FC2ブログ

昨日初めて来所した競輪選手のトレーニング指導で、改めて気付かされた盲目的な屈筋志向の落とし穴。

今日もブログを読んで頂きありがとうございます。

昨日の午前中、本人の許可を得ていませんので個人名が特定されないような表現となりますが、関西圏在住の競輪選手が、トレーニングの指導を受けに来てくれました。

現在縁あって、過去記事でも紹介した『千葉の山賀選手』『石川の八日市屋選手』など、5名の競輪選手の指導をさせていただいたことがあります。

そのきっかけとなったのは山賀選手で、彼の活躍に触発された選手たちが、中国四国また九州地区でレースの開催があると、わざわざ広島を経由して試合会場に乗り込んでいくという感じで、私の元を訪れてくれています。

今回も、そのうちの誰かに私のことを聞いて連絡してくれたのかと思いましたが、もう一年半ほど前に『Newspicks』の連載記事(これ自体はもうとっくに連載は終了していますが)を目にしたことから私の存在を知り、本も買って読んで頂いていたそうです。(残念ながらこのブログは読んでいなかったようです)

競輪選手としてのランクはS級2班と、A級一般を上がったり下がったりの状況で、今のままではこれ以上の成績を上げることは難しいと感じるようになったことで、私が発信してきた内容に改めて興味を持ち、何か自分のためになることがあるのではと行動を起こしてくれました。

競輪選手には、それこそ盆も正月もなく全国各地で開催されるレースに斡旋があると、よほどの理由がない限り参加しなければならない、シーズン制のない年間を通して行われている特殊な競技です。

いわゆる公営ギャンブルの一つですから、現在の各種スポーツやイベントが中止されている中でも、競輪場に観客がいなくても、インターネットで車券が購入できるため、普段通りにレースが開催されています。

さて、私が競輪選手に対して何を指導しているかということなのですが、一般の方の競輪選手のイメージは、我々からは想像もつかないような丸太のような太腿ではないでしょうか。

勿論、トップランカーであるS1に所属する選手からA3の選手まで、競輪学校の狭き門を突破し、厳しい訓練を経て競輪選手として活躍している選手たちですので、私のような細い太腿の選手などいるはずがありません。

自分の体だけが自転車を走らせるエンジンですから、選手になった後も日々トレーニングを重ね、その体に磨きをかけています。

現在全体で2200名ほどの選手がいると聞いていますが、私の目から見るとほとんどの選手が屈筋(特に太腿裏側と腹筋や胸筋)に頼ったというか、屈筋を重視しすぎた体の使い方をしているように見えるのです。

具体的に言うと、競輪選手が乗る自転車は『ピストバイク』と呼ばれ、前輪と後輪が直結されていて遊びがありません。
我々が乗る自転車はスピードが出れば、漕ぐのをやめても惰性で走り続けますが、ピストバイクはペダルとシューズを固定しているため、バイクが動いているスピードそのままに足を回し続けなければなりません。

ブレーキはついていませんから、止まろうと思ったら徐々に足の回転を遅くして自分の足でブレーキをかけなければならないのです。

私も一度宇品にある広島競輪場の体験会に参加して、ピストバイクに乗らせてもらいましたが、最後の1周と言われ、スピードを落としたつもりでしたが、係の方の前に来た時まだまだスピードが落とし切れておらず、あーっと思ったときには通り過ぎてしまい、もう1周することになってしまいました。

勿論私にはできませんがペダルを逆に踏めば、後ろへも進めるという構造になっています。

そんな仕組みのピストバイクですから、ペダルと踏むというより『ペダルを回す』という言い方がされているようです。

大きな推進力を得るためには踏み込む力よりも、膝をたたむ屈曲させる力が重要であるということが当然のように言われているようです。

まるでもっともな話に聞こえます、自転車以外の競技でも、一時期太腿の前後の筋力バランスが重要で、太腿の裏側ハムストリングスの強化が、競技力向上や肉離れ等のけがの予防にも大きく貢献すると、スポーツ医学の権威と呼ばれている人たちやトレーニングの指導者たちが、筋力を測定しそのデータから得られた結果だとして、そういう説が主流となっていました。

しかしです、あれからどれくらいの年数がたったか分かりませんが、その結果としてどれくらいケガが減ったとか、これくらいの競技力向上が見られたなどのデータを示してくれたのでしょうか、私が知る限り、そんな話は聞いたことがありません。

確かにバランスが悪いという表現は便利ですし、自分にも当てはまると思って、太腿の裏側の筋肉を人一倍の努力で強化した選手も多いと思います、でもその結果はどうだったのでしょう、思ったような成果はあったのでしょうか。

このことも、私が屈筋重視の体の使い方ではなく、伸筋重視の体の使い方の方が、人間本来の体の仕組みに沿った効率的で効果的な体の使い方であると言っていることの一つの根拠にもなっています。

これまでことあるごとに言い続けていますが、筋出力の分類としての『瞬発力・最大筋力・筋持久力』、そのどれをとっても伸筋の方が優位であることは、私の説明を聞いてくれれば誰にでも理解できることだと思います。

それをスポーツ科学の権威がそう言っているから、結果を残している選手がそう言うトレーニングを行っているからと、自分自身の問題としてなぜどうしてを突き詰めて考えることなく、盲目的に受け入れてしまうことで、結果として何ら良い方向へは進んでいかないという現実が突き付けられるのです。

競輪という競技はランクや競技場のバンクの大きさによって4周回から5周回、約2000メートルで争う競技です。
ラインと呼ばれるグループ戦でありながら、最後は一つでも前の着順でゴールしたいという個人戦でもあります。

