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『動きを良くしたい』その動きとは何か。

今夜は大健闘中のサッカー日本代表チームが、予選リーグ突破をかけてポーランドとの大一番に臨む日となりました。
前評判を覆す大健闘に拍手を送ることはもちろんですが、毎日毎日個人を取り上げ過去からの縁者を取材しての報道合戦には辟易しています。

スポーツは戦いそのものがドラマであって、それ以上でも以下でもないと思います。
今夜はできるだけ寝ないようにして、リアルタイムで筋書きのないドラマを堪能させてもらおうと思っています。

さてその事はさておき、日々様々な人と接する中で思うことがたくさんあります。
そのひとつに、『体の動きを良くしたい』と言って来所される人が多いことです。

スポーツを行っている人はもちろんのこと、体の不調を訴えて来所する方の中からも、同じ言葉を聞くことがあります。

一般の方の場合、ほとんどの方の来所の目的はどこかに痛みを抱えて、それを改善して欲しいというものです。
一言で言えば、「痛いから痛くなくしてくれ」ということです。

私はこの言葉に大きな違和感を覚えます。
痛いという感覚、とくに転んだとかぶつけたとかいう、原因のはっきりしたものではなく、気がついたらこうだったとか慢性的に痛みを感じているという場合、その痛みという感覚は、その方自身の体が、今の体の使い方を続けていたらもっと大きな問題となりますよという注意信号というか、警告をしてくれているのです。

そのことに目を向けることなく、痛いから直してくれでは全く根本的な解決策にはなり得ません。
また痛みという感覚には個人差が大きく、申し訳ないですが、こんなことくらいでなにを大騒ぎしているんだと言いたくなる人から、この状態でよく日常生活に支障をきたすことなく頑張っているなという人まで、本当に様々です。

スポーツ選手であっても同じことが言えますし、いわゆる動きの良い悪いに関しても、現在行われているW杯のような世界のトップレベルの選手のプレーを見て、あんな動きが出来るようになりたいという漠然としたイメージしか持っていない場合がほとんどです。

一般の方でも運動不足で何かをやったらいいのだろうが、その何かが分からないとか、自分の体は固いから運動はできないなど、根本の部分が全く抜け落ちた知識で話をされることがほとんどです。

それぞれの競技のスペシャリストを見て、ああなりたいこうなりたいと思う事は当然ですが、ではその体がどう動いているか、そもそも人間の体が動くというのはどういう事なのか、まずはその基本中の基本というか、根元に立ち返る事なく、「動きを良くしたい、体を改善したい」という言葉の、本来の意味を見出す事はできないと思います。

まず人間は200個以上の骨で構成されています、その骨が靭帯という組織によって結合され、筋肉の収縮によって関節の角度を変える事で体を動かしています。

また我々人間は二足歩行の動物に進化して行く過程で、骨盤と背骨を中心とした6方向の運動を行えるようになり、全ての関節が6方向への可動性を連動させる事で複雑な動作も行えるようになりました。

それが日常生活では必要としないような極限の動作、分かりやすい例では体操競技の選手の動きや、詳しくはありませんがストリートダンサーのような、普通には考えられないような動きまで可能としています。

では我々一般生活者にとって本当に必要な運動、体を使うという意味はなんなのでしょうか。
それが私が言い続けている『人間が持って生まれた能力を余すところなく使えるようにしておこう』言葉に帰結します。

動きづくりのトレーニングに取り組んでくれる選手たちに対しても、「あなたが持って生まれた能力で発揮できていない部分を掘り起こしているだけで、私が新たな能力を授けるなどという事はできません」という言い方をしています。
「海の上は走れないし、空を飛ぶことも出来るようにはしてあげられないが、まだまだ眠っている能力がたくさんあるから、それらをしっかり使いこなせるようにして行きましょう」という事です。

その基本が人間の動作の基本となる6方向への連動です。
まずはお辞儀をする、背骨の一つ一つの関節椎間板と呼ばれる組織をフルに活用して背中を丸めて行く動作です。
色々なお辞儀の仕方があると思いますが、本来はこうして椎骨一つ一つの関節を連動させることが前傾するということのはずです。

逆は後ろに反らす動きですが、当然お腹を突き出して背骨を棒の様に使うのではなく、全ての関節に動きを求めます。
左右への横倒し、左右への捻転も同じです、頸椎7個、胸椎12個、腰椎5個、そして仙骨と連なって行く、いわゆる背骨をいかに6方向へしなやかに連動させられるようにしておくのか、一般人であれプロスポーツ選手であれ目的は同じなのです。

それを各競技に特化した動きばかりを追いかけてしまうから、そこに届くどころか連動性を無視した結果、連動が途切れた箇所が悲鳴をあげ故障ということになってしまいます。

日常生活の中でも、自分の体はどんな風にでも動くと言わんばかりに無理な動きを強要し、あそこが痛いここが痛いと体のせいにしている人がほとんどです。

体に6方向の連動性を再学習してもらうと、痛みも動きの悪さも、何事もなかった様に消え去って行くことの方が多いのです。

ヘルニアの診断を受けた、◯◯さんにこう言われた、誰かから押し付けられた言葉を正しく理解できないまま、自分の体はだからダメなんだと決めてかかっている人のなんと多いことか、自分の体は自分が一番分かっていると言っている人ほど何も分かっていないのです。

とにかくこの6方向への可動性を全ての関節に発揮してもらって、滑らかにしなやかに、時には力強く連動できることが、人間が持って生まれた能力であり、それらを更に昇華させて、常人には真似のできない動きを獲得したのが超のつく一流選手なのだと思います。

ウォーキングやジョギングをするのもいいでしょう、ラジオ体操もいいでしょう、そこに6方向への連動性というキーワードは含まれていればの話ですが。

そうでなければ、ある方向への偏った動きになったり、方向性は確保できたとしても、その可動域を十分に使いこなせるものでなければ、やはり十分とは言えないのです。

人間の体が運動をするということの意味をしっかり理解して、日常生活そして競技動作を行って欲しいと思います。

さて今夜の日本代表選手たちの動き、そういう視点で見た時皆さんの目にはどう映るでしょうか。

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なぜ腹筋を鍛えないと言っているのか、そして育成年代の指導者からの感想を。

まずは昨日の朝、関西地方で大きな地震があり被災された方々には本当に不安な時間を過ごされていると思います。
学生時代の友人や先日セミナーに参加していただいた方々など、大きな被害がなかった事を願っています。
亡くなられた方もあり、その中には私の孫と同じ小学校4年生の女子児童も犠牲になったとの報に、人ごとでは済まされない悲しみを感じました、心よりご冥福をお祈りします。

さて、今日は久し振りに仕事場でキーボードに向かっています。
このところ何かと忙しい日々が続いたことと、5月から自分のためにトレーニングの時間を割いているので、その疲労もあってなかなか落ち着いて文章を書くことができなくなっていました。

