FC2ブログ

『動きづくり』が結果を求められる組織にどう活かされるか。

少しブログの更新の間合いが空いてしまいました。
それは昨日一昨日と指導に行ってきた女子サッカークラブ、『吉備国際大学charm岡山高梁』の選手たちに、私が提唱している体づくりとは一線を画した『動きづくり』という発想をどうやって伝えるか、時間があればそのことを考えていたからです。

トップアスリートにこそ必要な考え方であると、もちろん今でも思っていますが、個人的に指導を依頼されることはあっても、チームとして組織として真剣に取り組もうという声はどこからも聞こえてきませんでした。

育成年代の指導者の皆さんに対して、その考え方や実際の方法論を伝える機会を与えられ、少し遠回りとも思えましたが、どうやらこちらの方が確実に浸透していくのではないかと思うようになりました。

今までずっと背負ってきた『結果責任』という言葉からも少し解放され、指導者の皆さんに対して、「私の考え方に賛同してくれたのなら、後は自分たちでしっかり子供たちに伝えてください」というスタンスで、少し肩の力が抜けた指導ができるようになりました。

そんな中、倉本さんの主宰するセミナーの実技編を東京で行っていたまさにその時、今回指導に行ったチームの監督である『柴村和樹』さんから電話がかかってきました。

彼は昨年まで、地元アンジュビオレ広島のU18の監督を務めていました。
縁あってその選手たちの指導を頼まれ、二度ほどグランドに足を運んで動き作りの指導をしたことがありました。

その時の依頼の趣旨は、『私から学んだことを選手に指導しているつもりではいるが、自分の指導では本質的なことを伝えきれていないのではないかと考え、選手たちに私の直接指導を受けさせてあげたい』ということでした。

それだけ彼は私から学んだことが重要なことだと思ってくれていたのです。

もちろん自分で指導できるようになってもらわなければならないのですが、一生懸命サッカーに取り組む選手たちに、少しでも質の高い指導を受けさせてあげたいという彼の気持ちは尊重すべきだと考え引き受けました。

そして今年から、なでしこリーグ3部チャレンジリーグに所属するチームの監督として招聘され、ひとつ上のレベルで指導力を発揮し、チームをさらに上のリーグに押し上げるべく奮闘しているものだとばかり思っていました。

それが今年、リーグ戦を戦い、チームに勝利をもたらすことが出来ないという、まさに藁にもすがりたいと、私に対してのSOSを発信してきたのです。

私が指導したからといってチームがどう変わるのか、勝てていないチームがそう簡単に変わるはずがない、ほとんどの人はそう考えると思います。

しかし彼は広島で監督をしている時に、私の指導で選手の意識や動きそのものが変わり、結果としてチーム力が上がったということを経験しているのです。

今回も、甘い考えではなく、自分の指導で足らない部分を何とか選手に伝えてあげたいという心から選手のそしてチームのために出来る限りのことをしたいという気持ちの表れだと思いました。

勿論指導者の皆さんはそれぞれたくさんのことを学んでいるはずです、それらを駆使して自分のチームを強くしたい、選手の能力を向上させてあげたいと考えているはずです。

その一つのパーツとして私の考え方や実践方法が必要だと考え、現状自分の指導では限界があると素直に認めSOSを発信できることは、ある意味凄いことだと思います。

であるなら、私は彼のためにそして選手やチームのために何をしてあげられるのか、何をすべきなのか、3週間の間、色々なことを考え続けてきました。

そして、さすがに一日だけ3時間という短い時間ではとてもお役にたてないと、こちらからお願いして翌日の公式戦の試合前にも指導させてもらうことにしました。

ただ単にこうすれば勝てるかもしれないという小手先の方法論があったとして、それを伝えたところで、それだけで勝ち負けが変わるほど簡単なことではないことは十分わかっています。

それは指導を受ける選手たちの方が、もっとそう思っているはずです。

結果としては勝つということに貢献したい、しかしそれ以上に私が指導していることの意味を深く感じとって、頭と体の両方が納得してくれなければ、指導に行った意味はないという結論に至りました。

ではどうしたか、これまで多くの選手や指導者に伝えてきたことが、結果として実際のプレーにどう活かされるのか、それらを身に付けられたとしたら個人としての能力は勿論、チームとして監督が意図する戦術をピッチの上で表現しやすくなるのではと、心からそう思ってもらえるように伝えるしかないと考えました。

土曜日、そういう視点でものを言い、体の使い方を指導しました。
3時間の指導で明らかに動きが変わっていく選手もいましたが、何をやらされているんだろうという顔をしている選手の方が多かったことは間違いありません。

