能なものでなければ意味がないのです。

もし私にしかできないような動きで、習得するのに何年もかかるような動きを提案しても、誰の役にも立ちませんから。

もちろん指導していく中で、例外なく変化し上達してくれている実感を得ています。

それがA子ちゃんのように、ハイレベルなライバルたちの中でも、ひときわ輝く何かを感じさせている要因はどこにあるのだろうと考えた時、トレーニングの後半で行う動きのドリルで見せる、アイドリングから重心を前に倒し、振り出された足と逆の肩を、骨盤から背骨を広背筋の機能を使って捻り上げることの繰り返しで、一気に加速するというドリルを見て、「なるほどそういうことか」と納得しました。

まったく地面を蹴ることなく、何といえば良いのでしょうか、滑るようにというか、後ろからスーッと風が吹いて押し出されたように、あっという間にスピードを上げて行くのです。

体の負担を少なくし90分間頭と体を動かし続けることを可能とすることが、サッカーにおける私の走りに対する発想の原点であり目的ですが、この前方向への瞬間的なスピードアップこそ、選手本人はもちろん、指導者が選手に求めている最大の能力ではないでしょうか。

同じく高1で、以前指導を受けてくれたK君も、先日久し振りに来てくれましたが、お母さん曰く「特徴のないとことが特徴になってしまい、ここは負けないという所を見せられない」というお話を事前に伺い、まさにこの前方向への動きだしを改善できれば、今のポジションを脱することが出来るのではないかと本人に話をし、そこを目標にトレーニングを行いました。

以前にも書きましたが、その場に立って後ろから手を叩いたことを合図に走り出そうとすると、ほぼ例外なく全員がいったん後ろに下がってから走り出します。

これは地面反力こそが走るという行為で体を前方に送り出す唯一のエネルギーであると、頭も体もそう思っているからです。

この意識を変えるのは容易ではありません、手っ取り早く指導して欲しいと、最終目的を達成するためのドリルをいきなり行っても、絶対に身に付くことはありません。

それぞれ違いますが、どうやって指導して行けばそうなってもらえるのか、それも少しずつ分かってきました。

「キレのある動き」という言い方も、この動きが基本になっていると思います。

テレビでJリーグの試合を見ても、前方向への動き出しが素早くスムーズに行えている選手はほとんどいません。

お互いがそうであるからこそ、大きな問題には感じないのでしょうが、以前話題にした「マスチェラーの選手」のような動き出しをされたら、まったく勝負にはならないと思います。

この動きは他のどんな動きにも共通する意識で、とくに体幹部分をうねり出す感覚がを身に付けることで、競輪や競艇といった、まったく関係なさそうな競技の選手からも、自分の競技動作に変化を感じるという言葉を聞いています。

誰にでもできる走るという行為、だからこそその瞬間的な動き出しの能力は、大きな差となって選手としての価値を高めてくれるようです。

「背中を使う」「背中で走る」言葉だけが先行しないようにして欲しいと思います。

現在イギリスで行われている世界陸上2019、陸上競技は様々なスポーツ競技の中でも、人間の能力そのものを競い合うという意味で、とても興味深くそして大好きな競技です。

今回の大会はイギリスで行われているため時差が大きく、さすがにリアルタイムでテレビ観戦するのは難しいです。

その中でも特に注目していた、ウサインボルト選手の個人種目ラストランとなる100mですが、残念ながら勝利で飾ることは出来ませんでした。

日本から出場した3選手は、ともに予選を突破し準決勝に進みましたが、残念ながら決勝に進むことは出来ませんでした。

今日は陸上選手のことを深く掘り下げることが目的ではありません。

「走るという行為」そして、「背中で走る」という言葉の意味を、またまた考えてみたいと思います。

西本塾や個人指導、また遠隔サポートを通じて私の指導を受けていただいた方々が、最終的に何を身に付けたいのかといえば、やはり「私の提唱している走り方」に尽きると思います。

様々な理屈を並べたて、体の仕組みやその効率的な使い方をどれだけ丁寧に説いても、それらはすべて走るという行為に対しての前座というか、前置きにしか受け取ってもらえません。

その部分の理解が浅いため、学んだことが形に出来ない、やはりこれまでとは違う体の使い方に、習得が難しいと言われることになってしまいます。

そのことについては、最近何度も繰り返し言及していますので今日は触れませんが、ダンスの振り付けを習うような気持ちでは、絶対に身に付かないことだけは何度でも言っておきます。