そんな中、自分の考えを整理しておくためにも書き残しておかなければならないことがありました。

それは地元の競輪選手とのトレーニングの中で、これまで言語化できていなかった「なぜ腹筋を鍛える事をしないのか」また、「腹筋という筋肉はどう使われるべきなのか」という問いに、私なりの答えが見つかったのです。

これまで私は、「人間の体は骨盤と背骨を中心として、前後左右そして左右の捻転と、6方向に動くことが出来て、それを連動させることで人間本来の効率的な動きが可能となる」と説明してきました。

その背骨を動かしてくれている筋肉は、体の前面にある大胸筋や腹直筋ではなく、後面に位置する広背筋を中心とした伸筋群であるから、前側の筋肉は後面の筋肉が人間の体を動かそうとする際のブレーキとなり効率的な動きを妨げるため、前側の筋肉に特化したいわゆる腹筋運動は行わないという言い方をしてきました。

いろいろな立場の方に私の考え方をお話しすると、必ず「腹筋は鍛えなくていいのですか」という質問を受けますが、それに対してこういう答え方をしてきましたが、皆さん納得がいかないという顔をされます。

腕立て伏せに腹筋運動、子供の頃から慣れ親しんだ自重を使ったトレーニングの代表種目ですし、一昔前までは腰痛を抱えた患者さんに整形外科医が当然のように指導する運動療法でもありました。

しかし私にはどうしても納得がいかず、人間の体は背骨が動くということで動作を表現している、その主役たる後部の筋肉ではなく、その収縮によってどの方向への運動も起こらない腹筋という筋肉をどう扱えば良いのか、なかなか自分でも納得できる説明が見つかりませんでした。

それが競輪選手とのトレーニングを重ねる中で、ペダリング時に骨盤を縦に動かし、背骨の伸展から膝関節の伸展という動作が、まさに私が提唱する走るという行為や、ボールを蹴る時の体の使い方そのまま当てはまるという確信を得ました。

しかし、現実としてレース中の体の動きを分析すると、上半身が潰れるというか、しっかり角度を維持出来ている骨盤に比べ、背骨の上部が丸くなりすぎていることに気づきました。

以前よく使っていた『反った猫背』という状態が一番体を使いやすいことは間違いのないことなのですが、競輪という競技の中で、ここ一番スピードをあげていかなければならないときに、どうも背中の力がペダルに伝わっていないように見えるのです。

私はもちろん素人ですが、自宅で固定ローラーを使用してトレーニングする際に、負荷を上げスピードを上げようとした時に、お腹の部分をどう使えば効率的なのかを色々試してみました。
そこで感じた事を選手に伝え、意見を交換していく中で、なるほどそういう言い方をすれば腹筋を単独で鍛えてはいけない理由と、そうは言いながら腹筋という場所をどう使えばいいのかということに、答えらしきものが見つかりました。

まずはなぜ鍛えてはいけないのかですが、これに関しては今まで言い続けてきた通りで、服直筋を鍛える収縮させるという行為は、背骨の6方向への可動性を制限してしまうからという説明で十分だと思います。

しかし、例えばスクワットという種目を行う時に、お腹に力が入っていないのかといえば絶対にその状態では高重量で立ったり座ったりのスクワットが行えるはずがありません。
ベンチプレスや他の種目、全てのトレーニング種目や競技動作にあっても、お腹に力が入っていない状態はあり得ません。

日本では古くから「臍下丹田に力を込めて」という言葉がありますが、まさにお腹に力を入れる事を重要視する言葉です。

なのになぜ私が腹筋運動を否定するのか、どの動きにおいても重要なお腹の力の入れ方、筋肉の収縮のさせ方は腹筋運動で行なっているそれとは違うからです。

筋肉は脳の指令によって、私の3・5・7理論で説明している、フラットな5の状態からアクチン繊維とミオシン繊維が重なり合うことで起こる収縮、短くなることで筋力を発揮します。

腹直筋を最大限に収縮させた状態を想像してみてください、体は少し前屈みになり呼吸すら難しい状況となります。
この状態からいったい何ができるのでしょうか。

他のトレーニングや競技動作の際に行なっている、いわゆるお腹に力を入れるという感覚はこれではないのです。

腹圧をかけるという言い方がありますが、これもぐっとお腹を固めるというよりは、お腹を引っ込めるというか横隔膜を上方に引き上げるような力の入れ方で、けっしてただ固めてはいないと思うのです。

そんな事を考えながら選手とのやりとりで得たのは、骨盤から背骨の反りの角度はトレーニングで十分作られているから、思い切って横隔膜を引き上げるようにお腹を使うことで、お腹の部分がぶれなくなり背中の力を下半身からペダルに効率的に伝えることができるのではないかという事でした。

他のトレーニング種目、それぞれの競技動作で微妙に違ってくるとは思いますが、『腹筋は固めて使うのものではなく、必要な姿勢を維持するために使う』という言い方が一番正しいように思います。

これから色々と検証作業も必要になってくるとは思いますが、以前にツイートで指摘した、C・ロナウド選手のトレーニングシーンの中で、いわゆる腹筋運動を行なっている際に、私には彼が腹直筋を収縮させているだけの腹筋運動ではなく、骨盤から背骨の角度をある程度維持させたまま上体を起こす、言ってみれば背筋による上体起こしを行なっているように見えました。

これならしっかり行う意味があると思います、その中で腹筋という部分がどう使われているかという事で、けっして腹筋を主導筋にはしていないという意識があるのだと思います。

残念ながらそういう意識を持ちにくいのが、我々日本人の体の使い方であるということも事実なのですが。

そのことに関して、先日東京で行われたセミナーの受講者の方が、そのすぐあとにオランダに研修に行かれ、私のお話ししたことが机上の空論ではなく、まさに目の前で繰り広げられた日本の育成年代の選手たちの課題である事を痛感したというコメントを頂いているので、できる範囲で紹介しておきます。

西本先生
夜分遅くに失礼します。
5/31〜6/5まで倉本さんと、講座を一緒に受けているSさん、高知県で教員をされている方と自分でオランダにU-15(中学3年代)、U-12(小6年代)の試合を観戦に行く研修会に参加して来ました。

U-12年代では川崎フロンターレが参加していたので、日本人と海外の子供達の比較ができるので楽しみにしていました。
Jリーグ下部組織の子達のレベルも非常に高いのでどこまで通用するか本当に期待していました。

予想は全く違うものになり鈍器で殴られたような衝撃を受けて帰国することになりました。
西本先生がおっしゃっていたことが本当によく分かる(まだまだ理解するレベルではありませんが)現象が起きていました。
海外の子供達は姿勢が良く、背筋ピンという状態で無理のないような体の使い方ができているように感じました。また、無理をしたような状態でもまだ体に余裕があるように感じました。
逆に日本の子供達は、猫背の姿勢から腕を振り無理して大腿部を上げようとして常にブレーキをかけてプレーしているように見えました。

日本では全国に名を連ねるチームや選手達が試合中に言い合いをし、問題がどこにあるのか分からず、試合後も本質が分からないまま相手はフィジカルが強いで片付けてしまうような遠征で終了してしまう印象を受けました。

カルチャーショックというかとても大きな衝撃を受け、また西本先生のブログやツイッターを読ませていただき、このままで日本は本当に間違った方向に進んでしまうのではないかと危機感を強く重く感じました。

まず自分が自分の体を理解しそれを今指導している子供達に活かしていくことが自分の出来ることだと決意しました!
倉本さんに出会い、西本先生に会うことができ、自分がやるべきことがとても明確になりました!
長文失礼致しました。
このような良い気づきを与えていただきありがとうございました!