当然持久力も必要ですし、途中何度かある駆け引きでは大きなパワーも必要で、何より4コーナーを回ってからの最後の直線では爆発的な瞬発力の持久力も要求されるという、様々な能力を兼ね備えていなければ結果を残し続けることはできません。

今回来所した選手に最初に聞いたことは、今現在自分の成績が上がらない原因は何かということです、これが分かっていなければ何を改善したらよいのか分かりませんから。

私がそれを聞かなければ相手のことが分からない、という意味ではありません、選手本人が問題点を整理していなければ先には進めないという意味です

本当は聞かなくても私にはその原因は見当がついていますから、意地悪な質問をする必要もないのですが、ただ体の使い方を教えてくださいという漠然として要求では、もしそれに応えられたとしても、それは私の考えを一方的に伝えたことにしかならないのです。

時間を無駄にしたくないのでその問答は短い時間で終わりましたが、予想通り選手本人の口から問題点が具体的に語られることはありませんでした。

それも想定内のことでしたので、基本的な体の仕組みや筋肉の構造、3-5-7理論や、屈筋と伸筋の働きの違いを説明することから始めました。
まるでチンプンカンプン、外国語でも聞いているような状態となりましたが、その部分の理解なしにトレーニングが成り立たないことも説明しながら、理論と実際に体を動かしての実体験を交えながら、伸筋重視の意味を伝えていきました。

自慢にもなりませんが、私の施設は大きなスポーツジムとは比較にならない小規模なもので、マシンも5種類しか置いていません。
しかし、それらの使い方と順番をきっちり守ってもらってトレーニングを行ってもらうと、前半で説明した内容が、なるほどそういうことかとどなたにも納得してもらうことができます。

そうやって頭と体が納得し、整理された状態の先にあるのが、昨日の方で言えば競輪という競技の体の使い方ということなのです。

『伸展からの伸展』という、なんとも漠然とした表現ですが、難しい話ではなく究極的にはその一言にすべてが集約されてしまうのです。

それぞれの競技を専門としている方々が、様々な体の使い方を考案し指導していますが、私が指導していることはそのもうひとつ手前の根本的な体の使い方の部分です。

一定レベルの選手たちであれば、既に行っていることかもしれませんが、それをきちんと整理して第三者に伝えられるかというと、残念ながらできていません。

戻るべき家がないから、迷ってしまいスランプやイップスなどという状況に陥るのです。

もしかしたら成績が上がっていた時にはすでに出来ていたことかもしれません。
それが何だったのか分かっていなければ、戻れる家がないのと同じです。

ペダルを踏みこむ際に膝関節を伸展させます、逆の足は膝を屈曲させてペダルの回転を助けてくれます。
どちらが主役であるべきでしょうか、当然伸展動作です、屈曲動作は無駄に大きなエネルギーを消費する割には思ったほどの筋力を発揮してくれません。

持久力もありませんから、頼れば頼るほど苦しい動きとなります。

膝関節の屈曲と伸展というレベルで考えるから、屈曲も使うべきだと思ってしまうのです。

ここで西本理論の真骨頂である、広背筋を介した骨盤と肩甲骨の連携連動、股関節の伸展動作から自然な膝関節の伸展動作を導ければ、その際の逆足の屈曲動作を意識する必要はないのです。

屈筋はブレーキの役割が主だと言ってきました、ブレーキをかけながらアクセルを踏み続ける動作は、どれだけ大きな負荷をかけたトレーニングを行ったとしても、ブレーキ性能を上げることはできても、気持ち良くアクセルを踏み込む動作にはつながっていきません。

2時間半ほど室内での指導を行った後、外に出て私のクロスバイクで、トレーニング前と後の体の動きの違いを実感してもらいましたが、あまりの違いに驚いていました。

自転車の違いこそあれ、基本的な構造は同じはず、今までの体の使い方で感じていたストレス、これこそ屈筋のブレーキだと思いますが、それがなくなっただけでこんなにスムーズに前に進むのかと、驚きを通りこしてキツネにつままれた状態でした。

一度だけの指導でどこまで身に付けられたかは分かりませんが、少なくとも進むべき方向性は見えたと思います。

こうやって自信を持って指導できるようになったのも、山賀さんはじめ地元広島のベテラン選手との日々のやり取りの中で、どうすればこの人たちのお役に立てるのかと試行錯誤を繰り返してきたことの賜物だと思います。

今回来られたタイミングがこの選手にとってベストタイミングではなかったでしょうか、私自身が自信を持って指導できる態勢にあったこと、選手自身がデビューしたての若さに任せた勢いだけでは勝てなくなってしまい、様々なアドバイスを受け本人なりに真剣に努力を積み重ねた結果として、何かを変えなければならないと思った、その何かが私の理論に中にあると感じたことです。

そして年齢的にも、この意識の変化で正しい努力を重ねていけば、さらにランクアップは十分に可能だと思います。

広島のベテラン選手が、自分もその年齢の時に私と出会いたかったとしみじみ語ってくれました。

競輪選手に限らず、自分の競技能力の向上に行き詰まりを感じている選手の皆さん、難しい技術を身に付けることを考える前に、もう一度自分が持って生まれた能力を十分に発揮できているかという基本の部分に立ち返ってみませんか。

スポンサーサイト



そろそろ真剣に考えて欲しい、体作りのためではなく『動き作りを目的としたトレーニング』の重要性。

今日もブログを読んで頂きありがとうございます。
珍しく間隔を開けずに記事を書いています。

このブログを書き始めて、5月で丸7年になります。
最初の頃の記事を読み返すと、私の尖った部分が言葉の端々に見られ、私という人間に対して、他者へも勿論自分にも厳しいという印象を持たれた方も多いと思います。

