ボールを投げるという動作について、プロ野球の投手に望むこと。

今日は定休日、いつもならゴルフの練習に行くことが多いのですが、今日は昨日買ってきた本を集中して読みたいので、家で過ごそうと思っています。

と言ってもゴルフの本なのですが、これまで読んだものとは一味もふた味も違うもので、昨日少し読みましたが、まだまったくイメージが湧かないほど難解なものです。

ここはひとつ腰を据えてじっくり読んで、私の動きづくりの理論にもヒントを頂けるのではと期待しています。
内容に関しては、私自身が理解できたら改めて記事にしたいと思います。

さて、あまり真剣には見ていないのですがプロ野球はセパ両リーグとも意外な展開で終盤を迎えています。

まずはパリーグですが、前半戦あれ程の強さを見せたソフトバンクホークスが、ここへきて失速し、日本ハムファイターズとトップを争うという予想だにしなかった展開を見せています。

そしてセリーグですが、地元広島カープが、それこそシーズン前に誰も予想しなかった快進撃を見せ、マジックナンバーが点灯した後も順調に数を減らして、25年ぶりの優勝へのカウントダウンが始まっています。

そんなカープファンも、長嶋巨人の時代に、同じくらいのゲーム差をつけて独走かと思われたシーズン後半に大逆転を喫し、メークミラクルという言葉で語り継がれることになったという苦い経験があるようで、常識的に見てももう大丈夫だろうという時期になっても、なかなか大きな声で「優勝」の二文字を口にするのを控えていたようです。

さすがにここまで来ると間違いないでしょうから、今、広島の街はカープが優勝したら何をしたら良いのだろうと、各方面で準備に余念がありません。

何せ25年振りのことですから、当時のことを知らない人の方が多いくらいになっています。

私が広島に移り住んだのはその後ですし、とくにカープに興味もなかったので、優勝どころかAクラスに入ることも珍しいカープが当たり前だと思っていました。

現在2軍の投手コーチをしている佐々岡真司君のパーソナルトレーナーとして9シーズンを戦いましたが、あくまでも個人の仕事であって、チーム全体の心配までは関知する立場にはありませんでしたし、優勝などという言葉とは無縁の9年間でしたから。

それが昨年までのカープとは全く違うチームになったように、選手と首脳陣そしてスタッフが、毎試合活き活きと戦うチームに変貌してしまいました、テレビの画面からでもその雰囲気は十分に伝わってきます。

中でも逆転勝ちの多さは群を抜いており、テレビを見ていても多少の失点は相手に対するハンデキャップというか、先行された方が試合そのものが面白いと感じるほどの強さを見せています。

ここでそのカープの強さに迫るのが今日の目的ではありません。

相手のチームがなぜこうも簡単に逆転を許してしまうのかという問題です。

先日の中日戦でも、接戦を戦い延長戦に入った10回表2アウトランナーなしから、まさかの7点を奪いそのまま裏を押さえての勝ちゲームという試合でした。

カープの打撃陣が凄いと言えばそれまでなのですが、後アウトを一つとればチェンジという場面から7点も取られてしまう中日の投手陣は何をしているのかということです。

これまでもボールを投げるという動作に関して何度か記事にしてきましたが、改めて私の考えを書いておきたいと思います。

投手が打者に対してボールを投げるという行為は、打者が見逃しか空振りをして三振に取るか、打ったボールがフライとなってノーバウンドで野手が取るか、ゴロを打たせ状況次第ですが、野手から野手への送球でアウトを取ることが目的です。

スピードがあるに越したことはありませんが、けっしてスピードガンコンテストをしているわけではありません。

では打者をアウトにするための投球動作とは、どういう要素が考えられるのでしょうか。

ピッチャープレートとホームベースの間は、18.44mと決められています。

その距離で向かい合うことに関してはすべての投手平等な条件です、ただ160㎝の身長の投手と2mを超すような投手では、打者から見える距離感はまったく違うものになることは当然のことです。

まずはその距離間の問題です、何をもっての距離感か、それは投手の指を離れた位置の問題です。

解説者の言葉でよく聞かれる「リリースポイントが打者に近いとか、この投手は球持ちが良い」と表現される問題です。

打者は投手の指からボールが離れたところから、自分のヒッティングポイントまでを目で追う訳ですから、その距離が短ければ短いほど打ちにくいということになります。

さらには現代野球では何種類もの変化球が存在しますので、その判断にも影響してきます。

そして究極の変化球である直球、最も空気抵抗を受けずに初速と終速の違いの少ない、いわゆる伸びのある速球を投げるためには、ボールが指から離れるリリースに瞬間に、どれだけ多くの回転をボールに与えられるかが勝負となります。

そのために必要な要素がまさにボールを長く持ち続けるということになります。

スナップを聞かせるという表現がありますが、手首のスナップは手首関節の屈曲動作ではなく「内旋運動」がその仕事を行います。

肩から肘手首と、それぞれの関節が内旋動作という目的のために連動して、初めてボールに強いスピンをかけることができます。

投手が投球フォームを作って行くうえで、究極の目標となるのはこの動作です。

1センチでも1ミリでも、打者に近い所でボールを離す、それが結果として打者から見て、リリースポイントの直前までボールが投手の後ろ側に隠れ、見えた瞬間に自分に向かって飛んでくるという、最も打ちにくい投球動作でありボールになるということです。

