分かりやすく伝えるために

多分生涯自分はやらない、いやできないと思っていた、自分の技術や積み上げてきた知識を、誰かに伝えるという事を、色々なことがあって、現在仕事として行うようになりました。

教える気が無かったのですから、自分だけが分かっていれば良いことで、それを発揮するのは、私の目の前にいる選手たちに直接指導する時だけですから、とりあえず伝えたことをしっかりやってもらうことが大前提で、それをベースにして足らないところがあれば、さらに考えて付け足せばいいし、理解度に差はありますが、私としては、相手のレベルに合わせて、必要なことはきちんと指導出来ているという自負はありました。

チームとして個人として、一定の期間とはいえ、契約して仕事として請け負うわけですから、結果も問われますし、何より自分の思うような指導が出来ることで、一定の成果は確実に出せる環境の中での仕事でした。

今行っていることは、今までのように目的を同じくしている個人や集団ではなく、立場も仕事も年齢も、そして何より私から学ぼうとする内容も、さらにはそれをどう生かすかという目的も、それぞれみんな違う人たちが対象となっています。

まさにかってが違うというか、一番苦手としてきた分野で、当初は何をどう伝えたら良いのか、まさに試行錯誤が続いていました。

西本塾に関しては、このブログに書き綴ってきた内容を中心に、私の考え方を根っこの部分からお話しすることで、枝葉の知識やテクニックではなく、それぞれがこれからどうやって、それぞれの課題に対処して行くかという、筋道をつけてあげるところまでが私の仕事で、無責任なようですが、私の真似をするだけでは、本当の意味で何の解決にはなりませんよということは理解していただいているつもりです。

ですから、私自身がトップに立って組織を作り、トレーナーと呼ばれるにふさわしい人材を育てるなどということは、おこがましくて私には出来ませんし、やろうとも思いません。

だからこそ真剣に私の半生を振り返り、皆さんのお役に立てることがあるのなら、それを出来るだけ分かりやすく伝える努力を続けているつもりです。

西本塾には参加できないが、個人的に指導を受けたいという人も増えてきました。

当初はそういう申し出に対して、西本塾でさえ二日間みっちり時間をかけたとしても、どれだけ分かってもらえるのか、自信が持てないほど、深く広い内容のものを、たかが数時間で教えてくれと言われることに納得がいかず、お断りしていました。

ところがそいう人たちにとっては、西本理論の全てが必要なのではなく、今自分に必要な何かを、私のブログの中に見つけていただき、その部分に特化して深く学びたいと言ってもらうことに対して、「小出しは嫌です、学びたいのなら全てを一から学ぶ姿勢がない人には何も教えられません」という頑なな姿勢も、我ながら如何なものかと思うようになりました。

詰まる所、私の心配は、中途半端な理解で帰って行った人たちが、個人として思うような結果が出せず、また指導にも生かせなかったとなった時、「西本理論も大したものじゃないね」と、言われたくないという、ちっぽけなプライドに過ぎなかったと思います。

要するに、私には相手の要求を的確に読み取り、それに最も的する内容を、時間を考慮しながら指導出来るほどの能力がないということです。

いいとこ取りは認めない、基本からしっかりと学んで欲しいという気持ちはもちろんですが、ベストばかりを求めて、ベターを探すことを避けていたのです。

そんな中、小学校の3年生のサッカー少年の指導を依頼された時には、正直戸惑いました。

目的を持って来てくれる大の大人でさえ、正しく理解してくれるのか不安があるというのに、まだまだ幼い子供に対して、何をどう教えたら良いのか、実際にその日が来るまで不安ばかりが大きくなって行きました。

実際にお父さんと話をしている最中にも、いっときもじっとしておらず、トレーニングの器具でケガでもされたらと気が気ではありませんでした。

驚いたのは、肝心な指導を受けるタイミングになると、先ほどまでの様子とは打って変わって、きちんと話を聞き体を動かしてくれ、自分の感想や意見もきちんと言ってくれるのです。

その後イタリアに留学し、つい先日も休みで帰国した際、父子で訪ねて来てくれましたが、私の教えたことは小学校の3年生であっても、学ぶ気持ちがある子どもには、ちゃんと伝わっていたのです。

大人に説明するのも難しい体の感覚や意識を、どうやって幼い子供に伝えるか、私にとっても良い経験になりました。

その後もプロの選手やアマチュア選手、指導者と様々な立場の方にも個別指導をする機会がありますが、彼らが求めてくれるものが、他では得ることができないからこそ、わざわざ広島まで来てくれるのです、自分がやって来たことがやっと認めていただけるようになったのです。

「教えてやろうじゃないか、求めているもの以上のものを持ち帰ってもらおうじゃないか」、そう思えば、個別指導も楽しいものになっています。

教え方、伝え方も、我ながら上手くなっているような気もしています。

具体的には、私のキャッチフレーズともなっている「体づくりから動きづくりへ」という意識改革を行う上で最も重要な部分、屈筋重視から伸筋重視の筋肉の使い方、それを実感するための机上の理論や実際のドリル、それらの説明が、すっと腑に落ちてもらえるようになって来ました。

