足が止まる

残念な結果でした。
解説者たちが言うところの戦術的な問題は、専門外ですので私なりに思ったことを書いてみます。

今回の大会は、高温多湿の環境の中で、個人としてチームとして、いかに普段通りのというか、持っている能力を発揮できるかということが、すべてのチーム選手にとって最も重要な問題となっていたようです。

海外のチームのことまではさすがに情報を持っていませんが、日本チームのコンディション作りに関しては、報道されている範囲においては見聞きしていました。

鹿児島でのキャンプでは、かなりのハードワークを選手に課して、いったん疲労のピークに持って行ってから、今日の試合に向けて疲労の回復を図りながら、チームとしての戦術を確認していくという流れだったようです。

現実的に考えて、このチームの選手たちが、それぞれ選ばれて集まってくる時点でのコンディションには、大きな違いがあったと思います。

国内のJリーグで戦っている選手たち、とくにACLを戦いながらのチームに所属している選手であれば、シーズン開始からの疲労は想像に難くありません。

そうでなくてリーグ戦だけ戦ってきた選手であっても、リーグ戦も一巡して、そろそろ色々な意味での疲れが出てくるころだと思います。

海外組の場合は、故障はないものの試合にあまり出場していなかった選手と、ほぼフル出場してきた選手、また故障上がりで、コンディションが万全でないままに合流してきた選手、ざっと思い浮かぶだけでも、これだけ様々な選手たちがいたとおもいます。

その選手たちに対して、高温多湿の過酷な条件の中で戦うためには、という大義名分の元に、同じトレーニングメニューで追い込んでいたとしたら、私は違うと思います。

もちろんスタッフもそれくらいのことは考えているでしょうから、個別にコンディションを考えてメニューにも工夫がされていたと信じたいですが・・・。

それにしても、こういう時(短期決戦のために召集される寄せ集め選手)の対策として、相も変わらず「追い込む」という発想が続いているのはなぜなのでしょうか。

それで今まで、本当にきちんとした効果が実証されたことがあるのでしょうか。

ここまで追い込んでトレーニングしました、食事の栄養はもちろんのこと、きちんとマッサージ等のケアも受け、試合中の水分補給など、ありとあらゆる対策を講じてきた結果が、またこうして「後半足が止まってしまった日本チームは」と、ニュースでアナウンサーが繰り返すのを聞かなくてはならないのでしょうか。

思惑通りに先制し、勝ちパターンに持っていけるはずが、まさかの2失点、それでいいのでしょうか。

人間の能力には限界があります、どんなに強い負荷をかけて追い込んだトレーニングをしようと、獲得できる能力には限りがありますし、自然の環境にはかないません。

「それは言い訳にならない、相手も同じ条件の中で戦っているのだから」、もちろんそうです。

そうなると単純にそういう能力が優れている選手が多い方が、後半になるにつれて大きなアドバンテージを得ることになります。

交替選手も3人だけですから、疲れが見えたから交替させてという訳にもいきません。

長くなるので書きませんが、今言われているスポーツ栄養学では、エネルギー源をほぼ炭水化物(糖質)に偏った考え方になっていますが、おそらく数年後には研究が進み、体内の脂肪をエネルギー源とする考え方が広まってくると思います。

それはさておき、走るということを基本としたサッカーという競技を、今回のような過酷な条件で行わなければならないことが分かっている場合、というよりも、どんな環境であっても、自分の体を効率よく使って、無駄なエネルギーを消費せず、ここ一番に最高のパフォーマンスを発揮できるようになるためには、歩く走るという基本の動作から見直す必要があるのではないかと言い続けています。

このブログでもずっと訴え続けてきたことですが、まだまだ私の考えを理解して、そういう発想のトレーニングに切り替えてみようかという話は聞こえてきてはいませんし、トレーニングを実際に指導してほしいとか、話だけでも聞いてみたいということもありません。

西本塾に参加してくれた人たちが、自分たちが指導している子供たちに対して、私から学んだことを伝えてくれていますが、すでにあちこちで成果が出ているようです。

8年後もしくは12年後、その子供たちから広がった、私に言わせれば人間本来の正しい走り方が主流になり、どんな条件の中でも安定したパフォーマンスを発揮できる選手が増えてきたとき、体格や個人の能力では、海外の選手たちにはかなわないけれど、組織の力なら対抗できると言われている日本サッカーの力を、ピッチの上で存分に発揮してくれるチームになっているかもしれません。

負けてしまったとはいえ、前半19分くらいにあった大迫選手のポストプレー、これまで説明してきた本当に上手な体の使い方を見せてくれました。

逆に名前は出せませんが、足が完全に居付いてしまって重心を移動することができず、苦し紛れに体勢を崩しながら足を出してディフェンスするしかなくなってしまった、某選手にはちょっとがっかりしました、そういうシーンが何度かありましたから。

ここからいくら言っても声が届くはずはありませんが、4日間でコンディションを整え気持ちを切り替え、日本代表として4年間取り組んできたことを全員で出し切ろう、という掛け声だけでは、どうにもならない部分を初戦で感じてしまいました。

1点目を決め、まさにどや顔の本田選手の表情が、時間とともに苦悶の表情に変わり、つられるように全員同じような表情になっていきました。

後半投入された大久保選手も、すでに周りの選手がそういう状況でしたから、彼本来の動きを行おうにも、チームとして彼を生かすようなボールは出てきませんでしたね。

日本人はフィジカルが弱い、そんなことはけっしてありません。

我々日本人の技術を最大限に生かすための体の使い方、私一人ではどうすることもできません、一人でも多くの人に気づいてもらいたいと思います。

これはサッカーだけに限ったことではもちろんありません。

もしかしたらこんな展開になるのでは、ひそかに最悪のシナリオも考えなくもなかったのですが、その心配が現実のものとなりました。

もうそんなことは言っていられません、あと2試合、まったく好きな言葉ではありませんが、根性で倒れるまで走り続けて頑張ってもらいましょう。

日本を代表してピッチに立つ11人です、最後まであきらめずに頑張ってください。
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プロフィール

Author:西本 直
1993年、Jリーグサンフレッチェ広島を皮切りに、社会人野球三菱重工広島・協和発酵・ヴィッセル神戸・川崎フロンターレ、そして広島カープ佐々岡真司投手など、プロアマ問わず競技レベルのスポーツ選手から一般の方まで、トレーニングやメンテナンスの指導を行ってきました。
その経験と知識の蓄積を「西本理論」としてまとめ、一人でも多くの方に実践していただくことが、これからの私の使命であると信じ、このブログから発信していきます。
私の理論はスポーツ選手のみを対象としたものではなく、ビジネスマンや家庭の主婦まで老若男女すべてに当てはまる不変のものです。
指導や講演のご依頼も受け付けています。
実名でツイッターも書いていますので、チェックしてみてください。
また、2013年9月9日にConditioning Studio 操をオープンしました。
また、遠隔地にお住まいの方を対象とした動き分析とアドバイスを行っています。
詳細は「スタジオ操」のホームページ内の「遠隔サポート」をご覧ください。
「第25回西本塾」を11月18・19日の土日に開催を予定しています。
詳細はStudio操ホームページ内の「講習会情報」をご覧ください
尚、深める会も12月9・10日に予定しています。

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