その感覚が身に付いた投手ほど、当然ですがコントロールも良くなります、手首を小指から振出し手のひらが内旋する瞬間にボールが指を離れて行くのですから、肩肘手首と目的とするコースに向かって振り出していけば、そこに投げ込めない訳はないのです。

ではなぜその当たり前のことをプロの投手たちは出来ていないのでしょうか。

動作解析とかいうものも導入され、正しい体の使い方を指導しているという人も増えてきました、にもかかわらず日本のプロスポーツの最高峰と言われ、歴史もあるプロ野球の投手たちがいまだにそれが出来ないのです。

過去に指導した選手たちも、その事実は理解してくれたとしても、最終的に肩肘手首が内旋運動をしてくれることができるようになるための、一連の体の連動動作にまでは目を向けようとしません。

私が指導したらすべての投手が同じフォームになるという意味ではないのですが、自分がこれまで作り上げてきたと思っているフォームを見直すことなく、最後の最後の手先の部分だけを直そうとしてもできるわけはないのです。

そのために必要な各部分の意識、そしてそれを統合し連動させるためのドリルなど、地道に取り組むことなく、分かったような気持ちになってしまう選手が何と多かったことか。

こんなことを私が書いても、プロ野球の投手たちは私の指導を受けてはくれないでしょうが、サッカー選手の体の使い方も同じで、こうすればこうなるのにというはっきりとした方法論を既に持っていて、過去にそれを結果として示してきたにもかかわらず、私の理論や方法論が広まって行かないことにいら立ちすら覚えます。

野球の場合は、打者との駆け引きや配球といった問題もありますが、根本的な問題はいかに打者の近くでボールを離せるか、しっかりとしたスピンをかけられるか、その基本の上に他の変化球があるのです。

そこが分かっていないから肩や肘を痛めて戦線を離脱したり、たった一つのアウトが取れないままに7点も取られてしまうことになるのです。

本気で自分を変えようという選手はいないのでしょうか、私から見れば本当にもったいないと思う選手がたくさんいます。

すべての関節の6方向への連動性を十二分に発揮して、それぞれの競技動作に必要な動作を作り上げていく、野球の投手は試合の勝ち負けを決める80パーセント以上の責任を負っているはずです。

もっと本気で覚悟を持って自分の仕事に向き合ってほしいと思います。

もう間もなくカープの優勝が近づいてきます、25年ぶりの優勝、広島の街はどんなことになるのでしょうか。

それにしても今日の夜放送の「NHKプロフェッショナル」に登場する、サンフレッチェ広島の監督である「森保一」という男、2部降格阻止を期待され監督を請け負った彼が、どうやって4年間で3度の優勝に導いたのか、個人的な友人でもある彼の秘密を今日は是非見せて欲しいと思います。

セリーグ6チームの中で25年間も優勝できなかったカープと、18チームがひしめくJ1リーグで、優勝を重ねるサンフレッチェ広島というチーム、広島ではどうしてもカープの扱いが大きくなりますが、全国の皆さん、野球が好きサッカーが好きとかいうことを超えて、森保一という人間をもっと評価して欲しいと思います。

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バットスイングはダウンかアッパーか。

今日のスポーツナビのサイトの中にスポーツ報知の記事があって、セリーグの打率首位に立ち、ホームランの数も自己最多ペースで量産している、巨人の坂本勇人選手のバッティングがどう変わったのかという記事を読みました。

昨シーズン終了後、昨季216安打の日本プロ野球記録を樹立した、西武の秋山翔吾選手と打撃論を戦わせたことが大きなきっかけとなったことが書かれていました。

秋山選手は高校卒業後プロ入りし、それなりの成績は残していましたが、肘の手術をきっかけに何かを変えるなら今しかないと取り組んだ打撃フォームの改造が功を奏し、昨年は素晴らしい成績を収めたことも書かれていました。

その記事をきっかけに、私は野球好きの三男と一緒に、秋山選手そして坂本選手の動きがどう変わったのか、そしてなぜそれが結果に結びついているのかを分析してみました。

その変化を一言で表すと、いわゆる「ダウンスイング」から、バットの軌道を「アッパースイング」に変えたということでした。

言葉で言うとあっさりしたものになりますが、野球を経験したことがある人のほとんどは、バットのヘッドは上から下へ切るように振れと教わったと思います。

右打者であればバットは自分の右側で、基本的には肩よりも高いところにグリップがくるように構えます。

バットは先が太く重く作られていますから、そのグリップの位置よりヘッドを高く構えることで、重さと重力を利用して、ヘッドが出てきやすくなるように構えを作ります。

そして下半身から回転させることで、上半身との捻転さを大きくし、最後に肘からグリップそしてバットのヘッドが体に巻きつくようにスイングすることで、ヘッドスピードを速くしボールを強く叩くことができるというわけです。

こういう形状をした棒状のものを振るという動作に対しては、理論的に全く間違っていない正しい体の使い方であると言えます。

ほとんどの打者がそれを極めようと努力し、それをもって自分の理想のスイングだと定義します。

目の覚めるようなホームランを打ったときのスローをみると、まさにそういうスイングに見えます。

しかし、投手と捕手は、打者にそういう気持ちの良いスイングをさせないことが一番の目的で、スピードや球種を変えたり、コースギリギリをついたり、配球を工夫して打者の意表をつくボールを投げることで、なんとか打ち取って行こうと努力するのです。

