姿勢が良いということ

今日は、私が考える良い姿勢とはどういうものなのか、また姿勢が良いことがどういう意味を持つのか、そういう観点からの分析を書こうと思っていたら、ちょうどいいタイミングで西本塾に参加し、また引き続き深める会にも参加してくれた、神奈川の鬼木さんからコメントが届いたので、それを読んでいただいた上で、私の考えを展開して見たいと思います。

ご無沙汰しております、鬼木です。

今、スペインにいろんなチームのサッカーの練習を見に来ております。

昨晩スペインの4部のチームの練習を見学しに行ったのですが、選手たちの姿勢の良さに驚いています。
皆、背中がシュッとしていてお尻がクッと上がって全く力みがない状態でサッカーをしています。

また、街を歩いている人たちも皆、姿勢がよくおじいさんやお婆さんですら背中が曲がっているような人はほとんどいません。

パスの精度に関しては正直日本人の方が上手いんじゃないか?という感じですが、ボールを受ける側の選手たちの許容範囲が日本人とはまるで違います。

まさに意識せずにアイドリング状態でボールを受ける準備をしていて、全く踏ん張らずにスッと重心移動とともに足が出る、そんな感じで簡単にパス交換をしていました。

日本ではパスの精度をあげよう、ボール扱いを高めよう、それが基本となっている気がしますが、それをやろうとすればするほど前側の筋肉を使うようになり、ボールをしっかり見ることで居つくような姿勢に自然となりやすくしているんじゃないか? と思うようになって来ました。

今日はこれから3部の上位にいるチームの練習を見に行きます。
明日は、FCバルセロナの試合を見に行きます。

西本さんに教えていただいた視点で、トップレベルの選手たちの動きを感じてきたいと思います。
また、ご報告させていただきます。


鬼木さんご報告ありがとうございます。

それにしてもサッカーの指導者の皆さんの行動力は、私の想像をはるかに超えています。

サッカーがワールドワイドなスポーツである事は、私にも理解できます。
歴史があり色々な意味で高いレベルの海外のサッカーを生で見て肌で感じることは、指導者ならずとも選手や見る側の人間にも大きな影響を受けてくれることだと思います。

そうは言ってもそう簡単に言ってきますという場所ではないので、私でも今ではそういう気持ちがないわけではありませんが、現実的に実行に移すかと言われれば、二の足を踏んでしまうのが現実です。

そういう意味でも、こうして現地からの生の情報を伝えていただけることは、とてもありがたいことです。

それも西本塾を体験し、サッカーの動きを見る視点が変わり、まさに枝葉の動きではなく根っこの部分を見ようとしてくれている鬼木さんからの報告ですから、さらに興味深く読ませていただきました。

さてその内容ですが、スペインで見る選手たちの姿勢は一様に「背中がシュッとしていてお尻ガクッと上がってまったく力みがない状態」 に見えるようです。

その姿勢がどのようにプレーに繋がって行くかは鬼木さんの文章がうまく表現してくれています。

ではなぜ我々日本人がそういう姿勢ではなく、骨盤が後傾し背中が丸まり腰が落ちてしまうのかについては、以前にも説明しましたが、民族的な日常生活動作の違いが一番大きいような気がしています。

例えばデスクワークが主な方から、「いつも背中が丸まり姿勢が悪いと言われるから、意識して胸を張るようにしています」という言葉を聞きます。

この表現に間違いはなく、そうやって時々姿勢を意識することは大事なことだと思います。

ただその意識の仕方が問題なのです。

今私もキーボードを叩いていますが、目線はディスプレーを凝視し、脳も文章の構成に集中しています。

その時に使われる筋肉は、間違いなく体の前面の筋肉であり、関節を曲げるために働く屈筋であることがわかります。

細かい作業に適しているのは、私が重要視している関節を伸ばすために使われる伸筋ではないのです。

この屈筋を使った細かい作業が得意であったことが、ものづくり立国日本を支えてきたことも既に書いてきましたが、そうなると背中が丸まるのも仕方が無いことなのです。

そういう作業をしている時でも外国の方の背中がシュッとして見えるのは、悔しいですが歴史を刻んできた民族的な背中の筋肉、とくに広背筋の働きによるところが大だと思います。

