3・5・7理論その1

筋肉がアクチン繊維とミオシン繊維が、お互いに滑り込むように重なり合うことが、筋収縮の正体だということを学んだ時、その滑り込みの範囲というイメージを、もっとわかりやすく説明することができないものかと考えました。

筋肉のケガでよく耳にする肉離れという状態や、筋肉の両端が腱という組織に移行し骨に付着している部分が引きはがされる剥離骨折なども、うまく説明できるのではないかとも思ったのです。

まず、筋肉そのものに何の負荷もかかっておらず弛緩(ゆったりしている)している状態の長さを「5」という単位だと仮定します。

この時筋肉の両端はもちろん骨に付着しています。

この状態から脳からの刺激を受けた筋肉が収縮し、最大限に縮んで太く短くなった状態の長さを「3」とします。

筋肉には屈筋と伸筋があり、肘の関節を例に挙げると、上腕二頭筋が「5」から「3」の長さに収縮することで、肘の関節は伸ばした状態から曲がっている(力こぶができている)、という状態に変化させることができました。

その時、本来肘を伸ばすために働くはずの上腕三頭筋は、二頭筋の働きを邪魔しないように静かにしていなければなりません。

脳の指令によって、収縮することしかできないはずの筋肉ですが、曲げ伸ばしという相反する運動において、お互いが拮抗筋の役割を果たすようにできています。

そのことはさておき、二頭筋が「5」から「3」に短くなったことで、反対側の三頭筋はゆったりしている「5」の状態から、さらに「7」という単位にまで引き伸ばされることがで二頭筋の邪魔をしないようにしています。

簡単に言うと私が考えた筋肉の収縮形態は、この「3・5・7」という範囲の中で収縮と弛緩を繰り返しているもの、と考えることが自然なのではないかと考えたのです。

力を生み出すという意味では、「7」の状態から「3」の状態に縮むことができれば、引き算をすればもっとも大きな「4」という値の力を生み出したことになりますが、「7」はゆったりを通り越して拮抗筋の収縮によって必要以上に伸ばされた状態ですから、現実には「5」から「3」へ向かう時の「2」という単位が、力の発現の上限と考えたほうが自然でしょう。

どんなスポーツでも、構えの姿勢で力むな、という意味のことを言われると思いますが、力むとは「5」のニュートラルなポジションでいなければならない時に、すでに「3」に近い状態になっていること(すでにある程度短くなってしまっている)を意味します。

すると、「5」から「3」で「2」出せるはずの力が、「4.5」から「3」で「1.5」の力しか生み出せないということになります。

俗にいう柔らかい筋肉が良くて、硬い筋肉は良くないという言い方も、「3」に向かってどれだけの余裕を持っている状態なのかという意味だとすれば、たしかに常に固い筋肉より、普段は柔らかくゆったりしていて、いざという時にしっかり収縮してくれる筋肉のほうが上質であるという言い方も間違いではないでしょう。

ではトレーニングをしたら、この「3・5・7」という単位は変えられるのでしょうか。

「5」の基準は変わらないとして、「3」を「2」へ「7」を「8」へと、その運動範囲を広げることがトレーニングの目的であってもいいはずです。

しかし、人間の関節には個人差はありますが一定の可動域が、それぞれの関節によってあらかじめセットされています。
それを無視して、曲げる筋肉だけが「2」へ「1」へと短く収縮することができたとしたら、関節が本来の位置関係から外れる(脱臼)とか、筋肉の付着部が骨にくっついていられなくなる(骨が引きはがされ剥離骨折)、または筋肉に負荷がかかりすぎて筋肉そのものが断裂してしまう(肉離れ)ということになってしまいます。

まさに前回説明した、指と指を重ねて滑り込ませるイメージと合致します。
指と指はけっして離れてしまうことはなく、なおかつ入り込みすぎることもない、この滑り込み重なり合う二つの繊維の中間地点が「5」であり、引き離されてしまう極限が「7」、これ以上重なり合えないところが「3」ということです。

いかがでしょうか、「3・5・7」理論のアウトラインはイメージできたでしょうか。

次回は、この理論をどうトレーニングに反映させるかを考えます。
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コメントありがとうございました
先日は、私の講演会にご参加いただきありがとうございました。
まさか参加者の中にドクターがいらしたとは、今知って冷や汗ものです。
お話させていただいた通り、大切なお子さんのことをどこの誰に相談すれば、納得のいく回答が得られるのか、本当にたくさんの親子が困っているのが現状だと思います。
私などなんの力もない人間ですが、そういう方たちのために少しでもお役にたてればと、今回のような機会を作っていただきました。
少しでもお役にたてる部分があれば幸いです。
拙著も購入していただけるとのこと、合わせて参考にしていただければと思います。
今回は本当にありがとうございました。
今後ともよろしくお願いいたします。
西本 直
  • 2013-06-25│16:09 |
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プロフィール

Author:西本 直
1993年、Jリーグサンフレッチェ広島を皮切りに、社会人野球三菱重工広島・協和発酵・ヴィッセル神戸・川崎フロンターレ、そして広島カープ佐々岡真司投手など、プロアマ問わず競技レベルのスポーツ選手から一般の方まで、トレーニングやメンテナンスの指導を行ってきました。
その経験と知識の蓄積を「西本理論」としてまとめ、一人でも多くの方に実践していただくことが、これからの私の使命であると信じ、このブログから発信していきます。
私の理論はスポーツ選手のみを対象としたものではなく、ビジネスマンや家庭の主婦まで老若男女すべてに当てはまる不変のものです。
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実名でツイッターも書いていますので、チェックしてみてください。
また、2013年9月9日にConditioning Studio 操をオープンしました。
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尚、深める会も12月10日に予定しています。

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