何故みなさんが、走るという行為を私から学ぼうとするのか、それは走るという行為が人間にとって最も基本となる運動動作だからだと思います。

そして何より、これまで走るという行為が、楽しいとか好きだと胸を張って言えるものではなかったということも大きな原因だと思います。

専門としている陸上競技の選手にして、練習中に楽しいと思って走る余裕はないと思います。

それが他の競技で、体力トレーニングの一環で行わさせられているランニングが、楽しいはずがありません。

物心つかないうちに、人間は歩行動作から走るという動作を身に付けて行きます。

そして周りの人間たちからの評価が始まり、この子は足が速いとか、あまり速く走れるようにはなりそうもないと、レッテルを張られることになります。

さらに運動会の徒競走で、他の子供たちとの相対的な比較で、速い遅いが決められてしまうことになります。

短い距離のダッシュにしても、長距離を走るにしても、大きなエネルギーを必要とします。

とにかく走ることはしんどいのです。

しかし、走れなければ成り立たない競技がたくさんあります、走れることが前提といった方がよいでしょうか。

だから走ることに対して能力の高い選手は、様々な競技で優遇されることになります。

その能力の劣っている選手は、何とか改善したいと努力しますが、その過程というか方法が、とにかくきついことをやる、体をいじめるとか追い込むとかいう言い方をされる、最もやりたくないことをやらなければ改善することは出来ないと思わされています。

今回のマラソン競技に参加した選手たちの練習内容を聞いていても、量より質と言いながらかなりの距離を走り込んでいますし、そのまま量で勝負とばかりに、他の選手に負けない距離をこなしてきたという選手もいました。

結果はまたまた世界には全く歯が立たず、「力が足りませんでした、一からやり直しです」という言葉しか出てきません。

こういうコメントは、今に始まったことではありません。

結果を残せなかった選手は、ほとんどこういうコメントを残していきます。

ではどうすればよいのか、そろそろ答えを見つけることは出来ないのでしょうか。

今回出場した女子の2選手の走法は、その一つの方向性を感じさせるものでした。

私の指導を受けたことのある人たちには分かると思いますが、あの走法は似て非なるもので、けっして私が提唱している走るという行為の体の使い方ではありません。

一言で言えば、まったく背中が使えていません。

10000メートルを制した、男子のモハメド・ファラー選手と、女子のアルマズ・アセナ選手、二人とも圧倒的な強さを見せつけてくれましたが、失礼ながら見た目は似たような選手がたくさんいて、誰が強い選手なのかは判断できません。

何が違うかといえば、やはり骨盤から背骨にかけてのラインがすっと伸びていて、最後まで崩れることがないということです。

これは私が理想とする400mを専門としたマイケルジョンソン選手の走行中の骨盤の反り方にも共通するところです。

私の提唱する走り方のポイントはいくつかあるのですが、この「骨盤が反っている」という部分は、その中でも最重要ポイントとなります。

なぜかと言うと、骨盤と大腿骨のジョイント部分である「股関節」の機能を最大限に発揮させるためです。

これまで走るという行為は、地面を強く蹴ることによって得られる反力を使って、少しでも広いストライドと速いピッチを両立させることが、スピードを得るための絶対条件だとされています。

スタートラインにずらりと並んだ選手たちの体つきを見ると、誰が強い選手なのか、一見してわからないくらい似た様な体系に鍛え上げた選手たちがずらりと並びます。

10000mであれば、最後の直線でのラストスパートまでは誰が勝つのか分からないほど、みんな素晴らしい走りをしていましたが、最後の最後、ここ一番になった時に体の使い方に大きな差が出てしまいました。

体の前側を使って力んでしまい、骨盤の反りがなくなって身体が丸まり、一生懸命腕を振り、膝を引き上げて速く走ろうとしているにもかかわらず、逆に失速してしまっているかのように、トップに抜け出す選手から離れて行くという現実です。

100mや200m、そして400mといったスプリント種目でも同じようなことが起こります。

そうならないために必要なことが、「背中を使う」「背中で走る」という意識なのです。

そのためには背骨が一本の棒状のものだというイメージではなく、仙骨を含め25個の椎骨の集合体であるという意識と、それを使いこなせるようになるためのトレーニングが必要となります。

そこには体づくりの概念はなく、まさに「動きづくり」のトレーニングを行っているという目的意識が必要になります。

この意識がすべての動作の基本となります。

その上で、背骨を動かす、背中を使うという感覚を意識しやすくするのが、「広背筋」を使っているという感覚です。

広背筋の働きによって、背骨を反らせ背骨のS字カーブを意識して感じられるようになります。

骨盤が後上方に引き上げられることで、股関節の自由度が増し、大腿骨が自然に振りだされやすくなります。

体の前側の筋肉が緊張して、骨盤が後傾してしまうと、大腿骨を降り出すために股関節を屈曲させる筋力が必要となるため、無駄なエネルギーを必要とし、それまで保ってきたフォームを崩してしまいます。

