本日はただの雑感です、実利はないと思います。

これまで色々な仕事をしてきました、過去を語ってもあまり意味はないのですが、その時々で自分の力を十分に発揮させてくれる相手に出会ってきました。

もちろんそうでない相手の方が多かったと思います。

その違いは何かと考えると、相手が求めていることと、こちらが伝えたいことの違いということになるのだと思います。

私が会社員を辞め、施術を業として生きて行こうと決め故郷宇和島に戻って開業した2年後、広島にやってきました、34歳の時だったと思います。

サッカーという競技もプロと言う組織も、トレーナーと言う職業も、まったく知らないままに広島に来てしまいました。

軌道に乗りかけていた治療院をたたむことに迷いはありました。

信頼して通ってくれている人たちに対して申し訳ないという気持ちももちろんありました。

決め手となったのは、当時の責任者だった方の一言でした、「あなたが宇和島で発揮して信頼を得ていた技術を、このクラブの選手たちのために発揮して欲しい」、その一言でした。

何の計画性もなく、会社を辞め、勢いで開業してしまったため、いわゆる経営のノウハウというものをまったく持ち合わせていませんでしたし、自分が進むべき方向性も定まっていませんでした。

ただただ自分の技術を高めて行きたい、それだけだったと思います。

今でも発行されていると思いますが、トレーナーや施術者が対象の雑誌を読み、こう言うところに紹介されたり記事を書いている人たちの技術は、駆け出しの私には想像もつかない凄いレベルの人たちなんだろうと、いつかは自分もそういうレベルに追い付きたいと、単純に考えていました。

それが面接のような形で訪れた広島で、何人かの選手の体を診て欲しいと言われ、普段を同じように施術を行ってみると、選手から返ってくる言葉は私にとって意外なものばかりでした。

一言でいうと、私の技術は過去に体験したことがない体の変化をもたらせてくれた、というものでした。

何人かに施術し、異口同音にその言葉を聞くことになり、プロと言うある意味後のない立場におかれた選手たちの切実な言葉に、自分の技術をこういう人間たちのために使ってみたいと強く思い、翌日帰る頃には気持ちは大きく傾いていたことを覚えています。

その後チームの一員となったわけですが、「あなたが宇和島で発揮して信頼を得ていた技術を、このクラブの選手たちのために発揮して欲しい」という言葉を信じて仕事をしていた私に、容赦なく浴びせられたのが、「トレーナーなのに・・・」という言葉でした。

トレーナーの仕事は、練習や試合の前にテーピングをして、練習が終わればマッサージをして電気治療をして針を打ってと、私の技術や広島に来ることになったいきさつを知らない選手やスタッフ、そしてフロントと呼ばれる現場を知らない人たちからも、直接的間接的に私の仕事を批判する声が聞こえてきました。

そういうトレーナーの人員を増やしたかったのなら、そういうことをやりたい人を雇えば良かったのです。
私はそんなことをするために広島にきたつもりはありませんし、それがトレーナーだというのなら私はトレーナーではなかったかもしれません。

私は選手と一緒に戦いたかったのです。

どうすればこの選手を早期に練習に復帰させられるか、レギュラーであれベンチ外の選手であれ、能力的に向上の余地があると思えば、そのための方策を提案し一緒にトレーニングをしました。

なぜトレーナーがそこまでやるのか、もっと他にやることがあるのでは、そんな言葉を無視して選手がチームが少しでも向上するために、私の知識や技術が役に立つことがあるのなら、当然そちらを優先しました。

選手にもっとうまくなってほしい、チームとして目の前の試合に勝ってほしい、それがすべてでした。

当然選手としては自分に関わってくれる時間が長いトレーナーに、良い評価を与えることになるのでしょうが、そんな評価を気にして仕事をすることはありませんでした。

目の前の選手が与えてくれる課題に、どう応えればいいのか、それは痛みに対する施術であったり、能力を向上させるためのトレーニングであったり、当然その当時の私では十分な対応が出来ていなかったかもしれません。

その時に思ったのが、過去に目標としてきた、幾多の有名な方々の理論や方法論、そういう方々は多くは指導者として、後進の育成にも携わっている訳で、教科書的には間違っていない方法論を身に付けている人間は、その当時でもたくさんいたはずです。

そういう人たちに学んできた知識や技術は、目の前にいる選手たちにとって本当の意味で役に立つものだったのかということです。

それを行っていれば自分たちは正しいことを行っている、一生懸命やっていることの結果として、選手が思ったような結果にならなくても自分の責任ではない、そういうことなのだと思います。

私は自分の言葉と行動に責任を負いたいと思いました。

時には選手にとって言われたくないような厳しい言葉もかけたと思います、そういうことも含めて、すべては選手を鼓舞するためのものでした。

当然全員に良く思われることはありませんでした。

そんな中で私のことを誰よりも評価してくれたのは、選手生命にかかわるような大きなケガをして、手術入院の後、復帰に至る過程をそれこそ一緒に戦った何人かの選手たちでした。

