出版にあたって読み解いて欲しいこと。

広島市内、冷たい雨が降り続いています。
昨日と比べて10度ほど気温が低いそうですから、体にはとても寒く感じます。

「1回5分 体が喜ぶ健康術」というタイトルの新著が、アマゾンのサイトによると、いよいよ明日10日に発売になるようです。

他人事のような言い方になりますが、私が出版社から聞いていたのは10日にアマゾンや取次といわれる会社に渡り、その後扱ってくれる書店に納品され、それから先はそれぞれの書店の判断でいつ店頭に並べてもらえるのかは分からないという話でした。

アマゾンの予約が始まるのもこれからだと思っていたのですが、カマタマーレ讃岐サポーターの方から、すでに予約しましたという連絡をいただき、慌てて調べたら予約が始まっていたという次第でした。

すでに沢山の方から予約を頂いたという有難いお知らせを頂きただただ感謝です。

改めて、今回の本に対する私の思いを書いておきたいと思います。

私は20代の半ばに、ある施術者の方との出会いでこの道に興味を持ちました。
そしてその後ご縁があって生涯の師と定めた、故渡辺栄三先生との出会いによって、大きく人生の舵を切ることになりました。

先にご縁ができた先生は、まったくの素人であった私にとっては、まさに神業としか思えない技術を持った方でした。
歩くこともままならない腰痛の患者さんが、ものの四、五十分の間に誰の手を借りることなく立ち上がり何事もなかったように帰っていく姿は、言葉では説明のつかない世界だと思いました。

しかし、自分にそんなことができる様になるとも思えず、会社員としての生活を続けることになりました。

それでも自分の中でどうしても諦めきれず、何かきっかけがないかと探していた時に出会ったのが、渡辺先生が主催されていた操体法の講習会でした。

先生が結核を患い退院されたばかりであったことは後に知ることになりましたが、操体法の指導普及という活動を再開されたちょうどその時に、私が連絡させていただいたことは、まさに運命的な出会いだと勝手に思いました。

最初に伺った時には、私以外にもう一人の受講者がいましたが、まさに今私が言っている枝葉の技術を目的に来られた様で、先生の雲をつかむ様なお話には納得がいかなかった様で、2回目からは私一人になってしまいました。

毎週土曜日3ヶ月の約束で始まった講習会でしたが、その後は少しずつ途中参加の方もあって、最終的には10人近くになったと思います。
それ以来、秋葉原の「温故堂」通いが何年続いたでしょうか。

操体法では足指揉みの操法と呼ばれているものですが、今の私は受ける側の感覚を言葉にして「からだほわっと」と呼んでいるものですが、これを初めて先生にしていただいた時の感覚が、今の私を作って頂いたと思っています。

素人ながら、人の痛みや違和感が、いわゆる医療の領域の外で改善できるという事実は、最初に出会った先生の技術も含め、衝撃的でした。

私自身、子供の頃から野球をやっていて、腰を痛め肩を痛め、さらには胃腸が弱く虚弱な体質でした。

内臓に関しては、どこの病院に行って検査を受けても特に異常は見つからず、精神的なものを指摘されるばかりでした。

そんな中、先生から受けた施術で今までに感じたことのない心地良さに体が包まれ、こんな世界があるのかと子供の様にワクワクしたことを覚えています。

先生の手が私のくるぶしあたりを持っているというか触っているのは分かるのですが、それほど力を入れているとも思えないのに、私の体は水面に浮かぶ木の葉の様に、ゆらゆらと揺れ続けるのです。

世の中の事象のほとんどは、過去に経験した何かにたとえて、他者に対してこんな感じですと伝えることができると思うのですが、こればかりはまったく他の何者にも例えようがない不思議な感覚でした。

ただただ心地良い、ただただ気持ち良い、それ以上の言葉が出てこないのです。

と言うよりも、何かに例えてしまうことが意味を成さないというか、もったいないことにさえ思えました。

これができる様になったら、人の体を治せるとか仕事にできるかもしれないなどという打算ではなく、自分がこんなに気持ちが良いと感じたことを、誰かのためにしてあげられる様になりたい、心からそう思いました。