しかし、どれだけ厳しい表現で声高に持論を訴えても、世の中の常識や固定概念を変える力にはなりえず、何としてでも強く発信していかなければというトーンから、分かる人には分かるだろう、必要としている人に何かヒントになればいいというスタンスに代わり、少しずつトーンダウンしてきたことは自分でも分かっていました。

ある意味自分らしくない当たり障りのないことを書き続けていることに、納得していないところもありました。

今日は久しぶりに、棘のある内容になることをお断りしておきます。

『体作りから動き作りへ』という、私の代名詞ともなっているまさに発想の転換を、特に競技としてスポーツを行っている選手を見続けてきた立場の人間として、発信することは私の使命だと考えました。

それは体作りを目的としたトレーニングこそが、競技力を向上させる唯一の方法であると信じ、トレーニングの効果を数値に求め、扱う重量や回数、結果として得られた肉体の変化を求めることを選手と指導する側の両方が、それ以上のことを考えていないと感じたことからでした。

しかし、そういう発想でトレーニングに取り組んだ選手たちが、求める結果に結び付いて行ったかを検証したとき、そうならなかった選手の方が圧倒的に多いことは明らかなのです。

一部の結果を残した選手のことだけが大きく取り上げられることで、その傾向は益々強くなっていきましたが、努力の甲斐もなく結果に結び付かなかった選手たちは、自分の努力が足りなかったと、方法論を見直すことなく自分を責めるという、なんとも日本的な曖昧な状態で消えていき、その後の検証が行われることなく、常識や固定概念に疑問を持つことをしてこなかった結果が今の状況を生んだのだと思います。

人間の体が動くということは、まぎれもなく骨盤から連なる24個の背骨が連携連動して、お辞儀をする後ろに反らすという前後の動き、体を横に倒すという左右の動き、そして左右に振り向くためのねじる動き、この6方向の動きをスムーズに行うためには、背骨の一つ一つの間に存在する椎間板という組織が柔軟で、骨と骨との間が一定の間隔を保っていることで、少し詰まったり(圧着)広がったり(離開)という動きを加えると、『6+2で8つの方向性』を持ち、一つ一つの関節が単独で運動することなどありえず、全身のすべての関節が連携連動することが、人間として持って生まれた体の仕組みであるはずなのです。

それが何時の頃からか、トレーニングの目的が本来しなやかに連動させるべき骨盤と背骨を、安定もっと言えば固定させることが大事であるという発想に変わってしまい、結果として6パックだ8パックだと腹筋の割れ具合を求めるトレーニングが良しとされたり、本来緊急避難時、体を守るために存在する体の前側の筋肉、代表は大胸筋ということになりますが、それらの見た目にかっこいい筋肉を鍛えることがスポーツ選手だけではなく、一般の方にも浸透してしまいました。

具体的に誰かの名前が浮かぶ表現にならないように書きますが、ある選手がオフの間に筋力トレーニングに励み、結果として体重の増加と筋力アップを果たし、満を持して臨んだキャンプ前半で、脇腹、おそらく外腹斜筋か肋軟骨だと思いますが、痛めてしまいリタイヤしてしまったというニュースを見ました。

この選手がやらなければならなかったトレーニングは、筋力を向上させることでも体重を増やすことでもなく、彼に最も必要な体を捩じるという動きを強くしなやかにすることだったはずなのです。

ケガをする直前のインタビューで彼自身の言葉からも、筋力を向上させたことで昨年以上の能力アップができたと思っているようでした。

7年間ずっと言い続けてきた、『体作りから動き作りへ』という意識改革は、残念ながら全く進んではいないのです。

数年前のことですが、以前から縁のあるコーチが腰椎分離症という診断を受けてプレーできなくなった育成年代の選手を連れてきたことがありました。

どんな競技でも背骨を捩じるという動きは絶対に避けられません。

昔体を捩じらないで使うということを標榜していた人がいましたが、例えば弓道の選手が弓を引くときの状態をイメージしてみてください、背骨なんか捩じっていないじゃないかと思うでしょう、しかし見た目には大きなねじりなど感じませんが、的に向かって90度右を向いて立った状態から、体の前で弓を引いたとき、的に対して顔は正対するはずです。

この時に骨盤から連なる24個の椎骨は正対したままですか、少なくとも首の骨は左へ90度近く捩じっていなければ、的を見ることはできませんよね、だから背骨は捩じられていると言っているのです。

それがサッカーの選手であれば、だれがどう見てもボールを蹴るときには上半身と下半身は逆方向に捩じられています。
本人が捩じっている感覚はないと言ったとしても、普通の生活をしている我々から見ればとんでもなく大きく強く捩じられているのです。


その選手が所属するクラブでは、トップチームから下部組織まで一貫して同じ思想で成り立っているため、コーチが私の考えに賛同してくれたとしても、体を安定させるという大義名分に沿ったトレーニングを止めることはできなかったのです。

あらゆる方向に動くことが要求される背骨、それを動かしてくれるのが仕事の筋肉を固めることを目的としたトレーニングを行った結果、極端な言い方をすればコンクリートで固めた中で、8方向への動きを要求された背骨がどうなってしまうのか想像してみてください。

ほかにも同じような例がたくさんありましたが、有名選手が行っている、他のチーム他の競技でもみんな取り入れているという理由で、後れを取ってはならずと何の疑いもなく今でも行っているチームや選手はたくさんいることでしょう。

真剣に取り組めば取り組むほどかわいそうな結果に結び付く可能性が増えるのです。

もう20年以上前、初めて社会人野球のチームで仕事をしたときに、最初に対応したケガが、スイングをした際に強い痛みが走ったという、先に取り上げた選手と同じ脇腹の痛みでした。

