伝えたいこと

日曜日、2回目の「西本塾を深める会」を行いました。

西本塾の二日間は、私の本やこのブログ、またnumberwebに紹介された記事などを通じて、私に興味を持っていただき、文章だけでは伝えきれない感覚を、直接見たい聞きたい、そして体験したいという方が、わざわざ広島まで足を運んでいただいています。

ただ、その二日間で私の思いがすべて伝えられるはずはありません。

また来ていただいた方も、今までに聞いたこともない理論や方法論を、とりあえずどんなものか直接見ておこうという程度の気持ちで参加される人もいると思います。

私は昨年まで、自分の考え方を誰かに伝えようという気持ちはありませんでしたから、私の築いてきた城の門を空け放つことはしてきませんでした。

それが今、重い扉を開き、中に入ってくる方に対して、私自身が案内役を買って出ているのです。

すでに50人ほどの方が入場してきました。

観光地と同じです、物珍しさでとりあえず来てみた、そして本人からあらましの説明を受け、なるほどそういうことだったのかと、名所めぐりの一つとして、スタンプを押してもらって帰る人もいます。

それはそれで問題ありません、中を見ないでどうのこうの言われるよりよっぽどましですから。

たった一度説明を受け、すべてが分かったように顔をして、それを自分のスキルのように使っていただいても、まったく問題はありません。

知らなかった時よりも、数段レベルの高い指導ができているはずですから。

深める会を企画したのは、そういう中途半端な理解で、西本理論が広まっていくことを危惧したためではありません。

そんなレベルの話ではなく、私がご案内した様々な部屋の中を見て回った方々の中に、この部屋にはこんな絵が飾ってあるのか、こんな家具が置いてあって、こういうコンセプトでこの部屋は構成されていますなどという説明には満足せず、なぜ私がこの部屋を作ったのか、この絵にはどういう意味があるのかと、深読みしてくれる方が現れてくれたことで、本当の意味での西本理論を伝えられる相手に巡り合えて来た気がするのです。

けっして私の理論を押し付けているつもりはありません、せっかく扉の内側に入ってきていただき、さらに深く見て歩きたいという方々ですから、覗きたい部屋もそれぞれ違うのです。

ある人はこの部屋をもっと見せてください、ある人はこの部屋のディスプレーに興味がありますと、それこそさまざまな深める会になっています。

今回は5人の方々に対して、西本塾で感じていただいた事実をさらに深めていただくための工夫が、1日限りという時間の制約の中で、私なりに納得のいく形にできたのではないかと思っています。

深める会の1回目と2回目に連続して参加していただいた方もお二人いらっしぃます。

私にとって、しいて残念な気持ちが残るとすれば、深めるということの意味が、私の思いと少しずれがあるかもしれないと感じるところがあることです。

実技というのは、トレーニングにしても施術の手技にしても、どうしてもテクニックや方法論を深めていくという感覚に陥ってしまいます。

私がお見せしたテクニックに少しでも近づきたい、自分でも使えるようになりたい、それはある意味当然です。

そのために時間とお金をかけて、広島までやってきたのだから何が違うのかと言われればそれまでです。

確かに私はそういうテクニックや技術を持っていて、それを伝えることも西本塾や深める会の一つの目的かもしれません。

参加していただいた皆さんが、もしそれだけを目的に来ていただいているのだとしたら、西本塾は他の様々なセミナーや講習会と何ら違わないものとなってしまいます。

そういう枝葉のテクニックを、もしきちんと受け継いでいただいたとしても、それはたんに私の模倣にすぎません、私の技術をマスターした人を増やして〇〇式健康法を全国展開していくために行っているのではないのです。

人間の体は本来どうあるべきなのか、正しい使い方とは、正しいケアの仕方とは、有効なトレーニングの仕方とはという本質的な部分を、自分で考えられるようになっていただくことが目的なのです。

手の持ち方がどうの、力の入れ方や抜き方がどうの、そういうことは、今この瞬間この動作を何のために行っているのかを考えられるようになれば、私にその答えを聞いてくること自体が筋違いなことなのです。

いきなりそんなことを言われても困るでしょう、しかし、常にそういう感覚で私との対話を行っていただかなければ、何回何十回私のところに来ていただいても無駄なのです。

最後に質問をしていただいた中で、サッカーのコーチはこう言っているが私はどう思うかという趣旨のものがありました。

それは私にとって質問になっていないのです。

そういう枝葉の質問をされた時にどう答えればよいのかということを理解していただくために、幹や根っこの見方を延々とお話しし、実技でお見せしているつもりなのです。

テクニックを教えているつもりはありません、自分に対してなぜどうしてという問いかけが、できるようになってもらいたいと、私の歩んできた道をお話ししているのです。

私と同じ人間になっていただくことはできません、模倣はしょせん模倣です。

亡くなられた私の唯一の師である渡辺栄三先生をサンフレッチェ在籍時に、東京のご自宅をお訪ねした際、同行した選手に、「もう西本君はことスポーツの世界では私が教えられることは何もない、はるかに私を超えて行ってくれた、だから彼を信頼して何でも相談してください」という言葉をいただきました。