世の中には数え切れないほどの施術方法や理論が存在するとは思いますが、同じ様に良い結果を得られるのであれば、とにかく何の不安もなく痛い思いをすることもなく、なんだか分からないけれど体が心地良い、気持ち良いと感じ続けた結果として、痛みや違和感が解消されるこの方法は、絶対に人の役に立てるものだ、やるならこれしかないと確信しました。

あれから30年ほど経ちましたが、私の操体法や体に対する思いは何も変わることはありません。

逆に、先日も話題にした、「独創性とは起源に戻ることである」の言葉通り、渡辺先生から学ばせていただいたこと、また操体法の創始者である橋本敬三先生の口癖であったと伺っている「体が気持ち良いことやってりゃ良いんだ」の言葉通り、どうすれば体が喜んでくれるのか、本当はどういう風に動きたいと思っているのか、その人の体になったつもりで、じっくり体と対話することで、少しずつ体が本音を話してくれる様になり、それをしっかり聞き取って対応すれば、誰が治したとかいうことではなく、自然に元の体に戻ってくれるという事実を、ずっと経験し続けてきました。

それは施術行為に限らず、トレーニングも同じです。

体をいじめる、体を追い込む、そんな言い方が当たり前の様にされていますが、私は体が喜ぶトレーニングが理想だと思っています。

それは、言葉のイメージとは少し違って、けっして楽なものではないかもしれませんが、その結果として、体づくりではなく動きづくりのトレーニングへと進化して、確実に成果をあげてきてくれました。

そんな私の30年の経験の中で、どうしても納得がいかないことがあります。
それは巷にあふれる健康書の数々です。

本の前書きのところにも書きましたが、本当に体にとって効果のある普遍的な内容であれば、時代は変わってもその内容は読み継がれ、まさに聖書の様な存在になっているはずです。

ところが、どんなに売れた本であったとしても、その内容が本当に万人に当てはまる普遍的な内容であるかというと、残念ながらそうではないと思います。

どこかを揉めばどこかが治る式の、お手軽なものがほとんどだし、自らの宣伝の様な内容で、実際のところは施術所に来てくださいという感じです。

私はそんなものを書きたかったのではありません。

すでに13年も前に出させていただいた前著は、本来健康指南書として書いたものではありませんでした。

その時点での、体に対する私の考え方を本にして見ないかという話を頂いて、書き始めたものでした。
結局は操体法の簡単なやり方、健康指南書的な内容を入れないことには、役に立つ本にはならないし、ましてや私の様な無名な人間の本が売れるわけがないと、編集者の誘導でああいう形になってしまい、タイトルもまさにその類のものになりました。

ところが、その部分を見てというか読んで、健康管理に役立てていただいているという感想がたくさんの方から寄せられたのです。

あの内容だけを見て上手にやっていただくのは、正直難しいと思いました。

それでも読んだ方は役に立ったと言ってくださる、本当に申し訳ないと思いました。

不本意ではありましたが、この部分を求めている方が多いことは当然分かっていましたので、ならば私自身が納得できる内容の健康指南書をもう一度書かなければ、前著を読んでいただいた方に失礼ではないかと思いました。

文字だけで説明することに限界があることは当然です。
特に私の文章は分かりやすく書こうと思えば思うほど、長く難解なものになってしまいます。

それをどう改善するかと考えた時に浮かんだアイデアが、漫画でストーリーを展開させてもらいながら説明を加え、私の考え方をさらに書き加えていくという手法でした。

若手漫画家の「えだお」という強い味方を得て、ついに構想が完成し、前著を出版していただいた講談社に話を持ち込みましたが、あえなくボツになっていまいました。

その際の話でも、結局読者が求めているのは簡単でお手軽な健康法であって、売れるものはそういう内容のもの、私が目指している方向性は理想ではあるが、まだ読者の求めるものはそこまで来ていないという返事でした。

私も少し感情的になって、「出版社の側がそんな気持ちで健康書を作るから、読者のレベルが変わらないんじゃないですか、売れれば良いだけで本を作って良いのでしょうか」と、生意気なことを言ってしまいました。