少しの手応えと大きな不安の中で終えた、一日目の指導でした。

明けて日曜日、1時キックオフに備え、メンバー発表のミーティングにも同席し、ピッチ外で行うストレッチからウォーミングアップまで、すべてを私にやって欲しいというのです。

Jリーグのチームや社会人野球のチームで経験済みとはいえ、現場での指導は長いブランクがあったので少し心配しましたが、前日の内容をおさらいするように、試合に備えて準備をしていきました。

その時の選手たちの表情や動きが、すでに前日とは全く違うものになっていたのです。

私は勿論、そばで見ている柴村君も本当に驚いていました。
彼女たちなりに、昨日の指導の後いろいろ考えた結果だと思います。

「もしかしたら西本さんの言っていることは本当かもしれない、真剣に取り組めば自分たちは変われるかもしれない」そう思ってくれた選手が多かったようです。

「これはいけるかもしれない」私も大きな手応えを感じました。

そしてゲーム直前のピッチ内練習のさいも、「中に入ってもらって気になるところがあれば直接声をかけてやってください」と言うのです。
いくら何でも部外者がピッチの中までと思いましたが、試合が始まればもちろんダメですが、それまでは大丈夫ですと言われ、もう何年振りでしょうか、ゲーム前練習をピッチの中で目の前で見ることになりました。

凄いです、選手たちの動きからは昨日今日とたったの二日間で指導した西本理論ベースの動きが本当に感じられるのです。

柴村監督も改めて私の指導力というか伝える力の凄さに驚いたと言ってくれました。

小手先の指導ではなく、選手の意識を変えることが出来なければ、何の意味もないということです。
そんな大きな手応えを感じてゲームが始まりました。

試合開始早々失点しましたが、すぐに反撃し同点に追いつきました、それもこれまで見たことななかった相手のディフェンスを崩しての見事な得点でした。

前半終了間際にも得点されましたが、後半に十分期待が持てる戦いぶりでした。
私は帰ってくる選手たちを迎えながら、「絶対いけるこのまま続けよう」と一人一人に声をかけました。

そして迎えた後半早々に、またしても素晴らしい連係でゴールを決め2対2としました。
今日こそ勝てる、彼女たちの新たなサッカーが始まるとワクワクして試合を見続けました。

しかし、その後ミスから失点が続き、2対4と勝つことは出来ませんでした。

試合後の選手たちの表情は様々で、「今までとは全然違うサッカーができた、私たちにも絶対できる」と前向きに語ってくれる選手もいました。
しかし、もちろんそれだけでは満足できるはずもなく、もっと出来たはず、勝てる試合を落としたと、悔しさいっぱいの表情の選手もいました。

どちらも正しいと思います。

ひとつ言えることは二日間という短い時間の中で指導されたことが、自分たちを変える大きな力になることは間違いなかったということが分かったということです。

最後にもう一度全員の前で話をして欲しいと言われましたが、彼女たちの真剣に取り組む姿勢に、久し振りに心揺さぶられるものがありましたので、その場では言いませんでしたが、若い女子選手の前で感極まって、なんていうことになりたくなかったので、それは断ってその場を離れました。

老若男女、どんなことでも真剣に取り組む姿は本当に美しく心を熱くしてくれます。

現場を離れてもう6年、色々思うこともありますが、柴村監督のように私から学んだことを自分で指導したいが、まだ自信がない、ならば本物の指導を選手たちに受けさせてあげたい言われれば、足を運ばざるを得ないと思います。

今回も私の指導力に驚いてくれましたが、ある意味当然のことです、私が指導していることはこれだけですし、それをどうやったら分かってもらえるのか、現場に活かしてもらえるのか、そればかり考えてこの6年を過ごしてきたわけですから、私から数回学んで分かったような顔をして指導している人と同じでは私としては情けないのです。

今回改めて私の指導していることは、本当の意味で選手をそしてチームを変えることが出来ると確信しました。

ただその目的を達するためには、指導を受ける側のしっかりとした目的意識と、私のすべてを受け入れる覚悟が必要だということを書き加えておきます。

気まぐれでなかなかやる気を起こさないのが今の私です。

相手の本気度に合わせて私の本気度が決まる、そんな単純な男ですから。

まだ書きたい記事があるのですが、また次の機会ということにさせてください。

スポンサーサイト



現地で試合観戦し、改めて思ったこと。

26日の日曜日、広島市内のコカコーラスタジアムで行われた、サッカー天皇杯1回戦、広島県代表の『広島SRC』対鹿児島県代表の『鹿屋体育大学』の試合を観に行ってきました。

