第三者の目

広島も昨日から本当に寒くなりました。

今年は、ここでの室内仕事になったので、自転車で通勤するほんのわずかな時間我慢すればよくなったので、あまり気にならなかったのかもしれません。

北国の方々はこれから本当に大変でしょうね。

さて今回取材に応えるために、サッカー選手の動きを動画で繰り返し見て行く中で、改めて感じたことがあります。

私が感じたことを、本人たちは意識しているのだろうかということです。

私が知るスポーツ選手の口からよく聞かれる言葉に、「自分が良かった時、何が良かったのかよく分からないが、結果が残ったことで満足してしまっていた」ということを言う選手がいます。

逆に、いわゆるスランプに陥った時に、「何がどう悪くなったのかがわからない」 という言葉もよく聞きます。

これでは本人の力で修正のしようがありません。

過去結果を残した時のビデオと現在を見比べてという手法がとられるようですが、良い時に何が良かったのかわからなければ、形だけその時を真似ても同じ結果が出るはずはありません。

私に言わせれば全く無駄な作業としか言いようがありません。

加えて月日が経てば、肉体的な状態も変わっていますし、精神的にも変化があって当然です。

過去のことはひとまず脇に置いて、今現在の体の状態を確認し、これから進むべき方向性を明確にしていかなければ、日々のトレーニングは一体なんのために行っているのかということになります。

毎日毎日与えられたメニューを一生懸命こなして行けば、良い方向へ進んで行くと信じて取り組んでも、今まさに来シーズンの契約が結ばれず、夢を叶えプロというレベルに到達した選手たちが、一般社会の荒波に放り出されて行きます。

選手として何を目標にしてトレーニングを行っていくのか、より高くより明確な目標を設定し、そこに到達するための階段をできるだけたくさん、一段でも多く設定することで、目標に近づいているという実感を持ちながら、日々のトレーニングを行えば、必ずたどり着けると信じています。

その過程で、階段の登り方を見ていれば、目標自体をさらに高く設定し直すこともできるかもしれません。

すべての始まりは、何を目標にするかという目標設定そのものです。

私の頭の中にある辞書の技術の定義である「自らの意図(企図)した筋肉の収縮活動を、反復継続して行うことのできる能力」にあるとおり、自分が何をしたいのか、何をしなければならないのかという部分を明確に持っていなければ、成功もいっ時の幻で、それを継続させることはできません。

言葉は悪いですが「頭の悪い選手は伸びない」という言い方はここに由来しているのです。

ただ一流と呼ばれるレベルになった選手でさえ、自分の動作を分析し言葉に表すところまでできる選手はほとんどいません。

日々苦しい練習に耐え身につけてきた経験論が先に立ちます。

そういう選手が指導者になると、自分がやってきたことと指導する動きの感覚が全く違うものになったりすることがあります。

やって見せて、こうやるんだという動きと、今口に出した動き方が違っていたりすることもよくある話です。

それほど人間の動きを表現することは難しいものなのです。

「自分のことは自分が一番わかっている」これほどあやふやな言葉はありません。

分析の対象となった6人のスーパープレーヤーたちは、私が感じた感覚を「やっぱりそういう風に見えるかい」と認めてくれるでしょうか、それとも「そんなこと考えたこともないよ」と一蹴されるのでしょうか。

私は小学生の頃から、人の動きが気になるちょっと変わったものの見方をする子供で、中学生の頃には、自分のことより他の投手の投げ方が気になって、ブルペンの中でああだこうだと言っていた記憶があります。

現実、動きの意識を少し変えるだけで、動作そのものが変わってしまいます。

一般の方でも、寒くなって体を丸くし猫背の状態が続くと、気分が晴れないとか良いアイデアが浮かばないなど、心や頭脳にも影響があることは広く知られるところとなっています。

単純に背筋を伸ばせとか、良い姿勢を意識しなさいではなく、そうなっている原因を分析し、改善に導く道筋を示してあげなければなりません。

それができるのはやはり第三者の目ではないでしょうか。

目は心の窓と言います。

最近テレビで頭を下げている人の姿が目につきますが、本当に自分が悪いことをしたと思って頭を下げているのか、そうでないのかは目を見れば一目瞭然です。

一回目は他人事のような顔で頭を下げた人物が、ことの重大さに気づき自らの出処進退を迫られたとき、改めて頭を下げるその目は一回目のそれとは全く違うものになっていました。

政治家など典型で、本気でそう思っているかどうかは、目に出ています。

顔に書いてあるというのはそういうことなのでしょうね。

話がそれましたが、スポーツ動作に限らず、コメントをいただいた「サッカー好きの音楽家さん」 の言われるとおり、体の仕組みに沿った無理のない使い方というものが、どの分野にも共通して存在するのだと思います。

それを基本として、それぞれの特徴を生かした動きを発展させて行くことが大事なのではないでしょうか。

どうやってその動きを見極めるのか、私の目にはそう見えるけれど、他の人には見え方が違っていることに、今年やっと気づかされました。

今までは、目の前に広がる風景も、選手の動きも、故障した選手の体の状態も、みんな同じように見え、同じように感じているのだと思っていたことが、自分のストレスの原因だったとは思ってもみませんでした。

他者に強制することが、どれだけ意味のないことか、強制ではなく、どう伝えて理解してもらい、良い方向へ導いていけるか。

誰よりも鋭い感性を持ち続けて、少しでも悩みもがく選手たちの、頼れる第三者であり続けたいと思います。
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プロフィール

Author:西本 直
1993年、Jリーグサンフレッチェ広島を皮切りに、社会人野球三菱重工広島・協和発酵・ヴィッセル神戸・川崎フロンターレ、そして広島カープ佐々岡真司投手など、プロアマ問わず競技レベルのスポーツ選手から一般の方まで、トレーニングやメンテナンスの指導を行ってきました。
その経験と知識の蓄積を「西本理論」としてまとめ、一人でも多くの方に実践していただくことが、これからの私の使命であると信じ、このブログから発信していきます。
私の理論はスポーツ選手のみを対象としたものではなく、ビジネスマンや家庭の主婦まで老若男女すべてに当てはまる不変のものです。
指導や講演のご依頼も受け付けています。
実名でツイッターも書いていますので、チェックしてみてください。
また、2013年9月9日にConditioning Studio 操をオープンしました。こちらもご覧ください。
また、遠隔地にお住まいの方を対象とした動き分析とアドバイスを行っています。
詳細は「スタジオ操」のホームページ内の「遠隔サポート」をご覧ください。
西本塾を深める会を9月10日(日)に開催を予定しています。
詳細はstudio操のホームページ内の「講習会情報」をご覧ください。

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