現在の出版不況の中で、紙媒体の本を作ってもらおうと思ったら、まずは売れるものが最優先の条件であることぐらい、素人の私でも気づけよということです。

やはりダメだったかと諦めかけていたところに、地元のガリバープロダクツさんが企画に賛同していただいた時には、まさにガッツポーズでした。

この本は操体法そのものの説明書でも指導書でもありません。

もちろんそれがベースになったものですが、私が30年間向き合ってきた人間の体は、本当によくできていて、そのカラクリをしっかり理解して、無理なく無駄なく効率的に使うことができれば、一般の方であれスポーツ選手であれ、まだまだ使い残された、大いなる可能性を秘めているということに気づいて欲しい、ということをテーマに書いたつもりです。

どこかが痛い、どこかが動きにくいと、まるで機械が故障したかの様に自分の体を他人任せにして、あそこに行っても治らない、ここに行っても治らないと嘆いている皆さんに、「ちょっと待ってください、普段のご自分の体のことを本当にご存知ですか」、と問いかけたかったのです。

体との対話などという言葉を使うと、なんだそれはと思われるでしょうが、対話という言葉を使う限り、そこには共通の言語があり文法が存在するのです。

それを知っていただかないことには、ただ痛いから治せとか、もっと良い動きができる様にして欲しいと言われても、私一人の考えでそれは実現できないのです。

「体のことは体に聞け」、私に聞かれても困るのです。

だから人任せではなく、私も協力しますから、せめて一緒に考えませんかと言いたいのです。

この本を読んで、そんな気持ちになってくれる人が一人でも増えてくれることを願います。

そのためにはまず、漫画の部分を読み、施術を受けているヒロシさんになったつもりで、想像力を働かせて欲しいと思います。

この本で私の考えが全て伝わるとは思いませんが、まずは自分の体がどうなっているのか、どういうからくりで動いているのか、どう動かすことが体が喜ぶ動きなのか、たくさんの気づきがあると思います。

この部分は永遠に不変のもので、時代と共に捉え方が変わるなどということはありません。

それを踏まえてそれぞれの人間が、今現在の自分の体とどう向き合うか、それを考えることも自分にしかできません。

予約していただいた方のお手元には、数日中に届くと思います。

感想をお聞かせ願えればと思います。


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からだと向き合うために

Newspicksの連載記事、読んでいただいているでしょうか。

私が一般の方向けに健康法的なものを書かせていただいたのは、もう12年も前のことです。

万人に叶う健康法など存在するはずも無く、すぐに得られる効果を求めて世に現れては消えていく、各種の健康法やトレーニング方法に一喜一憂している現状に、そんなことを発信している側の一員にはなりたくないという思いの私でしたが、その時点での自分の考えを文章にしてみてはという誘いに、ならばと重い腰を上げたのでした。

その当時は今とはまったく考え方が違っていて、自分のやっていることが第三者に理解できるはずがない、だから教えるという発想はありませんでした。

それが今、色々なことを経験している中で、今のような活動を行うようになってきました。

このブログやツイッターをはじめ、Newspicksやnumberwebなど、ネットを介して私の考えていることを発信させていただいたりもしています。

それでも、それらを読んでいただいた方に、私の思いや実際の方法論が正しく伝わるとは思っていません。

西本塾に参加してくださる方や、直接指導を受けに来ていただく方には、それなりの指導はできますが、そうでない方には現実的には不可能だと思います。

それでもこの考え方や実践方法を、少しでも多くの方に知っていただきたい、広めなければならないと言ってくれる人が現れてくれたことで、私の考え方も少しずつ変化してきました。

言葉や文字で伝えることが難しいことは百も承知で、その無理難題に挑戦せよと、スポーツライターであり、現在Newspicksのスポーツ担当でもある「木崎伸也」さんが、私という人間を知ってもらうために、皆さんお忙しい中、出版社の方に直接お会いする機会を作って頂きました。

その中から二つの方向性が生まれ、ひとつは操体法の施術の中に取り入れている足指もみと呼ばれている操法にテーマを絞った内容のものを書いてみてはと言っていただいた出版社がありました。