狭いストライクゾーンの中で、もしコースも球種も事前にわかっていれば、プロの打者ならかなり高い確率で打ち返すことができるはずです。

しかし現実には4割を超える打率を残した選手はいません、どんなに頑張っても、7割近くの確率で打ち取られてしまうということです。

それが野球だと言えばそれまでなのですが、前年までそれほどの結果を残していなかった秋山選手が、突然打ちまくったという表現しかできないような大活躍を見せたことに周囲は色めき立って取材を繰り返していました。

その結果が一言で言うと、ヘッドの軌道をアッパーにしたというものでした。

アッパースイングは悪いスイングの見本のような言われ方をされてきました。

右打者であればバットのヘッドだけではなく体全体が右へ傾き、ヘッドが肩より下を通ってなおかつ体から離れたところしか振れないからダメだという論法になります。

メリットといえば当たれば遠くへ飛ばせるということくらいでしょうか。

逆にダウンスイングに関しては前述した通り、バットを振るという動作にとっては理に適っているわけで、これを否定する材料は少ないと思います。

しかし、現実にはその理想のスイングでも7割はアウトになってしまうということもまさに否定のできない事実でした。

そこで秋山選手が取り組んだのは、構えの時のグリップの位置を少し下げ、肩に担ぐくらいの位置に変えました。

そうすると当然ヘッドを立てて構えることが難しくなり、いわゆる寝かせた構えになります。

そうすると理屈で言えばヘッドの重さが落下するときのエネルギーを使えなくなり、当てることはできても強く叩いて遠くに飛ばせないというデメリットが出てくると思う人が多いと思います。

事実小柄で単打狙いの選手や、逆に外国人選手のように腕っぷしの強さで1キロにも満たない重さのバットなど、低い構えからでもとにかく力強く振ることができるという選手もいます。

秋山選手はそういう体ではありませんし、結果としてヒットの数は増えましたが、決して当てるだけの単打狙いではありません。

秋山選手が狙った一番のメリットは、ボールを捉えることに関して、点で捉えるか線で捉えるかという究極の選択でした。

投手が投げてくるボールの軌道は、160キロを超えるような高速球であっても、物理的に絶対に浮き上がることはありませんし、投手の手を離れた後、捕手のミットに吸い込まれる間が直線でもありません、誰がどんなボールを投げようと捕手に近づくにつれてボールは落下していきます。

イメージとしては放物線を描いているということになります。

ということは打者はその放物線の後半部分、それも最後の最後に近いところでボールを捉えるわけですから、極端に言えば上から落ちてくるボールを打っていると言っても間違いではありません。

にも関わらず、打者がダウンスイングを良しとして振り下ろしているわけですから、バットとボールが接する部分は一点のみという事になります、だから確率が悪いわけです。

では秋山選手が目指したアッパースイングとはどういうものなのでしょうか。

彼のスイングをYouTubeで確認しましたが、少し低くしたグリップの位置と、少し寝かせたヘッドを、体の回転で無理なく振り出すことで、特にアッパー軌道を感じさせない自然なスイングになっています。

そのことで放物線後半の落下してくる軌道と、バットのヘッドが動いていく、ダウンを少し過ぎた、ほんの少しのアッパーな軌道上で、ボールを捉えています。

ボールを捉えることができる部分を、点ではなく線に変えたということです、確率が上がって当然です。

さらには低く構えたままステップしていく際に、グリップエンドがさらに後方に移動し、おへその向きが右へ45度回転することで、私が提唱する人間の捻転動作の理想である45度プラス90度の135度という角度の捻転動作を余すところなく使えています。

これがスイングアークを大きくし、それほど強く叩いているようには見えなくても、遠くへ飛ばせている要因です。

様々なコーチや関係者の助言はもちろんあったと思いますが、すべては自己責任の世界ですから、勇気を持って取り組んだことは素晴らしいことだと思います。

ボールの軌道のことや、捻転の135度理論など、体の仕組みを少し学んでくれれば、なるほどそういうことかと分かってもらえるはずです。

その理解の上でフォームの改造を模索しなければ、広島の堂林選手のように毎年毎年フォームを変えても、彼にとって正しい方向へ進んでいるとはとても思えません。

すべては基本となる体の仕組みがあっての応用です、目先の結果にとらわれてしまうと、見えるものも見えなくなると思います。

そういうわけで昨シーズンの秋山選手は、大きな勲章を得ることになりました。

できることなら私の理屈も知っておいてくれると、自分のやっていることにさらに自信を持って取り組むことができると思います、戻る基本があればスランプなどというものは関係がなくなりますから。

その秋山選手との会話で何かを感じた坂本選手ですが、フォーム自体は昨年と大きく変わった様には見えませんでした。

今年のホームランシーンを見ると、こんなことに気づきました。

例えがゴルフに変わりますが、ゴルフではドライバーショットとアイアンショットでは打つ時のイメージが変わります。
それはドライバーショットを打つ際には、ボールはティーアップされていて地面の上にはないからです。

ドライバーのヘッドはスイングの最下点を過ぎて、上がり際にボールを捉えます、ヘッドを直接ボールにぶつける様な意識で打つとまっすぐにも遠くにも打つことはできません。

アイアンショットは逆にスイングの最下点がボールを捉えた直後で、直接ボールに対してヘッドが衝突していきます。

もうお分かりでしょうか、坂本選手は構えやスイングの動きを変えずに、アイアンをドライバーに持ち替えてスイングしていると見えるのです。

構えや打ち方は同じでも、秋山選手の言葉をヒントにアッパー軌道にするためにはどうすればいいのかを考えた結論が、今のスイングなのではないかと分析しました。

昨年までボールを捉えるために振り降ろしていた位置のボール3個分くらいでしょうか、そこに向かって振り下ろすイメージを持つことで、そこが最下点となり、スイングを変えることなく自然に振り上げられていくアッパー軌道の中でボールを捉えているというわけです。