このブログに何度も登場している、西本塾夜間トレーニング部と称して、営業時間を終えた午後の7時から約2時間のトレーニングを、彼が高校3年生の秋から卒業までの半年間、延100回にわたって指導させてもらったヒカル君の応援のためでした。

現在大学3年生ですが、2年次の7月に前十字靭帯断裂のケガをしてしまい、広島に帰って手術を受け、退院してから復帰まで私の指導を受け続け、やっと先月から全体練習に合流することができるようになりました。

トップチームの試合にも、短い時間ですが出場するようになり、今回の試合のメンバーに選ばれたら、何をおいても彼のプレーする姿を見たいと楽しみにしていました。
メンバーに入りそうなので観にきてもらえませんかと、お母さんからも連絡があったので、もちろん行きますとお答えして、家内と一緒に自転車で会場に向かいました。

当日の天気は5月とは思えない蒸し暑さで、午後1時のキックオフは選手たちにとって厳しい条件になることは十分予測できました。
とくに広島のチームはアマチュアの社会人チームで、聞くところによると全体練習は週に3回ほど、それもそれぞれが仕事を終えて集まれる夜に限られるということで、このことだけでも日中練習している大学生のチームとは大きなハンデがありました。

サッカーでよく言われる『脚が止まる』というレベルではなく、後半に入ると、いわゆる熱中症に近い状態になって、脚がつって動けなくなる選手が何人も出ました。

後半も半ばを過ぎると、大学生の中にも脚がつってしまう選手がでました。
もちろん両チームとも暑さ対策というか、水分補給は十分に行っているように見えました。

気象条件がこうなることが予測できたとしても、おそらくキックオフの時間を変更することは難しいのでしょう。
せめて全員を一斉に給水させる時間を何度か作るとか、運営側に配慮があればと観ていて思いました。
それほど選手たちにとって過酷な状況だったと思います。

いわゆる『脚が止まる』という状況にならないために、走り込みと称して長時間のランニングを課したり、強い負荷の坂道ダッシュを繰り返すなどして、持久力や瞬発力の維持向上を目的としたトレーニングを行わせることが当然のように行われています。

今回のような条件の中で行われている試合を観て、改めてそんな考え方では本来の目的に鑑みて有効ではないと思わざるを得ませんでした。

自分たちではどうすることもできない過酷な条件の中で、唯一その対応策になりうるのは、私がずっと言い続けている『効率的な体の使い方』、それを形にする、『人間の体の仕組みに沿った無駄のない走り方』であるということを、もう一度真剣に考えるべきではないかと思いました。

以前にも紹介した、遠隔サポートによって動きが改善され、膝の痛みを克服して行った小学生のサッカー選手の例をみることなく、何の考えもなくひたすら頑張れ頑張れの根性論では何も変えられないことはもう分かっているのです。

今回応援に行ったヒカル君は、後半15分からの出場で、先発メンバーとの比較はできませんが、地面を蹴って反力に頼る力任せの動きではなく、マッチアップしている選手が気付いた時には既にその場を離れているとしか言いようのないスムーズな動き出しや、無駄に腕を振って体の前側の屈筋に頼った動きではなく、移動したい方向に重心を落とすことで、自由に方向を変える体の使い方など、ピッチの中で誰よりも楽そうに動き続けていました。

怪我から復帰して間がないことを、まったく感じさせない良い動きだったと思います。
指導したリハビリのメニューを1日も休むことなく、現在も油断することなく継続してくれている賜物だと思います。

もし、彼が万全の状態で先発出場していたとしても、今回の条件の中では何が起こっても不思議ではありません。
しかし、少なくとも他の選手に比べれば、体に対するダメージが少ないであろうことは十分想像ができます。

『90分間頭と体を動かし続けることができる』のが、サッカー選手として最低限求められる能力であるという考えの元に、様々な指導をさせてもらっていますが、今回のような悪条件の時にこそ、『正しい体の使い方』は威力を発揮してくれることを、現場で観戦しながら再認識することになりました。

これから先まだまだ暑さは増すばかり、ある地方では大会の禁止令まで出たようですが、それくらい徹底しないと子供たちの安全は担保できないと思います。

加えて、だからこそ私の発信していることを真剣に受け止め、指導に生かしてくれる指導者が一人でも増えてくれることを期待するしかありません。

また、私自身が納得して指導できるのは、やはり個人であると思うので、チームであればその指導者個人が私とどう向き合うのかで、集団への広がりを期待するしかないと思います。

