トレーナーと名乗るためには

広島地方、今朝もどんよりとした曇り空です。
高知県や徳島県では、もの凄い量の雨が降っていて、大きな被害が出ないか心配です。

海外で大きな災害や事故があると、日本人の被害者は確認されていませんというアナウンスがされますが、現在のように国際化された世の中では、日本人の安否だけを聞いても安心できない人はたくさんいると思いますし、日本人が巻き込まれていなかったから良かったと言っているようにも聞こえて、なんとなくすっきりしません。

この数年、私が住んでいる広島では、大きな台風や地震の被害にあうこともなく、ありがたいことなのですが、今日、今まさに大変な状況にある地域の方々がたくさんいることを、頭の中に意識して生活したいと思います。

四国は私の故郷でもありますから、なおさら気になってしまいます。

さて今月は7回目を数えた西本塾を行います。

参加の申し込みをいただく際に、志望の動機を書いていただいていますが、回を重ねるたびに、その内容が具体的で真剣さを感じる内容になっている気がします。

たんなる好奇心や野次馬根性で、一度私に会って話を聞いてみたい、そんな動機でももちろん大歓迎なのですが、このブログも書き始めて1年が過ぎ、今からすべてを読んでいただくとしたら、相当な時間と労力を必要とするボリュームと内容になっていると思います。

毎日更新しているわけではありませんが、それでもたくさんの方が、このブログを覗いていただくようになりました。

最初はサッカーの関係の方が多い印象でしたが、今はそれこそ様々な立場の方が見ていただいているようです。

広い意味で、私と同じような仕事に携わっている方も多いと思います。

とくに若い方は、私の経験してきたことを、このブログから追体験したり、自分の仕事に生かせるものがないかと、真剣に見ていただいている方も多くなってきました。

今考えてみると、私がこの仕事を志した頃、今のようなインターネット環境も整っておらず、それよりこうして自分の経験や知識を隠すことなく、自らの言葉で外に向かって発信しているものに出会ったことがありません。

今はもうすべて捨ててしまいましたが、この業界というか同じような仕事をしている人のための、専門の雑誌も読んでいましたが、表面的なものが多く、実際にどうやってアプローチして、その結果どうなったのかという、本当に知りたい部分は明かされていないように思いました。

32歳で務めていた会社を辞め、故郷宇和島で開業した当初は、まさに私の施術方法は不毛の地で、なかなか受け入れてもらえず、毎日暇に任せて本ばかり読んでいましたが、その中で紹介されている方々は、自分の技術とははるかに違う、まさに魔法のように治してしまう凄腕の方々ばかりなのだろうと、想像していました。

そのあとすぐ縁があって、広島に来てプロサッカーのチームの一員として、個人開業していた施術師が、トレーナーという肩書が付き、コンディショニングコーチやフィジカルコーチ、またトレーニングコーチなどと言う肩書まで付けていただくことになって、立場的には、雑誌に登場していた方々に近づき、少し広い視野で客観的に周りが見えるようになっていく中で、自分がある意味憧れていたというか、目標にしていたそういう方々に対する見方が変わっていきました。

そういう人たちは、どういう部分で評価され人を指導する立場になっていったのか、私が目指そうとしている方向とは違うのではないか、素直に割り切れない部分が大きくなっていきました。

私が目指していたものは、組織を作ってその長になることでも、有名な選手と一緒に日の丸を背負って表舞台で活躍し、昔私が抱いたような、あこがれの対象や目標にされる立場になることではなく、一般の方であろうがスポーツ選手であろうが、本人が真剣に向き合ってくれれば、他の人が手を引いてしまうような状況であったとしても、私ならなんとかできるかもしれない、なんとかしてくれるかもしれないという期待を抱かせる存在になりたいという一心でした。

極端な言い方をすれば、私でなく他の人でも同じ結果が出せる程度のことなら私の仕事ではない、というくらいの気持ちで仕事をしていました。

チームに所属して仕事をするということは、ある程度チームの意向というものもありますし、選手たちの考えもあるでしょう。

今は何でも平等にという考え方が主流のようで、チームを背負っている主力選手も、新加入で試合にはまだ出られない選手も、同じ扱いを求めてきます。

それに対して、私の技術と時間を平等に与えることが本当の意味での平等なのでしょうか。

チームのスタッフとして、限られた人数で対応しなければならない中、私はセルフケアやコンディショニングとしてのトレーニングを積極的に指導し、できるだけ自分の体を空けていられるように工夫しました。

それは、本当に私に手が必要な事態に、いつでも対応できるようにしておくためです。

けっしてサボっているわけではありません。

しかしこれは私の職人気質な発想で、組織としては受け入れがたいものだったかもしれません。

順番に当たり前のことをしていれば、誰からも文句を言われることはありませんし、自分の一生懸命仕事をしているという感覚になるのでしょう。

現実的に、いまのJリーグや、その他、これからトレーナーという肩書を目指している人たちが憧れる職場では、私のような人間が力を発揮するのは難しいことは間違いありません。