取り組み方はそれぞれ違いますが、過去に言われていた、アッパー軌道とは、ただバットを振り上げるというイメージではなく、どんなにダウンスイングをしようとしても最終的には振り上げられるヘッドの軌道の、最下点を過ぎたところでボールを捉えることが、バットがボールを捉えることができる時間というか距離を長くしてくれて、確率を高くし遠くへ飛ばせるという理想的なスイング軌道だったということです。

もちろんあのイチロー選手のスイングにも同じことが言えます。

息子の勉強になると思って一緒に動画を見ましたが、私の言っていることに素直に頷き、自分もそう思うと言える感性は、生まれた時から私がスポーツの世界で生きてきたのを間近で見て育った息子だからなのかなと思いました。

最後に息子はこう言いました、「この理屈がみんなわかればコーチは要らないね」と、そうなんです、正しい体の使い方や効率的なバットに軌道よりも、それぞれの経験論が重視されていることが、本当の意味で選手を育てきれない大きな原因ではないでしょうか。

投手の体の使い方も同じです、私の声はどこにも届かない様ですが、求められればきちんと指導できる準備はいつでも整っています。

細い体の使い方は、実はすでにこのブログを読めばヒントになることはたくさん書いてありますし、newspicksの連載でも書いたと思います。

それらをつなぎ合わせることで、ほんの少しのスポーツ新聞の記事からもこんな面白い分析ができました。
皆さんもどうぞそれぞれの感性で物事を捉える練習をしてみてください。

投げるという動作再考、当たり前のことは当たり前だと思って欲しい。

広島地方も桜が満開となりました。

日曜日には他の予定もあって市内の中心部に行ったので、せっかくだからと平和公園に寄ってみました。
満開の桜の下、老若男女外国人の方もたくさんの方がお花見を楽しんでいました。
私と家内はその人たちと見事な桜の美しさに、日本の風情を感じながら公園を歩きました。

さて、「1回5分体が喜ぶ健康術」が発売されて1ヶ月近くになりましたが、私の思惑では売れ行き好調で重版となり多くの方に読んでいただけるようになっているはずでした。

もちろん読んでいただいた方からは、漫画の部分があることでとても読みやすく分かりやすいと、良い評価をいただいていて、私自身も前著「朝3分の寝たまま操体法」を書いた時以上の充実感というか満足感があります。

間違いなく、これまでの健康指南書とは一線を画した、本当の意味で体と向き合うための気付きを与えられる内容になったと自負しています。

前著は講談社プラスα新書というブランドの力が大きかったのでしょうか、初版が6000部だったと記憶していますが、発売から3日後くらいに重版の連絡があり驚いたことを覚えています。

今回は初版部数が3000部と少なかったため、すぐにでも重版がかかると期待していましたが、残念ながらそうはなっていません。

本の最終章に書いた、体づくりではない動きづくりのためのトレーニング、まさに西本理論の根幹となる内容ですが、新著が版を重ね2万3万部という、出版不況の今ベストセラーと言ってもいい数字に達してくれたら、続編として書かせていただけるのではと期待しているのですが、もう少し時間がかかるようです。

あまり好きな言い方ではありませんが、マスコミに影響力のある方が一言でも私の本のことを話題にしてくれたら、今の状況も一変するかもしれませんが、そんな他力本源ではダメですね。

新著は自信を持ってみなさんのお役に立てる内容になっていると思うので、みなさんの周りでも話題にしていただき引き続き応援よろしくお願いします。

今日の主題は野球の投げるとうい動作についてです。

過去にも触れたことはありますし、newspicksのアスリート解体新書でも取り上げたことがありますが、もう一度整理しておきたいと思います。

実はこの投げるという動作は、野球という競技に限定したものではありません。
肘を肩よりも上にあげる動作を必要とする競技のすべてに当てはまるものです。
テニスやバトミントン、バレーボールやバスケットボール、その他たくさんの競技に当てはまります。

野球の投げるという動作やテニスのサーブをイメージしていただくと、ボールをリリースする瞬間、ラケットがボールを捉える瞬間、どちらも手のひらはボールの進行方向を向いています。

それは当然のことでラケットの面が向いている方向にボールが飛んでいかないわけがありません。

しかし、その直前まで実は手のひらは右利きの方であれば、90度左を向いた角度を保っていることにお気づきでしょうか。

ラケットを振り上げた瞬間から面が相手コートの方を向いていたら、羽根つきをしているような打ち方になるはずです、強いサーブを打つことはできません。

ラケットの握り方を考えてもそのことはわかると思います、面を立てた状態で横から握手をするように握るわけですから、その握りでそのまま面を前に向けたのではラケットを強く振ることはできません。

