大阪府立大学サッカー部の指導を終えて。

昨夜はサッカー日本代表の試合に、サッカーファンの方は熱狂したことでしょう、今日はその話題ではありません。

29・30・31日と現地に二泊させてもらって、広島県福山市にある「ツネイシしまなみヴィレッジ」で夏合宿を行なっていた、『大阪府立大学サッカー部』の指導に行ってきました。

ちょうど1か月前、4回生の石川拓志君から突然の電話があり、チームの夏合宿中に、私の指導を受けたいという依頼がありました。

現在の場所で仕事をするようになってから、チーム単位の指導を依頼されたのは、3年前のJ2カマタマーレ讃岐以来のことでした。

私の考え方に興味を持ち、個人的に能力向上を目的として指導を受けに来てくれるという方がほとんどで、チームとして取り組もうと言ってくれることは残念ながらありませんでした。

これまで多くの選手を指導してきた中で、どんな競技のどんな年代のどんなレベルの選手であっても、高い意識をもって真剣に私の指導を受けてくれれば、本人も驚くような変化を実感させてあげられることは、私の中では既に当然の結果であって、もしこれをチーム全体として受け入れてくれるとしたら、どれだけの成果を見せてくれるのだろうと、どこからも声がかからないことを残念に思っていました。

そんな思いの中、突然かかってきた一本の電話に、「どういう経緯で私の指導を受けたいと思ってくれたのだろう、どんなレベルのチームなのだろう」と、これまでとは違った気持ちの高ぶりを感じました。

それからの1か月間、私がスムーズに指導できるように、それこそ微に入り細に渡って頻繁に連絡があり、私も割と細かいことにこだわるところがありますが、もう何の不安もなく当日を迎えることが出来ました。

当初は一日だけの指導ということでしたが、私の指導は実技指導だけで成り立つものではないので、前日の練習終了後に時間を作ってもらい、西本塾で行っているような理論的な部分の講義をさせて欲しいとお願いしました。

私も少しでもチームのお役に立ちたいと、色々な状況を想定して準備を進めていました。

石川君のきちんとした対応に、最終的に私を招聘してくれた彼に恥をかかせるわけにはいかないという思いが、私のやる気を高めて行きました。

まず彼が私の存在を知り、考え方に興味を持ってくれたきっかけとなったのが、インターネットサイトの一つである『NewsPicks』に連載された、『アスリート解体新書』と題した私の連載記事だったそうです。

その中でも、現在ドイツのチームでプレーしている宇佐美選手のことを書いた記事を読んで、一人のプレーヤーに対する分析力というか、ただの解説や批判めいたものではなく、今の彼の特徴を生かすためにはこういう考え方、こういう体の使い方をプラスすることで、特徴を消すことなくさらに成長できるという私の提言のような分析に、他の本職のサッカーライターとは違う視点を感じてくれたそうです。

その後、私の著した記事等を読んでくれ、この人の指導を受けたいと強く思うようになり、他の部員や監督を説得して予算をやりくりしたうえで、断られることも覚悟して電話をしてくれたそうです。

彼らが学ぶ『大阪府立大学』は、それぞれの学部の専門性が高く、この分野の勉強がしたいと、きちんとした目標を持って入学し、研究を続けるために大学院に進む学生が多いそうです。

サッカー部員たちも同じで、この大学にサッカーをすることが最優先で入学してくる選手は皆無のようでした。

この事実こそがこれまで私が関わってきたスポーツ選手たちと、根本的に違うところだと思います。

練習も通常は講義前、朝の1時間、週末の試合以外は、夕方全員が集まって練習するのは週に1度だそうです。

大阪の大学リーグは3部制で、それも2部はA・Bと分かれているそうなので、現在所属している3部リーグと言うのは、実質4部に相当するレベルのようでした。

昨年も2部Bへの入れ替え戦まで駒を進めながら昇格を逃し、現在前期リーグでトップに立ち、今期こそ昇格をと頑張っているようでした。

トップレベルのチームしか見てこなかった私にすれば、この情報だけで判断すると、彼らが私に要求することはどんなレベルのことなのだろうと、少し考えてしまう部分も正直ありました。

しかし、数年前までの私なら断ったかもしれない依頼でしたが、現在小学生から大人まで、どんなレベルの選手でも、少しでも向上したいという気持ちがあれば、私の知識と経験のすべてを発揮してその思いに応えてきましたので、石川君とのやり取りが進む中で、たとえどんなレベルの選手たちであっても、私自身が変わることなく、これまで以上の熱い気持ちで臨もうと決めていました。

指導の内容は細かくは書きませんが、彼らのサッカーに取り組む姿勢は、Jリーグの選手、いやそれ以上に真剣に向き合っていることに正直驚かされました。

指導前日のミーティングの後、各自大部屋で選手どうし学んだこと、アイドリングやフライングバックの動作を復習というか、明日の予習をしている物音や声が私の部屋にも届き、中には廊下で行っているグループもありました。

数人の選手たちが私の部屋に来てくれて、ミーティングの内容に関しての質問や色々な話で盛り上がり、気がつけば入浴の時間も過ぎていたほどでした。

指導当日の夜も、同じように前日以上の人数が集まり、真剣なやり取りは続きました。

昨日の朝、朝食後に広島に帰る予定にしていましたが、前日夜にどうしてもアイドリングの動きが出来なかった4回生と石川君を部屋に呼び、きちんとできるようにしてから帰ってきました。

私の目論見通り、一晩おいた方が体と頭の整理がしやすいだろうと、夜にはそれ以上の指導を行わなかったからです。

とにかく楽しい時間を過ごさせてもらいました。

誰一人としていい加減な態度で練習に取り組む選手はいませんでした。

もちろん私が言葉を荒げることなどありません、それどころか、私が話し始めても、その前の話題で会話を止めない選手を、私が叱るどころか、石川君がそれを制してくれましたが、私はそれも否定しませんでした。

