私が本当に言いたいこと。

昨日今日と二日に渡って書いてきたこと、読み手によっては自分たち日本人の体の特徴や機能を卑下し、海外の人たちの体の仕組みや機能を、ただ羨ましく思ったり賛美していると受け取った人がいるかもしれません。

そういう受け取り方をした人のために、時を置かず私が行き着いた本当の結論を書いておかなければならないと思い改めて記事を書いています。

書いてきたことはどれも紛れもない事実です。

しかし、海外の選手たちはそのことを意識もしていないしアドバンテージだと感じることもありません。

それは生まれつきであり、自分だけではなく周りの人すべて同じだからです。

日本人も同じ、周りのみんながそうだから、自分だけが特に問題があるなんて誰も思っていないのです。

でもそうではありませんでした。

ならば日本人が世界に伍して戦っていくことは出来ないのか、私がたどり着いたのは、「十二分に戦うことができる」という結論です。

世界の超一流選手のプレーを引き立てているのも、実は世界各国の代表クラスの選手たちです。

メッシの5人抜きなどという動画に出てくる対戦相手の選手たちもみんなそうです。

ではなぜそんなことが現実に起きてしまうのか、私がこれほどまでにお手本にしなければならないと言ってきた海外の選手のプレーに、実は大きなヒントが隠されていました。

彼らは自分の体の動きの特徴というか、ストロングポイントを理解していなかったのです。

彼らも同じ人間、自分より格上の選手、足の速い選手、ドリブルの上手い選手、コンタクトの強い選手、そういう相手に対して負けたくないという気持ちが当然出てきます。

そのことが彼らにとって不必要な力むという感覚を生み出し、屈筋を使ってその場に居付き、簡単にバランスを崩されてころんだり、ドリブルで逆を取られて抜かれたり、裏を取られて抜け出されると、走りに力みが出て追い付けなかったり、チャンスで股関節を屈曲する動作が出て、ボールをコントロールできずに枠を外したりと、日本人と同じミスをいくらでも犯していることも事実なのです。

海外の選手がこの事実に気づき、強さよりもしなやかさを重視するトレーニングや体の使い方を意識するようになったとしたら、我々はまた別の方法を考えなければならなくなるかもしれません、もう新しい方策などないと思いますが。

ならば我々はどうすればいいのか、まずは海外の選手と同等の背中を使う動きを身に付け、どんな状況下でも冷静にその動きを続ければいいだけのことです。

たったそれだけで、足が止まるだ、フィジカルが弱いなどといわれなくても済むのです。

信じられないのなら今まで通り、根性で走り続けたり、体を鍛えまくればいいでしょう、その先には残念ながら明るい未来は訪れません。

半年間私の理論に沿ってトレーニングを継続した中高生のサッカー兄妹は、しなやかでスピードのある動きを身に付けました。

新しい環境で、日本的な頑張るだけのトレーニングを行わなければならないことで、せっかく身に付けたものが消えてしまわないことを祈るばかりです。

海外の選手にこのことを話しても、誰一人として乗ってくる選手も指導者もいないでしょう。

それは当然のことだからです。

お手本であるべき名前を挙げてきた超一流選手にも、筋肉系のトラブルが散見されます。

彼らにして、もっと頑張れば、もっと力を入れれば良いプレーができるという感覚があるのだと思います。

そんな彼らを涼しい顔であしらうような体の使い方で、プレーができる日本選手がそろえば、日本代表は間違いなくどんな国を相手にしても、まったく気遅れする必要はないと思います。

私が本当に言いたいのは、「敵を知り己を知れば百戦危うからず」、孫子の兵法の一説にあるように、お互いの特徴を熟知し、劣っている部分は素直に認め、それを補う努力を惜しまず、相手の隙を見つけられれば、そこに活路を見出し、最後には勝利を収めることができるということです。