さらに日本語は良い姿勢を意識させる時 「胸を張れ」 という言い方をします。

筋肉は収縮する、縮むことしかできないという性質から言えば、胸の筋肉に対して指令が届くと、胸の筋肉が縮むイコール体を丸めるという状態になってしまうことになります。

本来は背中側の筋肉に対して指令を出し、収縮させることで骨盤を引き上げ背中がシュッとした、という姿勢になるのですが、ほとんどの方が曲げるのもそらすのも主役は前側の筋肉だと思っているのではないでしょうか。

人間がなぜ長い時間立っていられるのか、それは関節を伸ばす伸筋が静かにそして確実に仕事を続けているからです。

当たり前ですが、目は顔の前側についていて前を見ていますし、お互いに向き合ってコミニュケーションを取りますから、相手の体も前側を見ることになります。

そういう意味もあって姿勢の悪い猫背の人に対して「胸を張れ」という表現が生まれたのだと思います。

しかし現実その役割をになっているのは背中側の筋肉なのです。

座ったままで細かい作業を行うためには、背中を丸めて一点に集中できる姿勢というのもありなのかもしれませんが、大きな力を必要とし、またその力を持久的に発揮することも必要なスポーツ動作には、どうしても背中側の伸筋優位の発想が必要となってくるのです。

我々日本人が主役だと思ってきた大胸筋や腹筋群、また上腕二頭筋などの関節を曲げることが仕事で、体の前側にある筋肉に、主役の座を明け渡してもらい、本来主役を勤めてもらわなくてはならないのに、日陰の存在に甘んじていた体の後ろ側の筋肉たちに、その存在を堂々とアピールしてもわらわなければなりません。

それができるのは、みなさんそれぞれの意識を変えること、これ以外に方法がないのです。

常に意識を背中側に置くことで、姿勢自体まったく違うものになってきます。

丸まった背中を伸ばすのに、「胸を張れ」ではなく、お尻を突き出すように腰を反らす、この意識を持つだけで背骨のアーチが作れ肩の力が抜けます。

実際、先ほどからいろいろ意識を変えながらキーボードを叩いていますが、この意識を持つだけで、自分でも不思議なほど姿勢が良くなり、楽に作業が続けられています。

ただ私の場合は、広背筋を使って骨盤を引き上げるという動きが自然にできるように、長年に渡って動きづくりのトレーニングができていますので、ほんの少し意識を変えるだけで済むのですが、広背筋という筋肉の存在や働きが理解できず、現実的に正しく働いている状態が作れない人にとっては、少し苦しい姿勢かもしれません。

一般の生活動作はもちろん、スポーツ動作では、今一番重要だと思っている背中側の筋肉ですが、急に言われてもそんなことはできない、また今の姿勢の方が楽だと思う方もいるとは思いますが、本来の人間の構造から考えると、とても正しいとは言えない使い方なので、ここは一つ意識を変えて、我々日本人も、鬼木さんがスペインの町並みで見かけた、背中のシュッとしたお爺さんやお婆さんになれるようにした方が良いのではないでしょうか。

「主役は背中側の筋肉」地味な役回りですが、やっぱり主役はこっちなのです。

前側の筋肉はあくまでも脇役、ただ脇役が揃っての主役です、筋肉隆々見た目のかっこよさも大事でしょう、その辺りの考え方は個人の嗜好の問題ですが、動きの主役は誰が何と言っても背中側です。

今朝も出勤してくる時、広い港公園いっぱいにサッカー少年たちの姿がありました。

何かイベントがあるのでしょうか、ボールを蹴ったり準備運動をしたりと、グループごとにそれぞれのことをやっていましたが、残念ながら子供達の姿勢は、シュッとしたというには程遠いものでした。

気持ちも体も前がかりで、実に日本人的な姿勢であり動き方に見えました。

私のいる広島だけに寂しい気もしますが、いつかどんな形でもいいですから、私の考えていることが広まり、当たり前になって、子供たちがさっそうとした姿勢でボールを追う光景を見たいものです。

鬼木さんの言う通り、良い姿勢でアイドリング状態を保てると、ボールを受ける時の柔らかさがまして、強いボール速いボールでも柔らかく自分の思ったところにトラップできるようになるのではないでしょうか。

