フライングバックトレーニング(FBT)再考、最高(笑)

先日依頼を受けた、『大阪府立大学サッカー部』の指導が1ヶ月後となりました。

このチームとはこれまで全く縁はありませんでしたが、ブログ等を通して私に興味を持ってくれた、4回生の石川拓志さんから突然電話で指導の依頼があり、それ以来当日に向け連絡を取り合いながら準備を進めています。

このチームは、現在関西学生サッカーリーグの3部に所属し、前期日程を首位で終え、2部昇格をかけたチャレンジリーグへの出場を決めたそうです。

8月後半、福山で行われる合宿期間中の貴重な1日を割いて、私の指導を受けようとしてくれているのですから、こちらも気合が入らないわけがありません。

サッカーの経験者ではない私が、縁あってサッカーのチームで仕事をさせていただき、またサッカー選手として必要な能力を超一流選手の動きから分析する仕事をさせてもらったりしたことで、いつの間にかサッカー選手を指導する立場になってしまいました。

ならば私が指導した選手やチームには、絶対に他とは違う何かを感じてもらい、個人として、またチームとしていろいろな意味で向上を実感してもらえるように指導しています。

実際に指導を受けてくれた選手たちはそれぞれのステージで結果を出してくれていますが、相変わらず私の存在は表に出してくれませんので寂しい限りですが。

今回は、丸一日の時間を頂いていますが、実技を指導する前に、「西本理論」と称している部分を少しでも理解してもらっておく必要があるので、前日の夕方にも2時間、講習会のような形で座学の時間を取ってもらいました。

それでも当日いきなり私の話を聞いたのでは理解しにくい部分も多いと思うので、西本塾で使用しているレジュメを再構成して作成しなおし、予習の意味も含めて全員に配布してもらうように手配しました。

今回の指導で何としても結果を出させてあげたい、私自身が強くそう思っています。

石川さんとのやりとりの中で、FBTに関してはブログを読んで、自分たちなりの解釈でトレーニングの一環として取り組んでいます、という言葉を聞くことができました。

本当にありがたいことなのですが、これまで直接指導してきた人たちであっても、私の意図が正確に伝わっていないことが多く、せっかくの取り組みが勿体無いことになってしまっている例が多いので、ここで改めてFBTについて説明を加えておくことにしました。

そういう訳なので、今初めてFBTという言葉を聞いたという人や、ブログを読んで少しやったことはあるが、ほとんど継続できていないという人には、今日の内容は理解できないと思いますので、興味があれば過去記事をきちんと読んで勉強してから今日の記事を読むことをお勧めします。

そもそもFBTとは何かということですが、私が人の体と向き合ってきた30年以上の年月の中で、特にスポーツ選手を対象としていた期間が長いのですが、その経験の中で、我々日本人は背中をうまく使えていないのではないかという、大きいとか強いとかいうレベルの問題ではなく、体の使い方という根本的な問題意識の中で生まれたトレーニングです。

現在の場所に腰を落ち着けるまでは、以前に運営していた施設を訪れ、備え付けたトレーニング機器を使用したり、同じような器具を備えたチームに出向いて指導をしていましたので、あえて自重を使ったFBTのようなものを指導する必要はありませんでした。

それがこの場所で「西本塾」という形で指導をすると決めた第1回の前日の夜に、「参加者のほとんどは器具を揃えた環境にはいないはずで、器具の使い方を指導しただけでは意味が無い」という家内の指摘に、なるほど言う通りだ、ならば器具なしで目的に叶う何かをと考えたのがFBTの1から4の動作でした。

ですから当初の目的は、一言で言えば骨盤と背骨を動かすことに関して、最も重要な役割を担っている「広背筋」の収縮を意識的に行わせることであり、それによって背中の機能を高めると言うことが目的でした。

広背筋という筋肉の解剖学的な機能や、筋肉の起始と停止の位置関係を考えればFBTの2が一つの答えであり、それを補う形での1の動作を考えました。

加えてグランドレベルで行うことを考えれば、下半身の意識づけも重要になってくるので、特に股関節に乗り込む感覚が分かれば、その後に続くアイドリング動作や走るという行為へもスムーズに移行できると考え、3と4の動作を加えました。

