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生涯一トレーナー「西本直」が話しておきたいこと

木を見て森を見ずにならないために、丸ごとひとつの体と仲良く付き合っていきましょう

受け取ってくれる人がいてこそですが、伝えることはやっぱり楽しいです。

今日もブログを読んで頂きありがとうございます。

広島は雨の日曜日、いつもならのんびり過ごしているはずの時間なのですが、今日は既に一仕事終えて帰ってきたところです。

昨日初めて指導を受けに来てくれた競輪の竹内雄作選手、岐阜県所属のS級1班に所属するトップ選手ですが、既にご縁のある千葉の山賀選手の紹介で私の元を訪れました。

競輪に縁のない方々には伝わりにくいと思いますが、彼は先行逃げ切りを得意とする選手で、番手についてレースを組み立てる選手に比べ、自分でレースを作っていかなければならない、よく言えば自由が利くとも言えますが、後ろについてくれる選手のためにも良い位置で走り続けなければならない大きな責任があります。

また先頭を走るとなると、大きな風圧を受けるため、他の選手以上に馬力が必要となります。

そんな条件の中で、S級1班で走り続けていることは凄いことだと思います。

当然強い筋力が必要で、そこに磨きをかけようと努力を重ねてきたはずです。

しかし、それだけでは難しいと感じるようになり、体の使い方、動きづくりのトレーニングに関心を持つようになって行ったことは必然だと思います。

そのアンテナに引っかかったのが前述の山賀選手が競輪場内で行っていた『FBTや西本走りのドリル』だったという訳です。

昨日はトレーニングに2時間半と施術に1時間、じっくり時間をかけて行いました。

先ずはベッドにあおむけになった状態から膝を伸展させる動きに、屈筋と伸筋のどちらが効率的に強いパワーを出せるかという実験から入り、折れない腕の実験や、大きな空気のボールを抱える姿勢をとると、腕を上から抑えられても無理なく維持できることなど、これまでの常識や固定概念を覆すことから始めました。

その後種明かしではありませんが、筋肉の解剖学的説明、最終的には筋原線維の滑走状態まで、一通りの知識を持ってもらえるような説明をしました。

そのうえで競輪選手にとって最も大切な、ペダルを踏み込む動作において、大腿四頭筋をどう機能させるかという問題に話を進めて行きました。

これはサッカー選手がボールを蹴る時の体の使い方も同じで、これは先日の代表戦でも日本選手がゴールエリア辺りからとんでもなく高くふかしたボールを蹴ったシーンがありましたが、何故そうなってしまったのか、そのことの意味や誰でも行っている『走るという動作』においても、股関節を屈曲させてから、そのために使われた大腿四頭筋を収縮させたまま、膝関節を伸展させることの矛盾を、順を追って説明しました。

筋肉に対して頑張れ頑張れと鍛え上げたとしても、出来ないものはできないという仕組みの事実をきちんと理解してもらい、ではどうするかという解決策を提示していくのです。

そこまではとりあえず頭では理解できたけれどというレベルまで到達してもらわなければ、そのあと行う体を使ったトレーニングが全く意味をなさないということになります。

竹内選手の理解力というか説明を聞く姿勢は素晴らしく素直で、私の話をどんどん吸収してくれました。

器具を使ったトレーニングですが、一つ一つの動作に深い意味があって、とてもここで言葉では説明することはできません。

今の時代ですからスマホを使って動画を撮らせてほしいと言われることもありますが、後から見直して分かるレベルの動きではないのです。

その動きの一瞬一瞬に、体はどう連動しているか、どういう意識で動いているのか、ここが大切なところですが、どういう意識で体を動かしているではなくて、逆に『動きそのものをどう感じとって行くか』という意識が大事なのです。

そういう地味な作業を積み重ねたうえで、実際の乗車姿勢や、一番選手が知りたい自分が作り上げてきたパワーをいかに効率的にペダルに伝え、自転車が前に進む推進力に変換していくのかという最終目標に近づけて行きます。