骨に根に異常がないと言われた割には復帰に時間がかかることで、選手はイライラが募りましたが、その前年までのそのチームの筋力トレーニングの方針は、まさに大きさ強さといった数値を求めるもので、彼はそういう意味ではチームでもトップレベルの筋力を持ち合わせていました。

それがプレシ-ズンのトレーニングでいきなりけがをしてしまったというのです。
復帰にも時間がかかりましたが、シーズンに入るとチームの主力選手として大いに活躍してくれましたし、自分のやってきたことにプライドはあったと思いますが、結果としてそうなったことと、私の言う体の使い方に沿ったトレーニングを継続したことで、これまでにない動きを実感できたことで、信頼は厚いものになっていきました。

これでは情けないと思いますが、大きな失敗を経験しないと人間はなかなか変われないものです。

世の中は筋トレブーム、老若男女問わず筋肉を鍛えることこそ高齢化社会を生き抜く鎧になると、街にはフィットネスクラブがあふれています。
妊婦さんのようなお腹で顔は二十顎では、正直自己管理のかけらも感じませんが、猫も杓子も腹筋がどうのお尻がどうのと眉間にしわを寄せてトレーニングを行うことはどうなのでしょう。

本来人間として使うべき体の使い方、骨盤から背骨を6+2の8方向にしなやかに連動させられるように準備しておくことこそがトレーニングということの本来の目的ではないでしょうか。

筋肉隆々の体ではない選手が、チームの主力としてかなり高い年齢でプレーを続けている例もあります、決して柔軟とは言えない体でしたが、それが彼が持って生まれた体の特性で、それをうまく使いこなせているということでしょう。
数値的な基礎体力で言えば彼に勝る選手はたくさんいましたが、選手としての能力は全く別物でした。

競技スポーツ選手は、その方向性と連動性に強さとしなやかさを求めることが必要となります、これが私が言い続けている『動き作り』の本質です。

体作りの対極として『ヨガ』も取り入れている方も多いと思いますが、ヨガの本質は修行であって、現在行われているものは、私にはいわゆる体を柔らかくするためのストレッチにしか思えません。

人間の体はそれぞれ遺伝的に、筋肉の腱の部分や靱帯そのものの形状や柔軟性は異なっています、強ければいい柔らかければよいという訳にはいかないのです。

そこを見極め、それぞれの体が持って生まれた能力を十二分に発揮できるように、『動き作り』という発想でトレーニングに取り組むことこそ、競技力向上という一番の目的に近づいていける最も有効な考え方だと思います。

毎年毎年この時期のニュースを見ると同じことの繰り返しで、〇〇トレーニングだとか最新の〇〇メソッドに取り組んだとか、オフの間に海外にトレーニングに行ったのに何の良い変化もしていない選手の現実に、7年間言い続けても何も変わらないと嘆いているより、一人でもそのことに真剣に向き合う選手や指導者が増えることを信じて、声を上げ続けようと思います。

今の立場では直接指導することはできませんが、報道に接するたびに悔しいというか残念な気持ちになってしまいます。

『動きづくりのドリル』は実戦の動きそのものです。

今日は西本理論基本編の続きではありませんので、その②を期待してくれた方は少しお持ちください。

今日のテーマは、『動きづくりのドリル』は、まさに実戦の動きそのものであるということの再確認です。

私の仕事は、選手やスタッフの意識を変えることだと言いました。
枝葉の方法論を求められることには大きな抵抗を感じてしまします。

しかし、現実としてギリギリのところで勝ち負けを争い、結果を求められている監督や選手たちから指導を依頼されてしまうと、もちろん基本的な考え方から伝えているつもりではありますが、受け取る側の選手たちにしてみれば、この動きが自分のプレーにどう活かされるのか、そのことが最優先となることは仕方がないと思います。

指導する際、全ての動作に関して何故こうなるのか、体の仕組みを説明しながら行ってはいますが、『体の使い方という技術』を身に付けて試合に臨みたいという気持ちは当然のことです。

『練習では出来るが、プレッシャーのない状況の中でならできるが』、という言葉を数多く聞いていますが、手段と目的をよく考えて欲しいのです。

そう言うここ一番の状況で、人間の体の仕組みを生かした効率的な体の使い方ができるようになるために、各種のドリルを考案してきたのです。

先日試合前の準備から手伝わせてもらったチームの選手たちも同じです。
試合中は部外者ですから、当然ピッチの中に足を踏み入れることは出来ません。
少し離れたところから選手たちの動きを見ていると、一番基本となる『走るという行為』の体の使い方が出来ていません。

本来であれば、相手の選手よりも一瞬早く動き出せる体の使い方を知っているはずなのに、当たり前のようにこれまでと同じ地面に居着き、地面を蹴らなければ自分の体を移動させることが出来ません、前後左右すべて同じです。

ボールのキープの仕方や、ボールをキープしている相手への体の当て方など、ボールに絡んだ動作に関しては、指導したことをやろうとしていることが見て取れ、実際にその効果を実戦の中で感じてくれているようです。

しかし、最も大切な『90分間頭と体を動かし続ける能力』が向上しなければ、個人としてもチームとしても最良の結果を得ることは出来ません。

例えその試合に勝ったとしても、それはその場限りの結果論であって、本質的な向上ではないのです。
『動きづくりの』進歩向上には、ゴールはないのですから。

事実後半には、頭と体を動かし続けているとは言い難いプレーが目立ち、逆転されてしまいました。
前半の動きが良かっただけに私としてもとても残念でした。

後半に入り、ウォーミングゾーンでアップを続けるサブの選手たちは、西本塾生でもある『木下広輝』さんの指導の元、かなり意識して動きづくりのドリルを繰り返してくれていました。

