広背筋のこと

今日から4月、我が家の末っ子で三男も専門学校を卒業し、社会人としてのスタートを切りました。

卒業式を終えマイペースな生活を送っていましたが、今朝は6時に起きてきちんと朝食をとり、7時少し前にスーツにネクタイ姿で出社して行きました。

私は高校を卒業してすぐ、愛媛の宇和島から東京でのサラリーマン生活が始まりましたが、慣れない土地に友達もできず、なんでこんなところに来てしまったのかと、ホームシックを通り越して後悔の日々が続いたことを思い出します。

なかなか夢を持てない世の中になったと言われますが、自分の目標を見つけてこれから本当の意味での自分の人生を歩んで欲しいと思います。

今月の19・20日に行う第4回西本塾に初めて女性の方からの申し込みをいただきました。

下は中学校の1年生から私と同年代の方まで、北は北海道から南は九州まで、年齢も目的も様々な方々が、これまで30数名参加していただきましたが、考えてみると女性の方の参加はありませんでした。

スポーツトレーナーという仕事に限っても、女性のスポーツ選手に対して女性のトレーナーがいるのは当然のことです。

その他、スポーツ選手や施術を業としている方、また色々な意味で私の考え方に興味を持っていただいている女性の方も多いと思います。

どんなことでも最初の一人というのは勇気がいることかもしれませんが、今回をきっかけに、たくさんの女性の方々にも参加していただければと思います。

今朝、今月予約を頂いているフットサルプレーヤーの方からお手紙が届いていました。

限られた時間の中で、少しでも多くのことを学んで帰ろうと、ご自分の現状や改善したい点がきちんと整理され、便箋6枚に丁寧な文字で書かれていました。

なんでもメールで済んでしまう便利な世の中ですが、自筆の文字というのはやはり心に響いてくるものがありますね。

こんなことは初めてだったので驚くとともに、気持ちが伝わり、私も心して応えなければと身が引き締まりました。

高校時代はサッカー選手として全国制覇のメンバーだったそうで、こういうきちんとした方ですから、さらに上を目指すための努力は惜しまなかったようですが 、その努力の方向性と手段が、私のブログに接していくうちに、もしかしたら少し違っていたのではないかと思い始めたようです。

まさにこういう思いの方はたくさんいると思います。

あんなに頑張ったのに、周りの誰よりも与えられたメニューを真剣にこなし、さらに加えて自分なりの努力も惜しまなかったはずなのに、目指す効果は得られず、自分はここまでの選手だったのかと思うしかなかった、そんなもやもやした気持ちでアマチュアとしてプレーを続けたり、競技を離れてしまう人も多いと思います。

そんな中で見た私のブログの中身に、もしこんなことを指導してくれる人がいたら、せめて知識として知っていれば、もう少し違う結果になっていたのでは、そんな思いでブログを読んで頂いている方も多いと思います。

だからこそ私は、どれだけの人の目に止まり、どういう風に伝わるかはわかりませんが、今まで見てきたたくさんの選手たちや一般の方々に与えて頂いた、貴重な経験から生み出された私の理論を書き綴っているのです。

「もう少し早く西本さんに出会っていたら・・・」 これまで何度聞いたかわからない言葉に応えるためにも、私と志を同じくして、知識や方法論を共有していただける仲間を増やしていくために「西本塾」を行っているのです。

前置きが長くなりましたが、ここからが今日の本題です。

これまでスポーツにおける動きづくりを考える上で、最も重視してきたのは背骨を介して行われる、肩甲骨と股関節の連携動作だと思ってきました。

その動きの不自然さを解消することが、そのまま動きの良さにつながり競技動作を改善し能力向上につながっていきました。

その為に色々なトレーニングのやり方を考え、選手の意識も変化させていきました。

とくに一番得意としている野球の投手の動きづくりでは、目に見えて効果が現れ、逆になぜこういう発想で指導ができる人間がいないのかと、こちらが不思議に思うほどでした。

その答えは簡単で、自分がそういう発想でないまま選手を続け、指導する側になっているのだから仕方が無いと言えば仕方が無いことなのかもしれません。

それでも指導する側になった時、自分の何が良くて何が足らなかったのか、きちんと整理できれば、指導する発想も変わってくるはずなのに、結局は自分の経験と既存の常識から離れられないのでしょうね。