ではどうやってラケットを振っているかというと、握った時に下になっている側のフレームの部分を小指側から金槌で釘を打つように振ると強く振ることができます。

そのままではフレームでボールを捉えることになりますが、実際にはちゃんとラケットの面でボールを打つことができます。

これが人間の体の関節の連動のなせる技です。

肩から肘手首と、内側に捻る動作が連なって、小指から振り出したつもりのラケットが、ボールを捉える瞬間に90度回転してきちんと当たるのです。

意識してそうしなくても、人間の体はそういう風に連動することが自然にできるように作られています。

テニスをやっている方にとっては、今さら何を言っているのかという初歩的な動きです。

ところがこの関節の連動がうまくできないと、肩肘手首とそれぞれの関節の可動域を使い切ってしまうことになり、関節内で骨どうしがぶつかりあったり、筋肉の腱の部分や靭帯を挟み込んでしまう、いわゆるインピンジメント症候群と呼ばれる状態となります。

野球選手が訴える肩や肘の痛みの原因は、これがすべてだと言っても過言ではありません、テニス肘も同じ理屈です。

ではなぜせっかく体がそうならない仕組みを備えてくれているのに、多くの選手がそういう状態になってしまうのか、考えたことがあるでしょうか。

それは結果を求めてしまう体の使い方をしてしまうためです。

「あそこに投げたい、コントロールしたい」という人間の欲が、手のひらを本来の動きよりも早い段階で目標方向に向けてしまうことで、関節の連動を妨げてしまうのです。

「かわし動作」と名付けた動きを、できなくしてしまっているということです。

ではどうすればいいのか、小指から振り出して肩肘手首の内旋運動を連動させる、すでに書いたことですがこれがすべてです。

しかしプロ野球選手であっても、この体の仕組みを理解している人は皆無と言ってもいいくらいです。

私が過去関わったプロからアマの選手や指導者でこのことをわかっている人は一人もいませんでした。

それどころか、前にボールを投げるのに小指から振り出せなんて、我々はダーツをやっているんじゃないよと、鼻で笑われたこともありました。

実際にはその動きができている選手もいますが、そういう選手であっても自分の体がそういう風に動いているなどと考えてもいないのです。

テニスやバトミントンなどのラケットスポーツやバレーボールのスパイク動作などを例に、体の仕組みを説明しても全く聞く耳を待たない人もいました。

私のようになんの実績もない人間の言うことなど、ただの素人の小理屈くらいにしか思わないようです。

その度に、これでは野球は変わっていかないな、故障で野球をやめなければならない選手、子供達が増えることはあっても減ることはないと、悲しい気持ちになりました。

そんな中私の言葉に真剣に耳を傾け実践してくれたのが、現在カープの二軍投手コーチを務める佐々岡真司くんでした。
様々な要因が重なり、藁をもつかむ状態だったのでしょうが、私の理論を基にしたドリルを繰り返し、自然にその動きが身につくにつれ、当然ですが結果がついていきました。

そのことを知っているはずの他の投手や、アマチュアの指導者たちが、私の指導方法を学ぼうとしない現実が今でも続いていることは、ある意味信じられないことです。

投げるという動作に関する理論は、すでに20年前に完成していたもので、実際に確実な結果も残しているにもかかわらずです、正しいことを正しいと思はない野球関係者に「喝」ですね。

今年に入って、そのことを真剣に学びたいと西本塾に参加した翌日、野球西本塾と言ってもいい内容で、大阪府立旭高校野球部の監督を務める井上芳憲さんに私の理論を伝えることができました。

後日学校に指導に行かせていただいたことはブログでも紹介しましたが、正しいことを正しいと認識してくれるだけで、彼らの投げるボールは勢いを増し、バットスイングが鋭く変化するのです。

高校生でも野球経験はそれなりにあります、しかし、私が教えたことを誰も知らない、教えられたことも聞いたこともないというのです。

この事実はそのままプロ野球選手にも当てはまるわけで、どのレベルに行っても経験論がまかり通り、物事を体の仕組みにまで遡って考えられる人がいなかったというだけのことです。

今回は残念ながら最近あった具体的な事例を書くことはできません。
時がきてそのことを書いても良い状況になったら、改めて書こうと思います。

今回は野球の投げるという動作について書きましたが、他の様々なスポーツ動作にも同じようなことがたくさんあると思います。

とにかく「今行っていることが体の仕組みに沿ったものであるか」、そのことなくしてフォームや体の使い方を語ることはできないということです。


高校球児を指導して感じたこと

週末連休の二日間、12月の16期西本塾に参加してくれた、大阪府立旭高校野球部の監督をしている井上芳憲さんの招きで、選手たちに対する「野球西本塾」を行ってきました。

現在は野球の直接指導に携わってはいませんが、同じ16期の野球小僧吉田顕宏君も見学どころかアシスタント状態で手伝ってくれました。

私の指導することは、例えば元プロ野球選手や社会人野球経験者が行うものとは根本的に違っていると思います。

そういう意味では、指導者が現状に対してどういう認識をしているかということが一番の問題となります。

たまたま広島に帰ってきた夜に、その日の地元紙に目を通すと、中四国の高校野球指導者が集まって勉強会を行ったという記事を目にしました。

野球という競技特性のためか、攻撃・守備・走塁・投手・捕手・野手と分類したり、さらにはウエイトトレーニングまで、それぞれの専門家、と言っても、その分野で結果を残している指導者の経験談を聞くということになるのでしょうが、そういうことが行われていました。

そのこと自体を悪いとは思いません、指導者が教員であるならば野球を教えるということに関してプロフェッショナルなはずがなく、自分が知り得ない情報を少しでも集めて、チームを強くしたいと思うのは当然のことです。

集まっていた学校の顔ぶれも、甲子園の経験者や、まさにそこを目指そうとしている学校の指導者が多かったと思います。

皮肉なことにというか、時を同じくして私は大阪で府立の公立高校の選手たちに、野球という競技を行うために必要な体の使の仕組みや使い方を教えに行っていたというわけです。