疲れの目立ってきた選手に変わって投入される選手に期待してみていましたが、元気よくピッチに飛び込んでいく選手の姿は、さっきまで行っていたドリルはなんだったのかとしか言いようがない、私が指導する前に行ってきた屈筋頼みの走り方でした。

残念な気持ちは勿論ですが、これまで行ってきた体の使い方を変えるという作業は、想像以上に難しいようです。

だからこそ、この動きの変化にはどういう意味があってどういう効果をもたらすのか、という意識の改革なしには、ただ動きの振り付けを教えてもらっただけ、私はちょっと変わった走り方を教えに来た人で終わってしまうのです。


やはりチーム全体に指導を行き渡らせ、結果に結びつかせるためには、付け焼刃の指導ではなく、シーズン当初から少しずつ浸透させていく地道な取り組みが必要なのだと痛感しました。

しかし、西本塾や個人指導、また直接お会いしたこともない遠隔サポートを通して、指導した私自身が驚くような動きを身に付けてくれた方が実際にたくさんいるのです。

私の指導の仕方という問題は別として、受け取る側の意識、本当に変わりたい成長したいと思っているか、どこまで追い込まれているか、その危機意識というか真剣さが、動き作りを成功させられるかどうかを決めていると思います。

私の指導しているドリルは、すべて実戦の動きそのものです。

ドリルで行い身に付けた動きを、そのままボールがあって相手がいるピッチの中で行えばいいだけのことなのです。

そのことが分からなければ、ただのドリルで終わってしまいます。
そのためには指導者がまずそのことをしっかり理解してから、選手たちの指導して欲しいと思います。

やはり私の仕事は『意識を変えさせること』、これが一番重要なことのようでです。

YouTubeを使った、西本理論の基本を伝える試み、もうだいぶ前から構想はあったのですが、西本塾29期生『Sさん』から寄せられた感想や、西本塾の最後に直接語っていただいた言葉に背中を押され、公開に踏み切りました。

体に関して様々な考え方があり、方法論が流布されていますが、そもそも自分の体がどうなっているのかを知らずして、どんな健康法を試しても一時しのぎに過ぎないことは明らかです。

とはいえ、そんなことを最優先に考えながら日常生活を送っている人が居るとは思えません。

しかし、そうこうしているうちに歳を重ね、体が悲鳴を上げることになって初めて大騒ぎするのが、悲しいかな我々人間の常です。

私の考え方や体と対話する方法を知ることで、本当の意味で自分の体を知ることとなり、大切にしようという人が増えてくれるように、積み重ねてきた考え方をこのまま眠らせることなく、様々な方法で発信していくことも私の使命だと思うようになりました。

少しずつ発信していきますので、2回目は少しお待ちください。

自信を持って指導します!

昨夜は広島に移り住んで以来毎年恒例となっている、広島カープでトレーナーを務める『野口稔』君との、二人忘年会でした。

彼との出会いは、私がサンフレッチェ広島のスタッフとして広島に来たとき、今は行われていないようですが、サンフレッチェとカープの合同トレーナー勉強会を行っていました。

その際私の話に興味を持ってくれ、自宅にまで来てくれて、もっと話を聞かせてほしいと言ってくれました。
年齢は10歳ほど違いますが、広島で最初にできたというか、唯一の仕事を抜きにした友人となりました。

それ以来お互い忙しく、シーズン中は時間が取れませんでしたが、オフになると必ず連絡を取り合い、一年色々あったことを語り合う場となっていました。

私はレベルは別として野球で育った人間でしたが、サッカーチームのトレーナーとして招聘され、彼は高校時代、サッカーで千葉県選抜に選ばれるほどの選手だったそうで、お互い逆のチームだったら良かったのにねという話になりました。

あれから途絶えることなく、二人会が続いています。
この5年間、正直私の話す内容にはこれから先の展望が見えないというか、それまでの私に比べるとネガティブな部分を彼は感じていたのかもしれません。
それが昨日の私は、長年私を見続けてきた彼にして、今まで以上に情熱的で明るい表情が見られたと言ってくれたのです。

自分なりの分析ですが、正直昨年までは心のどこかに大きな組織が私を必要としている、なぜ私の能力を生かしてくれないのかという気持ちがくすぶっていたのだと思います。

それがこの1年、色々なことがあり、5年かかってやっとというか、自分が一番活き活きと生きていける居場所を見つけられたような気がしています。

もしあのまま組織の中で仕事を続けていたら、もし今年大きな組織に組み込まれていたら、それはその中で自分なりのやりがいは見つけられたとは思いますが、今のように老若男女、スポーツの競技種目もこだわらず、それどころか一般の体の不調を抱える方々を含め、これほど幅広く対応できる人間は私をおいて他にはいないだろうと思えるほど、日々新たな出会いがあり、感謝の笑顔に癒される有難い毎日を過ごさせていただいています。

もし私という人間に出合わなければ、逆に言えばそういう方々との出会いこそが、私を現状に満足させることなく、常に誰かのためにもっと役に立てる人間でありたいと奮い立たせてくれているのです。

頑張ってきて良かった、もっと頑張ろう、幸せな人生を歩ませていただいています。

さて、私が最も気になっている、日本人、農耕主体に歴史を刻んできた日本民族は欧米人と比べ背中が使えていない、背骨が動かない、広背筋が機能していないという表現に異を唱える方もいるかもしれませんが、もう20年も前からそう思い続け、その機能を改善することで、我々の身体能力はまだまだ向上させられるという信念のもとに、様々な試行錯誤を続けています。