なぜ屈筋ではなく伸筋なのか、そもそも体が動くということはどういうことなのか、そしてその仕事を主に担当している部分はどこでどういう動きが要求されているのか。

言われてみれば当たり前のことですが、みなさん初めて聞いたことのような顔をします。

ただ話を聞いて私の動きを見てから、自分の体を動かし、頭と体が納得することで、なんだそういうことだったのかとみんな納得してくれます。

選手であれば、その事実を元に、実際のプレーの動作にどう活かして行くか、指導者であれば、今度は自分の言葉でどうやって伝えて行くのか、その入り口までは確実にご案内出来るようになったと思います。

あとは人任せでは用事が足りません、先の先まで私に聞けばいいと思ったら大間違いです。

自分のために、指導している選手のために、どうやって伝えて行くのか、自分で考え自分で行動し、失敗したり成功したりしながら成長して行って欲しいと思います。

枝葉のテクニックではない、本質的な考え方さえ身に付いていれば、試行錯誤も楽しいものです。

今、指導のキーワードに新しい言葉が加わっています、「見栄えの良い大胸筋や腹筋たちは、体を守る鎧」という言い方です。

鎧ですから、刀や槍の攻撃を受けてすぐに壊れるようのものよりは、見栄えも良く頑丈なものの方がいいに決まっています。

ただそういう立派な鎧を身にまとえるのは、馬に乗って進軍する武将たちだけです。

現実に戦う足軽たちは、戦闘要員たりうる最低限の鎧しか身にまとっていません。

「戦うために必要な筋肉は、他にあるんじゃないですか」 、そんなやり取りをすることが増えてきました。

体づくりのトレーニングによって、華美な鎧を身にまとってしまったことで、本来の戦闘能力を失っている選手が多いのです。

人間が動く、その中心はやはり背骨です、その背骨を上手く操り、股関節や骨盤、そして肩甲骨から上肢へと連動していく体の妙、仕組みを知ってそれに沿ったトレーニングを行えば、必ず動きは変わります。

もう少しは大丈夫そうです、伝えていきましょう、選手の意識を変え、動きを変えていくお手伝いをしていきましょう。

今月の西本塾には教員の方が3名申し込んでくれています。

本来専門ではないはずのスポーツ指導を、仕事として行わなければならないことは、素人目に見ても大変なことだと思います。

子供達のために学ぼうとする姿勢は素晴らしいと思います。

以前にも、高校の教員の方が来てくれましたが、そういう意識を持った指導者の元で学べる生徒たちは幸せですね。

私の人生のあみだくじは、これからどこに向かって進もうとしているのでしょう、また誰かが横線を引いてしまうのでしょうか、どう進んで行こうとも、今までの経験が無駄にならないよう、誰かの役に立てていきたいと思います。

余計なことですが、ブログの最後に「拍手ボタン」があって、何人かの方が押していただいていますが、前回の更新では30を超える拍手がありました。
普段の更新では滅多に30を超えることがないので、中身のどういう部分に賛同していただいたのか、我が事ながら不思議に思います。
自分自身、他の方のブログを見て、拍手をするかと言われると困るのですが、やはり目に見える読者の反応として、数字は気になるものですね。
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実践することで理解が深まる
第2回西本塾に参加させて頂き、その後も2回ほど個人的に西本さんに教わりにいきました。私自身ブログで書かれているようなある一部分だけ知りたい、深めたいという考えでした。というよりもどれだけこの考えが深いものか理解できていなかったというのが正しいです。今も当然すべてを理解しているわけはありませんが、少なくとも自分が体感することが分かったことがあります。自分が分かったことを実演し、選手と一緒に動いてみる。子供の方が感覚が鋭く、素早く習得する子もいます。そういう時はその子の動きを他の子に参考にしてもらうということをしております。まず体の重たい鎧だけではなく、固い頭も取り外していきたいと思います。この理論が広まることでより高いパフォーマンスを発揮できる、怪我が減ることで、子ども達の笑顔が増えると信じております。引き続き学ばせて頂きたいと思います。よろしくお願い致します。

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プロフィール

Author:西本 直
1993年、Jリーグサンフレッチェ広島を皮切りに、社会人野球三菱重工広島・協和発酵・ヴィッセル神戸・川崎フロンターレ、そして広島カープ佐々岡真司投手など、プロアマ問わず競技レベルのスポーツ選手から一般の方まで、トレーニングやメンテナンスの指導を行ってきました。
その経験と知識の蓄積を「西本理論」としてまとめ、一人でも多くの方に実践していただくことが、これからの私の使命であると信じ、このブログから発信していきます。
私の理論はスポーツ選手のみを対象としたものではなく、ビジネスマンや家庭の主婦まで老若男女すべてに当てはまる不変のものです。
指導や講演のご依頼も受け付けています。
実名でツイッターも書いていますので、チェックしてみてください。
また、2013年9月9日にConditioning Studio 操をオープンしました。
また、遠隔地にお住まいの方を対象とした動き分析とアドバイスを行っています。
詳細は「スタジオ操」のホームページ内の「遠隔サポート」をご覧ください。
「第25回西本塾」を11月18・19日の土日に開催を予定しています。
詳細はStudio操ホームページ内の「講習会情報」をご覧ください
尚、深める会も12月10日に予定しています。

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