取り組む姿勢

このブログを読んで、どうしても私の指導を受けたいとコメントをくれたサッカー選手が、Studio操を訪れてくれました。

サッカー選手として一番旬の20代前半を、ケガのリハビリに明け暮れ、まともにプレーができていない状態で、もう大丈夫だと復帰してはケガの繰り返しに、このままでは選手生命が終わってしまうと、大きな覚悟をもって私の指導に賭けてくれたようです。

コメントに書かれた彼の状況はけっして楽観できるものではなく、私ができる限りのことをしてあげられたからといって、すぐに復帰という訳にはいかないかもしれないと思いました。

それでも何か彼の役に立つことができるかもしれないと、彼の申し出を承諾していました。

最初に届いたコメントの文面からは彼の必死さが伝わり、昨日広島に到着したというメールをくれたことからも、彼のきちんとした人柄が想像され、本当に何とかしてやらなければの思いを強くしました。

今朝9時、時間通りに現れた彼は、礼儀正しく挨拶をしてくれ、話す言葉もしっかり自分のことを伝えることができ、久しぶりにスポーツマンらしい人間に出会えた気がしました。

月曜日は基本定休日としていますが、彼の熱意はそんなことで断ることはできないほどのものでした。

両膝とグローイングペインの手術を経験し、いまだに通常の練習には入れず、リハビリの毎日だそうで、少し無理をすると膝に水がたまる状態が続いているようです。

まず私がしたことは、からだほわっとから全身を緩め、いくつかの操法で体の動きを確認していきました。

曲がりにくかった膝もかかとがお尻に着くようになり、他の動きでも左右差が少なくなり全身の連動を誘発できたので、これはいけるんじゃないかと期待が持てました。

まずは相手の体と考え方を知ることから始まります。

こちらの言うことをしっかり理解してくれ、体の変化もすぐに分かってくれるので、こちらの立場としてはとても扱いやすいタイプです。

その後は私の考え方を伝えながら、様々なトレーニングを行ってもらいました。

一つ発見だったのは、彼はお父さんがエジプトの方で、遺伝的には我々よりもずっと背中を使うということに関してアドバンテージがあるのかと思ったら、日本に生まれ日本に育った彼の肉体は、我々普通の日本人と同じように広背筋の使えない、屈筋重視の前掛かりな使い方しかできない体になってしまっていました。
やはり肉体も考え方も、環境という後天的な要素の方が強いのだと、改めて実感しました。

彼の肉体も屈筋重視のトレーニングによって作られ、見た目には十分なサイズを持っていましたが、見事なまでに広背筋が機能しておらず、手術の跡がどうのこうのではなく、この広背筋の意識さえ変えられれば、早期の復帰も可能なのではと期待が持てました。

午前中の室内トレーニングを終え、一緒に食事をしながら話す彼の口からは、まさに20年前に苦楽を共にして戦った広島時代の選手たちを思い出させてくれるような、侍スピリッツを感じました。

つい最近接した選手たちとは違う、覚悟というか取り組む姿勢の本気度が違います。

その熱い気持ちが午前中だけの約束を午後まで引っ張らせ、外に出て走りや動き方の実技まで行いました。

こんなに気持ち良く走れたのは久しぶりとか、こんな動きはできなかったとか、素直に表現してくれて、私もどんどん気持ちが入っていきました。

もし私が、彼が所属するチームのスタッフだったら、もっともっと早く復帰させられたのになと思わずにはいられません。

当たり前のことを当たり前にやることで満足してしまい、結果にこだわることがなくなってしまって、まるでサラリーマンのようにその仕事を続けている、名ばかりのトレーナーたちのやり方には当然満足しておらず、本当のプロ意識をもったトレーナーに初めてで出会ったいう言葉は、私にとって十分な褒め言葉でした。

腕を振って地面を蹴って体重移動で走る方法から、股関節のローリングを使っての重心移動で走ることを知ってしまった彼が、その動きを現場でどう使ってくれるのか、まだまだ未知数ですが、彼の覚悟をもってすれば、きっと周りが驚く動きを見せてくれる日も近いと思います。

彼とは話が合うと言いますか、彼が合わせてくれているだけなのかもしれませんが、昭和の男を感じさせる泥臭さがあり、顔を見るとエジプト人の血を引いた彫の深い端正な顔立ちとのギャップが、なかなか楽しいです。

何とかしてやりたい、そう思わせてくれた彼との関係は、この後一緒に食事をし、明日の午前中まで続きます。

そう遠くない日に彼が復帰し、ピッチに立つ姿をイメージしながら明日のトレーニングの内容を考えたいと思います。

本気の人間を相手にするのは本当に楽しいです。

彼にも一発で私が組織に合わない人間だと見破られてしまいましたが、こうして私を頼ってくれる人間に対しては、私でなければ見えない部分をしっかり見て、私でなければ言えない厳しいことも言い、私でなければできないことをしっかりやって、彼の役に立ちたいと思います。

どんなことにも言えることです、取り組む姿勢の本気度がすべての結果を決めると思います。
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Re: No title
お元気そうで何よりです。
そうですか、高齢者の方にもやっていただけるようになりましたか。
小林さんを信じて通って来てくださる方のお役に立てるよう、これからもますます頑張ってください。
今回来てくれた選手、きっと復活してくれると信じています。
活躍を期待しましょう。
  • 2014-07-01│17:47 |
  • 西本 直 URL│
  • [edit]
No title
お世話になっております小林です。コメントから問合せしていたサッカーの方が来られたのですね。経過のblogを楽しみにしております。私は最近になりフライングバックを使うタイミングや高齢者にも多用出来るようになりました。待ち時間に座りながらフライングバックをされている80歳のオジ様もいます。
体の使い方?
ブラジル対チリの試合を見ました。サッカー経験者としての発言となってしまい申し訳ないですが、延長含む120分間で、互いチームが良い姿勢を保ったまま戦い、しかも技術、気持ち共に全力で戦いぬいた姿勢に、日本と世界の差を感じざるを得ません。運動量と質で、日本を上回る国が少なくとも2つあるのですから。次の監督が外国人であれば、当たり前と考える体の動きを前提で、システム論のチーム作りをして、同じ結果になりそうで、現時点でも絶望してしまいます。「動き」というのは、世界で戦う上での基本中の基本と感じました。世間の流行りというのは、怖いですが、少しでも動き作りが流行りを、見てみたいです。大久保選手が、1点でも取れたら、、、、、。
  • 2014-06-30│20:47 |
  • agtm URL│
  • [edit]

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プロフィール

Author:西本 直
1993年、Jリーグサンフレッチェ広島を皮切りに、社会人野球三菱重工広島・協和発酵・ヴィッセル神戸・川崎フロンターレ、そして広島カープ佐々岡真司投手など、プロアマ問わず競技レベルのスポーツ選手から一般の方まで、トレーニングやメンテナンスの指導を行ってきました。
その経験と知識の蓄積を「西本理論」としてまとめ、一人でも多くの方に実践していただくことが、これからの私の使命であると信じ、このブログから発信していきます。
私の理論はスポーツ選手のみを対象としたものではなく、ビジネスマンや家庭の主婦まで老若男女すべてに当てはまる不変のものです。
指導や講演のご依頼も受け付けています。
実名でツイッターも書いていますので、チェックしてみてください。
また、2013年9月9日にConditioning Studio 操をオープンしました。こちらもご覧ください。
また、遠隔地にお住まいの方を対象とした動き分析とアドバイスを行っています。
詳細は「スタジオ操」のホームページ内の「遠隔サポート」をご覧ください。

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