事前の準備と最後の賭け

昨日はツイッターで我が身の不養生で大騒ぎをしてしまいご迷惑をおかけしました。
ご心配をいただいた皆さん本当にありがとうございました。

何時も分かったようなことを言っている私ですが、当然自分の分野に関する経験や知識を述べさせていただいているだけで、専門外の分野に関しては、知らないことばかりで、皆さんに比べ甚だ経験不足な自分であることは否めません。

今回のようにまだ大丈夫だろうという、勝手な思い込みが自分でも驚くような事態を招いてしまい、反省しきりです。
まだまだ症状は改善していませんが、解熱剤の効果か熱は下がり、気持ちも落ち着いてきました。

今まで相手にしてきたのは、ぶつかったとか捻ったとか、骨が折れたとか、筋肉がどうしたとか、そういうケガに対する対応が多く、一般の方にしても多くは腰痛とか寝違えとか、筋肉の問題がほとんどでした。

今回のような泌尿器科に関することの知識はほとんどなく、排尿時の痛みとか、困難さとか聞かれても、以前から頻尿気味で年齢とともに仕方がないものだと諦めていたり、これくらいで痛いというのかなと訴えなかったり、今回の前立腺炎という疾患に気づくのが遅れてしまいました。

しっかり養生して再発させないように気を付けたいと思います。

という訳で、やっと準決勝の残り一試合、アルゼンチン対オランダ戦を見ることができました。

この試合での私の視点は、ディフェンスの選手の姿勢を見ることでした。

何度も書いてきましたが、一対一の局面になると日本の選手はほとんどが腰を落とし前傾して、相手の動きに対応しようとします。

関係者に聞くと、そういう姿勢が正しいと指導を受けてきた、また現実そうやって指導しているという声が多く聞かれました。

それがどうしてだめなのか、すでに何度も話題にしてきましたが、W杯レベルの超一流選手たちですら、ゴールを背負った一対一の局面では、そういう姿勢を取る選手が多いことには驚かされました。

我々日本人と違って、広背筋を有効に使えるように生まれ育っている選手が、なぜそうなってしまうのか、そこに興味が集中し、何か秘密があるのではと考えました。

得点を取るのが仕事のFWの選手たちは、試合中に何度も名前を呼ばれ、顔と名前が一致する選手も増えてきましたが、ボランチやディフェンスの選手たちにはスポットライトが当たる瞬間が少なく、攻め込んでいる時には画面から消えてしまうので、全体としてのポジションどりや動き出しの瞬間が探しずらいことも、今回気づきました。

ブラジル対ドイツ戦は、一方的な内容になってしまったため、一対一での対応も悪いイメージのプレーが多く、このレベルの人たちでもこうなるんだなと、がっかりしましたが、アルゼンチンもオランダも、前日の試合の後のためか、とにかくつまらないミスからの失点は絶対にしないとばかりに、鉄壁な守りを固めていたように思います。

日本戦ならすぐにでも見つけられる、一対一での腰を引いた姿勢での守り方や、相手の動きに対応できず軸足に居付いてしまって、簡単に抜かれていくというシーンは、ほとんど見られないのです。

というよりも、背中にゴールを背負って一対一の絶体絶命の状況になる前に、すでに組織としての対応がとられていて、個人にそのしわ寄せが来ないように守っているのです。

オランダはロッベンやファンペルシー、スナイデルなど強力な攻撃陣が前線にいますが、今まで名前も知らなかったボランチのマスチュラーを中心に、彼らの危険地帯でボールを持たせないように、早め早めに対応しています。

当然姿勢は安定し、いち早くボールに対応したり、相手の動きだしにも素早く対応できるよう、背中が普段通りきちんと立っているので、腰を落として前傾し、後づ去りしながらゴールに迫られるというシーンにならないのです。

このあたりは個人の能力だけではいかんともしがたい部分があるでしょう。

過去見た試合でも、そういう状況になってしまったらほとんどの選手が、私に言わせれば、「なんで」という姿勢になってしまい、一か八かの対応を余儀なくさせられているのですから。

腰を落とし状態で、上体を前傾させてしまえば、対応できるのは目の前の選手一人に限られます。

それもどちらか一方だけは絶対に通さないという構えで、体重をほとんど後ろ足にかけてしまいますので、攻める側は、ディフェンスをどちらか一方向に誘い出し、片方の足に居付かせるために、フェイントを駆使すれば、五分五分の確率どころか、ほとんど100パーセント振り切られてもおかしくない状況を自分で作ってしまうことになります。