そうした中で、私の中では当たり前だと思ってやってきたこと、私の体は自然にそういう風に動いているにもかかわらず、目の前で行なってくれる人たちの動きが、残念ながらそうなっていないことに気付き、指導の仕方や見せ方にも工夫を凝らし、最近では私なりに納得のできる動きを指導できていると思えるようになりました。

その一番のポイントは1と2の動作では重心がかかとから爪先へ移動していきますが、その際最もきついと感じるポジションで、骨盤がクイっと反り上がり、お尻の穴が下方向から真後ろに向かって上方向に上がっているかということです。

そもそも広背筋の機能を高めることの目的は、骨盤を後上方に引き上げ、股関節の自由度を高めるということなのですから、背中がキツイだとかも太腿裏が突っ張るとかいう感覚ではなく、あくまでも骨盤の角度を意識して変えるという動作を繰り返すことで、その動きが自然に行える体を作っておくための動作なのです。

この一番肝心なことがうまく伝わっていないために、頑張りすぎて腰が痛いとか、どこに効いているのかよく分からないなどという感想を聞くことになってしまっていたのです。

3と4の動作も同じです、こちらは沈み込んでいくときに爪先側に重心を移すのではなく、逆にかかと側に重心を移し、お尻を突き出すようにしてさらに骨盤を反り上げる必要があるのです。

この動きこそが、股関節を伸展しながら着地するという、私が提唱する走り方に繋がっていきます。

「引っ張り出しのドリル」で、足の裏ではなく股関節そのもので着地をする感覚という言葉を使いますが、その準備の意味もあります。

FBTを継続しているが、今ひとつ物足りない、どうなることがFBTが正しく行えていることの証になるのかと思っていた方には、なるほどそういう意識で行えばいいのかと思っていただけたと思います。

大阪府立大学サッカー部の皆さんには、ぜひ今日の記事を参考にしていただき、1ヶ月後にお会いするときには、FBTに関してはもう指導の必要がないというレベルにまで高めておいて欲しいと思います。

この動きがきちんとできるようになっていることが、他の動作を習得するカギになります。

それくらいこのFBTという動作には深い意味があり、何の道具も使わず、時間や場所も必要としない、コストパフォーマンスでいうとこれ以上ない「最高の動きづくりの基礎トレーニング」となります。

私も日々行なっていますが、骨盤の「クイっ」という動きの感覚が、何とも心地よいです。

1ヶ月後になりましたが、サッカーに必要な、いえあらゆる競技に必要な、自分の体を自分の思ったように動かす能力を向上させるために、私のこれまでの経験と知識を総動員して「大阪府立大学サッカー部」大躍進のお手伝いをさせていただきます。

そして周りの見る目も変えて欲しいと思います、私の考え方を取り入れれば必ず変われる、成長できるということを知らしめて欲しいと思います。


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Re: もう一度ブログを初めから読んでみました
野村さん
コメントありがとうございます。

遠く異国の地にお住まいで、私と直接出会うことがおそらくはないということが、ブログを他の方以上に真剣に読んで頂けるモチベーションになっているのかもしれませんね。

文字や言葉で伝えることはとても難しいことです。しかし、直接お会いして指導させていただいたからといって、それで終わってしまっては何の意味もありません。

私の言葉が少しでもお役に立てているとしたら、本当に有難いことです。

それにしてもいろいろなことを勉強されていますね、私は他の分野の先駆者から学ぶというよりも、見たまま感じたままを言葉にし、自分の動きで確認することで、他者に対して自信を持って伝えることが出来るようになりました。

私の気づいたことは、既に他の分野の方が言われていることと同じことはたくさんあると思います。

野村さんはそれこそ色々な方の考え方を参考にして、ご自分の考えを整理し、息子さんの指導に役立てていただければよいと思います。

カンテの名前もすでに知るところではありましたが、やはり評価は高いのですね。
動きの見方はそれぞれですが、私もすばらしい選手の一人だと思います。
そういう選手の動きをたくさん見て、新たな発想を得て行こうと思います。

また何かお気づきのことがありましたら、お知らせいただけるとありがたいです。

走ることの指導に関しても、日々変化があり、現状ではかなり正確に私の意図が伝わるようになってきたと思っています。
ただこれはたんなる方法論ではなく、なぜ人間だけが筋肉系のトラブルを発症するのかという、基本的というか根本的な疑問から始まっているということを理解しないと、本当にたんなる方法論技術論になってしまいます。
ですから、その具体的な部分に関しては文字でのやり取りは遠慮させていただきますのでご了承ください。
  • 2017-07-31│09:17 |
  • 西本 直 URL│
  • [edit]
Re: トレーニング指導の感想
長尾さん
コメントありがとうございます。

