スタミナ強化

スタミナがない、持久力がない、走りきれない、すぐにバテる、こういうネガティブな評価を受けることは選手にとって致命的とも言える問題です。

そういう能力がストレートに表に出る競技の選手は、なんとかそういう能力を向上させようと苦しいトレーニングを自らに課すでしょう。

400mを何秒で走れるスピードがあるとか、1500mを何分何秒で走れる持久力がある、といった数値が選手の能力を評価する指標になったります。

それらはイコール心肺持久力や筋持久力を正確に表しているのでしょうか。

以前の私にもそういうものの見方をしているところがありました。

例えば、そういう意味での持久力があまり必要でないと思える野球という競技の選手たちに対しても、基礎的な持久力の向上を求め、オフシーズンにはかなりの量のランニングをメニューの中に取り入れていました。

その時の私の考えには、野球という競技自体には心肺機能を中心とした持久力を要求されるプレーの局面はほとんど存在しない、しかし様々な局面に対応するために、練習時間は他の競技に比べ明らかに長くかかることは事実である。

であるならば、まずは長時間質の高い練習を行うためには、それに対応する持久力が必要になってくる、最終的に必要なハイパワーの瞬発力を安定して繰り返し発揮できるためには、まずはピラミッドの底辺に当たる持久力、その上にそれをベースにしたミドルパワーのトレーニングを行い、更にその上にハイパワーの能力を積み上げていくことで、個人としてチームとしての基礎的な運動能力の向上が図れるという考え方でした。

ピラミッドの頂を高くしようと思えば、当然底面の広さが要求されることは誰が考えてもわかるはずです。

そうした能力の上に投げる打つ走るという、実際のプレーの練習があるはずです。

そういう考え方をもって指導したチームは、一定の成果を残してくれたと思います。

しかし、走ること走り続けることが能力の大前提となるサッカーやラグビー、バスケットやテニスなど、多くの競技では、単純にその能力を向上させるトレーニングに、本当に意味があるのかと考えました。

現実として走らなければプレーはできません、足が止まった時点で勝負ありです。

一定のレベル以上の選手たちであれば、数値で表される能力にそれほど大きな差があるとは思えません。

ならば何が違うのか、同じ距離を同じ目的をもって移動する際の身体の使い方に着目しました。

「私は歯を食いしばって、こんなに一生懸命走っています、汗をかき途中で足がつってしまうほど頑張り続けましたが、途中で動けなくなり交代を余儀無くさせられチームに迷惑をかけてしまいました。」

これは正しいことなのでしょうか。

個人としてチームとしてやり続けなければならないことができなくなってしまって、何の意味があるのでしょう。

とにかく苦しめそれを乗り越えろという、追い込み型のトレーニングに違和感を感じ始めました。

同じ距離を同じスピードで、頭もクリアな状態で走り続けるためにはどうすればいいか、そして生まれたのが、私の提唱する体の使い方で走ることです。

何度も書いてきましたが、陸上競技以外でスタートからゴールが決まっていて、最初から最後までただ走ることが目的となる競技はないのです。

ならば自由に方向を変えられ、スピードの変化にも対応しやすく、なおかつそれぞれの目的となる動作にも対応できるこの走り方こそ、人間本来の移動方法であり、歩きそして走りであると考えたのです。

それを身につけていくための様々なドリルのくり返しは、体の使い方や身のこなしを身につけて行くという本来の目的とともに、無駄に疲労しないため、数多く繰り返すことができ、習得もしやすいというメリットもあります。

さらには本数をこなすことで、気がつけばただの素走り以上に運動量をこなし、心拍数も上げることもでき、一石何丁の効果もあります。

結果的に、ただ苦しい思いをして獲得したつもりの、いわゆるスタミナという概念を超えた能力を獲得できてしまうのです。

夏の高温多湿の大会で、自分のもっている能力を最大限に発揮し続けるためには、こういう発想のトレーニングを行わなければならないのではないでしょうか。

もうすぐ始まるW杯、海外のスーパースターたちの無駄のない体の使い方、そして私が最も期待する日本選手の身のこなし、じっくり見せてもらいたいと思っています。
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Re: vaga6undo89@gmail.com
参考程度にという軽い質問でしたから、私も軽く答えさせていただきます(笑)
何度も書いてきましたが、私自身サッカーの経験はありませんし、とくにサッカーファンでもありません。
昨年来、依頼を受けて動きの特徴を分析している選手たちも、正直それまで全く名前も知らなかった選手の方が多いくらいです。
そんな中でも総じて言えるのは、スーパースターと呼ばれている選手の体の動きには、人間に与えられた能力を素直に表現できているという共通点があることです。
昨日のネイマール選手の科学的な分析を見て思うことは、科学的な分析というもので分かることは所詮そこまでだということです。
全体の連動や、どこからどこへ動きが伝わっていくかというような見方は、機械にはできません。
あの程度のことなら、そういう視点をもって真剣に見れば、肉眼でも分かるはずですから。
私が言っていることができている選手という表現は逆で、そういう選手たちを見たらこういう動きをしていたということです。
もうすぐワールドカップですね、私もそうですが、それぞれの視点をもって選手の動きを追うことは、勝敗よりも面白いのではないかと思います。
鈴木さんがどのような形でサッカーに関わっているのかは文面からわかりませんが、私の見方はあくまでも私の見方です。
色々な視点を自分で持ってください。
  • 2014-06-02│21:16 |
  • 西本 直 URL│
  • [edit]
vaga6undo89@gmail.com
いつもブログを拝見させていただき勉強させていただいております。
西本さんがおっしゃているカラダの使い方をうまく駆使している世界のサッカー選手は例えばだれが挙げられますか?
または日本人でいまそのような身のこなしをしているプレーヤーはいますか?
お手数をお掛けしますが、参考程度にお教えしていただけませんか?
お願いいたします。
  • 2014-06-02│17:42 |
  • 鈴木峻太 URL│
  • [edit]
深〜い!
今日は、ありがとうございました。
自分の中で、又一つ疑問の解消、手応え、課題など深めることができました!まだまだですが、根っこが見えかけてきました。次回を楽しみに精進していきたいと思います!よろしくお願いします。参加者の皆さんもありがとうございました。又お会いする日を楽しみに…。


  • 2014-06-01│20:49 |
  • 神野慎哉 URL│
  • [edit]

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プロフィール

Author:西本 直
1993年、Jリーグサンフレッチェ広島を皮切りに、社会人野球三菱重工広島・協和発酵・ヴィッセル神戸・川崎フロンターレ、そして広島カープ佐々岡真司投手など、プロアマ問わず競技レベルのスポーツ選手から一般の方まで、トレーニングやメンテナンスの指導を行ってきました。
その経験と知識の蓄積を「西本理論」としてまとめ、一人でも多くの方に実践していただくことが、これからの私の使命であると信じ、このブログから発信していきます。
私の理論はスポーツ選手のみを対象としたものではなく、ビジネスマンや家庭の主婦まで老若男女すべてに当てはまる不変のものです。
指導や講演のご依頼も受け付けています。
実名でツイッターも書いていますので、チェックしてみてください。
また、2013年9月9日にConditioning Studio 操をオープンしました。こちらもご覧ください。
また、遠隔地にお住まいの方を対象とした動き分析とアドバイスを行っています。
詳細は「スタジオ操」のホームページ内の「遠隔サポート」をご覧ください。
今年2回目の西本塾を8月26・27の土日に開催を予定しています。
詳細はstudio操のホームページ内の「講習会情報」をご覧ください。
なお、今回も参加者が5名に満たない場合は開催しません。
9月10日には深める会も予定しています。

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