強豪校の指導者から見れば、私の指導することなど基本的すぎて、そんなことは知っているし選手たちも出来て当たり前のことだと思っているかもしれません。

しかし、私が過去指導に携わってきたプロの一流選手から社会人野球選手たちを含め、1人の例外もなく私のいう基本的な知識や使い方ができていませんでした。

指導はその部分から始めなければならなかったのです。

これは大げさに言っているわけではありません、紛れも無い事実です。

だからこそ、ほとんどの選手は故障を抱え、だましだましプレーを続けてきたのです。

そんな選手たちを受け入れ、なんとかしてくださいと言われても、私にも出来ないものはできません。

人口自体が減っていき、スポーツも多様化して、野球部に入ってくる選手たちにも変化を感じました。

40年以上前の話では古すぎるかもしれませんが、野球部に入ってくる選手というのは、それなりにスポーツ万能で、ほかの競技をやらせてもそこそこできる能力を持っていたけれど、やっぱり野球だという強い気持ちがあったと思います。

野球部の雰囲気も他の部とは少し違っていたようにも思います。

それは良い意味でも悪い意味でもそうで、未だに悪い部分が残っていることは当然良く無いことですが、良い意味での規律や礼儀まで失われてしまっていることは少し残念でした。

野球に限らず、スポーツを行う上でまず知っておかなければならないことがあります。

それは自他ともに頑張っていると思えるような体の使い方をしているときには、人間本来の能力を発揮することができないということです。

そのことに関しては、いろいろな例えを見せたり、実際の動作で理解してもらわなければ、言葉だけでは絶対に理解することはできない事実です。

その上で具体的な体の使い方という段取りになるのですが、ボールを投げるバットを振るという動きに対して、なぜどうしてこうやるんだという明確な指導を受けたことも無いし、もっといえば誰でも行っている動作ですから、考えたことも無いという答えがほとんどでした。

ここに大きな落とし穴があるのです。

四つ足の動物が二足歩行の動物へと進化し、二本の手が自由に使えるようになったことでボールを投げるという行為が行えるようになり、野球というスポーツが生まれました。

もともと体に仕組まれたカラクリをうまく使うことができれば、他の動物たちと同じように筋肉や関節を痛めることなく競技が行えるはずなのに、どうして人間にだけスポーツ障害などという概念が生まれてしまったのか、スポーツ医学云々の前に、正しく使えば体を痛めることなく、楽しんで上達していけるという方向性を求めることのほうが大事なのでは無いでしょうか。

2日間そんな思いで選手たちと一緒に汗をかきました。

シニアやボーイズで活躍し、推薦で強豪校に進んでいくのではなく、ちゃんと勉強して公立高校に進学し、その環境の中で勉強と野球を両立させようという選手たちですから、甲子園に出て次の世界に進むことだけが目標になってしまっている選手たちよりも、ある意味私の指導する内容に敏感に反応し、吸収しようという姿勢を見せてくれました。

なぜボールはこう握らなければならないのか、それはボールに正しく回転を与えるため、なぜバットをグリップエンドに近い小指で握ることが正しいのか、ヘッドの重みを使って遠心力を利用し、なおかつ肘の外旋運動でヘッドを回転しやすくできることなど、何も考えないでやってきたことにも一つ一つ意味があって、自分はこうしたいという個性は、そのことがきちんとわかった上で主張できる個性であることを知らなければなりません。

好きなように投げろ、好きなように振れではないのです。

そうした一つ一つの動作の意味がわかってくると、練習に取り組む意識が自ずと変わってきます。

正しい目標に対して正しい努力をすれば、結果は必ずついてくるのです。

ただそこに大阪という土地柄を考えると、入学時点で大きな実力差がある強豪校の選手たちとの差を、2年半の間に埋め、なおかつ彼らを上回るチーム力をつけるというのは、現実的な目標としては正しいとは思えません。

しかし、この過程を知り継続し結果に結びつくということを体験できたとしたら、甲子園に出場したことと同じかそれ以上の何かを高校野球の3年間で経験することができるのではないでしょうか。

そして彼らが成長し、親となった時、また指導者として選手の指導に携わった時、必ずこの経験が生かされると思います。

私の伝えたいことは、甲子園を本気で目指しているようなチームにこそ必要だと思います。

もう一歩殻を破れない何かが足りないという選手たちに、本当に必要なことは長時間の猛練習ではなく、人間本来の体の仕組みと使い方を知ることだということに気づいて欲しいのです。

いつかそんな日がきた時に私から学んだ人たちの出番がきっとくると思います。

それにしても野球のグランドにいる私は、我ながら本当に楽しそうでした。

写真を見ると、普段見せない心からの笑顔が弾けていて、家内からも「楽しかったでしょう」と言われてしまいました。

明日は千葉から競輪選手がやってきます。

一般の方で定期的にトレーニングを指導させていただいている方にそのことを話すと、「その人は何をしにここにくるのですか」と、少し寂しいというか情けなくなるような言葉が返ってきました。

その方は施術に関しても同じで、ある選手の椎間板ヘルニヤが改善したとか、肉離れの選手のケアをしているとか、膝の靭帯や半月板を痛めた選手の施術も行っているということを話しても、「そういう時は何をするんですか」と、まさにあなたに普段受けていただいている施術はなんのために行っているのですかと、聞き返したくなるような言葉しか出てこないのです。