そのヒントどころか、答えがここに書いてあるのです。

それを実行するためには固定概念を捨て、新しいことに挑戦する勇気と覚悟を持つことです。

それが出来ない人ばかりなことを残念に思います。

スポンサーサイト

膝の故障と、背中を使えていないことの関係②日本と海外の選手の体の違いから。

昨日書き始めたことは、私にとってもとても大切なことなので、考えが分断しないように続けて書いておきます。

今日書いておかなければならないことは大きく二つ、一つは、なぜ日本で活躍した選手が海外に移籍すると、日本で見せてくれていたような動きが出来なくなってしまうのかということ、もう一つは、海外の選手たちに比べ、日本の選手の普段の姿勢やプレー時の姿勢が、どうして猫背に見えてしまうのかという問題です。

実は二つの問題の根本はまったく同じことなのですが、それを二つの側面から分析することで、ことの重要性を認識するきっかけになると考えました。

まず海外に移籍した選手の動きの変化についてですが、正直私は数年前まで全く興味がありませんでした。

どんな選手が、日本でどんな活躍をし、海外に移籍した後どうなってしまったのか、今サッカーに関わる内容を書いている私ですが、意外な人がこんなにサッカーを知っていて、詳しい情報をたくさん持っているという人が、私の周りにもたくさんいます。

そんな人たちから見ると、私は素人以下で、なぜそんな私がこんな内容を書いているのかと言われてしまうほどです。

前回のワールドカップ直前に、ご縁のあったスポーツライターの「木崎伸也」さんの依頼で、サッカー選手の動きや体の使い方に特化した分析を依頼されたことがありました。

それまで特に興味のなかったサッカーに対して、「人間の体の動きそのものに対する分析」を試みるということは、私にとっても新しい刺激を感じるものでした。

分析を依頼するため名前の挙がった世界の超一流選手たちの動きは、まさに特徴のオンパレードで、記事を書くのが本当に楽しかったことを覚えています。

ところが日本代表の選手たちに話が及ぶと、私の文字を打つ手がぴたりと止まってしまったのです。

当然良い所を探して記事にしたいということだったと思うのですが、私の目には、それ以前に穴が開くほど見続けた世界のプレーヤーたちのイメージが強すぎて、様々な項目に分けて特徴を拾い出そうとしたのですが、「特になし」の言葉しか浮かんでこなかったのです。

日本を代表する選手たちなのですから、特になしではないはずなのですが、悪くはないがどこか飛び抜けて目立つ特徴は見られないという感想でした。

それではと過去の代表選手をピックアップしていくと、私を驚かせてくれたのが「中田英寿選手」でした。

海外のトップ選手の分析をしているとき以上に、色々なことが想像できました。

その一番の特徴が、「姿勢の良さ」でした。

彼は屈強な海外の選手に体をぶつけられても、簡単に倒れることがありません、相手のパワーに対抗して体をぶつけ返す、いわゆるフィジカルが強いという言葉で言い表される体の使い方には見えませんでした。

古い言い方ですが、「柳に風と受け流し」という感じで、相手のパワーをいなし、しなやかな身のこなしで崩されかけた態勢を立て直しながらドリブルしていく姿は、見事なものでした。

ユーチュ-ブで見ることができる過去のプレー集は、選手の良い所の総集編のようなものだとは思いますが、それにしても彼の動きには当時の日本代表の誰にも真似のできない異質なものを感じました。

彼が一番活躍していた時期には、私はプロ野球選手のパーソナルトレーナーとして、日々野球の投手の体の動きのことにしか興味がなかったため、申し訳ないですが全盛期の中田英寿選手のプレーを見たことがありませんでした。

では海外の超一流選手や中田英寿選手に見られて、日本のトップ選手たちには見られない特徴、それがまさに姿勢の良さであり、具体的に言うと「骨盤が自然に反っている」ことでした。

この「自然に」と言う感覚がキーワードになりました。

日本では姿勢が悪い背中が丸くなっていると指摘された時、「胸を張れ」と言う言い方がされると思います。

小理屈に聞こえるでしょうが、筋肉には収縮と言う仕事しか与えられていません、胸の筋肉が収縮すればそれはそのまま背中を丸めることになってしまうだけで、目的である背中を真っ直ぐに保つということにはなりません。