その一つの形として、『FBT』という簡単な4つのパターンに集約した体操を考案し、私の示したやり方をしっかり理解して継続すれば、一人の例外もなく背中を使えるようになって、目的を達することが出来るという確信を得ています。

ただ残念なのが、私が直接指導をした人も含めて『似て非なるもの』になっていることです。

このことは私の指導力不足にも問題はあると思いますが、本当の意味で私が伝えたことを理解しないまま、私の出会うことのない第三者に指導してしまわれていることを見聞きし、その方々に申し訳なく思っています。

そんな中今朝早く、先々週の日曜夜に行った東京でのセミナーに参加してくださった『曽我』さんからメッセージが届きました。

セミナー終了後に、小学生の息子さんが『カリオカ』を行っている動画を見せられ、失礼ですがへなへなした動きで、曽我さんが言われる通り、どういう風に言ってもこんな動きしかできないと、いらいらされていることが分かる動きでした。

まさに背骨に力がないというか、骨盤が後傾し背中が丸まっているので、体を捻じるという動作には全くなっていない状態でした。

私の答えは一言『とにかくFBTを継続してください』でした。

それから2週間、親子でFBTに取り組んでいただいた結果、今朝の息子さんの動きが明らかに前よりきれいでカッコ良い動きになっていたのだそうです。

ちなみにこの2週間、カリオカの動作自体は全く行っていなかったそうです。

「手足がしっかり連動し始めている、これまで何をやっても改善されなかったのが、たった2週間で、正直嘘だろうと思うくらい驚いたし感激しました!」と興奮を隠しきれず、まずは私に伝えたいとメッセージを送っていただいたのでした。

「今日は朝から縁起がいいぞ」と気をよくして一日のスタートが切れました。

また今朝は何故のんきにパソコンに向かえているかというと、昨日一昨日と指導を受けに来てくれたドイツの2部リーグでプレーしている『しもちゃん』が、本来今日の午前中、それも飛行機の関係で、営業時間前の7時から3日目も指導をしてほしいと、無理を言われていたのですが、二日間の指導でお互いに納得できる最低限のことは伝えられたという判断で、今日の午前中は休みにすることが出来ました。

それには昨日の午後来てくれた、先日4日間で動きを改善してほしいとやってきたばかりの、昨年まで同じくドイツでプレーしていた『太田圭祐』君が、午前中で指導を終えていたしもちゃんとのコラボしたトレーニングを許してくれたことが大きな力となりました。

私は基本一対一の個人指導でしか指導しませんが、先日も同郷であるという共通点だけで、競技も年齢も全く違う二人の選手を一緒にトレーニングさせたところ、想像以上の相乗効果を感じ、昨日の午後もそれを狙ったものでした。

私の指導を受けたいと遠くからわざわざ来てくれる選手たちの意識は当然高く、それが組み合わさると本当に一対一では分からなかったところまで明確になり、お互いがありがとうと言い合える結果となるのです。

今回は『サッカー』と『ドイツ』という大きな二つの共通点があり、まさに目的とする動き作りが同じなわけですから、お互いの動きをみることで本当に大きな変化を見せてくれました。

それにしても、今の時期、日本のJリーグもシーズンオフのはずなのですが、なぜか私の元を訪れ、今の間に少しでも動きを改善したい、選手として成長したいと言ってくるのは、海外でサッカーに挑戦している選手ばかり、意識の違いというか、なんなのでしょうね。

私自身このブログ等にしか自分の考えを発信する場がないわけで、私の存在さえ知らないと言われればそれまでですが、こうしてこれまで全く縁のなかった選手たちが、私という人間に賭けてみようと真剣なまなざしで向き合ってくれることが、何より私のやる気を奮い立たせてくれます。

またそういう意識の高い選手たちは、これまで何もしてこなかったということはあり得ない訳で、サッカーの世界では知らない人がいない(申し訳ないですが私は全く知らない方たちですが)という有名な方であったり、大きな組織でスタッフとして仕事をしているという人たちからも指導を受けたことがあるというのです。

そういう指導を受けた時には、これは凄い自分の能力が明らかに成長できたと喜んだ反面、なぜこの指導が私を変えてくれたのだろうと、本質的な部分が伝わっていないため、気がつくと元に戻っていたとか、どうやったらいいのか分からなくなったということになっていたようです。

指導する側に言わせれば自分が教えたことこそが正しく、受け取る側の能力に問題があるということになるのかもしれませんが、本気で向き合いきちんと理解させ、それを継続しているという条件は付きますが、本当にそれが人間の体にとって効率的な正しい体の使い方であるならば、きちんと身に付き大きな成長を約束するものでなければならないはずです。

しかし、残念ながら私の目にはその指導の結果が、私の指導しているレベルとは全く違うものであると言わざるを得ません。

そういう方々がメジャーな組織で指導をしていることを知ると、今までの私なら「よし自分なら」と力が入っていたと思いますが、今の私はそうであるからこそ、私という人間を探し出し、わざわざ広島まで指導を受けに来てくれた選手にこそ、『人間の体はね・・・』に続く、人間が持って生まれた本質的で効率的な体の動かし方を指導し身に付けてもらうことで、当たり前のことを当たり前と思ってやっているだけの選手たちに対して、大きなアドバンテージを与え、大活躍をしてもらうことが、私の楽しみとなっています。

それが分かるからこそ、彼らはライバルたちに私の存在を知られたくないというのでしょうね。

もう組織団体の中で誰かの顔色を伺ったり(そんなことをしたことがあるのかと言われそうですが)真剣に向き合おうともしない選手やスタッフの中で仕事をしているより、どう考えても今の方が楽しいしやりがいを感じています。