また、そのことを伝えた倉本さんからも、
「本当にそう思います。日本人だけバツゲームで重りを持ってプレーしているのでは?と思うほど違いました。」
というコメントが返ってきました。

さてサッカーの指導者の方々、この現実をどう捉えるでしょうか。
戦術や個人の技術以前の問題として、人間の体をどう使うか、そのためにはどんな姿勢が必要で、どんなトレーニングが必要なのか、もう答えは準備してあります、それを伝えるためにセミナーの講師として受講者の皆さんに前に立ちました。

一人でも多くの指導者や選手たちに伝えて行かなければならないと感じています。

さて残念ながらそんな意識ができていない日本代表の選手たちですが、なんだかんだ私も今夜は応援してしまうと思います。
いつか私を唸らせるような選手たちが、ずらっと並んだ日本代表の試合が見られる日がくると信じています。

デュエルは体格や筋力ではない、武藤嘉紀選手に学ぶ体の使い方。

2018ロシアW杯の開幕が明日に迫り、普段あまりサッカーに興味のない人たちにとっても、なんとなくお祭り気分で、にわかサッカーファンとなって、サッカー談議に花を咲かせているはずのこの時期に、日本代表チームの監督更迭劇や、最近の国際試合での成績不振も重なり、4年前と比べても盛り上がりに欠ける大会前の雰囲気となってしまっています。

私自身、日本代表の試合をテレビ観戦しても、試合の内容自体にワクワク感がないというか、勝ち負けを通り越して試合自体を楽しいと感じられないというのが正直な感想となっていました。

私が得意としている人間の体の仕組みに沿った、効率的で効果的な体の使い方という観点から見ても、遺伝的な要素として体格や筋力に劣る我々日本人が、どうやって大きくて強い海外の選手に対抗するかという部分に、何の工夫も見られないことに不満を感じていました。

持って生まれた体が小さいというだけで、いわゆるフィジカルが弱いというレッテルを張られてしまっては、それ以上何をどう努力しても絶対に越えられない壁があると最初から認めてしまうことになってしまいます。

日本での活躍が認められ、海外のクラブへ移籍する選手が増えてきました。
私の選手の動きを見る視点からしても、この選手なら絶対に活躍してくれるだろうと、期待とともに確信をもってその後の動向をチェックしても、期待通りの活躍を見せてくれない例がたくさん見られます。

それがなぜなのかずっと考え、既に一つの結論を得ています。

そんないろいろな思いを込めて、西野新監督の元、最後の強化試合に臨む日本代表の選手たちの試合、昨夜のパラグアイ戦は最後のチャンスというか、もう後がない大事な試合でした。

相手のこの試合に臨むモチーベーションは別として、チームとして、また個々の選手の体の使い方という意味でも期待するところはありませんでした。

スイス戦のような放送の時間帯であれば、おそらくはリアルタイムで見ることもなかったと思います。

そんな中、なんとなくいつものような試合展開に、やはりだめかという気持ちで試合を見ていた私の目に飛び込んできたのが、前半27分過ぎに起こった武藤嘉紀選手のプレーでした。

この動画の中では3分25秒あたりからのシーンです。

派手なシュートシーンでもゴールをアシストしたパスを出したわけでもなく、ボールを受け前線に運び、クロスを上げるという、言ってみれば何でもないプレーで、特に気にしてみなければそれだけのことだったかもしれません。

しかし私はそのプレーを見た瞬間、久し振りに日本人の選手の動きに興奮しました、いつも私が言っている体格に劣る日本人が、大柄な海外の選手と渡り合うために必要な体の使い方が、短い時間の中に凝縮されていることがリアルタイムで伝わってきたからです。

そのプレーを追っていきます。
まず相手GKがセンターライン付近に大きくボールを蹴ります。
それに対応したのが6番の遠藤選手で、ヘディングでボールを前方に位置する武藤選手に返します。

このボールに対してどんな受け取り方をするのかと見ていると、普通なら胸トラップで前に落としてから次のプレーに移るのではという遠藤選手からのヘディングによる浮き球でしたが、武藤選手はボールの落ち際に体を左回りで90度回転させながら右足の甲の部分をボールに触らせ、弾ませることなくゴール方向に移動した左足の内側にあて、そのままドリブルでタッチライン沿いを駆け上がろうとしました、このプレーだけでも技術の高さを証明しています。

そこに相手15番の選手が左後方から体を寄せてきたことでバランスを崩し、ボールが足元から大きく離れてしまいます。
離れたボールに対して今度は左前方にいた相手DF4番が猛然とボールを追い、武藤選手より一瞬先に追いつき武藤選手とボールの間に体を入れ、良い姿勢を保ったままボールを保持したかのように見えました。

ところがここで4番の選手はなぜかバランスを崩してしまいます。

これは偶然ではなく、一歩遅れてボールに追いつけなかった武藤選手が、4番の選手の後方からその体の骨盤、それも大腿骨の大転子部分に、武藤選手の同じ部分を下からあてがうように体を寄せたことで、驚くほど簡単に4番の選手のバランスが崩れ状態が前につんのめってしまいました。

これが私の言う、『大転子の位置が勝負の分かれ道』と言い続けている理由なのです。

人間のバランスは左右の股間節、それも大腿骨の大転子部分であることはいくつかの実験のようなドリルを体験してみればだれにでも納得できることです。

体の大きい小さいは関係なく、この部分の位置関係で相手を制することが出来るのです。

4番がバランスを崩したその一瞬を逃さず、今度は武藤選手が4番とボールの間に体を入れてボールを保持してしまいます。
バランスを崩された4番は苦し紛れに左足を出してきましたが、そのまま転倒してしまいます。

武藤選手がボールを奪い返し、自分の体勢を右回りで反転させ前方にドリブルで進もうとしたところに、今度は先ほど後ろから押してきた15番の選手が追いついてきて、起き上った4番と15番で武藤選手を挟み込む形となりました。

そこで武藤選手は、後ろから追いかけてきた15番の右股関節部分に、自分の左大転子部分を下からあてがうようにぶつけることで、後方から勢いをつけてぶつかってきた15番の圧力に押されることなく体勢を維持し、2人を置き去りにして加速しゴ-ルラインまでドリブルで進んで右足でクロスを上げるところまでのシーンでした。