実際に、夢をかなえトレーナーという肩書を手にしたものの、現実に直面し、こんなはずではなかったと離れていった人たちの話を直接間接に聞いています。

20年前に、サンフレッチェ広島に加入した時、先輩トレーナーから言われた、「これからはトレーナーもチームを組んで選手のケアに当たっていく時代になります」という言葉は、ある意味正しいことだったのかもしれませんが、私は選手にとって不幸な方向に行ってしまったと思っています。

選手はまさに体が資本、長くはない選手生命を全うできるように日々戦っています。

それを支えるトレーナーと呼ばれる立場の人間たちが、まるで金太郎飴のように、標準化された知識と技術で、可もなく不可もない対応に終始してしまい、本当に選手と一緒に戦っているとは言えない状況になっています。

「そんなことはない、我々は一生懸命やっている」、当事者たちはそういうでしょう。

期待したものが与えられないことが分かれば、期待は小さくなっていきます、そしてその期待自体されなくなっていきます。

期待されなければ、今以上の何かを身に付ける必要がなくなるのですから、技術が向上されるはずもありません、まさに悪循環です。

当事者の一人だった人間として、この発言に対して反論を持つ人間がたくさんいてくれることを望みます。

しかし、もっと現実を見て欲しいと思います、本当に自分の技術で選手は満足してくれているのか、自分に足りないものがあるのならそれを身に付ける努力を本気でやっているか。

選手はプロアマ問わず、選手生命というものを賭けて戦っています。

トレーナーは組織の一員として波風立てず、言われたことをやっていればいいという感覚なら、自分のことを職業としてのプロのトレーナーと名乗る資格はないと思います。

プロのチームやオリンピックチームで日の丸のジャージを着させてもらうことを、トレーナーを目指す人たちは目標にしてほしくありません。

自分ならなんとかできる、自分のところに来てほしい、自信を持ってそう言えるように、日々勉強です。

勉強は教科書からでも、有名な人の講習会からでもありません、目の前にいる人間の体です。

どうなりたいのか、どうしてあげたいのか、そのためにはどうすればいいのか、今の自分に何ができるのか、自分自身で考えるのです。

そのことを、どこまで深く掘り返せるのか、その気持ちの本気度が誰にも負けないと、誰はばかることなく言えるのなら、自分はプロのトレーナーだと公言しても大丈夫です。

ただ経験値というものはどうしても必要になります。

私の技術の定義に、「反復継続して…」というくだりがありますが、自分が正しいと思う知識と技術を武器に、反復継続して同じ結果を残し、さらに向上心を持たなければ、頭でっかちの独りよがりになってしまいます。

それだけは注意しましょう、私は世間が私のやり方を評価してくれず、逆に上には上がいるからもっと謙虚な気持ちで、などと言われるたびに、じゃあその上だという人を連れてきてください、その技術を見せてくださいと、食って掛かりましたが、残念ながら私をうならせるような人には出会うことができていません。

出る杭は打たれると言いますが、今のままでは選手があまりにもかわいそうです、選手以上に戦う気持ちをもったトレーナーがたくさん生まれてくることを心から期待します。

どんな資格を持っているとか、機械の操作がうまいとかではなく、真剣に体に向き合える「職人トレーナー」、少し気難しい所はあっても、腕は確かでやることをしっかりやってくれる、そんな職人軍団の親方ならやってみたいような気がします。

スポーツ選手、一般の方、もっと大きな期待と要求をしてください。

どうせこんなことくらいしかできないだろう、そんな気持ちで我々の前に立っても、まさにそんなことくらいしかできません。

こうなりたいんです、こうしてほしいんです、無理難題を投げかけてください。

そんな関係が築ける誰かとの縁があれば素晴らしいですね、きっとどこかにいるはずです、自分のアンテナを研ぎ澄ませて探してみてください。
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プロフィール

Author:西本 直
1993年、Jリーグサンフレッチェ広島を皮切りに、社会人野球三菱重工広島・協和発酵・ヴィッセル神戸・川崎フロンターレ、そして広島カープ佐々岡真司投手など、プロアマ問わず競技レベルのスポーツ選手から一般の方まで、トレーニングやメンテナンスの指導を行ってきました。
その経験と知識の蓄積を「西本理論」としてまとめ、一人でも多くの方に実践していただくことが、これからの私の使命であると信じ、このブログから発信していきます。
私の理論はスポーツ選手のみを対象としたものではなく、ビジネスマンや家庭の主婦まで老若男女すべてに当てはまる不変のものです。
指導や講演のご依頼も受け付けています。
実名でツイッターも書いていますので、チェックしてみてください。
また、2013年9月9日にConditioning Studio 操をオープンしました。こちらもご覧ください。
また、遠隔地にお住まいの方を対象とした動き分析とアドバイスを行っています。
詳細は「スタジオ操」のホームページ内の「遠隔サポート」をご覧ください。
西本塾を深める会を9月10日(日)に開催を予定しています。
詳細はstudio操のホームページ内の「講習会情報」をご覧ください。

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