今彼らの向き合っている話題は、彼らにとってとても重要なものであることは、聞こえてくる会話から十分読み取れ、けっして雑談をしているわけではないことがはっきり分かりましたから。

このブログを読んでくれている石川君としては、もしかしたら私が怒り出すのではないかと気が気ではなかったかもしれませんね。

たったの一日だけの実技指導でしたが、これまで私が温め続けてきた、サッカー選手にとって必要不可欠な要素はすべて伝えられたと思います。

最後に3チームに分かれてゲームを行ってもらう中で、一つひとつのプレーに対して、「今の動きが練習してきた動き出しだよ」とか、「今は居着いてしまってアイドリングが出来ていなかったから、動き出しが遅れボールに届かなかったんだよ」とか、背負った相手をはがすのに、落下捻転の瞬時の動作が見て取れたプレーに対しては、「今の動きとても良かったよ、自分で分かったよね」と声をかけるとにっこり頷いてくれたりと、私が教えていることがまさにサッカーを教えているということで良いのではないかと思うくらいでした。

サッカー選手はピッチの中では自由があるはずです、その自由を言葉だけにするのではなく、すべての選手が自由を尊重し合うためには、個々の能力を高めなければなりません。

私が指導しているのはその部分です、だから今回チーム全員に指導させてもらうという機会は、やっと来たか待ってましたという感じです。

彼らがこれから先、指導をどう活かし継続してくれるか、プロでもトップリーグでなくとも、サッカーが大好きで真剣に取り組む選手たちなら、私の指導でこんなにも大きな成長が出来るということを実証して欲しいと思います。

早速送られてきた石川君からのお礼のメールです。
紹介させてもらいます。

西本さん
大阪府立大学サッカー部石川です。

無事にご自宅へはお着きになられましたか。私達サッカー部は大阪へ向かっている途中です。

この度のツネイシしまなみヴィレッジでの指導、感謝申し上げます。指導を受け、チーム全員が驚きと感動の連続でありました。

走りの部分では、従来の走り方に比べ、体の軽さが大きく違い、疲れにくいことが実感できました。

また、アイドリングしながらボールを扱うことでボールコントロールの質が向上すること、次の動作に移りやすいことを感じることができました。

ロングキックでは、「全然力入れてないのにボールが飛ぶ」と、多くの部員が感動しておりました。

実戦形式の練習では、体の当て方やマークの外し方、方向転換など、サッカーに必要不可欠な動作が明らかに指導を受ける前と違い、成長を実感することができました。

そして、講義、トレーニング全体を通して、部員一同非常に楽しく過ごすことができました。
それは、今まで知らなかった体の動かし方に感動したことや、西本さんが非常に熱心に部員に接していただけたからです。
トレーニングの時間以外にも、部員に対してお話や働きかけをしていただけたこと、本当に感謝しております。

これから、ドリル、トレーニングを継続し、無意識にでも体が動くようにしたいと思います。
後期リーグが9月24日に開幕しますが、試合の中で他チームを圧倒し、明らかな違いを表現できるように、日々取り組んでいきます。

チームの状況や、結果につきましてはまたご連絡させていただきます。
また、トレーニングをしていく中での疑問など、お聞きすることもあるかと思いますので、よろしくお願い致します。

改めて、大阪府立大学サッカー部に対しての特別指導、感謝申し上げます。
また機会があれば、大阪府立大学サッカー部への指導をしていただきたいと思っております。

西本さんのこれからの活動、とても楽しみにしております、またお会いすることができれば、いろいろなお話をさせてください。

暑い日が続くようですので、体調を崩されませんよう、お気をつけください。

大阪府立大学 体育会サッカー部
石川拓志

いかがでしょうか、この文章を読んだだけでも石川拓志君と言う人間の、人となりが読み取れるのではないでしょうか。

私の末っ子智志よりも若い彼ですが、すでに旧知の仲のように勝手に思っています。

私と言う人間に指導を受けたいと奮闘してくれた「石川拓志君」に感謝、そして合宿期間中の貴重な一日を私の指導に充てることを許してくださった「山下寛雄監督」に感謝、もちろん真剣に指導に取り組んでくれたすべての選手たちに感謝、さらに常に私にまで気を使ってくれた女子マネージャの皆さんにも心から感謝します。

大阪府立大学サッカー部の皆さん、本当にありがとう、これからの活躍を期待しています!






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プロフィール

Author:西本 直
1993年、Jリーグサンフレッチェ広島を皮切りに、社会人野球三菱重工広島・協和発酵・ヴィッセル神戸・川崎フロンターレ、そして広島カープ佐々岡真司投手など、プロアマ問わず競技レベルのスポーツ選手から一般の方まで、トレーニングやメンテナンスの指導を行ってきました。
その経験と知識の蓄積を「西本理論」としてまとめ、一人でも多くの方に実践していただくことが、これからの私の使命であると信じ、このブログから発信していきます。
私の理論はスポーツ選手のみを対象としたものではなく、ビジネスマンや家庭の主婦まで老若男女すべてに当てはまる不変のものです。
指導や講演のご依頼も受け付けています。
実名でツイッターも書いていますので、チェックしてみてください。
また、2013年9月9日にConditioning Studio 操をオープンしました。
また、遠隔地にお住まいの方を対象とした動き分析とアドバイスを行っています。
詳細は「スタジオ操」のホームページ内の「遠隔サポート」をご覧ください。
「第25回西本塾」を11月18・19日の土日に開催を予定しています。
詳細はStudio操ホームページ内の「講習会情報」をご覧ください
尚、深める会も12月10日に予定しています。

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