サッカー選手を例に出すと、過去何度も他の媒体でも記事にしてきた、メッシ選手やロッベン選手の背番号の下の部分が常に反っていてスムーズに足が振り出されているという事実です。

ただそこに選手個々の個性というか特徴が出てきます。

メッシ選手の場合は、足元にボールが吸い付いたようなドリブルで、何人もに囲まれた狭いスペースを抜けた行くために、腰は反っているけれど背中は少し丸まって見える「反った猫背」と私が名づけた形になっています。

腕の振りも小刻みで、足の細かいステップと同調させています。

対してロッベン選手は、スピードに乗って長い距離を移動することが多いので、腕を伸ばし気味にして前よりも後ろに大きく振って加速するのが特徴です。

背骨を柔らかく使うというよりも、固く力んでいるようにさえ見えます。

しかしどちらも、いわゆる体幹部分を固めて安定させるのではなく、揺らせているのが分かります。

私は両者の背骨の使い方を、棒高跳びに使用する「ポール」に例えて説明しています。

自分にとって何の問題もない高さを飛ぶ際には、それほどのしなりは必要ありませんが、自己記録に近いような高さを飛ぶ時には、剛性の強い硬いポールを使います。

助走のスピードを上げ、硬いポールをしっかりしならせることで、自分の体を高く跳ね上げてもらうのです。

ロッベン選手は、一瞬の隙をついてトップスピードを得るために、背中を固くして安定させ、伸ばした腕を後方に強く速く振ることで、前に進む推進力を得ようとしています。

練習風景を撮影した動画では、相手の目の前で急激なターンを行うために、トップスピードで相手の懐に飛び込み、その瞬間に顔も骨盤も相手の方に向けたまま、お腹の部分、もっと言えばおへそだけを踏み込んだ足の反対側に捻り込むことで、相手にぶつかる寸前に方向を変えるという、誰にも真似のできないような動きの練習をしていました。

背中を使う背中で走ると言っても、その選手が持っている関節の柔らかさと強さが異なるわけですから、基本的な体の使い方を指導しても、みんなが同じ動きになり訳がありません。

形だけを真似して、「これでいいですか」という質問のされ方をする場合がありますが、私が指導しているのは体をどう使うかという意識の部分で、結果としてこうなって欲しいという「振付」を教えているのではないということを、もう一度よく考えてドリルに取り組んでほしいと思います。

「背中を使う」「背中で走る」、安易に使われることが増えてきたように思いますが、とても難しいことですので、しっかり取り組んでほしいと思います。

これを使いこなせるようになれば、どんな競技でも動きを改善することが出来ると思います。

以前に指導した中学生の卓球選手に私が行ったことは、まさに背中を使えるようにしてあげただけです。

昨日も若いサッカー指導者から、個人指導の申し込みがありましたが、私が書いたロッベン選手の記事を読み、「背中で走る」という言葉に興味を持ってくれたそうです。

指導者としての成長と、何より指導している子供たちのために勉強したいとのことでした。

こういう指導者が一人でも増えてくれることが、サッカーの未来を明るくしてくれるのだと思います。



プロフィール

Author:西本 直
1993年、Jリーグサンフレッチェ広島を皮切りに、社会人野球三菱重工広島・協和発酵・ヴィッセル神戸・川崎フロンターレ、そして広島カープ佐々岡真司投手など、プロアマ問わず競技レベルのスポーツ選手から一般の方まで、トレーニングやメンテナンスの指導を行ってきました。
その経験と知識の蓄積を「西本理論」としてまとめ、一人でも多くの方に実践していただくことが、これからの私の使命であると信じ、このブログから発信していきます。
私の理論はスポーツ選手のみを対象としたものではなく、ビジネスマンや家庭の主婦まで老若男女すべてに当てはまる不変のものです。
指導や講演のご依頼も受け付けています。
実名でツイッターも書いていますので、チェックしてみてください。
また、2013年9月9日にConditioning Studio 操をオープンしました。こちらもご覧ください。
また、遠隔地にお住まいの方を対象とした動き分析とアドバイスを行っています。
詳細は「スタジオ操」のホームページ内の「遠隔サポート」をご覧ください。
西本塾を深める会を9月10日(日)に開催を予定しています。
詳細はstudio操のホームページ内の「講習会情報」をご覧ください。

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