つけ込む余地あり

スペインに行っている鬼木さんから、またまたレポートが入りました。
まずはご紹介します。

こんにちは、 鬼木です。
リーガでバルサの試合を観た次の日、バルサの練習場に行き、下部組織の試合を観に行きました。

8-9歳、13-14歳、女子のトップチームを観ました、もう、笑っちゃうくらいみんな姿勢がいいんですね(笑)

8-9歳でもやってるサッカーはすでに大人と同じ、スピード感が違うだけ、それを可能にしているのはあの姿勢なんだと。
サッカーというスポーツはああいう姿勢でやるものなんだというのをまざまざと感じました。

女子チームはちょっとレベルが劣るようです。
女子のチャンピオンズリーグでドイツのチームとやっていましたが、完全にパワー負けしてました。
普通にしている時は姿勢がいいのですが、ちょっとプレッシャーがかかったりパワーで来られると頑張ってしまって前側の筋肉を使ってしまうシーンが多々観られました。

リーガで観たバルサのトップチームでは、そんな時でもシュッと後ろ側でやれてしまう印象で、ただミスが起こる時は前側を使っている印象です。
そのため、ボールに身体がついて行きません。

ドイツの選手は普通の姿勢はいいものの、パワーがあるので前側を使ってもやり切れてしまう選手が半分くらいいました。
そういう選手は膝にテーピングをしてやっていたりしましたので、そういうことだと思います。
ただ、中には終始美しいシュッとした姿勢でやってる選手もいて、その選手からは頑張ってる感は伝わって来ませんでした。

バルサの女子選手で受けた印象は、下のレベルのチームを観た時に感じたものと似ていて、普通の時は力の抜けたいい姿勢なんだけど、いざという時にがんばってしまい、前側を使うことでその制度が落ちる回数が多い…。
そういう選手たちはやはり3部や4部…と下のカテゴリーに行くほど多かったですし、逆にトップのカテゴリーでは少なかったり、もしくは前側でやり切れるくらいすごかったか?のどちらかだったように思います。

そして何より、僕自身こっちに来てより姿勢が良くなった印象で、平気で一日6時間くらい歩き回っています。
初日は10kgのリュックサック背負って10時間くらい歩いてました(笑)

股関節と広背筋の連動についてはボールを触る足と同側の腕の関係がやはりとても興味深いものです。

帰国しましたら、改めて時間を作って直接お会いしてお話を聞かせていただきたいと思っております。
今日はこれからトップレベルの高校生の練習とチャンピオンズリーグを観て学んで来ます。
またご報告いたします、よろしくお願いいたします。


鬼木さんは、サッカーの指導を主にフィジカルの分野を専門に指導されている方です。
西本塾また、深める会にも参加していただき熱心に私のものの見方を学んでいただきました。

そういう視点を持って指導にあたり、またこうして本場のサッカーを自分の目で見て感じたことをレポートしてくれるのですから、こんなありがたいことはありません。

昨日に引き続きブログを書こうと思ったのは、何度かいただく鬼木さんからのレポートに、私が20数年前感じたことを思い出させてくれたからです。

何度も書いてきましたが、外国の選手は、大きい・強い・速い・上手いと、素人目にはこんな人たちとどうやって対抗したら良いのだろうと思ってしまうほどの違いを見せつけられました。

さらにサッカーというスポーツが、長い歴史の中で日常生活に溶け込み、文化として定着していているわけですから、そう簡単に追いつけ追い越せとはいかないと思ったのです。

体格差はいかんともし難いものがあり、それが日本人がフィジカルが弱いという固定概念につながって行ったのだと思います。

そこを補うために行われてきたのが、肉体改造という名の下に行われている筋力トレーニングということになっていきました。

技術的なことは専門外で、私がコメントできることはありませんが、この体の大きさ強さに関しては、整理しておかなければならないことだと思います。

サッカーに限らず、あらゆるスポーツに、この体格差パワーの違いという問題は存在します。

もちろん日本人の中にも、いわゆる日本人離れをしたという言われ方をする体を持った選手は存在します。

しかし、私が知る限り、ある一定のサイズを超えた選手は、同じくらいの体格の外国人選手に比べて、筋力やスピード持久力といった基礎的な能力が同じかというと、残念ながらそうではないような気がします。

それでも日本人の中では、恵まれた体を持っているわけですから、その体力を生かし、さらに向上させ、その部分の能力アップによって、他の選手との差を広げようとする傾向が強いと思います。

もちろん長所を伸ばすという意味では大切なことかもしれませんが、それでも持って生まれ体が、もう一回り大きく筋力も強い外国人と比べるとどうかということになると、努力によって得られた体とはやはり何か違うような気がするのです。

レスリングや柔道などの体重別競技では、同じ体重でも単純な筋力は外国人選手にはかなわないという言葉をよく聞きます。

これはさすがに自分では体験することができないので、あくまでも聞いた話といことになりますが、かの吉田沙保里選手にしても高速タックルという、スピード重視の技で世界一を守り続けているのですから。

日本では、私の知る限り、小柄でどちらかといえば次のカテゴリーに進めるのだろうかという体の選手ほど、努力の度合いが大きく、精神的にも強いものを持っているような気がします。

大きな選手に負けてたまるかという反骨精神が、どんな困難おも跳ね返し一流にのし上がってきたという選手をたくさん見てきました。

私にはできない死に物狂いの努力も、方向性を間違うと全く結果に結びつかないという例も数限りなく見聞きしてきました。

昨日お手紙を頂いたフットサルの選手の方も、もしかしたらその一人だったかもしれません。

私が「体づくりから動きづくりへ」というパラダイム変換を図ったのも、20数年前スウェーデンで自分の目で見たことが、すべての始まりだったのだと思います。

サンフレッチェ広島で、またヴィッセル神戸で仕事をした時に、欧米の出身で、遺伝的に立派な体をしている選手たちは、そのことに感謝し、それを使ってサッカーをしているという感覚で、今更それをもっと大きくとかもっと強くすることが、自分の能力を高めることにつながるという発想はありませんでした。