そういう選手に関わっていた時期、申し訳ないですが他の選手に対して何をしていたか、正直ほとんど覚えていません。

それでも当時の選手から、私が休日返上で若手のトレーニングを指導してくれたとか、リハビリのトレーニングに付き合ってくれてお蔭で、今の自分があります、などという言葉を聞き、記憶力が薄れたのか、目の前のことに集中しすぎて、すべてを覚えていないんだなあとか、色々なことを考えました。

当時からトレーナーと言う職業も分業化されシステマチックになることは言われていました。

しかし、私が相手にしていたのはプロのスポーツ選手たちです。

生活のすべてをかけて戦っているといったも過言ではない人間たちです、当たり前のことを当たり前に出来て、毎日ちゃんと練習していますという選手が生き残っていける世界なのでしょうか。

そういう選手たちを相手に仕事をする立場の我々が、他の人と同じ知識や技術を持っているという証の資格を武器に、組織として対応する、で良いのでしょうか。

こちらも同じプロとして、人より秀でた何かを持って選手に向き合うことが必要なのではないでしょうか。

選手のために必要な技術がないのなら、すぐにでも学んで身に付けるべきだし、それが出来ないのなら潔く身を引くべきです。
評価は選手がするものであって、組織がするのではないはずです。

現場を離れてもう5年になりました、現場への気持ちがゼロになったわけではありませんが、改めて外からプロの組織を見ていると、組織を維持していくためには仕方がないんだろうなと感じるところもあります。

しかし、やはり私の生き方から考えると、選手のためにもっとできることがあるんじゃないかと言いたくなることがたくさんあります。

広島に移り住んで四半世紀が過ぎようとしています、当初関わっていた選手たちが指導者になり、そして父となり、親子二代に渡って指導させてもらったりすることも何例かありましたし、指導者となったチームの手伝いをさせてもらったこともありました。

だから一般の方が知ることのできないことも、多少は知ることになります。

歯に衣着せず何でも言いたいことは言ってきたつもりですが、流石に言えないこともあります。

私を信頼してくれる人間に対して、それを損なうような結果だけは避けなければなりませんから。

まさに奥歯にもののが挟まったような言い方になりますが、私には世の中を変える力も、組織を変える力もありません。

それでも私に何とかして欲しいと言ってくれる人間に対しては、最善を尽くしています。

そういう選手たちと、いつ出会うのか、どんな状況で出会うのか、それは偶然ではなく必然だと思います、今がその瞬間です。

1年後3年後、そして20年後、その縁が続いていようとその場限りになっていようと、瞬間瞬間、私に出来る最高の対応をしたと、自分にウソ偽りなく思える仕事が出来ればそれで十分だと思います。

今、息子智志は私が歩んできた道を歩み始めています。
私から学んだ技術と生来の優しさで、良い仕事をしてくれていると信じています。

振り返った時に、後悔とかあの時こうしていればという反省などしても仕方がないことです、今この瞬間、自分に出来る精一杯のことをし続けて経験を積み重ねて欲しいと思っています。

今日に記事はまったくの雑感で、実利はありません。

もうすぐ59歳、この道を30年ほど真っ直ぐに歩いてきた私の独り言のなかに、同じような道を歩んでいる人たちにとって、何か感じてくれるところがあったかもしれません、本日は以上です。

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プロフィール

Author:西本 直
1993年、Jリーグサンフレッチェ広島を皮切りに、社会人野球三菱重工広島・協和発酵・ヴィッセル神戸・川崎フロンターレ、そして広島カープ佐々岡真司投手など、プロアマ問わず競技レベルのスポーツ選手から一般の方まで、トレーニングやメンテナンスの指導を行ってきました。
その経験と知識の蓄積を「西本理論」としてまとめ、一人でも多くの方に実践していただくことが、これからの私の使命であると信じ、このブログから発信していきます。
私の理論はスポーツ選手のみを対象としたものではなく、ビジネスマンや家庭の主婦まで老若男女すべてに当てはまる不変のものです。
指導や講演のご依頼も受け付けています。
実名でツイッターも書いていますので、チェックしてみてください。
また、2013年9月9日にConditioning Studio 操をオープンしました。こちらもご覧ください。
また、遠隔地にお住まいの方を対象とした動き分析とアドバイスを行っています。
詳細は「スタジオ操」のホームページ内の「遠隔サポート」をご覧ください。
今年2回目の西本塾を8月26・27の土日に開催を予定しています。
詳細はstudio操のホームページ内の「講習会情報」をご覧ください。
なお、今回も参加者が5名に満たない場合は開催しません。
9月10日には深める会も予定しています。

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