サッカーは止めて蹴るの繰り返しだと聞きますが、鶏が先か卵が先かの議論ではなく、ボールは止めて自分のものにして初めて蹴ることができるのだから、この止めると言う動作に対しての準備として、背中の伸びたシュッとして見える姿勢と言うのは大きな意味があると思います。

もちろんフリーボールに対しての一歩目や、全ての動き出にも有効ですし、これも以前に出てきたサンフレッチェ時代の松田浩選手の35mのロングシュートの際にも、「目の前に転がってきたフリーボールに対して、力むことなく背中から足先に向かって動きが連動し、足で蹴ると言うよりも、連動し体の中をうねって伝わったエネルギーを瞬間的にボールに対して軽く正確に当てた」 と言う風に見えました。

どんなスポーツ、スポーツに限りませんが、一流の方々の動きが美しく見えるのはそんな理由からではないでしょうか。

昨日テレビで見たフィギアスケートの羽入選手の動きにも同じことを感じました。

逆転での一位でしたが、惜しくも僅差で2位となった町田選手との違いは、姿勢とくに背中の美しさではなかったかと、素人ながら感じました。

色々な表現があると思います、「 腰で立つ」「背中で立つ」 、言葉の表現も後ろ側を主役にして、胸を張るはもうやめましょう。

次回はその背中の美しさを作る「広背筋」について書いてみます。
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Comment

分かりやすい解説ありがとうございます。

昨日は3部のチームの練習を見に行きました。
昨日のチームのAチームなので、やはり皆身体のサイズがワンサイズ大きくて、スピード感も違いました。

姿勢は皆、輪をかけてシュッとしています。
背中がシュッとしていて、
お尻が上がっていて、
脚が長くて、
ふくらはぎが高い位置にあって、
足首が細い。

もう、羨ましいくらいの感じです(笑)

これはサッカーとは違いますが、
街で見かけた僕よりも背の低い女性でも脚は僕よりも長かったような気がします。

さて、内容ですが、
そんな姿勢の人たちでもいざプレーが始まって頑張らなきゃいけない状況になると、こぞって背中が丸まり、まさに『居つく』状態になっているシーンを何度も見かけました。
自分のタイミングでボールが持てている時や自分のタイミングでボールを奪いに行けている時はまさに背中で立っていて、アイドリングから動き出せていましたし、止まる時も背中で止まっていました。

しかし、ちょっとでもタイミングがずれるとそもそもそんな姿勢でいるにもかかわらず、
前側で頑張らなきゃいけない状態になってしまっていました。

この辺りが、彼らが3部にいる理由なのかな?
なんて思いながら見ていました。
それでも、日本で見るよりは力が抜けてやれているシーンがたくさん見られましたが。

今日はリーガの1部の試合を見にいく予定です。
テレビでしか見れないトップレベルのスター選手の背中はどうなっているのか、目を凝らして見て来たいと思います!

またご報告いたします。
  • 2014-03-29│16:12 |
  • 鬼木 URL│
  • [edit]

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プロフィール

Author:西本 直
1993年、Jリーグサンフレッチェ広島を皮切りに、社会人野球三菱重工広島・協和発酵・ヴィッセル神戸・川崎フロンターレ、そして広島カープ佐々岡真司投手など、プロアマ問わず競技レベルのスポーツ選手から一般の方まで、トレーニングやメンテナンスの指導を行ってきました。
その経験と知識の蓄積を「西本理論」としてまとめ、一人でも多くの方に実践していただくことが、これからの私の使命であると信じ、このブログから発信していきます。
私の理論はスポーツ選手のみを対象としたものではなく、ビジネスマンや家庭の主婦まで老若男女すべてに当てはまる不変のものです。
指導や講演のご依頼も受け付けています。
実名でツイッターも書いていますので、チェックしてみてください。
また、2013年9月9日にConditioning Studio 操をオープンしました。こちらもご覧ください。
また、遠隔地にお住まいの方を対象とした動き分析とアドバイスを行っています。
詳細は「スタジオ操」のホームページ内の「遠隔サポート」をご覧ください。
西本塾を深める会を9月10日(日)に開催を予定しています。
詳細はstudio操のホームページ内の「講習会情報」をご覧ください。

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