ある意味当然のことだと思います。

とくにスポーツもやっていないし、筋力トレーニングもやっていなくても、羨ましいような体をした外国人の方は普通に存在しています。

つけ込む余地はここにあると思ったのです。

体そのものに特化したトレーニングを向こうはやっていないのなら、こっちはそこで対抗するしかないなと思ったのです。

もちろん、外国人選手のような大きくて強い体を目指しても、後付けの能力では限界があり、持って生まれた体を自然に使っている人たちと同じであるはずはありません。

身長にいたっては、トレーニング以前の問題ですから。

そこで考えたのが、今持っている体を、いかに自分の思った通りに動かせるようになるかという問題です。

自分の思ったようにというところが一番の問題で、そのためには人間の体の構造を知り、筋肉の働きや可動域、またどうやってそれらを連動させるかといった、まさに今私が考えている動きづくりのトレーニングの必要性を感じて行ったのです。

そしてその延長線上に、その目的とする動きに必要な体の大きさも、おまけのように付いてくることも、経験的にわかってきました。

これこそ「動きづくりのトレーニング」といえる内容を考え実践してきました。

こんな発想は外国の恵まれた体を持って生まれた人たちからは、絶対に生まれないと思います。

私自身の最大の悩みでもあったことです。

大リーグの投手たちの肩や肘の使い方、私に言わせればまったく理にかなっていません、それでも160キロ近いスピードボールを投げることができます。

私の理論など必要ないのかもしれません。

逆に、彼らには気づかないで欲しいのです、そのままやっていて欲しいのです。

そこに我々日本人選手でも活躍できる隙があるのですから。

鬼木さんのレポートにあるように、欧米の人は普通に皆さん背中がシュッとした良い姿勢をしています。

それが特別なことなどと思っている人は、おそらく一人もいないでしょう。

だからこそ、ここ一番で前側の筋肉を使って力むことが、さらに大きな力をうみ出し、良いプレーに結びつくと思ってくれるのです。

一流選手は、どこかでそうではないことに気づき、シンプルにその姿勢を維持し続けた方が、体は動きやすいということを知ってしまうのです。

一流とそうでないプレーヤーの違いはこの視点で見るとよくわかると思います。

もともと背中が使えているからこそなのですが、背中が使えず普段から前側の筋肉を使ってしまっている我々日本人が、さらに力んでそれらを使ってしまったら、絶対に同じ動きができるはずはありません。

だから背中が使えるようにトレーニングをしましょう、と言っているのです。

体のつくりは人間である以上共通です、外国の方の方が筋肉の種類や本数が多いなどということはありません。

歴史的にどういう生活を送ってきたのかという違いが、今の我々の体に特徴として現れているだけです。

もし、我々日本人のすべてが背中を上手に使えるようになって、サッカーのW杯を連覇したり、日米野球を本気でやっても、日本の方が強いなどという日が来ない限りは、外国の人たちが、持って生まれた背中の動きの強さやうまさに気づき、それをさらに磨き上げることで自分たちの能力がさらに向上させられる、などと言う発想は絶対に生まれないと思います。

さまざまな工夫をして、あきらめず努力を続けること、これが一番得意なのは我々日本人ではないでしょうか。

まだまだつけ込む余地はあります、歯を食いしばって120%の努力だけでは、何の改善も望めません。

日本の選手の中にも、そういうイメージに近い選手が出てきました。

名前はあえて出しませんが、ピッチの上では闘志をむき出しにしたり、目を釣り上げてがむしゃらにという雰囲気は感じられません。

体も大きくなく、というよりも小柄な選手です、目立ちませんがいつも姿勢がよく、動きだしも速いですし無駄な踏ん張りも見えません。

まだ若い選手なので、これから経験を積んでどんどん成長し、世界を驚かす存在になって欲しいと思います。

無い物ねだりの体づくりではなく、動きづくりのためのトレーニングを考え続けていきたいと思います。


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Comment

野球シーズン到来。
こんばんは。第三回西本塾に参加させてもらった石川です。西本さん、篠田選手やりましたよ。ずっと、応援していたので、
今日のピッチングは本当に嬉しかったです。
  • 2014-04-05│01:12 |
  • 石川 URL│
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プロフィール

Author:西本 直
1993年、Jリーグサンフレッチェ広島を皮切りに、社会人野球三菱重工広島・協和発酵・ヴィッセル神戸・川崎フロンターレ、そして広島カープ佐々岡真司投手など、プロアマ問わず競技レベルのスポーツ選手から一般の方まで、トレーニングやメンテナンスの指導を行ってきました。
その経験と知識の蓄積を「西本理論」としてまとめ、一人でも多くの方に実践していただくことが、これからの私の使命であると信じ、このブログから発信していきます。
私の理論はスポーツ選手のみを対象としたものではなく、ビジネスマンや家庭の主婦まで老若男女すべてに当てはまる不変のものです。
指導や講演のご依頼も受け付けています。
実名でツイッターも書いていますので、チェックしてみてください。
また、2013年9月9日にConditioning Studio 操をオープンしました。こちらもご覧ください。
また、遠隔地にお住まいの方を対象とした動き分析とアドバイスを行っています。
詳細は「スタジオ操」のホームページ内の「遠隔サポート」をご覧ください。

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