ここに日本人特有の背中に対する意識を感じました。

日本人は長い農耕民族としての歴史の中で、体をかがめ手先の細かい作業をすることには長けていた民族です。

その良い意味での特徴が、逆に言うと背中をしっかり起こして背筋を伸ばすということを行う機会を少なくしてしまいました。

大陸の狩猟民族としての歴史を築いてきた人たちは、背中をしっかり起こし視線は遠くに保たなければなりません。

単純な例ですが、そんな歴史の違いが背骨をしっかり引き起こし、人間本来の背骨のS字カーブをキープしてくれる、「広背筋」と言う筋肉の機能を眠らせてしまったのではないかと考えました。

そういう視点で日本人と海外の選手の動きを見比べると、見事に当てはまってしまうのです。

ところが体型に劣る日本人は、体のサイズや筋力を向上させることこそが、海外の選手たちに対抗できる唯一の手段だと信じ、「肉体改造」の号令のもとに、筋力トレーニングを行ったのでした。

ところがそのことで得られたはずのフィジカルの強さは、海外の選手にはまったく通用していませんでした。

このことも書けばとても長くなるので簡単にしか書きませんが、元々のサイズと強さを持っている海外の選手は、アクチンとミオシンのニュートラルポジションからの収縮になりますが、後天的に強化した筋肉は、ニュートラルポジションが3方向へ移動してしまい、収縮させた時の余裕というかクッション性がなくなってしまうと思うのです。

だから同じ身長体重の選手同士がぶつかり合った時に、日本の選手の方が飛ばされてしまうという現象が起こります。

私は科学者ではありませんから、毎度言われる客観的なデータなど持ち合わせていませんが、毎日毎日飽きるほど見続けたプレー集からは、そうとしか思えないというのが私の結論でした。

日本ではしなやかで力みがなく、ある意味やる気が感じられないような表情の選手が、90分間を通じて「らしさ」を発揮し続け、試合終了直前に素晴らしい動きを見せて勝利に貢献するというシーンを見せてくれていたにもかかわらず、海外に行くと、人が変わったように力みが感じられ、動きのしなやかさが消えて行く選手を何人か見ることになりました。

それはなぜなんだろうと考えた時、間近で見る選手たちの体格や筋力の違いに驚き、同じ環境でトレーニングを行う中で、例えばベンチプレスひとつとってみても、指示された重さと回数を他の選手と同等に扱えなければ悔しい訳で、そうなるといわゆる頑張る筋肉「屈筋」が主役となってしまうことは明らかです。

その結果、見た目は他の選手に負けない体を手にしたとしても、動きの質でいうと明らかにしなやかさが失われていくということになってしまうようです。

このことは、一昨年、ブログにも登場していただいた川崎フロンターレサポーターの「西原雄一」さんと、等々力で試合を一緒に見させていただいたときに、ここまでのことはお話ししました。

私など遠く及ばないサッカーの知識を持っている西原さんからは、何人もの選手がそれに当てはまっていたというお話を伺いました。

私が絶賛した中田選手でさえ最後は動きの質が変わってしまったということもお聞きしました。

ただこれはあくまでも私の想像でしかなかったので、いつかこの目で海外の選手のトレーニングを生で見る機会を得て、私の想像が正しいものかどうかを確認したいということもお話ししていました。

現実として実現不可能なことだったのですが、昨年末に偶然にもその機会を得て、自分の目で確かめることができたことは幸運としか言いようがありませんでした。

海外の選手は背骨を中心とした体の動きで重量を扱い、自らの体をコントロールしています、間違いありませんでした。
引き換え日本の選手は、体の前側の筋肉、大胸筋や腹直筋などを中心にした体の使い方をします、これが私の結論でした。


そのためにはずっと言い続けている、広背筋を中心とした体の後ろに位置する筋肉の機能を高めることを最大の目的としたトレーニングが必要であるということです。

このことなくして姿勢の改善も、フィジカルの向上も望めません。

一時期、「反った猫背」という言葉を、ブログで多用しましたが、自分で意識することなく骨盤を後上方に引き上げた状態が自然になるまで、背中側の筋肉にその仕事を思い出してもらうためのトレーニングが必要なのです。