おそらくは私が直接指導した回数は一番多いのではないかと思います。
その度に、この人はもっと出来る、出来るという意味は、私の考えを応用して多くの方々のお役にたてる、という意味ですが、そのために必要なことは、自分の考えを自分の言葉で発するということだと思いました。

そうなって欲しいがために、厳しい言葉もかけてきましたが、確実に成長してくれている事を嬉しく思います。
心構えはもちろんですが、実技の分野においても格段の成長を見せてくれていて、毎回お会いするのがとても楽しみになっています。

不思議なご縁で、西本塾生でもあり、私が三菱野球部で教えた上田君が、長尾さんの母校、香川県立飯山高校の野球部監督に4月から就任し、指導者としてこれから甲子園を目指すスタートを切りました。
お住まいもお近くとのこと、私共々上田君のこともよろしくお願いします。
  • 2017-07-31│09:01 |
  • 西本 直 URL│
  • [edit]
もう一度ブログを初めから読んでみました
西本さん、こんにちは。スロベニアの野村です。

五月末にコメントを送ったところ大きく取り上げていただいて、追伸を書かなければと思いつつ、当時まだ疑問に思っていた事など具体的に書いてしまうと「なんだまだそんな基本的なこともわかっていないのか」などと思われてしまいそうな気がしまして、結局黙ってもう一度ブログを最初から読み直して見ようと決めました。それから二ヶ月、ようやく最新の記事まで辿りつきました。
「ブログをしっかり読んであとは自分の体に聞く」これでかなりの疑問点が晴れました。

結論として、うちの子はやっぱり基本的に背中が使えている、無意識にもちゃんとできている間は親としていじらないでいい、ということになります。確かにご指摘の通り、出遅れてしまったり、裏を取られてしまったときなど、ついリキんで(腹筋など)屈筋に力が入って前傾しすぎたりすることはあります。おいおいそのような場面での気持ちの持ちようなども話していこうと思います。

読んでいて難しいなとおもったのはやはり「アイドリング」や「骨盤を縦に動かす」などです。最近になって岩城さんのアイドリング動画など参考になりましたが、いったいどのような動きが求められているのかなかなかつかめませんでした。
振り返ってみて、まだ初期の「西本走り」という名前も使われていないころの導入に、一本の線の上を両足交互に「ヒゲダンス」のように歩く段階がありました。一本の線上を早足で歩くと骨盤の左右が縦に動くのは避けられず、すごく合理的な導入だったのだとわかります。
(実は志村けんのヒゲダンスも知りません。カリブ海の海賊のジャック・スパロウの歩き方走り方のイメージでやると骨盤と肩肘の動きが理想的になるように感じます。)
この動きから、肘から先の脱力、一本の線を二本にすることで理想的なフォームに近づく気がします。

「縦の動き」がわからなかった時はやはり左右の広背筋が常に緊張して骨盤を引っ張り上げているイメージがあって、そうすると背骨を左右に動かすことなく骨盤だけ動かそうとする無理があったとわかります。
(以前子供が背骨を左右にくねくね曲げながら走っていたのを見て、そんなんじゃダメだよ速く走れないよなどとと言ってしまったことがあったのを今後悔しています)

動きだしの落下、捻転、重心移動に関連して、柔道に「抜き膝」という技があります。
投げ技をかけられそうになったときなど、体重を支えている足から力を抜き、自由落下の速度で瞬時に重心を下げることらしいのですが、この動きのときに抜いた片足を重心から外側につっかえ棒のようにあてると真下への落下の運動が横方向に倒れる動きに変わります。これに股関節の旋回や腰の捻転を組み合わせるととても速い動きだしや方向転換になります。メッシのフェイントから急に左に方向転換する動きもこれだと思っています。

マスケラーノの守備の動きにについての記事で、ほかにもこの様な動きのできる選手がいたら教えてくださいとありました。ここ一、二年では今チェルシーにいるエンゴロ・カンテという選手の動きが素晴らしいです。ユーチューブのリンクをつけます。
https://www.youtube.com/watch?v=AifeZVS_lHE
https://www.youtube.com/watch?v=1PyfJHoAa4Q
ボールを吸い取るような守備、身長168cmですから日本代表選手が小さいなんて言っていられません。