まずはそういう状況を作らせない組織としての守り方を徹底する、これが一番でしょう。

その組織の一員として求められる資質や能力は、想像以上に高いものでなければならないと思います。

背が高いとか、体が強いとか、足が速いとか、そういう何かに秀でたというのではなく、瞬間的な対応力が最優先の条件だと思います。

日本の試合だと、プレーが止まった時に味方に対して激しい指示が飛んだり、ミスをした選手が下を向いてしまっていることもよくありますが、両チームの選手とも全くそういうシーンが見られません。

選手同士がリスペクトしあい、たとえミスがあっても責めたり下を向くことなく、次のプレーに集中できる、これが世界の一流プレーヤーたるゆえんなのでしょうか。

コーナーでクロスを上げようとしている選手に対して、スライディングをして阻止するシーンでも、ぎりぎりの一つ手前で足を出しているので、ファールにならず、きちんとボールに行けているのは、やはり姿勢の良さからくる動き出しの速さだと思います。

腰を落とし前傾してのディフェンス姿勢は、半分降参の赤旗を挙げていることに等しいと肝に銘じて、もうやめた方がいいと思います。

その局面になったからこそ、骨盤を引き上げ背中を反らして、相手のどんな動きにも対応できる準備と、どこへでも足を投げ出してボールを止めることができる股関節の自由度を確保すること、意識を変えて姿勢を作り直し、世界に通用するディフェンダーが日本から誕生してほしいと思います。

点を取れなければ勝てないのがサッカーですが、点を与えなければ勝てるのもサッカーだということを今回のW杯は教えてくれました。

とくにゴールキーパーの活躍は目を見張るものがあります、常にアイドリング状態が保たれ、どんな方向へもダイブできる、そんなキーパーがたくさんいました。

ディフェンスでは、以前から名前を覚えていたオランダのデヨング、メッシに張り付き仕事をさせなかったのは見事でした。

それから初めて覚えた名前ですが、アルゼンチンのマスチュラー、先ほども触れましたが、最後列のひとつ前で、強烈な攻撃陣に自由なスペースを与えず、的確なポジションを取り続ける姿は、ちょっとかっこいいと思いました、たしか14番の選手です。

決勝はどんな試合になるのでしょうか、アルゼンチン対オランダ戦のような、じりじりと隙をうかがい、ワンチャンスにかけるような戦いになるのか、それとも両チームの攻撃陣が躍動し続けるような攻撃サッカーを見せてくれるのか。

そのどちらになっても、私の視点はもう一度ディフェンスの選手を追ってみようと思います。

私ごときの提言など役には立たないでしょうが、今回の日本代表の戦いぶりを見る限り、修正点というか課題の一番はきちんと守れる選手の育成ではないかと思った次第です。

決勝戦の後、そのヒントにでもなる何かをここでまた書ければいいと思います。

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Comment

いつも興味深く読ませて頂いています。居着いてしまう理由は、単純だと思っています。1対1になる→抜かれたくない→ボールを凝視する→後傾する→居着く。良かれと思ってやったことが、裏目に出てしまう、、、。バスケなら、そうはなってない気がします。
  • 2014-07-11│19:21 |
  • 田中 URL│
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プロフィール

Author:西本 直
1993年、Jリーグサンフレッチェ広島を皮切りに、社会人野球三菱重工広島・協和発酵・ヴィッセル神戸・川崎フロンターレ、そして広島カープ佐々岡真司投手など、プロアマ問わず競技レベルのスポーツ選手から一般の方まで、トレーニングやメンテナンスの指導を行ってきました。
その経験と知識の蓄積を「西本理論」としてまとめ、一人でも多くの方に実践していただくことが、これからの私の使命であると信じ、このブログから発信していきます。
私の理論はスポーツ選手のみを対象としたものではなく、ビジネスマンや家庭の主婦まで老若男女すべてに当てはまる不変のものです。
指導や講演のご依頼も受け付けています。
実名でツイッターも書いていますので、チェックしてみてください。
また、2013年9月9日にConditioning Studio 操をオープンしました。
また、遠隔地にお住まいの方を対象とした動き分析とアドバイスを行っています。
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「第25回西本塾」を11月18・19日の土日に開催を予定しています。
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尚、深める会も12月10日に予定しています。

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