近々、チームの指導に行く予定がありますが、それも旧知の指導者に対して、私の視点を通してチームや個人の状況を正確に伝えることが目的で、私自身が個人個人に対して一度の指導で大きな変化をもたらせるなどとは思っていません。
やはり日常接している指導者以上のことはできるはずがありませんから。

今回の試合観戦で、いろいろな意味で現場に足を運ぶことは大事なことだと思いました。
これからの季節、こうしておけば良かったでは済まない事故が起きないことを、心から願っています。


4対3の意味するところ。

今日は短く一言だけです。

昨日の代表戦、4対3のスコアで強豪ウルグアイに勝利しました。
リアルタイムでのツイーとはしませんでしたが、4点という大量得点ができたことと、3点の失点をしてしまったことの意味を考えました。

南米の強豪に対して勝利できたことは素直に喜ぶべきだとは思いますが、なぜこのスコアになったかということです。
日本代表は過去のチームと比べ、圧倒的に攻撃への意識が高いと思います、前線ではほとんどマイナスなパスというものがありません。
それどころか、中央から攻め上がった時に、これまでのようにとりあえずサイドに開いてという消極的なパスもありません。
良い意味でとにかく目指すのはゴール、できれば自分で決めたいという貪欲なプレーが目立ちます。

守備には自信があるはずのウルグアイですが、流石にこれほど圧倒的な勢いで攻められる試合も珍しいのではなかったでしょうか。
もし相手が前半にそういう戦い方ができていたとしても、徐々にスローダウンを余儀なくされ、いつの間にかウルグアイのペースにというのが、常だったと思います。

こんなはずではなかったという気持ちと、日本への移動等コンディショニングの問題で、本来の動きが見せられなかったということもあったと思います。

本来の動きとは何か・・・。

日本の選手たちができていて、ウルグアイの選手たちができなかったこと、それが一歩目のスムーズな動き出しだったのではないかと思いました。

ただそれができない選手に関しては、一歩半歩の遅れが見えてしまい、そのあと強引なプレーで局面に対応しなければならなくなることが、ファールを取られる要因になってしまいます。

体格差は歴然で、過去言われてきたフィジカルという物差しで言えば、明らかに日本選手は劣っています。
しかし、今のチームの選手たちは、何かに縛られていたり、どこを向いてプレーをしているのか分からなかった過去の選手たちとはまったく異なり、伸び伸び活き活きとサッカーを楽しんでいるように見えます。(それを引き出しているのは間違いなく森保監督の手腕です。)

コンディショニング的な部分と、先制され押されまくりの状況の中で、体力的に勝るウルグアイの選手たちの動きは、まさに筋力頼みで地面に居着き、強く地面を蹴らなければ動き出せないという、悪循環にはまっていました。

日本の選手の動きが過去の試合に出ていた選手たちに比べ良かったこともありますが、それ以上にウルグアイの選手たちの動きが強引でスムーズさに欠けていたことは明らかでした。

それでも結果としてのスコアは4対3と1点の差しかなかったのです、4点取っても3点取られたということです。

もしこれがワールドカップの本戦で、日本チームを完全に分析し対策を練ったうえで、万全のコンディションであったとしたら、結果はどうなっていたか、やってみなければ分からないと言えばそれまでですが、おそらくこういう試合にはならなかったと思います。

何が言いたいのかということですが、日本の選手たちが昨日と同じかそれ以上に相手を驚かせ、動きで圧倒できるようになるためには、どんなコンディションの中でも素早くスムーズに動き出せる技術を身に付けるという方向性が必要だと言いたいのです。

若い選手たちが、良いコンディションで試合に臨めば、あれくらい動き回れることはこの数試合で証明されました。

暑さや寒さといった気象条件、移動や連戦という回避できない過酷な状況の中、そして劣勢に立たされた時にも、力まず体をうまく使いこなせるようになるために、どんな考え方でどんなトレーニングをすればいいのか、代表スタッフのお手並み拝見です。

勝負の命運を分けた頭と体を動かし続ける能力の差

サッカーW杯、日本代表が奇跡的に決勝トーナメント進出を果たし、強豪ベルギー相手にもしかしたらの番狂わせを演じかけてくれましたが、後半終了間際に日本のコーナーキックを直接キャッチしたGKから、10秒に満たないあっという間のカウンター攻撃を決められ、ベスト16という成績で大会を去ることになりました。

最後のコーナーキックに関しては、国内外を問わず多くの方が様々な角度からの分析を行っています。
私もそこに触れないわけにはいかないので少し思ったことを書いておきます。