武藤選手は最初に15番の選手の後方から押された時には体勢を崩し姿勢が乱れましたが、その後の動きの中では常に骨盤が一定の角度を保ち、4番からボールを奪って反転する動作の際には、見事に骨盤から背骨がすっと伸びていました。
だからこそきれいなターンが可能となるのです。

最後の2人を置き去りにするシーンでも、骨盤の角度を維持しながら体全体を前に倒す、『重心の前方への落下』というエネルギーの使い方を見事に実践しています。

方や2人は、一瞬にして置いて行かれたことで、すぐに追わなければと体に力が入り、腰が落ち背中を丸めて力んだ状態で走り出したため、両足がその場に居着いた状態から強く地面を蹴ることで反力を得て体重を移動するという、非効率な体の使い方となってしまったことで、武藤選手についていけず、結果としてクロスを上げさせてしまいます。

いかがでしょうか、動画を何度も見て頂ければ、なるほどそういうことかと分かってもらえると思います。
体の使い方という概念から見ると、骨盤から背骨の角度、それも固定的な安定ではなく、しなやかさを持った連動、そして解剖学的な重心位置、そういう視点でプレーを見ると、これまでと違った見方ができると思います。

文字に書き起こしていくとまどろっこしいですが、これはほんの数秒間の出来事で、この体の使い方を知っているというレベルの選手では絶対に不可能なことです。

武藤選手がFC東京在籍時から、その姿勢の良さ動き出しのスムーズさに目を奪われ、その時点で日本で一番体の使い方がうまい選手だと思っていました。

それがドイツに渡り屈強な選手たちと渡り合う中で、持ち前の柔らかさが少し失われているように感じていました。
今回久し振りに、私の知っている武藤嘉紀選手の柔らかくしなやかな体の使い方を見せてくれました。

ドイツでのプレーで失いかけていたものを、思い出してくれたというか経験を積み慣れてきたということかもしれません。

日本選手の中でもそれほど大きな選手というわけではありませんし、ましてや今回の相手パラグアイの選手たちの胸板の厚さは日本選手の倍くらいはありそうな屈強な体の選手ばかりでした。

そんな選手たちを相手に肉体改造という名のもとに後天的に作った体が通用するはずがありません。
もちろんトレーニングが必要ないということではなく、武藤選手のようなポイントを押さえた体の使い方ができるようになるための体づくりは必要です。

それが私のいう『体づくりから動き作りへ』、という発想の転換でした。

骨盤の角度をしっかり保ち、骨盤と背骨をしなやかに連動させること、それを可能とするのが頑張らないように見えてしっかり仕事をしてくれている『伸筋』を使いこなせるように準備することです。

相手を大きさや筋力で圧倒するのではなく、股関節部分、大腿骨の大転子部分が重心位置で、お互いのその部分の位置関係で押し負けることなくバランスを保ち続けることができることなど、まずは知識としてしっかり頭で理解し、実際にやってみて体で納得することで、誰にでも使いこなせる武器となります。

さらにそれを可能とする条件が、顔の表情です。
歯を食いしばり力んでしまっては、伸筋を上手に使うことはできません、無駄に屈筋を使い体力を消耗するばかりです。

今回の武藤選手のプレーを、今すぐにでも代表選手スタッフ全員の前で説明させてもらい、実際に体験してくれれば、個人としてチームとしての戦力は2割くらいは上げられるのではと本気で考えています。

今は私の話を真剣に聞いてくれる人が対象ですが、当たり前のことを当たり前にできるように指導することで、近い将来、今回のように代表戦を見ながら、「いいね、いいね」を連発させてくれる選手を育成するお手伝いをさせてもらっています。

武藤選手の一つのプレーが私に勇気を与えてくれました。
本当は私ではなく、サッカーを愛する全ての人といった方が良いのかもしれません。
とくに体格に恵まれない育成年代の選手には、自分にもできるかもしれないと思ってほしいと思います。

武藤選手は180センチ近い身長ですが、説明したとおり大転子の位置は低い方が相手を制することがしやすいので、身長もハンデとはなりません。

海外の選手の中には、160センチ台でも大柄な選手に負けない強さを見せる選手はたくさんいます、その秘密がここにあるのです。

予選リーグ3試合、大方の予想は厳しいものですが、それぞれがすばらしい能力を持っているからこそ選ばれた選手たちだと思います。
自分の力を伸び伸びと発揮して、良い意味で期待を裏切る活躍を見せてほしいと思います。

武藤選手には是非その笑顔を絶やさず、しなやかな身のこなしでゴールを奪ってほしいと思います。
応援しています!

最後に、最近親しい人からこんな言葉をもらいました。
「私という人間に出合うまでは、似たようなことを言う人間に対し、自分にはない発想を持った凄い人だと思わされていたかもしれないが、本物に出合った時、自分の価値判断の基準が変わり、正しくものを見ることができるようになるから、私は私のままで、何時までも何故どうしてという真理をを追い求めてください」、というものでした。
大丈夫です、誰かの何かを気にしている暇があったら、私を信頼してくれる誰かのために頑張り続けますから!

アンドレス・イニエスタ選手、是非この目で見たいと思います。

W杯開幕が近づいてきました。
我が日本代表は、ごたごたが続いたうえに、大方の予想でも大きな期待はできそうもありませんし、個人的にも過去の試合を見る限り、選手たちの体の動きに関しても、取り立てて記事にするほどのものはないと思いますので、特別なワクワク感は感じていません。

4年前、W杯を間近にしていた頃に、雑誌の特集記事で何人かの選手の動き分析をしたことから、サッカー選手の動きを分析することが面白いと思うようになりました。

ほとんど予備知識がないまま、言われるままに指定された選手の動きをユーチューブで何度も何度も繰り返し見続けました。
あれから4年もたったのかと、月日の流れを感じています。

そして今、その中の一人だった『アンドレス・イニエスタ選手』がスペインの代表としての最後の雄姿を見せるべく、W杯に臨もうとしています。

そしてその後、バルセロナを離れ何と日本のJリーグに所属するヴィッセル神戸に加入することが決まったようです。
うわさが流れてきたときは、もし実現したら凄いことだけど、さすがにそれはないだろうという気持ちでした。
それが本当だと分かった時、サッカーは素人だと公言し、サッカーに対して特別な感情はないと言い切っていた私が、イニエスタの体の使い方をこの目で見たいと本気で思うようになりました、そしてその準備をしています。

スポーツ選手に対してこんな気持ちになったのは、ゴルフを始めた20年ほど前、当時全盛期だったタイガーウッズ見るために、宮崎で行われていた『ダンロップフェニックストーナメント』を見に行きたいと思って以来のことです。