この足指もみという言い方は、操体法を学んだ方々には一般的なのですが、私が指導する立場になった時、文字や言葉の響きが、実際に行うにしても受けていただくにしても少し違うなという感覚があり、あえて「からだほわっと」という呼び方を使っています。

残念ながら直接お会いする事ができなかった橋本敬三先生も、直接指導していただいた渡辺栄三先生も、「好きなようにやっていいよ」と、笑ってお許しいただけると思っています。

実際に何人かの方に体験していただいたのですが、これを体験した方々の感想というか驚きは、30年近く日常的に行っている私には想像以上のインパクトがあるようでした。

もちろん他の話もしましたが、この感覚をなんとか文字で伝えることはできないかと編集者としての感性が働き出すようでした。

もう一つの出版社では、この足指もみを体験して、体が揺れるということに何か大きな意味があると感じていただいたようで、この揺れるという感覚と健康法を結び付けられないかという話になりました。

どちらも詰まるところ同じことを私は言っているわけで、からだほわっとだけで一冊の本を書けと言われても、揺れるということだけにテーマを絞ってと言われても、どちらも結局同じことを書かなければなら無くなることはわかっていましたが、せっかく時間をとっていただいて話を聞いていただいたのですから、要求に沿った内容の文章を書かなければと頑張ってみました。

私の中では一つのことを、なるべく重ならないように二冊の本を書き上げたのです。

どちらも少し不完全燃焼ではありましたし、これがそのまま本になったとしても中途半端で、一般の方が満足できる内容になるとは私自身思えませんでした。

どちらの原稿も陽の目を見ることなく、木崎さんの手元で眠ってしまう運命だと思っていました。

書いたものが出版という形で世に出ることはもちろん嬉しいことですが、私はいつも文章を書きながら、自分自身の頭の中の整理をしたり、今まであまり言葉にしてこなかったことが文字になっていく事も含めて、自分のためになっている気がして、とても楽しい時間だと感じることができています。

このブログもそうです、誰が読んでいるとかいないとかよりも、自分自身のために書いていると言ったほうが正しいのかもしれません。

そうやって書き上げた二冊分の原稿が、今Newspicksに連載という形で世に出ることになりました。

週に二回のペースでアップされていますが、もちろん原稿がそのまま記事になっているわけではありません。

一度に載せられる文字数や読み切りで役に立ててもらうという配慮もあるでしょうから、編集されることに異論はありませんし、すべては木崎さんにお任せしています。

それがこの月曜日にアップされた記事を見て驚きました。

一冊の本が連載されて行くものだとばかり思っていたら、いきなり内容がもう一冊の話に変わってしまったのです。

最初は正直「なんで」と思いましたが、よくよく考えてみると、もともと一つだった話を無理やり二つに分けたのだから、それをうまく合体させることができれば、そのほうが自然で、むしろそうでなければおかしい事だったのです

急な方向転換で事前に聞いていなかったのですが、そう判断した木崎さんは、二冊の原稿をしっかり読み込んでくれたからこそ、こういう判断をされたのだと思いました、有難いことです。

私にはそういう発想がありませんでしたので、こういう判断をしてうまくつなげていける木崎さんの編集力は流石だと思いました。

改めて原稿を読み直し、これからどう展開されて行くのか、私自身がワクワクするような気持ちで、アップされる記事を待つことになりそうです。

読んでいただく方にいろいろな感想があることには慣れてきましたが、少しづつ私の言いたいこと「からだとの対話」という事に目を向けてくれる人が増えてきたように思います。

過去にも十分に役に立てる内容の健康指南書は存在してきたと思います。

とくに操体法に関する本や、創始者である橋本敬三先生が参考にされたであろう野口整体や、その他日本にも独自の「からだ感」を持っていた先人は沢山おられたようです。

日本は戦後目覚ましい発展を遂げました、この数十年の変化は歴史上でもそうは見られない劇的な変化かもしれません。

効率や目に見える効果が優先され、深く物事を考える事が少なくなってしまったように思います。

そういう意味では先人たちの残した健康法は、からだという存在に対する哲学にも似たもので、効率優先の時代からは置き去りにされてきたかもしれません。

しかし、何年何十年いえ何百年という年月がすぎたとしても、人間という生物のからだはもうそれ程大きな変化はないと思います。

だからこそ、「どこをどうしたらどうなる」的な健康法に頼らず、じっくり自分のからだと向き合う事を行わなければ、本当の意味での健康などというものを目指せるわけはないと思うのです。