先ず、後半早々に連続して2点を奪い、勝つためにはどうすることが最善なのかというゲームプランが監督にあったのか、またそれを選手たちがきちんと理解したうえで意識を共有できていたのかということが一番気になりました。
全ては結果論になりますが、整理しておく必要はあると思います。

そして最も問題となったのは、おそらく残り試合時間が1分を切った状況でのコーナーキックに、チームとしてどんな意思を持ってキッカーに蹴らせたのかという問題です。

運動量は度外視して、セットプレーのキッカーとしての役割を期待した本田選手が、その目論見通りゴール正面の絶好の位置からFKのチャンスを得て、彼の持っている技術の全てを発揮した素晴らしいボールを蹴りましたが、GKのスーパーセーブで得点を奪うことはできませんでした。

FKを決め切れなかったとは言え、彼に与えられた役割は十分に果たし、そこで終わったと言っても過言ではなかったと思います。

そして最後のコーナーキック、ここで究極の選択となります。

CKから一か八かの勝負に出て3点目を狙い勝負をかけるのか、それともショートコーナーを選択し、とにかくボールをキープして延長戦にもうひと勝負かけるのか、見ている側も固唾を飲んで見守りました。

先ずCKで勝ち越しを狙う作戦に関しては、ペナルティーエリアに配置した日本選手の数が4人であった事実から、そこまで無理をして得点を取るんだというベンチの意思は感じられませんでした。

それに対してベルギーは6人の選手でがっちり固め、日本選手の侵入を許しませんでした。

そしてボールは誰に合わせたのか分かりませんが、ゴール正面のGKが一番キャッチしやすいところへ飛んで行きました。
ゴール前に配置された人数、相手の190センチを超える高身長の選手という身体的な条件を考えても、ゴールが決まる確率は相当に少なかったと思います。

延長にもつれ込んでも、後半の流れから勝機は少なかったという意見も多いですが、予選リーグの3試合目、残り10分以上をリスク管理に当て、もうひと試合の結果に全てを賭けた西野采配を思うと、4人しか攻撃参加させなかったということは、どう考えても延長戦に入ることを選択していたとしか考えられません。

ではなぜ本田選手は当然のように高いボールを蹴りこんだのか、何を考えてそれを選択したのか、またそれはチームの意思を尊重したものだったのか、当事者たちはもう語らないと思いますが、見ている側そして選手の中にも納得できないと思っている選手はいたと思います。
これがもし本田選手の独断だとしたら、90分間走り続けた選手たちは浮かばれないでしょう。

ここまではあくまでも私の想像であって、あの形から得点こそできなくても残り時間はなんとか守り切れると判断したフォーメーションだったのかもしれませんが・・・。

それはさておき、明らかに格下で負けることの許されないベルギーは、後半早々に2点を奪われ大きなプレッシャーの中で戦わなければならなくなってしまいましたが、後半時間が経つにつれ、いわゆる足が止まるどころか、動き出しの一歩目や体を寄せるタイミングなど、前半とは全く違うレベルの激しく速いものになって行きました。

日本の選手たちも本当によく走っていましたが、ベルギーの攻勢に対して受身に回ることが多くなり、対照的に疲労の度合いが増して行ったように見えました。

そして迎えた最後のシーン、GKが直接キャッチしたことを確認すると前線に残っていたルカク選手を含め、GKからグランダーのパスを受けた選手を中心として4人が横一線に並び、それぞれがトップスピードで日本のゴールに迫って行きました。

この時のスピードと、それぞれが走っていく方向がもうすでに決めごとがあったかのように正確で、一度右サイドに出された後、折り返したボールに対してなす術なくゴールを決められてしまいました。

外国人との違いは身体能力と言われ続けてきました、いわゆるフィジカルです。

身長も体重も明らかに劣る日本選手でも、戦術的な戦い方と、それを貫く個人の頑張りで、世界の強豪国をあっと言わせる試合運びができることを、今回のW杯カップで見事に証明してくれました。

しかし、最後のCKのように明らかな体格差を考慮しないプレーで墓穴を掘ってしまいました。

その中でも、柴崎選手や乾選手のように、日本の選手の中でも一段と小柄な選手がピッチの中を縦横無尽に躍動している姿も、我々は間違いなくこの目で見ることができました。

できれば体が大きて強くて速くてと、欲を言えばきりがありません。

そうでない選手たちがどうすれば世界に伍して戦えるのか、今回得られた教訓を生かさない手はありません。

90分間頭と体を動かし続けることができる選手を育成すれば、そして、日本選手の特性を理解して、選手たちが活き活きと躍動するサッカーを目指してくれる監督がいれば、4年後さらに旋風を巻き起こしてくれるのではないでしょうか。