別に弟子入りしてもらおうと思っているわけではありませんから、それ以上詳しい話はしませんが、体は丸ごと一つの存在であるという根本原理が、未だに理解していただけていないことは残念なことです。

競輪選手に対しては、私なりに自信を持って指導できる内容が準備できています。

このことを本人がきちんと理解してくれて、持ってきてくれるというレース用の自転車を使って、ローラー台の上で実感してくれれば、次節開催の競輪でもすぐに結果を出してくれると思っています。

「勝てない喧嘩は買わない」主義の私でしたが、勝ち負けの意味を自分の中で小さくしすぎていたところがあったので、「本人の伸び代をどこまで広げられるか」、お互いが納得できる変化をもたらすことを一つの目標として、様々な競技の様々なレベルの選手に対しても、私の力を発揮していこうと思います。

投球動作の指導

日曜日の午前中に来てくれたフロサポのメンバーの方たちの目的の一つに、趣味でやっている草野球で活躍するために、私が主張している正しい体の使い方による投球動作を教えて欲しいということがありました。

その中の一人は、神奈川県内でも有名な野球の強豪校の出身で、もちろん野球部のOBだそうです。

高校まで野球を続けたというだけで、経験のない方から見れば、かなりのレベルを想像するかもしれませんが、その方がというわけではありませんが、私に言わせると人間がボールを投げる動作の本質が分かっているというか、実際にできている人はほとんどいません。

それが上達を妨げ故障の原因になっていることは明らかですが、そう思っている人自体がほとんどいませんし、ではどうすることが正しいのかを分かっている人は、もっと少ない限られた人たちだけになってしまいます。

プロ野球のOBたちが行う野球教室でも、その部分を明確に指導しているという話は聞いたことがありません。

今回私の指導を受けていただいて、今まで行ってきたことを私がなぜ間違っていると言うのか、どうしてそれではいけないのか、そして私が提唱する体の使い方を身につけることで、どういうメリットがあるのか、短い時間ではありましたが、本質的なところは理解していただけたと思います。

ただ、それを実際にできるようになるのは簡単なことではありません。

さらには自分ができるようになったからと言って、それを人に伝えるということができるようになってもらうのは、もっと大変なことです。

9年間二人三脚で投球フォームを追求してきた、現広島カープの2軍投手コーチをしている佐々岡君でも、私が指導した内容をそのまま伝えられているかどうかは分かりません。

ただ彼は実際にそれができた人間で、9年間試行錯誤を繰り返しながらマウンドに立ち続けた人間ですから、私には分からない部分をたくさん持っているはずです。

その経験を含めて、私以上に的確な指導をしてくれていると思います。

現在の仕事で野球選手に関わっているのは一人だけです。

現在彼は高校3年生で、大学に進学して野球を続けることを前提に1年前から指導をしています。

すでに高校生としての現役は引退していますが、高校球児としての実績はまったくありません。

最後の夏の大会はベンチ入りすらできませんでした。

甲子園には行けませんでしたが、それなりの強豪校で、よその県からも選手がくるくらいのチームですから、投手としてベンチに入ることは容易ではなかったようでした。

そのうえ彼は本気で野球に取り組んだというか、小さい頃からリトルリーグに入って硬球で野球をやっていたわけではなく、中学では普通の部活で軟式野球をやっていて、ある意味選ばれて入部してくる選手とは入学時に大きく差をつけられていました。

それでも彼は諦めずに、このまま野球を続けて自分の可能性を追求したいということで、私もその夢を一緒に追いかけることにしました。

以前に書いた言葉ですが、私は「負けると分かっている喧嘩は買わない」という主義です。

それは単に逃げるという意味ではなく、勝つためにはあらゆる努力をしなければなりません、その覚悟もなく、なんとなく戦いの場に足を踏み入れても勝算などあるはずはないということです。

個人として組織として本気ではない相手に対して、私がいくら力んで頑張っても無駄なことは目に見えています。

私が彼の指導を請け負ったのは、彼にはその覚悟とやる気を感じ、何より彼には大きな可能性があると感じたからです。

過去にも何人かの中学生を指導したことがありました。

それぞれが真剣で一生懸命指導についてきてくれました。

そしてそれぞれが高校に進んで、自分の目標に近い結果を残してくれたと思います。

今回はその目標が今までとは比べ物にならないレベルを最終目標にしています。

高校野球で活躍できなかった選手が、そんな大きな目標をと思われるかもしれませんが、だからこその可能性を見出したのです。

勝つためにはから始まる指導で、体に無理をさせられることもなく、フォームに関してはまったく指導を受けていませんでした。

一からいえゼロから私の考えている理想の投球動作を染み込ませていける、格好の対象となりました。

身長は十分ですが、まだまだ体はできていません。

すべて含めて私が思ったような方向に導いています。

投球動作の詳細については過去の記事を読み返していただくとして、それを実際にできるようにすることは本当に難しいことです。

当初はまったくの素人同然で(私の求めているレベルと比較してですが)、教えても教えてもなかなか身に付いてはくれませんでした。

指導の内容は、単に体をこう使ってという指導ではありません、今行っている動作がなぜ良くないのか、これから目指して行く動作はどういうメリットがあるのか、それができるようになるためには、まずは動きづくりのためのトレーニングがあって、それを繰り返し行うことなしに、形だけの指導では絶対に身に付かないし、もしできるようになったとしても、反復継続できる体が伴わないことなど、毎回毎回口を酸っぱくしていい続けました。