私にとってこれ以上の言葉はありませんでした。

けっして先生を超えたなどと今まで一度たりとも思ったことはありませんが、選手を安心させるために言葉を選んでくださったのだと思っています。

西本塾の門は、今定期的に空け放たれています、どなたに入ってきていただいてもかまいません。

ただ私がご案内できる人数と時間には限りがあります、その中で参加者の中にあまりにも温度差があると感じた時には、入場をお断りする例が出てきました。

何をもったいつけて偉そうに、そう思われても仕方がありません。

私がそうしなければならないと思うほど、真剣で熱い気持ちを持って参加してくださる方が多いのです。

その方々の輪の中に、一人でも温度差を感じる方がいると、せっかく温まった空気が一瞬にして覚めてしまうのです。

それを一番感じるのが私自身なのです。

ですから申し込みの際に、参加動機を記入していただいていますが、私から何を吸収したいのか、今ご自分がどういう状況で私の理論を必要としているのか、色々な意味で私に伝わってくるものがない方に対して、一期一会の西本塾で私はその方に対して、どんな対応をしたらよいのかまったく分からないのです。

ほとんどの方からは熱い思いが伝わってきて、当日初めてお会いするのに、すでに何度もお会いしたことのある同志のような感覚にさえなってしまいます。

考え方の基礎を学ぶ、枝葉のテクニックを習得する、結局は同じことなのです。

私がお伝えできるのは、私の人生で経験してきたことそのもので、それ以上でも以下でもありません。

私の人生訓ともなっている「人生あみだくじ」、どなたかの人生に、私の存在が一本の線を足すことで、新たな方向性や可能性が見えてくる、ほんの少しでも、そんな存在になれたらいいなと思っています。
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Comment

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西本先生
深める会ありがとうございました。
趣旨と異なる質問大変失礼いたしました。
空中での安定
競り合いというのをイメージしてなく、
広背筋で身体をもちあげるつもりでジャンプし、ノーマーク状態でヘディングする時の安定をイメージし、ヘディングする方向へ足をあげその足を下げながらヘディングするといいのかがイメージできなく質問してしまいました。
イメージは違いましたが答えの辿りつくところは一緒だと思い反省しております。
わが県のスポーツレベルを上げたく知識のない私が友人の紹介でたどりついた先生の考え方、携われる方たちに気づかせ改めてもらえたらと思います。
先日、とある競技の指導者(日本ではトップレベルです)と、
この競技は下半身重視じゃないとだめなんだといわれ、違うだからその競技は世界で勝てないと口論になったばかりでした。そんな感じでコーチと話してたらと思います。
やはり先生にいわれた身体も硬いが考え(頭)も堅い その通りなのでしょう。
もう少し開けたら自分自身も少し変われそうです。
いろいろありがとうございました。
また参加できたら幸いです。

渡邉貴史

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プロフィール

Author:西本 直
1993年、Jリーグサンフレッチェ広島を皮切りに、社会人野球三菱重工広島・協和発酵・ヴィッセル神戸・川崎フロンターレ、そして広島カープ佐々岡真司投手など、プロアマ問わず競技レベルのスポーツ選手から一般の方まで、トレーニングやメンテナンスの指導を行ってきました。
その経験と知識の蓄積を「西本理論」としてまとめ、一人でも多くの方に実践していただくことが、これからの私の使命であると信じ、このブログから発信していきます。
私の理論はスポーツ選手のみを対象としたものではなく、ビジネスマンや家庭の主婦まで老若男女すべてに当てはまる不変のものです。
指導や講演のご依頼も受け付けています。
実名でツイッターも書いていますので、チェックしてみてください。
また、2013年9月9日にConditioning Studio 操をオープンしました。
また、遠隔地にお住まいの方を対象とした動き分析とアドバイスを行っています。
詳細は「スタジオ操」のホームページ内の「遠隔サポート」をご覧ください。
「第25回西本塾」を11月18・19日の土日に開催を予定しています。
詳細はStudio操ホームページ内の「講習会情報」をご覧ください
尚、深める会も12月9・10日に予定しています。

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