人間ももちろん地球上に生息する動物の一つです。

不老不死などあるはずがありませんし、幾つになっても痛いところ一つなく生命を全うするなどという人もほとんどいないと思います。

受け入れるべきは受け入れる、普段の生活で備えができるところはしっかり備えながら、老いていく体と向き合っていかなければなりません。

私が書いた二冊の本が一つになる事で、少しでも健康指南書としての役割を果たせる事ができるならば、これはこれで嬉しい事です。

どんなに声を大にしても、人任せな人には届かないかもしれません。

それでも一人でも多くの人が自分の体と真剣に向き合うきっかけになってくれたらと思っています。

前作と同じで、もう私の手を離れてしまった感がありますが、これからどう育てていただけるのか楽しみにしています。

誰かのお役に立てていたこと。

前回、私の著書が増刷されたことを受けて書いた記事に、こんなありがたい感想を寄せて頂いた方がありました。
コメント欄でも読めるのですが、改めて記事として紹介させて頂きたいと思います。

以下全文です。

素晴らしい 本です

初めてコメントさせていただきます。
この本を手に取ったのが5年くらい前になるでしょうか?海外在住ですが、腰痛について調べている時に出会いました。
日本からわざわざ取り寄せたのですが、この本が私に与えてくれたものを考えると、本当に取り寄せて良かったなと思っています。
以来、家族で寝たまま体操を1日も欠かさず行っています。
私の腰痛は一度も再発していません。
ちょっと危ないなと体が感じることがありますが、その時はより入念に教えていただいた体操をするようにしています。
さらに、私の父(75歳)に本を薦めてみたところ、歩くのにも苦労するぐらいに腰痛がひどかった父が今ではゴルフに行けるようになりました。
会う人会う人に西本さんの本を薦めているようです。
私の感覚では、毎日続けることで体がいい感じにほぐれて行くような感覚を感じました。
とにかく機会がありましたら一度お礼と素晴らしい本への賛辞を送らせていただきたいと思っていたので、今回コメントを書かせていただく決心をしました。
ブログも楽しみに読ませていただいています。
この本がいつまでも読まれて続けるように願うばかりです。


池田さん、コメントをありがとうございました。
自分が書いた本が、こんなにも喜ばれお役に立てていることを実感させていただけることはそうそうあることではないと思います。

前回も書きましたが、私の本も含めて健康法をうたったタイトルの本は、その実技の部分が載っているページの写真やイラストばかりに目がいき、とりあえずはやってみるものの、それを何年も継続しているという人は滅多にいないと思います。

そこには様々な要因があると思いますが、そういう類の本に目が行く人は、常に書店やネットでアンテナを張り巡らせ、目新しいものに対してはとりあえず読んでみようというスタンスの方が多いような気がします。

あれもやってみたこれも試してみた、その時は何かいいような気がしたけれど、いつの間にかやめてしまっていて次の何かを探している。

自分もそんなところがあるような気がする、という方も多いのではないでしょうか。

なぜ続かないのかという理由として私が思うのは、その方法論に関して、人間の体の本質的な仕組みを掘り下げて説明し、自分がなぜこういう方法論にたどり着いたのかという確固とした理論、前回哲学という言葉を使いましたが、そういう根源的な考え方が記されていないことが一番大きな問題なのではないかと思います。

もちろん今話題になっているような科学的な根拠や、再現性のある論文を書けるような理論ではないかもしれません。

ただ作者それぞれの経験や学んできた知識の中から、読者に対して自分の考え方をきちんと説明する義務はあると思うのです。

そこまで考えて書き上げた内容であったとしても、読み手からすればそんことまで求めてはいないと言われるかもしれません。

肩が痛い腰が痛い、それを少しでも改善する方法が知りたくて買っただけなのだから、理論だ哲学だなどと難しいことを言われても、自分には関係ないことだと言われるかもしれません。

