3・5・7理論その2

3・5・7という数字は語呂が良かったので使った数字で、1・3・5でも2・4・6でも私が言わんとしている内容は伝えられると思いますが、10のうちの5をセンターに据えることで、ニュートラルポジションから収縮と伸長というイメージを考えると、やはり3・5・7がいいかなということで採用したネーミングです。
日本には7・5・3という行事もありますしね、少しひっかけてみました。

収縮のマックスである3にも、伸長されるマックスの7にも、現実的には行き着かないことは前回説明しました。

我々が日常生活に必要な範囲という意味では、おそらく4.5から5.5くらいの、たったの1という範囲の中での収縮から伸長で十分なのではないかと思います。

たった1と思われるかもしれませんが、以前に説明した関節の運動方向である、基本8方向への運動が我々には与えられているのですから、すべての関節が連動して1という範囲の運動ができれば、それは無限の組み合わせのパターンを持っているといってもいいと思います。

火事場のバカ力という言葉があります。

例えば普通の体格の女性が、火事や地震といった思いもよらない緊急時に、自分の子供を守るために倒れてきたタンスを支えることができた、という類の話はよくあります。

3・5・7理論で説明すれば簡単に説明できます。
本来この女性は、ニュートラルの5という単位から、普段の生活の中では4.5までの0.5程度の収縮で事足りていますが、本来は3という単位まで収縮できる筋肉を持っています。

普段発揮する必要がないということと、大きな単位で力を発揮し、筋肉や関節に負担がかからないように、自分の意識できるレベルでないところで、神経の抑制(ブレーキ)がかかり、無駄に大きな力を出させないようにして体を守ってくれています。

ですから子供を守らなければならないという緊急事態に、本能が神経の抑制を振りほどいたとき、女性は本来持っている能力のすべてを振り絞って、危険ゾーンである3に限りなく近いところまで収縮させ、タンスを支え続けたということが起こるのです。

当然個人個人の能力の差はありますから、ある人には支えられてもある人には支えられなかったということは当然あります。

愛情の深さとかいうものは全く別の問題ですし、日常的に筋肉に対して負荷をかけることが多ければ、そうでない人より大きな力を発揮できたかもしれません。

女性の場合、普段重いものを持ったり力仕事をする機会も少ないでしょうから、発揮した力とのギャップに周囲の人も本人も驚いてしまうということになります。

20年ほど前、昔の羽田空港でこんな光景を目にしました。

健康器具の実演販売だったと思いますが、店の前を通りかかった若い女性に、水がこぼれんばかりに入ったバケツを2つ両手で持ってみてくださいと声をかけました。

結構重そうなバケツで、女性はもち手を握って持ち上げようとしましたが「無理です」と言って、手を放してしまいました。
そこで販売員がすかさず「これを首にかけてください、簡単に持ち上がりますから」と声をかけ、なにやら女性に手渡しました。

女性は怪しむ様子もなくそれを首にかけると、促されて再度バケツに手をかけました、あら不思議さっきはまったく持ち上げることのできなかったバケツが、同じ女性によって簡単に持ち上げられたのです。

女性と販売員が最初から仕込んであったさくらでないとしたら、いったい何が起こったのでしょうか。

そのあと、販売員の意味不明な効能の説明が続き、何人かの人が(私が帯同していたチームの選手も含めて)それを購入しました、実演販売大成功です。

まず、最初に女性の中にもこんなものくらい軽く持ち上げられるよ、という人もたくさんいるでしょうが、多くの人が見ている前で、可愛い華奢な感じの若いおじょうさんが、いきなり重いバケツを二つ持ち上げるという行為自体に無理があります。

「声をかけられ立ち止まってしまったけど、私のような体つきの女の子が、もしこのバケツを軽々と持ち上げたら、見ている人はなんて思うだろう」、心の中ではきっとそう思ったはずです。

そして実際に持ち手をつかんで持ち上げようとすると実際に重い、「声をかけられたからと言って、私がここで頑張って持ち上げたとしても何かもらえるわけではないし」、そこまでは考えなかったかもしれませんが、そういう微妙な重さであったはずです。

そして、首にあるものをかけられた瞬間に、「これであなたはバケツを持ち上げられます」と言われたことで、意外に力持ちなのねと言われなくても済む乙女心の免罪符を与えられた訳です。

もともと、普通の女性なら持ち上げられて当然の重さが設定されていたはずですし、一度挑戦してああこのくらいの重さだったなということは脳にインプットされていますから、バケツの重さに対応できるだけの筋肉の収縮が、脳から指令を発して、無事にバケツは持ち上がったということなのです。

私は商売の邪魔をするつもりはありません、この首輪一つで心理的な抑制を取り除く効果があって、実際に発揮できる能力が向上するのなら安いものです。

しかし、そんなものに頼らなくてもいざという時、人間は驚くほどの力を発揮してくれますし、そのいざが今で、どれくらいの力を発揮しなければならないのかをコントロールできるようにしておくことが、トレーニングであり、その能力が、一般人のそれよりもはるかに高いレベルに達した人たちが、競技者として戦っているはずなのです、けっしてその何かのおかげではないはずです。

日本のスポーツ選手たちは、概してそういうものが好きなのでしょうか、広告塔としていくらかの金銭が発生している場合もあるでしょうが、あまりにも目立ちます。

効果効能ではなく、フッションだと言い切ってくれたとしても、本来、機能を最優先させたユニフォーム以外のものを身に着けるのは、競技のパフォーマンスや接触行為のある競技であればけがの原因にもなりますし、いくら個性の時代とはいえどうなのでしょう。

現実に水泳選手はそういうものを身に着けていませんよね、水の抵抗を少しでも減らすために水着のデザインや素材までが、日夜研究されている水泳競技では、いくらかっこよくても身に着ける選手はいないでしょう。

3・5・7理論と、関節の8方向への運動をどう組み合わせて、動きを作り技術を獲得していくのか、まだまだ続きます。
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プロフィール

Author:西本 直
1993年、Jリーグサンフレッチェ広島を皮切りに、社会人野球三菱重工広島・協和発酵・ヴィッセル神戸・川崎フロンターレ、そして広島カープ佐々岡真司投手など、プロアマ問わず競技レベルのスポーツ選手から一般の方まで、トレーニングやメンテナンスの指導を行ってきました。
その経験と知識の蓄積を「西本理論」としてまとめ、一人でも多くの方に実践していただくことが、これからの私の使命であると信じ、このブログから発信していきます。
私の理論はスポーツ選手のみを対象としたものではなく、ビジネスマンや家庭の主婦まで老若男女すべてに当てはまる不変のものです。
指導や講演のご依頼も受け付けています。
実名でツイッターも書いていますので、チェックしてみてください。
また、2013年9月9日にConditioning Studio 操をオープンしました。こちらもご覧ください。
また、遠隔地にお住まいの方を対象とした動き分析とアドバイスを行っています。
詳細は「スタジオ操」のホームページ内の「遠隔サポート」をご覧ください。

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