西野監督就任以前には、誰のためにサッカーをやっているのか、監督の顔色を伺いながら、本来持っている能力すら発揮できず、自分が代表メンバーに選ばれることだけが目的のようなプレーしかできなかった選手たちが、本当に活き活きと躍動する姿は、見ている方が楽しいと感じるものでした。

この大会を見てサッカーに興味を持った方も多いのではないでしょうか、私もその一人かもしれません。
個人的に取り上げられる有名選手を擁しただけでは勝てない、サッカーがチームスポーツであるという事実をまざまざと見せつけられました。
そして体が大きくなくとも大活躍できる選手がたくさんいることも知ることもできました。

そうは言いながら、瞬間最高スピードが、あのウサインボルトと同じというスピードに加え、足元の技術までしっかりしたものを身につけているという、まさに超人的な19歳の若手選手の存在や、ベルギーのルカク選手のように大きくて速くて強い選手が、最後の最後に俺が俺がではなく、きちんとスルーして確実なチームプレーを見せてくれるなど、新たな発見もたくさんありました。

決勝トーナメントベスト8の戦いはこれからですから、さらに激しい真剣勝負を見せてくれることでしょう。

改めてサッカーに関して私にできることを思うと、ご縁のできた指導者の方々とともに90分間頭と体を動かし続けて、楽しくサッカーができる基礎を作ってあげるお手伝いをすることです。

そのために必要な走り方や体の使い方、またトレーニングの方法など、微力ではありますがこのブログやツイッターを通じて、発信を続けたいと思います。

私の発信で、多くの方の意識が変わることを願っています。

デュエルは体格や筋力ではない、武藤嘉紀選手に学ぶ体の使い方。

2018ロシアW杯の開幕が明日に迫り、普段あまりサッカーに興味のない人たちにとっても、なんとなくお祭り気分で、にわかサッカーファンとなって、サッカー談議に花を咲かせているはずのこの時期に、日本代表チームの監督更迭劇や、最近の国際試合での成績不振も重なり、4年前と比べても盛り上がりに欠ける大会前の雰囲気となってしまっています。

私自身、日本代表の試合をテレビ観戦しても、試合の内容自体にワクワク感がないというか、勝ち負けを通り越して試合自体を楽しいと感じられないというのが正直な感想となっていました。

私が得意としている人間の体の仕組みに沿った、効率的で効果的な体の使い方という観点から見ても、遺伝的な要素として体格や筋力に劣る我々日本人が、どうやって大きくて強い海外の選手に対抗するかという部分に、何の工夫も見られないことに不満を感じていました。

持って生まれた体が小さいというだけで、いわゆるフィジカルが弱いというレッテルを張られてしまっては、それ以上何をどう努力しても絶対に越えられない壁があると最初から認めてしまうことになってしまいます。

日本での活躍が認められ、海外のクラブへ移籍する選手が増えてきました。
私の選手の動きを見る視点からしても、この選手なら絶対に活躍してくれるだろうと、期待とともに確信をもってその後の動向をチェックしても、期待通りの活躍を見せてくれない例がたくさん見られます。

それがなぜなのかずっと考え、既に一つの結論を得ています。

そんないろいろな思いを込めて、西野新監督の元、最後の強化試合に臨む日本代表の選手たちの試合、昨夜のパラグアイ戦は最後のチャンスというか、もう後がない大事な試合でした。

相手のこの試合に臨むモチーベーションは別として、チームとして、また個々の選手の体の使い方という意味でも期待するところはありませんでした。

スイス戦のような放送の時間帯であれば、おそらくはリアルタイムで見ることもなかったと思います。

そんな中、なんとなくいつものような試合展開に、やはりだめかという気持ちで試合を見ていた私の目に飛び込んできたのが、前半27分過ぎに起こった武藤嘉紀選手のプレーでした。

この動画の中では3分25秒あたりからのシーンです。

派手なシュートシーンでもゴールをアシストしたパスを出したわけでもなく、ボールを受け前線に運び、クロスを上げるという、言ってみれば何でもないプレーで、特に気にしてみなければそれだけのことだったかもしれません。

しかし私はそのプレーを見た瞬間、久し振りに日本人の選手の動きに興奮しました、いつも私が言っている体格に劣る日本人が、大柄な海外の選手と渡り合うために必要な体の使い方が、短い時間の中に凝縮されていることがリアルタイムで伝わってきたからです。

そのプレーを追っていきます。
まず相手GKがセンターライン付近に大きくボールを蹴ります。
それに対応したのが6番の遠藤選手で、ヘディングでボールを前方に位置する武藤選手に返します。