そしてそういう本を読んだ、というより写真やイラストのページを見て、真似事をするだけで終わってしまうのだと思います。

池田さんが5年間も続けていただいている大きな理由は、今回のコメントには書かれていませんが、本の全体を通して書かれている、私の体に対する考え方や、実際の経験を通して積み上げてきた事実に基づく、「体と対話する」という感覚を感じ取っていただけたからではないかと思います。

出版当初多かった質問は、回数の問題や動かす角度の問題など、何が正しくて何が間違ったやり方なのかという基準となる物差しを明確にして欲しいというものばかりだったと思います。

本文中にもしっかり書いてあるはずなのですが、そういう問題はそれぞれの感覚の問題で、たとえ同じ人間の体であっても、朝と夜では感覚が違うし、今日と明日では全く違うかもしれないのですから、そのことに気持ちが向けられない人は、まさに体操というかストレッチを行っているに過ぎないことになってしまいます。

あの動きは、便宜上腰痛にはこれ膝痛にはこれという捉え方をされてしまう書き方にはなっていますが、全体を読んでいただければ、そういう発想こそ必要のないもので、体を丸ごと一つと捉え、自分の体の言い分に耳を傾けながら、全体をほどほどのところに収めて行くという感覚がわかっていただけると思います。

痛いところがあるからやるというのではなく、自分の体はどういう風に連なりあって動いているのかな、こういう風に動かすと気持ちがいいなという、体との対話を楽しんで続けることで、様々な要因で少し無理をした時や、何と無くスッキリしないなと感じる時の体の感覚が、普段の好調な時との微妙な違いにいち早く気づかせてくれ、大事に至らないようにからだ自身が調整してくれるようになるのです。

腰が痛いからと、腰だけが悪いような扱いをして、あそこに行っても治らない、これをやっても治らないと、他人事のような顔をしている人は良くなるわけがないのです。

池田さんご本人のみならず、ご家族のみなさんや、お父さんの腰痛も軽減されたとのこと、また私の本を周りの方にまで薦めていただいているとのこと、本当にありがたいことです。

読み手の感覚はそれぞれ違うと思いますし、手にとっていただいた動機も違うと思います。

トータルで24000部になったそうですが、その中のお一人でもこうして私の思いが届いていたということを知ることができ、今朝はとても爽やかに目覚めることができました。

昨年もつくば市に行った時に、同じような気持ちにさせていただいたことがありました。

あの時の姉弟とそのお母さん、お元気でしょうか、私のアドバイスはお役に立っているでしょうか。

こうして自分の書いた文章が、何処かで誰かのお役に立っている、そう思える仕事をさせていただいていることを本当に嬉しく思います。

本に関する記事が続きましたので、次回は「背中を使えるようになるためのトレーニング」について書いてみたいと思います。

初版から10年、11刷の重み

先日、私の唯一の著書である「朝3分の寝たまま操体法」の、 第11刷が増刷されるという連絡が、出版元の講談社の編集担当者からありました。

時々ページを開くことがありますが、改めてじっくり読んで見ました。

10年間という長い期間、増刷の部数自体は途中から1000部ずつという小出しの数ですが、それでも消えることなく売れ続けているという事実は、こうした健康法を前面に打ち出した タイトルの本としては、異例のロングセラーになっているそうです。

普通に考えれば、出版不況と言われているこの時代ですから、有る程度の読者を持っている私が、続編のような形のものを出せば、少なからず売り上げが望める企画として、取り上げられ依頼が来てもおかしくない状態であることは間違いありません。

現実として書店に行くと、⚪︎⚪︎健康法とか、どこをどうすれば健康になるといったタイトルの本が並び、10万部を超えるベストセラーになっているものもあります。

一度売れてしまえば、二匹目のどドジョウを狙って、似たようなタイトルの本が出たり、同じ著者が少し切り口を変えて続編を出すというパターンも多く見られます。

初版から数年後には、本の中の実技の部分に特化した、いわゆるハウツー的な内容の健康書をというお話も頂いたことがありました。

もともとあの本を書くきっかけになったのは、私のトレーニングや体に対する考え方を本にしてみないかといことが、スタートだったと記憶しているのですが、やはり出版側の意向もあり、売れるもの、読者が読みたいものという観点が優先され、最終的にああいう内容になりました。