やはり私は一人一人に向き合う職人仕事が向いているようです。

実は来週、大阪で行ったセミナーを受講してくれた指導者の方から、その方が監督を務める地元の高校に指導に来てほしいという依頼を受け、承諾しました。

私が100人近い選手たちに、今と同じスタンスで向き合うことは難しいと思います。
そのために指導者のためのセミナーで講師を務めさせているわけで、そういう組織に対してこそ、指導者に学んでいただき、日々の指導に生かして欲しいと考えています。

そのきっかけになれるように、真剣に伝えてこようと思っています。

本当に日々色々ありますが、私の基本的なスタンスが決まりつつあります。

これまでの経験をさらに発展させ、どんな競技のどんなレベルの選手に対しても、明確な目標設定の元に、私の指導を継続すれば必ずこんな動きができるようになって、こんなプレーができる選手になれると、確信を持って取り組んでもらえるよう、もっともっといろいろな経験を積んでいきたいと思います。

午後からは、またまたドイツの4部リーグでプレーしているという選手が来てくれます。
彼の成長のために、全力を尽くします!

私の目指しているトレーニングの方向性

皆さんのお住まいになっている地域には、大雨の被害はなかったでしょうか。
ここ広島では大変なことになっています。

私の住む地域では特別な被害はありませんでしたが、直線距離で6キロくらいしか離れていない坂町という地域では、町が殆んど冠水してしまい、屋根の上から救助を待っている方がたくさんおられます。

また少し東側に離れた国道2号線沿いを流れる『瀬野川』が、ところどころ決壊して道路を破壊し、大きな被害が出ています。
お亡くなりになった方もたくさんいらっしゃるとのこと、ご冥福を祈るとともに、現在行方不明になっている方が無事でいることを祈らずにはいられません。

このタイミングでというわけではありませんが、午前中の予約の方からキャンセルの連絡があったので、自宅でパソコンに向かっています。
次の更新でテーマとしたかった、『私の目指しているトレーニングの方向性』について書いていきます。

まず、私が使い続けている『体づくりから動きづくりへ』という言い方です。

もう26年位前になってしまいましたが、Jリーグ開幕に合わせて『サンフレッチェ広島』というクラブにトレーナーとして招聘され、会社員を辞め故郷宇和島で小さな治療院を開業してたった2年しかたっていなかった私が、プロのサッカークラブという未知の世界に身を投じることになりました。

それまで対象としていた一般の方や、主として地元の高校生のスポーツを行っている生徒たちから、いきなりプロスポーツ選手の指導ということになったことで、それまで経験したことを基礎にしながらも、大きな方針転換を迫られることになりました。
繰り返しとなりますので、そのあたりのことは過去記事をご参照ください。

そこからの数年は、まるで試行錯誤の繰り返しで、どこにも答えはなく誰も教えてくれない、すべてを自分で切り開いていかなければならない環境の中で、選手一人一人のために何をすることが一番良い選択なのか、ひたすら考え続けました。

朝令暮改という言葉がありますが、良い意味でそれを実践し、朝にはこれが最良だと信じていたことを、それから数時間の間の出来事から違う考え方になってと、常にその時その瞬間の最良を探し続けてきました。

そこには、その時々相手を納得させるだけの言葉は見つけられず、行動あるのみ結果が全てと、次々に投げかけられる無理難題に対応するために必死な毎日だったように思います。

そして長い年月が過ぎ、自分の経験を次代に伝えようという考えにやっとなってきた5年ほど前から、感覚だけで行ってきたことを言葉にする作業を、このブログ等の媒体を介して行ってきました。

その過程において『西本理論』なる言い方をされるようにもなってきました。
理論というのは、一定の基準を満たした数値化されたもので、その記載通りに追試すれば、同じ結果が得られるというもので、私がこうして書いていることなど、理論などという言葉は使ってはいけないものであることは十分わかっています。

例によって前置きが長くなりましたが、私が目指しているトレーニングの本質について書きたいと思います。

まずトレーニングの目的ですが、一般的には肉体改造という名のもとに、筋肥大・筋出力の向上が主たる目的となっています。
その効果の判定は誰の目にも明らかなもので、身体各部の計測によってトレーニングによる体格の向上を確認することができます。

また筋出力に関しても、扱える重量の増加と回数の増加が、そのままトレーニングの効果として確認することができます。
ですからこの部分に関して私は何ら否定するものではないことは、すでに何度も書いてきました。


ではなぜ、体づくりではなく動き作りという考えに至ったかということです。
私が宇和島で開業していた頃に縁あって指導させていただいた高校生の野球部員や、女子バスケットボールの選手たちは、この体づくりを目的としたトレーニングで、彼らやその指導者の方々が望む効果は十分に感じて頂けていたことと思います。

それがプロのサッカー選手たちの中には、もちろんまだそれが必要な選手もたくさんいましたが、すでにそのレベルを超え、数値で表せるような変化を求めたトレーニングでは、その選手のパフォーマンス、動き自体の向上は望めないと思わざるを得ない選手も多かったのです。

まず考えたのは、各トレーニング種目における『関節の可動域』でした。
重量や回数が頭にありすぎると、1回1回の動作が可動域のすべてを使い切っていないという現象が起きます。

私の体に対する基礎となっている、骨盤と背骨を6方向に連動させるという、人間本来の体の使い方を行うためには、その6方向への可動域がとても重要となるのです。

私の考えてきたことを時系列の整理することはもう無理なのですが、いつの頃からか、というより早い時期に今のやり方が正しいと思うようになりました。

現在多くの方がトレーニングの指導を職業とし、トレーニングコーチやトレーナーという肩書で活動しています。
そういう方々は、それぞれが個性を発揮し、独自のトレーニングやドリルを考え指導しています。
こういうトレーニングを行えば、こういう競技のこういう動きが改善できることをアピールし、さまざまな工夫をしているようです。