記事、コメントを通して読んでみると西本さんの人柄に深く触れる気持ちと、深める会やコメント欄などに何度も登場する方々も知り合いのように思えてきて、何だか西本塾に参加したことがあるような錯覚さえ覚えます。疑問の点などでてきたらまた初めから読み返すかとおもいますが、当面「しっかりみて考えること」「やってみて体に聞くこと」で深めていこうと思います。
トレーニング指導の感想
西本先生、先日はトレーニング指導ありがとうございました。

今回のご指導も自分の至らない部分や身体に馴染んできている部分の知り、そして新しい発見がありました。

今回の1番の指導目的は私の現在抱えている「走る」という部分の問題でした。
走るという事について私自身の現状と修正点を確認していただこうと思っていたのですが、まずその時点で私は大きな勘違いをしていました。
私は走る・歩く等、それぞれの形ばかりを追い求めてしまい、西本先生が何度も何度も発信し続けている「人間の身体とはどういうものなのか」という見方を見失っていました。
「人間の身体とは」という部分は私が西本先生の存在を知った時から現在まで、一番知りたい部分でしたが、いつの間にか1つ1つの形を追い求めるようになっていたのかもしれません。

今回の指導は私の中での原点回帰といいますか、本当に大切なところに立ち返らせていただける回となりました。

今まで何度も教わってきたFBTやアイドリング等の各ドリル。私なりに1つ1つの意味を意識しながら丁寧に行っていたつもりでしたが、やはり西本先生からみるとまだまだ至らないところばかりでした。

指導を受けてから10日程が経ちましたが、あれからは毎日欠かさずにFBTや各ドリルを行っています。恥ずかしながら、それぞれの意味や動きを満足にできていないにもかかわらず、毎日トレーニングすることはできていませんでした。
たった10日までの経過報告ですが、毎日行っていなかった私からすると身体の変化を感じられています。
まずトレーニングの時、頭の先から足の先まで全身にくまなく行き届くように刺激が入っているということ。
私の中で認識違いがあったため、今まで私なりに行ってきたやり方と少し違いがあり、はじめは慣れませんでしたが全身に刺激が入るようになり、自分にも馴染んできたのかなと解釈しております。
そしてなにより、走る・歩くという動作などを意識しなくとも1つ1つの動きが以前よりも無駄なくできている気がします。
まだまだ気がするという段階ですが、今回得たこの大切な気づきをこれからは継続に努め、確かな感覚にしていこうと思います。

西本塾とトレーニングの個人指導を含めると本当に何度めになったか思い出せないほどですが、これからも人の身体と真摯に向き合い。盲目にならず「人の身体とは」を追い求めていきますので私1人ではどうにもいかなくなった時はまたご相談させてください。

今回も本当にありがとうございました。またお会いできるのを楽しみにしています。
  • 2017-07-29│23:33 |
  • 長尾 URL│
  • [edit]

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プロフィール

Author:西本 直
1993年、Jリーグサンフレッチェ広島を皮切りに、社会人野球三菱重工広島・協和発酵・ヴィッセル神戸・川崎フロンターレ、そして広島カープ佐々岡真司投手など、プロアマ問わず競技レベルのスポーツ選手から一般の方まで、トレーニングやメンテナンスの指導を行ってきました。
その経験と知識の蓄積を「西本理論」としてまとめ、一人でも多くの方に実践していただくことが、これからの私の使命であると信じ、このブログから発信していきます。
私の理論はスポーツ選手のみを対象としたものではなく、ビジネスマンや家庭の主婦まで老若男女すべてに当てはまる不変のものです。
指導や講演のご依頼も受け付けています。
実名でツイッターも書いていますので、チェックしてみてください。
また、2013年9月9日にConditioning Studio 操をオープンしました。こちらもご覧ください。
また、遠隔地にお住まいの方を対象とした動き分析とアドバイスを行っています。
詳細は「スタジオ操」のホームページ内の「遠隔サポート」をご覧ください。
西本塾を深める会を9月10日(日)に開催を予定しています。
詳細はstudio操のホームページ内の「講習会情報」をご覧ください。

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