私としては、タイトル自体に操体法という文字が使われることも、中身に操体法の実技が入ることも、当初は全く考えていませんでした。

それが結果的にあの内容で出版されたことに、当初は割り切れないところもあり、自分の中では納得してやり切ったという満足感もありませんでした。

当初寄せられた書評を見ても、他の健康書と同じような扱いで、結局はあの実技部分にしか目がいかないのかと、正直残念に思いました。

ところが月日が経つに連れ、当然書店の棚からは消え、ネット上だけの流通になってからは、実技の内容に関しての感想はもちろんのこと、私の体に対する思いそのものに対する感想を書いていただくことも増えてきました。

巣立って行った我が子が成長して行くように、それを読む読者の意識も変わってきたのかと不思議な気がしています。

失礼な言い方になりますが、書店に並んでいる健康書の類には哲学が感じられません。

こうすればこうなる、こういう痛みに対してはこう対処すればたちどころに改善できる、みんなそう書いてありますし、実技以外のページは医学的な知識の基礎の基礎が同じように説明されているだけです。

そして対象はみんなセルフコントロール、つまり自分の健康は自分で守りましょうということです。

聞こえはいいですし、正しいことかもしれません、超高齢化社会で医療費は膨らむばかり、自分の健康は自分で守りましょう、間違ってはいません。

それだけでいいのでしょうか、希薄になるばかりに人間関係、家族といえどリビングで集まっているように見えても、お父さんはテレビを見ているし、お母さんと子供たちはスマホやタブレットを覗き込んで会話などほとんどなし、自分のことばかりで他の人に関心さえ示さない、そんなことが日常化しています。

もしこれはという健康法に出会い、本を買ってきて実践したとしても、おそらくはそれも自分だけのためということになってしまうのでしょう。

合う合わないがあるし、個人の問題だから、それはそうかもしれません。

はるか昔のことのようですが、子供が親やおじいちゃんおばあちゃんの肩を叩いてあげたり、うつ伏せになった足の裏を踏んであげるといった光景は見られなくなってしまったのでしょうか。

自分のことは自分で、それもいいでしょう、そこに誰かのためにという気持ちが加われば、もっと素晴らしい何かが起こるのではないでしょうか。

そのためには単なるハウツーを学ぶのではなく、人間の体とどう向き合うのかという根源的な部分に目を向ける必要があると思うのです。

改めて自分の本を読んでみて、そういう観点から新たに何かを付け加えようとか、ここの部分は時代とともに変わってきたから、少し訂正が必要だなという部分がまったくないのです。

今からちょうど10年前に書いた文章ですが、限られたページ数の中で、私の思いと読者のための実技の部分がバランス良く配置され、どこを直す必要も感じないのです。

趣味であるゴルフのレッスン書でも、何年か経てば著者の中にも変化が出てきますし、理論にもトップレベルの選手からの フィードバックがあって、どこかしら変わって行く部分があります。

だから同じ人が次から次へと似たような本を書いているのです。

今私に前著以上の内容で本を著す自信はありません。

すでに10年前に、私の中での体に対する考え方は出来上がっており、それは私にとって「真理」と呼ぶにふさわしいもので、あの内容で十分私の思いは完結させられていると思うのです。

ただそれは私の自己満足であるかもしれません。

もっとこの部分に特化して、知識のない一般の方にもわかりやすく実用的な本を書いて欲しいというご意見もあるかもしれません。

私の考え方を切り売りすることは本意ではありませんが、これまでの経験を世の中に還元するという意味では必要なことかもしれません。

どなたか本当にこういう本を書いて欲しいというご希望がありましたら、ぜひお寄せいただきたいと思います。

内容次第ですが、今なら出版側も実現させてくれる可能性はあると思います、いかがでしょうか。

この10年の間には本当にいろいろなことがありました。

それでも10年前に書いた本の内容に自信を持っていられることを誇らしく思います 。
私がその時考え実践していたこと、またその後の活動に関しても、間違っていなかったと確信しています。