動き分析で名前が挙がった超一流選手の中で、最も印象に残ったのが、スペイン代表のアンドレス・イニエスタとドイツ代表のメスト・エジルでした。

メッシやC・ロナルド、そしてネイマールのような派手さはなく、体も日本選手と比べても決して大きくない二人が、一つ一つのプレーを事もなくこなしていく姿に、本物のプロフェッショナルというか、サッカーがうまいって言われる選手はこういう選手なんだろうなと、まさに素人ながら感心させられました。

今回のW杯はスペイン代表としてピッチに立つイニエスタという選手をしっかり目に焼き付け、そして実際に目の前で見られるかもしれないその時のイニエスタという選手の動きをみる準備をしておきたいと思います。

予習というわけではありませんが、改めてユーチューブを検索して、イニエスタ選手のスーパープレーを堪能しています。

サッカー好きの人から言わせれば、何を今更と言われそうですが、私にとっては今見ておかなければという気持ちです。

前回のW杯前のように、動き分析のようなことを仕事として頼まれていたら、あの時以上に具体的で興味を持ってもらえる文章が書けたと思うので、そういう意味では少し残念です。

とは言え、毎度のことですが、頼まれもしないのに何かをやるのが私の常で、今日は少しだけイニエスタに関して気づいたことを書いておこうと思います。

イニエスタのプレー集を見ると、必ずと言って良いほどチームメートであるメッシ選手の姿が映っています。
ならば二人のスーパースターの違いというか特徴を見つけることができれば面白いかなと、最近ずっと動画を見ていました。

見つけました、それぞれの大きな特徴というかボールと体の使い方の違いです。

メッシは基本的にゴールに近いところで仕事をしますし、進んでいく方向もサイドに開くとかではなく、ゴールに向かって直線的です。
そうなると、いかにボールを無駄なくゴール方向へ運んでいくかが最大の目的となります。

メッシは相手ディフェンダーの動きを見て、体重と重心が一緒に同じ方向に動かなければならないように仕向けています。

右なら右へ完全に移動させてしまうという感じです。

そう言う動きをしておいて、まったく逆の方向へボールを運びます。

メッシの何人抜きと呼ばれるシーンでは、まさにこれが繰り返されます。
相手ディフェンダーも一流選手のはずですが、メッシの誘う動きにまんまと騙され、逆を取られてしまいます。

メッシが仕掛ける時、体重を右へ移動させたと見せても、骨盤とくに股関節部分はしっかりどちらにでも方向を変えられるような体勢を保っています。
そして私が2分割と呼んでいる体の使い方で、上半身は右へ、しかし、下半身は逆の左へと移動できるのです。


ディフェンダーたちは、メッシの動きに体全体で反応し、右だと思ったら右に体全体が移動してしまいます。
その時メッシの骨盤は反ったままですが、ディフェンダーは重心が下がり腰が落ちて猫背になっています。
このことは各種媒体で何度も記事にして書いてきました。

これでは2分割の動きはできません。

イニエスタの動きを語るとき、こうしてメッシの動きをある程度書いておくと、違いが明確になると思って書きました。

ではイニエスタの動きの特徴は何か、それは相手の体とボールの間に自分の体を素早く割り込ませることで、ボールを奪われずにコントロールできるということです。

メッシは相手の股を通してでも、直線的にゴールに近づこうとしますが、イニエスタは基本中盤の選手ですので、まずは確実にボールを保持することを優先しているのだと思います。

その際、自分が小柄であることを利用して、股関節部分、大腿骨の大転子部分を、相手のそれより低く当てると、体格に左右されず当たり負けすることなく、相手のバランスを崩すことができることを知っているようです。

メッシも同じような使い方をしますが、イニエスタはボールを奪いに行くときにも、相手のバランスを崩すことさえできればボールを奪えると言わんばかりに、無理にボールに行くのではなく、股関節部分を押し当てるようにして、ボールと相手の体の間に割り込んでいきます。

日本人はフィジカルが弱い、体格差や筋力差はいかんともしがたいと、何の工夫もなく言い訳に使っていますが、イニエスタのような使い方をしている海外の小柄な選手は他にもたくさんいます。

そうやってボールを確実に保持する体勢を作っておいて、周りのすべての状況が分かっていたかのような絶妙なパスを出し味方の選手を使うのですから、相手にとっては脅威としか言いようがありません。

相手選手の激しいプレッシャーの中、あれだけ落ち着いたプレーができるのは、股関節という重心位置の重要性を確実に認識しているからではないかと思います。

いわゆる足が速い選手ではありませんが、相手とボールの位置を瞬時に判断して、自分がどこへどのタイミングで走り出せばいいのかが分かるのだと思います。
それが出来るのは、相手とのコンタクトに負けないという自信があるからです。

先日見に行った中学生の試合の中でも、そういうシーンが見られましたが、イニエスタに比べると相手のプレッシャーが少ない、体が離れている状態でのプレーで、イニエスタのように相手とボールの間のギリギリのスペースに、骨盤をねじ込んでいくというのは至難の業だと思います。

今回の移籍は、バルセロナの下部組織から築き上げてきた『アンドレス・イニエスタ』というスーパースターが見せる最高のプレーができなくなりつつあることを自分が自覚したなどという表現も目にしましたが、それでも現時点で世界の超一流のプレーヤーであることは間違いないと思います。

イニエスタとメッシの特徴をあげましたが、大きく分類すると、この二つの体の使い方にすべての選手が集約されると言っても過言ではないようです。
もちろんその状況に応じて使い分けているとは思いますが、今回のW杯をそういう視点で見てみることも一興ではないでしょうか。

「今のは相手の体重と重心を完全に移動させてバランスを崩したとか、少し遅れたにもかかわらず、股関節ねじ込んで大腿骨の大転子を下からあてがったので、押されることなくバランスをキープできたな」、などと思いながらサッカーを見ると、人間の体の不思議さに感動するかもしれませんよ。

もちろん、その動きにどうやったら対抗できるかということも、裏返しの話ですから方策はできています。
しかし、守るも攻めるも「なるほど、はい分かりました」などという簡単なことではありません。
そのために必要な体の使い方、それを可能にするためのトレーニングに真剣に取り組み継続する必要があります。

相手チームの戦術や戦略を分析する専門家もいる世の中になったのですから、私のような観点で選手の動きそのものを分析し、特徴を発揮しやすくしたり、相手の動きの先回りをするといった対応策を取るなど、発想は広がるばかりですがいかがでしょうか。

なかなか他の選手の動き分析までやっている時間はないので、この選手を是非という希望もあるかもしれませんがご容赦ください。
ただ私が知らない選手の中にもたくさん素晴らしい選手がいると思いますので、どこの国のなんとかという選手は見ておいて損はないよというお勧めの選手がいましたら、教えていただければ有難いです。
一人二人なら録画してみられるかもしれませんので、よろしくお願いします。

まずは大会二日目、イニエスタのスペイン対C・ロナルドのポルトガルの戦い、夜中の試合でリアルタイムで見られるか自信はありませんが、とにかく楽しみにしています。

固定概念にとらわれず、大きな夢と希望を持ち、理想に向かって進んでいこう!

