意識は変えられたか

昨日、兵庫県からサッカー選手がトレーニングに来てくれました。
近い将来、世間にも名前を知られるような存在になって欲しいという期待を込めて、「稲垣良輔」君という名前も紹介しておきましょう。

彼は学生時代には実績を残すことができなかったものの、夢を追い続けドイツに渡って、下部リーグからの挑戦を続けているそうです。

年齢は25歳、どこまで行けるかわからないけれど、自分の可能性を信じて努力を続けているそうです。

ビザの関係で、すぐにはドイツに戻れないそうで、日本でお金を稼いで準備している最中に私のことを知り、何か得るものがあるのではという好奇心と期待を持ってやってきてくれました。

私自身、指導方法や内容に関して、色々考えるところがあって、どんな立場の方の、どんな要求に対しても、仕事として決められた時間の中で、少しでも深く理解していただけるような指導の仕方を模索しています。

今回は現役のプレーヤーとして、自分がこれまで行ってきたトレーニングや体の使い方と、私のブログに書いてあることがどう違うのか、またそれを身につけることで、自分の動きがどう変われるのか、しっかり伝えられるよう準備しました。

前回のブログにも書きましたが、一番のテーマになっていることは、「屈筋の意識をどれだけ消せるか」という問題です。

人間の関節を動かすためには、単純に言えば曲げる筋肉と伸ばす筋肉が、協調的に働いて収縮しています。

どちらかがオンで、どちらかがオフという状態はあり得ません。

ならば、なぜ屈筋の意識を消さなければならないのか、それを頭と体が理解しなければ、動きづくりも、動きの質を変えることもできないのです。

まずは、普段どれだけ屈筋に依存した筋力発揮を行っているかということがわからなければ、話は始まりません。

そして伸筋が働いている状態も知らなければなりません。

そのうえで伸筋と屈筋のどちらを利用した方が、体にとって効率的であるか、ということを実感してもらうという段階に進みます。

実技とホワイトボードやiPadを使っての理論的な説明を行ったり来たりしながら、頭と体にすっと馴染んで行くように指導をして行きます。

その辺りの理解が進んでくると、今度はそういう体の使い方が、実際の動作、歩くこと走ることから始まって、サッカー選手としての動作に、どう繋がって行くのかを説明して行きます。

彼はウエイトトレーニングに関しては、一般的に言われているやり方で、人一倍の努力をしてきたようで、見た目のサイズ以上の筋力を、すでに身につけていました。

しかし、私の考え方ではそれを続けても、欧米の元々サイズの大きな選手に対抗できないと思っていますので、まさに意識を変えて、トレーニングを行い、体の使い方で勝負出来ることを説明して行きました。

人間の感覚は不思議なもので、痛みという感覚には順番をつけることができないようです。

ここが一番痛くて、二番目はここ、さらには三番目などという繊細な感覚は持ち合わせていません。

どこが痛いですかと聞けば、次々と言葉にしてくれますが、それは感覚というよりも、頭が勝手に決めつけて考えてしまっていることがほとんどです。

トレーニングを行う際の、主に負荷をかけたい筋肉の部位でも同じことが言えます。

ベンチプレスは大胸筋を大きくすると思い込んでトレーニングをしても、上腕の二頭筋や三頭筋、肩の筋肉も背中の筋肉も、数えればたくさんの筋肉が協力しています。

あえて大胸筋を強く意識することで、他の筋肉への意識が薄れているだけのことです。

同時に何箇所も意識することが難しいのです。

私が大事だと言い続けている広背筋にも、ベンチプレスを行うことで、 ちゃんと負荷はかかっています。

しかし、広背筋の動きをきちんと意識して動作を行わなければ、広背筋の動作改善、本当の意味での動きづくりにはならないのです。

ベンチプレしであっても、広背筋のトレーニングとして、立派な動きづくりのトレーニングとして成立するのです。

本来広背筋のトレーニングが主目的であるはずの、ハイプーリーを使ったトレーニングを行う際にも、広背筋の正しい収縮形態を理解しないままトレーニングを行ってしまったのでは、私に言わせればまったくその目的とは違うトレーニングになってしまいます。

まずは体の仕組みを知ること、そしてなぜ伸筋を使うことが大事なのかを知ること、それが自分の動きとどう繋がって行くかを理解しなければ、どんなにトレーニングの形を教えても、まったく意味がありません。

屈筋を使っている時には、頑張っている感がすごくあります。

誰かが見ていても、すごく一生懸命やっているように見えます。

これ以上自己満足に浸れるトレーニングはないでしょう。

しかし、伸筋をターゲットにした場合、そういう感覚はありません。

というよりも、伸筋に対してそういう感覚があるような負荷をかけてしまうと、筋肉の収縮に対しての正しい意識を持てなくなってしまいます。

「頑張らないで頑張る」というのはそういう意味です。

屈筋の意識を消すということは、伸筋を使っているという意識を前面に出すのではなく、その意識すら消してしまうことで、無駄に力んで筋力を発揮させようとすることがなくなり、そのことで疲労を感じにくくなり、冷静に体を操ることで視野も広がるという、本来人間に与えられた能力をいかんなく発揮出来るようになると思います。

短い時間でしたが、彼は確実に何かをつかんでくれたと思います。

こうしてどんなレベルの選手であろうと、一般の方であろうと、何を伝えなければならないのかが、自分の中で整理されてきました。

知識と経験を伝える技術、まだまだ深く掘り起こしていけそうです。
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プロフィール

Author:西本 直
1993年、Jリーグサンフレッチェ広島を皮切りに、社会人野球三菱重工広島・協和発酵・ヴィッセル神戸・川崎フロンターレ、そして広島カープ佐々岡真司投手など、プロアマ問わず競技レベルのスポーツ選手から一般の方まで、トレーニングやメンテナンスの指導を行ってきました。
その経験と知識の蓄積を「西本理論」としてまとめ、一人でも多くの方に実践していただくことが、これからの私の使命であると信じ、このブログから発信していきます。
私の理論はスポーツ選手のみを対象としたものではなく、ビジネスマンや家庭の主婦まで老若男女すべてに当てはまる不変のものです。
指導や講演のご依頼も受け付けています。
実名でツイッターも書いていますので、チェックしてみてください。
また、2013年9月9日にConditioning Studio 操をオープンしました。こちらもご覧ください。
また、遠隔地にお住まいの方を対象とした動き分析とアドバイスを行っています。
詳細は「スタジオ操」のホームページ内の「遠隔サポート」をご覧ください。
西本塾を深める会を9月10日(日)に開催を予定しています。
詳細はstudio操のホームページ内の「講習会情報」をご覧ください。

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