前半の動きづくりのトレーニングのことを、「折り紙の折り目をつける作業」と呼んでいます。

彼にはまだ確固たる折り目はありませんでしたが、もし「私はこういう折り方で折ってきましたと」いうものがあったとしても、一度開いてしまい、アイロンこそかけませんが、折り目を消してから、私が新たな折り目をつけていく作業を行うのが動きづくりのトレーニングです。

こういうと何か押し付けているように思われるかもしれませんが、一度きちんとした折り目さえつけてしまえば、あとは個人差というか個性がありますので、同じように折り直しても、基本の部分が変わらなければ、私が教えた通りにみんながならなくてもまったく問題はありません。

そんなトレーニングと並行して、投手にとって必要な股関節の感覚やバランス感覚のトレーニングも行います。

様々なトレーニングを組み合わせることによって、私が目指す投手としての体の動きができるようになるための下地を作っていくのです。

そして最後に行うのが実際の投球動作ということになります。

この段階になっても、今日今までやってきたことはなんだったんだと言いたくなるような、過去の悪癖が大きく顔を出します。

しかしそれは当然のことで、だから私の指導を受けにきているわけで、根気良くその作業を繰り返すうちに、少しずつ変化が見られるようになってきます。

ボールを投げるという動作は、実際に行えば結果というか感覚として、ボールがどういう回転と軌道で進んで行くのかが分かりますから、他の動作に比べれば変化を実感しやすいと思います。

約1年の指導を経て、彼の動作は大きく進歩しました。

実際にキャッチボールをする機会がありませんが、なんとか機会を作ってキャッチャーミットで受けてみたいと思います、今の彼はかなりのレベルに達していることは間違いありません。

どこの誰でもこのレベルまで指導ができるのかと言われると、安請け合いはできませんが、もしこの選手を見てくれと言われれば、ある程度のゴール地点は見えるような気はします。

今年引退を決めた、中日の山本投手は現役時代肩肘の故障はまったくなかったそうです、あと10年投げ続けてもそれは変わらないだろうというコメントを見ました。

もちろんその秘訣を一言で言い表すことなどできないでしょうか、「正しい投げ方をすること」という言葉を使っていました。

私が佐々岡君と目指した理想の投球フォームもまさにそういうものでした。

「正しい投げ方」、まさに抽象的な言い方ですが、人間という動物が手に持ったボールを、マウンドに立って静止した状態からキャッチャーミットめがけて150キロにも達するスピードとコントロールを両立させ、なおかつ100球を越える球数を投げ続けるためには、どういう体の使い方が理想なのか、自分にはできないことを、その可能性を持った人間と一緒に追求できたことは、何にも勝る大きな経験でした。

それを今、同じ夢を持った少年に伝えています。


昨日も彼に話をしましたが、どんなに正しい努力も常に右肩上がりの成長を続けて行けるわけではありません。

今回でも最初は地を這うような時期が長かったと思います。

そんな期間が続いても諦めずに継続してくれて行くうちに、小さな変化を感じたり、また停滞する時期になったり、お互いに「おっ」という大きな変化を感じられたりと、その時々の感覚は一様ではありません。

しかし、的確な目標設定の元に、正しい努力を継続していけば、間違いなく目標は近づいてくるものだと思います。

まずは自分の現状を冷静に判断し、どこに問題があるのかをしっかり整理した上で、その解決方法を私が持っていると信じてくれることがスタートだと思います。

それが信頼関係ということになるのでしょうが、それを築くことが何よりも難しいことかもしれません。

私のこれまでの経験と実績ではまだまだそう思ってもらえないのかもしれません、一つ一つ目の前の問題を丁寧に解決していくことで、私ならと思ってくれる人が増えるかもしれません。

それもこれもすべては「縁」だと思います。

縁を結ぶのは偶然ではなく必然だとも思います。

どんな立場であっても、現状に満足せず向上心を持っていれば、きっと何かに出会うと信じています。

次回になると思いますが、動作と故障の関係について、特に走るときの着地の位置がなぜ膝の故障や肉離れに結びつくと考えるのか、言葉で整理してみたいと思います。


プロフィール

Author:西本 直
1993年、Jリーグサンフレッチェ広島を皮切りに、社会人野球三菱重工広島・協和発酵・ヴィッセル神戸・川崎フロンターレ、そして広島カープ佐々岡真司投手など、プロアマ問わず競技レベルのスポーツ選手から一般の方まで、トレーニングやメンテナンスの指導を行ってきました。
その経験と知識の蓄積を「西本理論」としてまとめ、一人でも多くの方に実践していただくことが、これからの私の使命であると信じ、このブログから発信していきます。
私の理論はスポーツ選手のみを対象としたものではなく、ビジネスマンや家庭の主婦まで老若男女すべてに当てはまる不変のものです。
指導や講演のご依頼も受け付けています。
実名でツイッターも書いていますので、チェックしてみてください。
また、2013年9月9日にConditioning Studio 操をオープンしました。こちらもご覧ください。
また、遠隔地にお住まいの方を対象とした動き分析とアドバイスを行っています。
詳細は「スタジオ操」のホームページ内の「遠隔サポート」をご覧ください。
今年2回目の西本塾を8月26・27の土日に開催を予定しています。
詳細はstudio操のホームページ内の「講習会情報」をご覧ください。
なお、今回も参加者が5名に満たない場合は開催しません。
9月10日には深める会も予定しています。

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