このボールに対してどんな受け取り方をするのかと見ていると、普通なら胸トラップで前に落としてから次のプレーに移るのではという遠藤選手からのヘディングによる浮き球でしたが、武藤選手はボールの落ち際に体を左回りで90度回転させながら右足の甲の部分をボールに触らせ、弾ませることなくゴール方向に移動した左足の内側にあて、そのままドリブルでタッチライン沿いを駆け上がろうとしました、このプレーだけでも技術の高さを証明しています。

そこに相手15番の選手が左後方から体を寄せてきたことでバランスを崩し、ボールが足元から大きく離れてしまいます。
離れたボールに対して今度は左前方にいた相手DF4番が猛然とボールを追い、武藤選手より一瞬先に追いつき武藤選手とボールの間に体を入れ、良い姿勢を保ったままボールを保持したかのように見えました。

ところがここで4番の選手はなぜかバランスを崩してしまいます。

これは偶然ではなく、一歩遅れてボールに追いつけなかった武藤選手が、4番の選手の後方からその体の骨盤、それも大腿骨の大転子部分に、武藤選手の同じ部分を下からあてがうように体を寄せたことで、驚くほど簡単に4番の選手のバランスが崩れ状態が前につんのめってしまいました。

これが私の言う、『大転子の位置が勝負の分かれ道』と言い続けている理由なのです。

人間のバランスは左右の股間節、それも大腿骨の大転子部分であることはいくつかの実験のようなドリルを体験してみればだれにでも納得できることです。

体の大きい小さいは関係なく、この部分の位置関係で相手を制することが出来るのです。

4番がバランスを崩したその一瞬を逃さず、今度は武藤選手が4番とボールの間に体を入れてボールを保持してしまいます。
バランスを崩された4番は苦し紛れに左足を出してきましたが、そのまま転倒してしまいます。

武藤選手がボールを奪い返し、自分の体勢を右回りで反転させ前方にドリブルで進もうとしたところに、今度は先ほど後ろから押してきた15番の選手が追いついてきて、起き上った4番と15番で武藤選手を挟み込む形となりました。

そこで武藤選手は、後ろから追いかけてきた15番の右股関節部分に、自分の左大転子部分を下からあてがうようにぶつけることで、後方から勢いをつけてぶつかってきた15番の圧力に押されることなく体勢を維持し、2人を置き去りにして加速しゴ-ルラインまでドリブルで進んで右足でクロスを上げるところまでのシーンでした。

武藤選手は最初に15番の選手の後方から押された時には体勢を崩し姿勢が乱れましたが、その後の動きの中では常に骨盤が一定の角度を保ち、4番からボールを奪って反転する動作の際には、見事に骨盤から背骨がすっと伸びていました。
だからこそきれいなターンが可能となるのです。

最後の2人を置き去りにするシーンでも、骨盤の角度を維持しながら体全体を前に倒す、『重心の前方への落下』というエネルギーの使い方を見事に実践しています。

方や2人は、一瞬にして置いて行かれたことで、すぐに追わなければと体に力が入り、腰が落ち背中を丸めて力んだ状態で走り出したため、両足がその場に居着いた状態から強く地面を蹴ることで反力を得て体重を移動するという、非効率な体の使い方となってしまったことで、武藤選手についていけず、結果としてクロスを上げさせてしまいます。

いかがでしょうか、動画を何度も見て頂ければ、なるほどそういうことかと分かってもらえると思います。
体の使い方という概念から見ると、骨盤から背骨の角度、それも固定的な安定ではなく、しなやかさを持った連動、そして解剖学的な重心位置、そういう視点でプレーを見ると、これまでと違った見方ができると思います。

文字に書き起こしていくとまどろっこしいですが、これはほんの数秒間の出来事で、この体の使い方を知っているというレベルの選手では絶対に不可能なことです。

武藤選手がFC東京在籍時から、その姿勢の良さ動き出しのスムーズさに目を奪われ、その時点で日本で一番体の使い方がうまい選手だと思っていました。

それがドイツに渡り屈強な選手たちと渡り合う中で、持ち前の柔らかさが少し失われているように感じていました。
今回久し振りに、私の知っている武藤嘉紀選手の柔らかくしなやかな体の使い方を見せてくれました。

ドイツでのプレーで失いかけていたものを、思い出してくれたというか経験を積み慣れてきたということかもしれません。

日本選手の中でもそれほど大きな選手というわけではありませんし、ましてや今回の相手パラグアイの選手たちの胸板の厚さは日本選手の倍くらいはありそうな屈強な体の選手ばかりでした。