この肩甲骨と股関節の連動、言葉にすればこれだけですが、具体的に説明し指導してく中で選手に理解させるのは、とても難しいことでした。

言葉は悪いですが、例えば投手なら「考えなければならないことは他に山ほどあるだろから、体のことは私に任せて、とりあえず私の言う通りのトレーニングをやって、その効果や達成度も私が判断するから、それを信じてあとはマウンドでしっかり打者と戦って結果を残してくれ」、ということになっていました。

1対1の関係ですから、それはそれで用が足りていましたし 、自分の中できちんとした理論と感覚がマッチしていれば、第三者に理解されなくてもとくに問題はなかったのです、

それがこの数ヶ月、一流選手の動きを言葉で分析したり、私の考え方をこうして言葉で表したり、西本塾に参加して頂いた方が、さらに誰かに伝えて行くということができるようになっていただくためには、もう一歩踏み込んで具体的にイメージしやすい何かが必要になってきました。

それがこの「広背筋」という筋肉の存在でした。

もちろん知らなかったわけではありませんが、「筋肉の仕事は骨を動かすこと、それ以上でも以下でもありません」と、固有の筋肉を前面に出して、なになに筋を鍛えればこういう効果がありますとか、なななに筋を鍛えるためにはこういうトレーニングをしましょう、的な言い方が好きではなかったこともあり、あくまでも背骨を介した股関節と肩甲骨の連携連動、そのために働いている筋肉の一つという位置づけでした。

ところがサッカーというスポーツで、超の付く一流と呼ばれている選手たちと、そうでない選手たちの動きを比べて何が違うのだろうという作業を進めていく中で、このブログで最近良く登場する「背中がシュッとしている」という姿勢を表す言い方が、キーワードのように思えてきたのです。

20数年前、スウェーデンで初めて見た、日本人選手と外国人選手の体つきやその使い方の違い、それに対抗するためにずっと追い求めてきた「体づくりから動きづくりへ」という発想の転換によるトレーニング。

そのすべてが、この「背中をシュッとした状態で動ける体を求めてきた」と言っても過言ではないと気づいたのです。

股関節が自由に動けるためには、骨盤の後方を引き上げ、大腿骨との角度をできるだけ大きくしておく必要があります。

肩甲骨が自由に動ける状態を作るためには、背骨のS字カーブがしっかりできていなければなりません。

良い言い方ではないと言いましたが、日本的に言う胸を張って背筋が伸びた良い姿勢、背中がシュッとして見える姿勢を作ることに一番貢献してくれているのが「広背筋」だったのです。

もちろん単独で行っている仕事ではありませんが、何はともあれこの広背筋をきちんと意識して使えるようにトレーニングしておくことが、姿勢の問題のみならず、私が提唱する歩く走るの基本動作に直結し、その延長線上にあらゆるスポーツ動作があると思うのです。

これまで色々なトレーニングを考え指導してきましたが、背中を使っていると言う感覚はなかなか実感してもらうことができませんでした。

そんな時は「背中側の伸筋群は、使わずして使われている筋肉で、今がんばっていますと言うような感覚まで使ってしまうと、明らかに使いすぎて力んでしまい、使わないで欲しい前側の屈筋にまでがでしゃばってくるので、わからないくらいでちょうど良いんです、うまく使えている結果として同じ重量が軽く感じたり、動きがスムーズにできるようになりました」と、説明してきました。

それが広背筋という筋肉の、解剖学な知識としての起始や停止、またその働きから説明し理解してもらった上で「フライングバック・トレーニング」を行ってもらうと、なるほどそういうことかと、どなたでも実感していただけるようになったのです。

そのうえで歩く走るをやってみると、これまたなるほどねと理解していただけるのです。

何が幸いするかわかりません、サッカー選手の動作分析から様々な発想が広がり、指導の幅を広げてくれています。

広背筋の停止部位が、上腕骨の小結節にあることがこれほど大きな意味を持っていたのかと、今更ながら人体の巧妙な構造に驚かされます。

広背筋が何気なくしっかり働いてくれて、背中がシュッとしている外国の方々の体、腰が落ち背中を丸め、なんとなく品粗に見えてしまう我々日本人の体。

ならば今日から、いや今から意識を変えて、少し眠りかけている我々の広背筋に刺激を入れ、本来持っている働きを取り戻してもらうための刺激を入れていきましょう。

その努力が、何世代か後の日本人の体を、外国の方々に見劣りしない、背中のシュッとしたさっそうとした体に作り変えてくれるでしょう。
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広背筋のこと
こんにちは。
鬼木です。

