さらに筋肥大について

今日も筋肥大について考えていきます。

「体づくりから動きづくりへ」この言葉のイメージから、私が筋肥大を否定しているかのようなイメージをもたれてしまうことがあります。

私自身が体の細さ、それも極端に痩せていたため、動きづくりどころか、何としても人並みの体を作りたいと願い努力してきた人間でした。

私の場合は、何かの競技のための競技力向上とか、そんな聞こえの良いものではなく、会う人ごとに「細いね痩せたの」と言われたくない、その一念でした。

そんな私でも40歳の時に一念発起と言えば聞こえは良いのですが、ヴィッセル神戸の契約が1年で終了してしまい、仕事がなくなってしまったタイミングで、今しかないと決心し、今の考え方とは正反対の、「体づくりのためのトレーニング」を自らに課し、3か月間で8㎏体重を増やすことができました。

トレーニングのメニューは、まさに筋量を増やすためのメニューで、各セットのインターバルの時間まで計算し、自分を追い込んでいきました。

あの3か月間のトレーニングを経験したことで、本当の意味での体づくりと動きづくりのトレーニングの違いを自分で実感することとなりました。

競技レベルの選手でも、あきらかに体格の面で足りないと思われる選手はたくさんいます。

確かに技術レベルはプロの中でも上位に位置する物を持っているとは思うのですが、その技術力に頼ってしまっているというか、ある意味体の貧弱さに対して、開き直っているように感じる選手もたくさんいます。

しかし、せめて最低限の筋量を持っていてくれれば、その技術をさらに安定的に発揮できるのにと思ってしまうことも多々ありました。

そういう選手の言い訳は、「体で勝負しているのではない、今までも十分これでやってこれたし、もし体重を増やしたら動きが悪くなるかもしれない」、そんなことを言う選手が多いように思います。

はたしてそうでしょうか、「筋肉の仕事は骨を動かすこと」「技術とは、自らが意図(企図)した筋肉の収縮活動を、反復継続して行うことのできる能力」でしたよね。

ならば、その骨を動かすという本来の仕事を、より正確に力強く反復継続して行えるようにするためには、自分の意志通りに収縮してくれる筋量を増やすことは、方向性として正しいのではないのでしょうか。

それをしてこなかった選手たちは、体だけは立派だけれど技術的には劣っている選手や、それを補おうとトレーニングに励み、目指す体は手に入れたけれど、本来持っていた技術を発揮できなくなったという、マイナスイメージの現実を、目の前でたくさん見てきていることも事実だと思います。

私の経験上も、いわゆる体に恵まれない選手たちは、何もしなくてもというと語弊がありますが、遺伝的に筋量が多く体格に恵まれている選手たちに負けないように、その他の角度からの努力を惜しまないように思います。

だからこそ、小さい体で大柄な選手に交じって頭角を現していくのでしょう。

体の大きな選手は、それに頼ってしまい、それをさらに強化しようとする傾向があります。

そうするとセールスポイントは、唯一大きくてパワフルな体ということになります。

小学生でもすでに大人顔負けの体格をしている子供がいます、当然同年代の子供たちには何をやっても負けないという状況になり、また周りもそれを期待します。

しかし、それが中学生になり高校生になりと年代が上がるにつれ、周りにそういう選手が増えてきて、自分だけが特別な存在ではなくなってきます。

その時になって、パワーだけに頼ってきた選手はもう方向転換ができず、自分の力が通用しなくなると、そこであきらめてしまい別の方法での努力ができなくなります。

生まれ持った立派な体をしていても、上には上が出てきますし、日本のトップレベルまた世界を目指すレベルに近づいたときには、周りもみんな同じような体で、外国の選手と比較するとけっして大きな体ではなかったということになってしまいます。

そういう日本人としては恵まれた体格の選手こそ、早い段階で「動きづくりのトレーニング」を積極的に行わせ、競技に必要な動ける体を作っていくことが、選手としてのレベルアップに不可欠なものとなるでしょう。