その結果として、いくら猫背になろうとして肩の力を抜いても、骨盤はその角度を変えることなくすっと上体を支えてくれます。
その状態こそがベストな姿勢を作り得るのです。


背骨全体を無理に反らせるのではありません、過去発表した記事にも書いた、「メッシの背中背番号10の下はしっかり反っているのに、肩は逆に猫背に見えるのはなぜか」と言うことです。

ブラジルのサンバダンサーの背骨からお尻にかけてのライン、あの骨盤の角度なくして、ハイヒールを履いたまま、あれだけのステップを踏むことは出来ないでしょう。

失礼ながら日本女性が足を長く見せたいとハイヒールを履いても、着地の瞬間膝は伸びておらず、腰をかがめた姿勢になります、骨盤は後傾し、股関節の伸展が出来ないからです。

日本の選手がそれぞれの良さを消さないように、海外でも活躍するためには、屈筋ではなく伸筋のトレーニング、具体的に言えば「トレーニングの目的は背骨を自由に動かせるようになること」で、背骨を動かすための筋肉の機能を高めるということです。

とくに育成年代で、基礎的な筋力も基礎体力も備わっていない状態で、高度なプレーを身に付けようとしたり、高いレベルの中に身を置くと、日本人特有の体の使い方である、体を丸め腰を落とし、地面に居付いた状態から、強く蹴って動き出す、股関節を屈強させ膝を強く引き上げ、そのために腕をしっかり振ってという動きになります。

その結果として、大きく踏み出した足を支えるために、膝や太腿の筋肉が大きな負担を強いられるということになります。

それでも筋肉を鍛えろ、もっと頑張れと言われ続け、ついにはボールを蹴ることも走ることさえ出来なくなってしまうこともあるのです。

私に言えることはここまでです、あとは指導している皆さんが本気で人間の体の仕組みを学び、痛みを訴える選手たちをどうやったら救えるのか、たくさんいる選手の中から大きな大会に出場させることだけが指導者の評価ではないはずです。

小学生から高校生までの子供たちが、体の痛みを訴えるのはすべて指導者の責任であると言っても言い過ぎではないと思います。

「自分たちはそんなことは知らない、競技の指導で手いっぱいだ」、そうでしょうか、どんな指導をしたら成績が上がるのかを考えることと、どうやったら故障を減らせるのかを考えることは同じではないのでしょうか。

スポーツの現場を見ていて悲しくなります。

膝の故障のことから、日本と海外の選手の体の特性の違いまで、思うところを書いておきました。


プロフィール

Author:西本 直
1993年、Jリーグサンフレッチェ広島を皮切りに、社会人野球三菱重工広島・協和発酵・ヴィッセル神戸・川崎フロンターレ、そして広島カープ佐々岡真司投手など、プロアマ問わず競技レベルのスポーツ選手から一般の方まで、トレーニングやメンテナンスの指導を行ってきました。
その経験と知識の蓄積を「西本理論」としてまとめ、一人でも多くの方に実践していただくことが、これからの私の使命であると信じ、このブログから発信していきます。
私の理論はスポーツ選手のみを対象としたものではなく、ビジネスマンや家庭の主婦まで老若男女すべてに当てはまる不変のものです。
指導や講演のご依頼も受け付けています。
実名でツイッターも書いていますので、チェックしてみてください。
また、2013年9月9日にConditioning Studio 操をオープンしました。こちらもご覧ください。
また、遠隔地にお住まいの方を対象とした動き分析とアドバイスを行っています。
詳細は「スタジオ操」のホームページ内の「遠隔サポート」をご覧ください。
西本塾を深める会を9月10日(日)に開催を予定しています。
詳細はstudio操のホームページ内の「講習会情報」をご覧ください。

最新記事

カレンダー

04 | 2017/05 | 06
- 1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30 31 - - -

カウンター

検索フォーム

QRコード

QR