週末、久し振りにサッカーの試合を見に行きました。
J1でもJ2でもありません、育成年代の中学生たちの試合です。

先月の東京、そして来週に迫った大阪でのセミナーと、現在、育成年代の指導者を相手に話をする機会をもらっているので、現場を見るちょうど良い機会となりました。

西本塾生が指導するチームが、私の自宅からも遠くないスタジアムで試合をするから見に来て感想を聞かせてほしいということで、朝から出掛けて行きました。

対戦相手の監督も旧知の間柄でしたが、会うのは20年以上振りでした。
短い時間でしたが、昔話に話が咲きました。

試合を見ての感想ですが、私の影響を受けている方のチームの選手たちですが、聞いてみるとクラブの方針というか、私の考え方を全面的に取り入れるところまではいかないようで、FBTや走りのドリルを常時行っているわけではないそうで、ならば私に選手たちの体の使い方に対して感想を求められても答えようがないはずでしたが、やはり指導する側にそういう意識があるかないかで、選手の動きがこれほどまでに違って見えることに驚かされました。

まずは姿勢です。
明らかに骨盤の角度が違うというか、背中がすっと自然に起きている選手が何人か目につきました。
そう言う選手は動き出しが早く、ボールと相手選手の間に体を入れるという基本の動作が簡単にできるので、ボールを失わず、また奪うことも上手にできていました。


対するチームは、出足の遅れをカバーしようと、力んで上体が突っ込み、バランスを崩してしまいます。
どこかで見た光景だと思ったら、テレビで見る日本代表の試合そのものでした(笑)

とくに3人の選手の動きが目に留まり、動きを追いましたが、一般的な指導者たちは、彼らの動きを見て、『上手い選手』の一言で片づけてしまうのでしょうね。

私の選手の動きをみる視点を勉強したいという目的で、試合を見に来てほしいと言ってきたわけですが、良い動きができている選手と、そうでない選手の動きの何が違うか、どう指導すればもっと上手な動きを身につけさせてあげられるのか、まだ自信がないということでした。

私はまず、先に上げた3人の選手たちのどこが良いと言っているのかを説明し、まずは彼ら自身に自分の長所を理解させ、それを常に発揮できるように指導しなければならないことを伝えました。

自分がなぜボールを失わないのか、なぜボールを奪えるのか、そして正確なキックができるのか、それらをなんとなくできているのではなく、体の使い方という観点からしっかり理解させてあげられるようになって初めて他の選手へ波及していくということも話しました。


名選手が必ずしも名コーチになれないのは、自分の体の動かし方を明確な言葉に置き換えることができないからです、自分はできていた、自分はできなかったでは、指導ではありませんから。

対するチームは、まさに旧泰然とした雰囲気で、ベンチから飛ぶ激も、そうじゃないだろうと突っ込みたくなるものばかりでした。

この違いは何か、大げさな表現かもしれませんが、指導者に『夢とロマン』があるかないか、それだけだと思います。

自分がそれなりのレベルまでたどり着いた選手たちは、もっとレベルの高い選手や、世界の超一流選手のことを違う世界の生き物のように思っています。
自分がどれだけ努力してもここまでだったのに、という思いが根底にはあるのでしょう。

「それなりのレベルの子供たちが揃った年は、良いチームができて成績も良かったが、今年はだめです」、これではまさに自分の指導力の限界を自分で認め、それ以上のことはできないと言っているのと同じです。

そんな指導者の元では、選手たちが持っている無限の可能性を引き出してあげるどころか、蓋をしてしまうことにもなりかねません。

私に対しても、20数年前、彼が知っているトレーナーとしての私のままで、現在までの経験の蓄積や理論の構築など興味など感じてはいませんでした。

それは彼に限りません、昔出合った人間たちはその頃の私のイメージしか持っていないのですから当然のことかもしれません。
まさか私がこんなことを考え、こんな声を上げているなどとは想像もしていないでしょうから。

私はすべての物事に対して、常になぜどうしてを繰り返してきました。
「こんなことができるはずがない、考えるだけ無駄なこと」、そんな風には一度も考えたことはありません。


今回見た二つのチーム、指導者の発想の違いが、私の進化し続ける体に対する考え方を、自らが高く掲げたアンテナで捉え、それを学び指導に生かすことで、選手たちを少しでも上手にしてあげたいという、指導者として最もシンプルな欲求を満たしていくのではないでしょうか。

色々なことが重なるものです、東京でのセミナーの後、日本代表の試合をテレビで見て、改めて私が考えてきたことを指導者に伝えなければならないと思いました。

そして現場で育成年代の選手たちの試合を見る機会を得て、その思いを強くしました。

夢も希望も理想も大きく高く持つのです。

そうすれば、そこに近づくための道筋が見えてきます。
自分が上ったことのある山の頂から見える景色などちっぽけなものだと認めて、まだ見ぬ高みを子供たちと一緒に目指せばいいのです。

そうでなければ育成年代を預かる指導者として何が楽しいのでしょうか。
一緒に夢を語れる指導者の元でなければ、選手たちが本当に楽しいはずがありません。

クラブの運営等々、私が知り得ない苦労がたくさんあると思います。
それでも話をしていて夢も理想もなく現実そのものばかりを聞かされては、話が弾むはずもありません。

もちろんたった1試合を見ただけですし、久しぶりに会った私に本音を語ってくれたとも思いません。
それでも私には物足りなかったのです。

夢や理想を語るだけだは何も変わらないかもしれません、それでもそれを私なりに発信し続けてきたことで今があります。
今まで以上に夢と理想を追い求め、それが誰かの役に立つことであると信じて続けていきます。

さて今日はもう一つ、同じく西本塾生から届いた報告です。
ちょうどテレビで日本代表とガーナが試合をしている最中で、リアルタイムツイーとをしている時に届きました。
とても興味深い内容でしたので、紹介させてもらいます。

こんばんは、お久しぶりです、連絡が出来ておらず申し訳ありませんでした。
岡山市の中学校の教員となり、二ヶ月が経ちました。

県も違い、生徒の年齢も違う、ということで、この二ヶ月ドタバタかつ学びの連続でした。
いわゆるヤンキーもいる学校で、今は特別支援学級の担任をしながら、女子ソフトテニス部の顧問をしております。

本題ですが、特別支援学級の担任をしたりヤンキーたちの相手をする中で分かったことがあるのですが、彼らを追いかけた後(もちろん彼らは屈筋で走るために、西本走りがまだまだの僕でも余裕で追いつけます。)捕まえたりする中で、伸筋を使うと相手の動きが落ち着くというか、すんなり従ってくれることが多いのです。

特にあえて屈筋を使った時は、あからさまに余計に興奮してしまったりします。
伸筋は、相手の心にも響くものなのかな、と思い始めたりしています。


特別支援学級の担任となり、少しまた西本理論を僕なりにですが、勉強することができました。

ソフトテニス部はまだまだ身体の動きなどの部分に至らず、ちゃんと話を聞くとか、そういう部分に注力しています。
サッカー観戦中だと思います、お邪魔致しました。
H選手はめちゃくちゃ腕振って走って当たり前してますね、残念です。
ガーナの左サイドにいる14番に少しばかり期待しています。
また連絡させていただきます!