多くの方が手にとって読んで頂いた本です、今、西本塾でお話ししている内容も、その中に書かれていることが基本となっています。

持っている方ももう一度読み直してみてください、私の伝えたかったことが改めて見えてくるかもしれません。

先日書店の店員さんが選ぶ「本屋大賞」という賞の発表がありました。

10年前の本ですから、対象外だとは思いますが、改めて書店員の方たちの評価を聞いてみたいような気がしています。

本を書く、不特定多数の方の目に触れ、それぞれの感性を通して読まれていく、そして流れて行った10年の歳月、売れ続けているという事実、私の責任は思っていた以上に重いものとなってきました。

来年に向けて

今年もあと1週間を切りました。

世の中が終わってしまう訳でもないのに、この時期になると何かやり残したことがあるような気になって、ソワソワしてしまうのはなぜでしょうね。

色々あった一年でしたが、終わり良ければすべて良しとばかりに、このブログで発信してきた私のトレーナーとしての思いを受け止めてくださる方々が、全国各地から広島に来ていただき、20名近くの方に思いを伝えることができました。

トレーナーとしての専門色の強いブログではありますが、毎日たくさんの方に見ていただけるようにもなりました。

何事も継続することが大切なのだと、ひとつ物事を達成するとすぐにほかのことに気持ちが移ってしまう気分屋で、長続きしないことが多いのですが、このブログは我ながら頑張って続いていると思います。

まあいつまで続くかは分かりませんが。

9年前に出版した本のことに関しても、続編を望む声をいただいたり、このブログ自体を書籍化したらどうかなどと言う有難いお言葉をいただくこともありました。

出版に関しては、あの時の色々な思いがあり、もういいかという気持ちの方が強かったのですが、トレーナーまたトレーニングコーチとしての専門的な内容より、もっと普段の生活に役立つような、本当の意味での健康指南書のようなものを書いてほしいというご意見も頂いており、来年はより幅広い皆さんのお役にたてる、そういう内容の本を書いてみようかなどと、少しずつやる気になっています。

私が書く限りは、いつも手元に置いていただいて、もう辞書の時代ではないですが、こういう時はどうすればいいんだっけと、いつもの難しい理屈は横に置いて、すぐにお役に立てていただける内容にしたいと思っています。

といっても、まだまだ具体的なものではなく、これから構想を練って行く段階ですので、本当に皆さんの目に留まる形になるかどうかは分かりませんが。

この出版計画について、こんな内容も書いてほしいというものがありましたら、ぜひリクエストしていただければと思います。

自分の知識や経験が、誰かのためにお役にたてるなんて、すごいことですよね。

それが人間にとって一番大切な、体のこととなれば、どれだけ多くの方々のためになるのか、考えただけでも嬉しいことだし、その責任は重いと思います。

残り少ない日数ですが、このブログを見て、正月休みの帰省期間を利用して、「スタジオ操」に予約をいただいている方もいます。

少しずつ少しずつではありますが、私の存在を知っていただき、お役に立てる環境になりつつあります。

私に対して少し厳しい人間というイメージがあるかもしれませんが、そんなことはありません、普通のオッチャンです。

是非気楽にお越しください。



プロフィール

Author:西本 直
1993年、Jリーグサンフレッチェ広島を皮切りに、社会人野球三菱重工広島・協和発酵・ヴィッセル神戸・川崎フロンターレ、そして広島カープ佐々岡真司投手など、プロアマ問わず競技レベルのスポーツ選手から一般の方まで、トレーニングやメンテナンスの指導を行ってきました。
その経験と知識の蓄積を「西本理論」としてまとめ、一人でも多くの方に実践していただくことが、これからの私の使命であると信じ、このブログから発信していきます。
私の理論はスポーツ選手のみを対象としたものではなく、ビジネスマンや家庭の主婦まで老若男女すべてに当てはまる不変のものです。
指導や講演のご依頼も受け付けています。
実名でツイッターも書いていますので、チェックしてみてください。
また、2013年9月9日にConditioning Studio 操をオープンしました。こちらもご覧ください。
また、遠隔地にお住まいの方を対象とした動き分析とアドバイスを行っています。
詳細は「スタジオ操」のホームページ内の「遠隔サポート」をご覧ください。

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