目を吊り上げ体全体を揺らして、頑張れ頑張れと体を使っても、大きなロスが生じて力を逃がしていることに気付いて欲しいのです。

『何とかと鋏は使いよう』と言いますが、数種類しかない器具の使い方と、一工夫して作った競輪選手の乗車姿勢を再現するゴムでできた用具、また『ポーザーユニット』上で行う『FBT』や『アイドリング』そこからそのまま乗車姿勢へと、我ながらよく考えられたメニューが続きます。

しかし一番大切なことは、選手自身のもっと強くなりたいという、強い気持ちです。

そして私の伝えることをとにかくやってみようという素直な気持ちです。

竹内選手にはその両方がありました、それも私が驚くほどの強い気持ちがありました。

昨日は通算6時間ほど一緒に過ごしましたが、もう旧知の仲のような信頼関係が気付けたと思います。

私はプロの選手しか相手にしないと言われたことがありましたが、私の言うプロとは肩書のことではなく、現状を乗り越えて今よりも少しでも向上したいという強い気持ちを持っている選手のことです、年齢も現状のレベルも関係ありません、プロという肩書に満足してしまい、守りに入ってしまっては、それ以上の向上などできるはずはありませんから。

そういう選手に対してなら、私は私の全てを発揮して、その目標達成に全力で協力しますよというのが私のスタンスです。

そして食事をして別れた後、なんと彼は私から受け取った復習用に使ってあるDVDを見るために、わざわざDVDプレーヤーを買いに行ってくれたそうです。

それを見ているうちに、レースの前にもう一度指導を受けたいという気持ちが高まり、夜遅くに今日の指導を受けたいという連絡をくれたのでした。

久し振りに熱いものを感じました、必要以上に指導に感情移入をしない、結果責任を考えすぎない、今の私はだんだんそういう少し引いた気持ちになっていました。

だからこそ冷静な指導が出来るようになったというか、『正しいものは正しい、何故私の言っていることが分からないのだ』と、それこそ目を吊り上げ感情をあらわにしてでも伝えきりたいと、自己満足に陥ってしまっていたところもあったかもしれませんが、今やっと、どういう風に伝えたら選手のためになるのか、本当の意味で伝えるということが出来るようになってきたように思います。

本気で自分を変えたい、今以上の選手になりたいという気持ちがあれば、ぜひ私の指導を受けに来てください。

話は変わりますが、先日行われたサッカーの代表戦、以前のようにああでもないこうでもないと日本選手の動きを分析することはなくなりました。

ほんのワンプレーツープレーに対してツイートはしましたが、この8年近く同じことを繰り返して言っているだけなので、少し空しいというか疲れました、基本的には選手の体の使い方という視点で見ると何も変わっていませんから。

それでも私の言っていることに何かを感じてくれた人たちは少なからずいたようで、東京大阪で行っているセミナーをはじめ多くの方にその実態を伝える機会も得ています。

サッカーであればボールを蹴るという動作に、足のどこで蹴るとかそういうことではなくて、体をどう使うかという基本的な部分を説明しています。

また走るという動作では、最近の記事でも書いた通り、股関節にゆるみを持たせることで、膝から下の脛骨内側面に力が集約できることが分かり、この感覚が理解できれば、当然自転車のペダルにストレートにパワーが伝わり、また走るという動作においても、無駄なく地面を捉えられることが分かって、これまで以上に『90分間頭と体を動かし続ける』という、サッカー選手にとって最も基本的で最も重要であると思われる能力の向上に貢献できると確信しています。

この後の1か月、4回の指導させてもらえる機会がありますが、それぞれの年代それぞれの立場の皆さんに、このことをどう伝えるか、私自身とても楽しみにしています。

やはり私は、動的好奇心が誰よりも旺盛で、疑問に思ったこと、もしかしてこうすればこうなるんじゃないかとひらめいたことを、自分の体で確かめ、それを必要としているであろう方々に伝えるという一連の作業が楽しくて仕方がありません。

出来ることならずっと続けていたい、そう願っています。

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