指導を受ける選手の側も、自分の課題を改善してくれそうなトレーニングを求めて、そういう方々の元を訪ね歩いて指導を受けることは当然のことかと思います。

そういうトレーニングを見聞きするたびに、次々と新しいトレーニングを作り上げる皆さんの創意工夫に驚くこともあります。

それに引き替え私のやっていることは、十年一日を通り越して20年以上も同じことを続けています。
しかし、それは変化を拒んでいるのではなく、人間の体の本質を探り続けて行けば行くほど、枝葉を広げていくのではなく、基本となる6方向への体の連動を行うための基礎となる部分に、もっともっと磨きをかけていくことこそが、人間が持って生まれた本来の能力を発揮できるようになる唯一無二の方法だと思わざるを得ないからです。


現在進行形で4か月ほど週に2回のペースで指導を受けてくれている選手からも、このことを私自身が学ばせてもらっています。

私のトレーニングの特徴というか、他のトレーニングとの大きな違いは、1種目を1セットしか行わないこと、行う順番には絶対的な決まりを設けていること、おそらく少し離れたところから見てもらったとしたら、扱っている重量に絶対値の少なさに驚いてしまうこと、などでしょうか。

『筋肉の仕事は骨を動かすこと』、この言葉に異を唱える人はいないと思います、これは紛れもなく真理です。
人間の活動は、骨が動き関節の角度を変えることです。

体づくりを目的としたトレーニングを行う場合、意識は目的とした筋肉の収縮、いわゆるその筋肉に効かせることが目的となります。
「そうやって筋肉を強化することが、骨を動かすことの力強さに繋がる、何の問題があるのだ」、そう反論されるでしょう。
しかし、私にはどうしてもその論理が受け入れられなかったのです。

そこで生まれたのが、骨を動かしていることをしっかり意識できるトレーニング、それを『動きづくりのトレーニング』と、名付けたのです。

トレーニングを行う選手の性別や年齢、競技レベルに関わらず、行う種目は基本的に同じです、人間の体の使い方の向上が目的なのですから、違うはずはないのです。
もちろん求めている正しい動きが出来るように、重さが違うことは当然です。

その上で競技動作に即した種目を加えていきます。
夜間トレーニングに6か月間通ってくれたサッカー兄妹が、劇的な変化を見せてくれたことは、この基本の繰り返し以外の何物でもありません。

言葉は悪いですが、素人受けするような、「これを行ったら何かいいことがありそう」などという感想はおそらく聞かれないと思います。
ですから目先の効果を期待されるのであれば、そう言う指導を受けた方が良いと思います。

4か月間継続してくれている選手にしても、すぐに競技結果に結びついているわけではありません。
それどころか始めた頃には、このトレーニングの意味や目指すところを全く理解してくれませんでした。

それが回数を重ねるにつれ、過去経験したさまざまなトレーニングが、目先の効果を期待した枝葉のものだったと感じるようになり、一つ一つの動作の効果を、私が求めている骨盤と背骨を中心とした、まさに『背骨を動かすためのトレーニング』だと気づいてからは、トレーニング自体を楽しいと感じてくれるようになりました。

その選手との会話の中で、私自身多くのことを感じ取ることができ、目先の効果を求めた目新しいトレーニングを考えることは、そういう人たちに任せ、私は人間の体が持って生れた能力を発揮できるように、骨を動かすという本質を追い求めていくことを続けようと思います。

そのトレーニングの中に、本当に自分の課題が分かっている選手たちは、それに対する答えを見つけてくれます。

その過程を共有することで、私自身の考えがどんどん深まっていくのですから有難いことです。

最後に一言ですが、ワールドカップの試合を見ていて、『90分間頭と体を動かし続ける能力』はもちろんのこと、『ここ一番の一歩目のスタート』がどれだけ大切かということを痛感しています。

その能力を向上させるためにも、それを目的としたドリルを考えるのではなく、今行っているトレーニングを地道に継続していくことこそが、必ずその能力を向上させてくれると確信しています。

改めて、現在大変なことになっている方々がご無事でありますように。


プロフィール

Author:西本 直
1993年、Jリーグサンフレッチェ広島を皮切りに、社会人野球三菱重工広島・協和発酵・ヴィッセル神戸・川崎フロンターレ、そして広島カープ佐々岡真司投手など、プロアマ問わず競技レベルのスポーツ選手から一般の方まで、トレーニングやメンテナンスの指導を行ってきました。
その経験と知識の蓄積を「西本理論」としてまとめ、一人でも多くの方に実践していただくことが、これからの私の使命であると信じ、このブログから発信していきます。
私の理論はスポーツ選手のみを対象としたものではなく、ビジネスマンや家庭の主婦まで老若男女すべてに当てはまる不変のものです。
指導や講演のご依頼も受け付けています。
日々の気づきやブログの更新情報はツイッターに書いていますので、チェックしてみてください。
2013年9月9日にConditioning Studio 操をオープンしました。
「西本塾」と「深める会」を開催しています。
4月19日に行う深める会の募集を行っています。
詳細はStudio操ホームページ内の「講習会情報」をご覧ください.
「1回5分体が喜ぶ健康術」はアマゾンで在庫切れのことが多く、購入希望の方にはご迷惑をおかけしています。
出版元からの購入は可能ですので、ガリバープロダクツ(代)082-240-0768までお問い合わせください。

最新記事

カレンダー

03 | 2020/04 | 05
- - - 1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30 - -

カウンター

検索フォーム

QRコード

QR

フリーエリア

http://ecx.images-amazon.com/images/I/51P40WM8EQL.jpg