リーガでバルサの試合を観た次の日、
バルサの練習場に行き、下部組織の試合を観に行きました。

8-9歳、13-14歳、女子のトップチームを観ました。
もう、笑っちゃうくらいみんな姿勢がいいんですね(笑)

8-9歳でもやってるサッカーはすでに大人と同じ。スピード感が違うだけ。
それを可能にしているのはあの姿勢なんだと。
サッカーというスポーツはああいう姿勢でやるものなんだというのをまざまざと感じました。

女子チームはちょっとレベルが劣るようです。
女子のチャンピオンズリーグでドイツのチームとやっていましたが、完全にパワー負けしてました。
普通にしている時は姿勢がいいのですが、ちょっとプレッシャーがかかったりパワーで来られると頑張ってしまって前側の筋肉を使ってしまうシーンが多々観られました。

リーガで観たバルサのトップチームでは、そんな時でもシュッと後ろ側でやれてしまう印象で、ただミスが起こる時は前側を使っている印象です。
そのため、ボールに身体がついて行きません。

ドイツの選手は普通の姿勢はいいものの、パワーがあるので前側使ってもやり切れてしまう選手が半分くらいいました。
そういう選手は膝にテーピングをしてやっていたりしましたので、そういうことだと思います。

ただ、中には終始美しいシュッとした姿勢でやってる選手もいて、その選手からは頑張ってる感は伝わって来ませんでした。

バルサの女子選手で受けた印象は、下のレベルのチームを観た時に感じたものと似ていて、
普通の時は力の抜けたいい姿勢なんだけど、いざという時にがんばってしまい、前側を使うことでその制度が落ちる回数が多い…。
そういう選手たちはやはり3部や4部…と下のカテゴリーに行くほど多かったですし、
逆にトップのカテゴリーでは少なかったり、
もしくは前側でやり切れるくらいすごかったか?のどちらかだったように思います。

そして何より、僕自身こっちに来てより姿勢が良くなった印象で、平気で一日6時間くらい歩き回っています。
初日は10kgのリュックサック背負って10時間くらい歩いてました(笑)

股関節と広背筋の連動についてはボールを触る足と同側の腕の関係がやはりとても興味深いものです。

帰国しましたら、改めて時間を作って直接お会いしてお話を聞かせていただきたいと思っております。
今日はこれからトップレベルの高校生の練習とチャンピオンズリーグを観て学んで来ます。
またご報告いたします。
よろしくお願いいたします。
  • 2014-04-01│19:10 |
  • 鬼木 URL│
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プロフィール

Author:西本 直
1993年、Jリーグサンフレッチェ広島を皮切りに、社会人野球三菱重工広島・協和発酵・ヴィッセル神戸・川崎フロンターレ、そして広島カープ佐々岡真司投手など、プロアマ問わず競技レベルのスポーツ選手から一般の方まで、トレーニングやメンテナンスの指導を行ってきました。
その経験と知識の蓄積を「西本理論」としてまとめ、一人でも多くの方に実践していただくことが、これからの私の使命であると信じ、このブログから発信していきます。
私の理論はスポーツ選手のみを対象としたものではなく、ビジネスマンや家庭の主婦まで老若男女すべてに当てはまる不変のものです。
指導や講演のご依頼も受け付けています。
実名でツイッターも書いていますので、チェックしてみてください。
また、2013年9月9日にConditioning Studio 操をオープンしました。こちらもご覧ください。
また、遠隔地にお住まいの方を対象とした動き分析とアドバイスを行っています。
詳細は「スタジオ操」のホームページ内の「遠隔サポート」をご覧ください。
西本塾を深める会を9月10日(日)に開催を予定しています。
詳細はstudio操のホームページ内の「講習会情報」をご覧ください。

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