いかがでしょうか、私もそういう分野にまで伸筋理論が当てはまるとは正直思ってもいませんでしたが、言われてみるとまさにそういうことだったのですね。

私がやって見せる屈筋対伸筋の腕相撲が、これで説明できると思います。
むきになって屈筋で対抗しようとすれば、相手も屈筋で対抗する、まさに力と力のぶつかり合いで感情もコントロールすることはできません。

それが屈筋の意識を消し、伸筋に切り替えると、相手は力のぶつけどころを失います、力んでしか筋力を発揮できない屈筋が力めなくなれば、十分伸筋だけで押し切れるというわけです。

私が体当たりの練習を壁に向かってやったらだめですよと言っているのもこのことです。
いくら自分が、グーではなくパーとかスライムとか言って、伸筋メインのぶつかり方をしても、壁には感情がありませんので無情に跳ね返されるだけです。

大げさな言い方になりますが、人間関係も同じではないでしょうか。
自らを固くして相手を受け入れる態勢を取らなければ、相手も同じく体を固くしてぶつかってくるだけです。

相手がどんなに頑なで、取りつく島もないような人間だったとしても、こちらが柔らかく受け止めてあげることができれば、いつまでも固まったままでは人間苦しくなりますから。

伸筋屈筋だと、訳の分からないことを長年試行錯誤してきた私ですが、こういう部分の頑なさはだれにも負けない偏屈な男でしたので、「お前が言うなと」突込みが入りそうですが、今になって思うと、そういうことなのだと思います。

『体が固い奴は頭も固い、頭が固い奴は体も固い』、私がよく使う言葉ですが、いや自分は違うと思っている方も、よくよく考えてもらうと当たらずとも遠からずではないでしょうか。

いろいろ書きましたが、今自分がやっていることに満足せず、指導者であれば、もっと良い指導方法はないか、もっと選手たちのためになることはないか、無理だ出来ないと思っていることに対して、なぜどうしてと自問自答を繰り返すことで、固定概念にとらわれず、大きな夢希望を持ち、理想に向かって進んでいこうではありませんか!

付け足しですが、本当に暑くなってきました、明日以降梅雨入りが予想され、気温は一段落するかもしれませんが、気温だけではなく湿度も大きく影響するので、『熱中症』には念には念を入れて対策を講じてください、命の危険まで考えてください、後でこうしていればよかったでは済まされませんから。


W杯サッカー日本代表選手の発表を受けて思うこと

今日から6月、お決まりな言い方になりますが、あっという間に月日は流れて行きます。
あと2か月と少しで節目の年齢を迎えることになるということで、今年はこれまで以上に気持ちを引き締めて生活しているつもりですが、ここまでの5か月は自分なりに納得できる頑張りが続いていると思います。

中でも、5月の20日21日に行った、育成年代を指導するサッカーコーチたちを対象としたセミナーの講師という仕事は、これまでに経験したことのないもので、昨年末に話があってから、自分の積み上げてきたものを、明確な対象者に対して、何をどう伝えればいいのかを改めて整理してきました。

不思議なことに『西本直』という名前を検索すると、ウィキペディアに『愛媛県宇和島市出身のアスレティックトレーナー、サッカー指導者』と紹介されています。
私がウィキペディアに名を連ねていること自体がおこがましいことですが、アスレティックトレーナーはまだしも、サッカー指導者は違うように思います。

もちろん私が掲載を依頼した覚えはなく、どなたかが書き込んでくれたものだと思いますが、私のことをよく知らない人にとっては、それを見てなんとなくそうなんだと思われてしまうかもしれません。
何度も書いてきましたが、私はサッカーそのものの経験は全くありません、学生時代の体育の時間にボールを蹴ったことがあるだけです。

その私がJリーグ開幕に合わせて、現在居住する広島市に本拠地を置く『サンフレッチェ広島』というクラブに、いわゆるトレーナーとして招聘されたことが、サッカーとの出会いのようなものでした。
未経験者、素人であったことが、サッカーやサッカー選手そのものの動きを客観的に見ることができたため、他の同じような仕事をしている人間とは少し違ったアプローチができたのかもしれません。

その後、いくつかの競技のチームや個人を相手に仕事をしてきましたが、サッカーという競技に対する特別な感情はありませんでした。

それがこの5年間の間に、自分でも驚くほどの変化がありました。

それは自分自身がどうやって今の知識や技術を身につけてきたのかというプロセスをはっきり説明できないまま、目の前の難問に自問自答しながら作り上げてきたことを、自分以外に伝えることなど絶対にできないと思っていたのが、伝わる伝わらないは別として、伝え残しておかなければならないものだと確信するようになったことです。

このことは、これも何度も紹介した、サッカーを専門として記事を書いていた、ライターの『木崎伸也』という存在があったからです。
川崎フロンターレ在籍中、といってもほんの数か月のことでしたが、監督だった『風間八宏』君の取材に同席したことがきっかけで、私自身にも興味を持ってくれ、その後の付き合いが始まりました。

自己分析してみても、自分のやっていることを理路整然と整理し伝えられるタイプではなく、いわゆる職人気質で『我が道を行く』の典型だったと思います。
そんな私の積み上げてきたことを、見事に言葉に変換させ、私の考え方を一般の方にも興味をもってもらえるものに昇華させてくれたことは、私の人生を大きく変えるきっかけになったと言っても過言ではありません。
そう言い意味で『木崎伸也』という人間には、心から感謝しています。

そんなことで前回のW杯前から、超一流選手の体の使い方分析の仕事を依頼されたり、別の媒体ではサッカーに限らず、さまざまな競技の選手たちを『体の使い方』という観点から分析させてもらうなど、『西本直』という一個人の職人芸を、世に知らしめるという想像もしなかった事態になっていきました。

そんな中でも木崎さんの専門であるサッカーという競技の比率は当然髙く、必然的に私の思考もどうすれば日本の選手たちが、並み居る海外の一流国、一流選手に伍して戦うことができるようになるかということが分析の最も重要なテーマとなっていきました。

『フィジカル』という言葉が一般化し、それを本当の意味で共通言語として使うことが難しくなったと思います。

フィジカルが強い弱いですべて済まされてしまうということです。

こういう例はほかにも多くあります、○○トレーニングで、○○が安定した、あえて固有名詞は書きませんが、事の本質を本当に理解してトレーニングに取り入れている人はどれだけいるのでしょうか。

海外の一流、超一流と呼ばれる選手たちと日本選手の違いは、基礎体力だという人もいます。
ではもうすぐ日本にやってくるスペインの『アンドレス・イニエスタ選手』に、日本選手はいわゆる基礎体力で劣っているのでしょうか。