技術的に優れたものを持っていても、体格に恵まれない選手たちこそ、諦めることなく「動きづくりのトレーニング」を行うことで、技術をさらに高めることができる体を手に入れることができると思います。

「トレーニングをして体は大きくなったけれど、動きが悪くなった」、は方法論の問題であって、過去にはそういう事例はたくさんあったかもしれませんが、私の言っていることをきちんと理解してトレーニングに取り組んでもらえば、間違いなくそんな誤解は取り払われると思います。

そのためにも、西本塾に参加していただいた方々には、理論も実践もきちんと理解していただき、どんどん広めていただきたいのです。

もう一度言いますが、私は筋肥大を否定してはいません。

同じような筋量を持つ体も、その成り立ちやトレーニングに対する考え方や意識の違いで、どういう動きができるのかは全く違うものになってしまいます。

自分の体をどういう風に動かせるようになりたいのか、自分の行っている競技のそれぞれのポジションに、どういう能力が必要とされているのか、まずはそれをきちんと整理してトレーニングを行い、必要不可欠な筋量は確実に獲得する努力は行わなければなりません。

その目標設定をきちんと行い、正しく導いてあげられるように、我々自らが学び実践しなければなりません。

だからいつも言うように、選手の前で平気でたばこを吸ったり、日常生活の自己管理ができず、突き出たお腹を恥じることもなくさらしているような人間を、私は指導者として認めないと言っているのです。

少し話がそれましたが、筋肥大に関する私の考え方、理解していただけたでしょうか。
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Comment

Re: 納得…。
根っこを見る目ができてきたのですね。
そうなればどなたの話を聞いても、どなたの動きを見ても、根底にある人間の動きは同じであるという真理を再確認することができ、不思議なことでも特別なことでもないことがわかるはずです。
色々なものを見て下さい、そして感じて下さい。
  • 2014-03-25│10:47 |
  • 西本 直 URL│
  • [edit]
納得…。
まさに、動きづくり。ここからですね。
自分が誤った方向に向ったのもこの概念が無かった為にドロ沼化してしまいました。
昨日、知人が西本さんの本にも出てた甲野義紀氏の息子さんで陽紀氏を迎え、身体の使い方の講習会をすると聞き、行ってみました。
以前の自分では、ちんぷんかんぷんでしたが、西本理論を学んでた事で、西本さんが言ってたわと思いながら聞いてました。
とにかく、動ける身体になる為に、何をどうしたいか?いろいろ考えながら、楽しんでます。
個人的には、新聞でちょろっと見ただけですが、阪神タイガースのA選手が、今年は高重量のトレーニングをしてないらしく、興味深く思っています。
  • 2014-03-24│17:06 |
  • 神野慎哉 URL│
  • [edit]

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プロフィール

Author:西本 直
1993年、Jリーグサンフレッチェ広島を皮切りに、社会人野球三菱重工広島・協和発酵・ヴィッセル神戸・川崎フロンターレ、そして広島カープ佐々岡真司投手など、プロアマ問わず競技レベルのスポーツ選手から一般の方まで、トレーニングやメンテナンスの指導を行ってきました。
その経験と知識の蓄積を「西本理論」としてまとめ、一人でも多くの方に実践していただくことが、これからの私の使命であると信じ、このブログから発信していきます。
私の理論はスポーツ選手のみを対象としたものではなく、ビジネスマンや家庭の主婦まで老若男女すべてに当てはまる不変のものです。
指導や講演のご依頼も受け付けています。
実名でツイッターも書いていますので、チェックしてみてください。
また、2013年9月9日にConditioning Studio 操をオープンしました。
また、遠隔地にお住まいの方を対象とした動き分析とアドバイスを行っています。
詳細は「スタジオ操」のホームページ内の「遠隔サポート」をご覧ください。
「第25回西本塾」を11月18・19日の土日に開催を予定しています。
詳細はStudio操ホームページ内の「講習会情報」をご覧ください
尚、深める会も12月9・10日に予定しています。

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