そんな選手たちを相手に肉体改造という名のもとに後天的に作った体が通用するはずがありません。
もちろんトレーニングが必要ないということではなく、武藤選手のようなポイントを押さえた体の使い方ができるようになるための体づくりは必要です。

それが私のいう『体づくりから動き作りへ』、という発想の転換でした。

骨盤の角度をしっかり保ち、骨盤と背骨をしなやかに連動させること、それを可能とするのが頑張らないように見えてしっかり仕事をしてくれている『伸筋』を使いこなせるように準備することです。

相手を大きさや筋力で圧倒するのではなく、股関節部分、大腿骨の大転子部分が重心位置で、お互いのその部分の位置関係で押し負けることなくバランスを保ち続けることができることなど、まずは知識としてしっかり頭で理解し、実際にやってみて体で納得することで、誰にでも使いこなせる武器となります。

さらにそれを可能とする条件が、顔の表情です。
歯を食いしばり力んでしまっては、伸筋を上手に使うことはできません、無駄に屈筋を使い体力を消耗するばかりです。

今回の武藤選手のプレーを、今すぐにでも代表選手スタッフ全員の前で説明させてもらい、実際に体験してくれれば、個人としてチームとしての戦力は2割くらいは上げられるのではと本気で考えています。

今は私の話を真剣に聞いてくれる人が対象ですが、当たり前のことを当たり前にできるように指導することで、近い将来、今回のように代表戦を見ながら、「いいね、いいね」を連発させてくれる選手を育成するお手伝いをさせてもらっています。

武藤選手の一つのプレーが私に勇気を与えてくれました。
本当は私ではなく、サッカーを愛する全ての人といった方が良いのかもしれません。
とくに体格に恵まれない育成年代の選手には、自分にもできるかもしれないと思ってほしいと思います。

武藤選手は180センチ近い身長ですが、説明したとおり大転子の位置は低い方が相手を制することがしやすいので、身長もハンデとはなりません。

海外の選手の中には、160センチ台でも大柄な選手に負けない強さを見せる選手はたくさんいます、その秘密がここにあるのです。

予選リーグ3試合、大方の予想は厳しいものですが、それぞれがすばらしい能力を持っているからこそ選ばれた選手たちだと思います。
自分の力を伸び伸びと発揮して、良い意味で期待を裏切る活躍を見せてほしいと思います。

武藤選手には是非その笑顔を絶やさず、しなやかな身のこなしでゴールを奪ってほしいと思います。
応援しています!

最後に、最近親しい人からこんな言葉をもらいました。
「私という人間に出合うまでは、似たようなことを言う人間に対し、自分にはない発想を持った凄い人だと思わされていたかもしれないが、本物に出合った時、自分の価値判断の基準が変わり、正しくものを見ることができるようになるから、私は私のままで、何時までも何故どうしてという真理をを追い求めてください」、というものでした。
大丈夫です、誰かの何かを気にしている暇があったら、私を信頼してくれる誰かのために頑張り続けますから!


プロフィール

Author:西本 直
1993年、Jリーグサンフレッチェ広島を皮切りに、社会人野球三菱重工広島・協和発酵・ヴィッセル神戸・川崎フロンターレ、そして広島カープ佐々岡真司投手など、プロアマ問わず競技レベルのスポーツ選手から一般の方まで、トレーニングやメンテナンスの指導を行ってきました。
その経験と知識の蓄積を「西本理論」としてまとめ、一人でも多くの方に実践していただくことが、これからの私の使命であると信じ、このブログから発信していきます。
私の理論はスポーツ選手のみを対象としたものではなく、ビジネスマンや家庭の主婦まで老若男女すべてに当てはまる不変のものです。
指導や講演のご依頼も受け付けています。
日々の気づきやブログの更新情報はツイッターに書いていますので、チェックしてみてください。
2013年9月9日にConditioning Studio 操をオープンしました。
「西本塾」と「深める会」を開催しています。
4月19日に行う深める会の募集を行っています。
詳細はStudio操ホームページ内の「講習会情報」をご覧ください.
「1回5分体が喜ぶ健康術」はアマゾンで在庫切れのことが多く、購入希望の方にはご迷惑をおかけしています。
出版元からの購入は可能ですので、ガリバープロダクツ(代)082-240-0768までお問い合わせください。

最新記事

カレンダー

03 | 2020/04 | 05
- - - 1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30 - -

カウンター

検索フォーム

QRコード

QR

フリーエリア

http://ecx.images-amazon.com/images/I/51P40WM8EQL.jpg