基礎体力とはなんでしょうか、体格の大きさ、筋力、柔軟性、体当たりしたときの強さ、走るスピード、それ以外に明確な比較基準を説明することもなく、なんとなくで使っている言葉ではないのでしょうか。

イニエスタ選手を育成年代から知る私の友人は、その頃から周りの選手とは違う何かを感じてはいたが、いわゆる基礎体力という観点からは他の選手に勝る部分は見られなかったと言っています。
現実として体格、スピードでは、日本選手の方が上回っている部分の方が大きいように思います。

ではなぜイニエスタ選手が世界の超一流選手であり続けられるのか、サッカーをよく知る人に問いかけると「彼は特別な才能を持っているから」、これで済まされてしまいます。
ネイマール選手しかりメッシ選手しかり、彼らと比較すること自体が間違いだと言われてしまいます。
ロナウド選手やイブラヒモビッチ選手などは、あの体格からしても、確かに比較すること自体が間違いのような気もします。
しかし、それではいつまでたっても日本のサッカーが世界に伍してなどという時代が来るはずがありません。

その対応策としてはこれも異口同音に、『肉体改造』という言葉が使われます。
本当にその概念だけで対抗できるようになるのなら、ここ数十年のトレーニング理論の変遷や器具の進化の中で、とっくにそういう選手が生まれているはずです。

先日指導を受けに来てくれたレノファ山口の『井田征次郎フィジカルコーチ』も、若手の選手から肉体改造をしたいと指導を依頼されることがあると聞きました。
そこで、単なる肉体改造ではなく、サッカー選手としての動きをいかに上手く強くできるようになるためは何が必要かを説明し、動き作りのトレーニング『伸kingトレーニング』を行う必要性を理解させ、無駄に遠回りさせない指導をしたいが、他の指導者の理解が得られないと嘆いていました。

広島に移り住みはや25年、スタートはサッカーでしたがいろいろな経験を経て今、改めて私を育ててくれたサッカーという競技に、少しでも何かお返しすることがあるのならと、さらに考えを深める努力をしています。

なんとなく違うんじゃないかと思っていたこと、こうした方が良いのにと思ってきたことに、確信が持てるようになり、小さな声かもしれませんが、こうして発信を続けていますが、日本を代表する選手や指導者の元に届くことはありません。

代表戦をテレビ観戦しながらリアルタイムでツイーとすると、多くの方から反応があります。
すべての人が私の言葉に頷いているとは思いませんが、『そうかもしれない』とは思ってくれているのかもしれません。

もう何十回何百回言い続けているかわかりませんが、日本人が肉体改造の名のもとに大きく強くのトレーニングで獲得した筋量筋力では、海外の選手たちの持って生まれた身体能力に追いつくことはできないと考えます。

走るスピードにしても、サッカーの選手に求められるのは『ヨーイドン』のスピードではないはずです。
今この場所から、どのタイミングでどこへ移動するか、その移動中周りの状況の変化に対応し、自由自在に方向とスピードを変化させられる、その判断力の速さです。


判断力が遅いと感じるのも、移動するという行為自体のスピードに自信がないことの裏返しではないのでしょうか。

そういう動きを90分間頭を働かせ体を動かし続ける能力なくして、11人の選手たちが1つのボールをゴールに運ぶという、サッカーという競技の本質を実現できるはずがないと思うのです。

パススピードが遅いとかトラップが下手だとか、ボールを受けても前を向けないとか、シュート自体の正確性がないとか、誰が見ても分かるマイナスポイントはたくさんあると思います。

そんな言いつくされたマイナスポイントが、なぜ改善できないのでしょうか。

一言で言えば『余裕がない』からです。

その余裕を作るために必要なのが、速い判断と素早い動き出しです。

体の大きくない日本選手が、明らかに体格に勝る海外の選手たちに対抗するためには、この動き出しの素早さという概念を取り入れ、それを可能にするための体の使い方を会得するために、体づくりではなく『動き作りのトレーニング』を行わなければならないのです。

そのことが分かってくると、応用として体のぶつけ方や、密着状態から相手を置き去りにするはがし方などという、分かってしまうと簡単すぎるような体の使い方もできるようになります。

W杯開幕まで2週間、もし今私が選手たちにその動きを指導できたとしたら、間違いなく動きは変わります。
まあそんなことは現実としてあり得ないことで、先日のガーナ戦をはじめ、過去の代表戦でも指摘してきたように、日本代表選手には、これからの日本を担っていくであろう育成年代の選手たちや、その指導者たちの反面教師となってもらって、「ああ、こういうときにはこうすれば良いって西本に教えてもらったな」と思い起こしてもらえるシーンが満載のゲームを行ってくれますので、私から理論だけではなく体をぶつけ合って体感してもらった事実を確認する時間にしてもらえばいいと思います。

選ばれた23人に関して、私は何も言うことはありません、それぞれ皆さん思うことはあると思いますが、決まったことは変えられませんから。

私にできることは、私が考えてきたことが、育成年代の選手たちに根付き、当たり前になっていくように、心ある指導者とともに声を上げ続けることだと思います。

あと2試合、強化試合があるようですが、もう真剣に動きを見てツイートする価値を見出せませんので、もし期待してくれる人がいたら申し訳ありませんが、しないと思います。

W杯本戦では、前回のように世界の強豪国、一流選手たちが、私の想像を超えるスーパーな体の使い方を見せてくれることを本当に楽しみにしています。
その動きをしっかり分析して、日本の子供たちのために役立つ何かを探せたら良いなと思っています。

今月11日の月曜日には、東京で行ったセミナーと同じ内容を大阪会場で行います。
私が伝えなければならないことがより明確になってきました。
受講者の皆さんとともに、育成年代の子供たちのために頑張ります。


プロフィール

Author:西本 直
1993年、Jリーグサンフレッチェ広島を皮切りに、社会人野球三菱重工広島・協和発酵・ヴィッセル神戸・川崎フロンターレ、そして広島カープ佐々岡真司投手など、プロアマ問わず競技レベルのスポーツ選手から一般の方まで、トレーニングやメンテナンスの指導を行ってきました。
その経験と知識の蓄積を「西本理論」としてまとめ、一人でも多くの方に実践していただくことが、これからの私の使命であると信じ、このブログから発信していきます。
私の理論はスポーツ選手のみを対象としたものではなく、ビジネスマンや家庭の主婦まで老若男女すべてに当てはまる不変のものです。
指導や講演のご依頼も受け付けています。
日々の気づきやブログの更新情報はツイッターに書いていますので、チェックしてみてください。
2013年9月9日にConditioning Studio 操をオープンしました。
「西本塾」と「深める会」を開催しています。
今年の第1回目は2月15・16日の土日に31期西本塾を行います、現在募集中です。
詳細はStudio操ホームページ内の「講習会情報」をご覧ください.
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