何が必要か

昨日行った、西本塾を深める会、3名の参加者とともに充実した時間を過ごすことができました。

西本塾自体もそうですが、二日間の西本塾を受講して、それぞれのフィールドに戻り、学んだことを応用できたこと出来なかったこと、また自分自身がどれほど理解できたのかなど、様々な想いを持ちながら時間を過ごし、もう一度私のところに来て改めて学びなおそうという人たちですから、心構えというか真剣さは想像以上のものがあります。

他の勉強会や講習会というものが、どういう形で行われているのか知りませんが、指導する側と受ける側の双方が、こんなにも真剣に向き合うことは少ないのではないでしょうか。

回を重ねるたびに、その思いが強くなり、責任の重さも感じています。

今日は祝日で、本来はお休みですが、6月の終わりから7月の頭にかけてここを訪れてくれた、現役のサッカー選手が、完全復帰を目指してトレーニングに来てくれました。

体のあちこちを故障し、手術やリハビリを繰り返し、そのたびに本当にこのやり方でいいのだろうか、自分にとってベストな方法なのだろうか、遅々として進まない回復状況に、選手として納得のいかないものを感じていたようです。

それが縁あって、私のブログにたどり着き、私の考え方に触れ、そして共鳴する部分を感じたことで、広島行きを決意したそうです。

最初に送られてきたコメントの文章から、彼の思いは十分に伝わってきました。

最初に来た時の二日間で、今後の展開は私なりの予想ができましたが、それはあくまでも私が身近にいて、継続して指導してあげられたらという但し書きがつくものでした。

現実には、言葉は悪いですが身近にいるスタッフに対し、100%の信頼を感じられないからこそ、私のところへ来たのですから、二日間みっちり教えたとはいえ、その後の指導がきちんとなされなければ、私の予想通りに事が進んで行くとは思えない部分もありました。

しかし彼は、私の指導をきちんと理解し、自分なりに西本理論に基づいたトレーニングを継続してくれたおかげで、この数年来できなかった動きを取り戻し、悩まされていた痛みとも少しずつ縁を切ることができているようでした。

そして今回のトレーニングで、サッカーができるためのスタミナという部分を強化したいという目的も持ってきてくれました。

動きづくりのトレーニングをもう一度行うことで、しっかり身につけたいという部分はもちろんでしたが、フル出場に向けてのスタミナづくりという概念を、どんなトレーニングが解消してくれるのかという部分が、大きなキーワードになっていました。

私が昨年関わったチームで、いわゆる素走りというものを行わせなかったことには大きな意味があります。

サッカーという競技の素人ではありますが、その私から見てサッカー選手に必要なスタミナという概念は、けっして素走りから得られる効果で改善できるものではないと思ったからです。

20分走が何分何秒で走れたとか、3本繰り返せたとか、一般生活者から見れば、さすがはサッカー選手ということになるのかもしれませんが、それはサッカー選手としての能力を評価する物差しとは、なりえないものだと思います。

何も考えずに時間の経過と距離をこなしていくような走る時の意識は、サッカー選手にはないはずです。

動きだしの感覚、スピードの上げ下げ、ストップとターン、などなど360度様々な要素が必要になります。

当然そこにプラスしてボールを止める蹴るという、サッカー選手として当たり前の要素が加わります。

ボールを使ったトレーニングを行わせていても、例えばマーカーやコーンといった、道具を使うより、人間が一人でも入って邪魔をすることで、負荷は大きく変わります。

実際のサッカーの動きをイメージしながらのトレーニングでなければ、トレーニングのためのトレーニングと言われても仕方がありません。

現実そういう発想で、復帰の目安にしている指導者は多いと思います。

私なりに深く考え、サッカー選手として必要なスタミナを作るためのトレーニングとして考え、取り組んできました。

午前中の室内トレーニングも、かなりハードだったと思いますが、午後のグランドでの練習は、彼にとってかなりきついものだったと思います。

しかし彼は一切根をあげず、トレーニングについてきてくれました。

きちんとトレーニングの意味を話しながら進めていますが、私に対する信頼は厚く、言われたことをしっかりやろう、私の指導したことをしっかりマスターして帰ろうという強い気持ちが感じられました。

グランドでのトレーニングは、ボールを使ったドリルを含め、約80分続きましたが、途中一度も痛めていた膝をかばう様子もなく、何の支障もなくトレーニングに集中できていました。

本当の意味でのサッカー選手のスタミナは、やはりゲームに出てはじめて養われるし、確認できるのではないでしょうか。

スタミナの回復状況を判断するためには、距離や時間という客観的なものも必要なのかもしれませんが、相手の動きに対応しながら動き回って走り回って、ボールを追ってボールを蹴って、そういう状況に近いトレーニングのメニューを与えてこそ、選手も本気で取り組んでくれるし、復帰を判断する材料になると思います。

メンタルという言葉は好きではありませんが、人間の体を動かすのは、心と心の信頼関係ではないでしょうか。

そして私を本気にさせてくれる、選手の本気度が一番大切だと思います。

会うのは今回で二回目ですが、私のところに二度来てくれる人の本気度は、私の想像を超えるものがあります。

誰かのためにという気持ちが、これほど一点にフォーカスできれば、私の力以上のものが発揮できているような気がします。

そのことで私自身の人間力を磨いて行けているようにも思います、本当にありがたいことです。
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Re: 3日間本当にありがとうございました
明確な目標を持ち、着実にその目標に向かって努力を続けている井田さんの姿勢は、どんな道を志している人にも手本となるものだと思います。
それが険しい道であればあるほど、向き合う姿勢は真剣さを増し、ともすれば変わり者だと思われたり、世間から受け入れられ難い部分も出てくると思います。
もしかしたら私自身、そういう人生だったのかもしれません。
井田さんの進んでいる道は、平坦ではないかもしれませんが、これからの日本のサッカー、いえスポーツ全体に対して大きな変化をもたらす可能性を秘めていると思います。
楽しみに見させていただきます。
  • 2014-09-18│12:54 |
  • 西本 直 URL│
  • [edit]
3日間本当にありがとうございました
西本さん、この3日間本当にありがとうございました。
前日2日間の個人指導で身体にも頭にもしっかりと西本さんの教えと熱い思いを受けてからの深める会は、その2日間で個人として感じたものを今度は他の参加者と一緒になって受け、その反応や感じたことを見たり聞いたりすることで更に西本理論を深く味わうことができました。
今回このために広島に来て3日間学ばせて頂いたことは本当によかったと思っております。
繰り返しになりますが、西本さんの理論や技術を自分の身体で体験し学ばせて頂いたことも非常に勉強になりましたが、トレーナー西本直さんのプロの仕事の姿を体感できたことが同じく指導者として仕事をさせて頂いている自分には一番の収穫だったと感じています。
そして、それこそが指導者としての一番の根っこの部分なのかなとも思っています。
このタイミングでこの経験ができたことは自分の進んでいく道の上で非常に大きなポイントとなりました。
これからも日々試行錯誤しながら、目の前にいる選手と本気でぶつかっていきながら良い指導ができるよう精一杯頑張ろうと思います。
本当にありがとうございました。
  • 2014-09-18│00:17 |
  • 井田 URL│
  • [edit]
Re: 深める会に参加させていただきました
野村さん、お疲れ様でした。
資格取得のため専門学校に通う今こそ、咲き誇る花々を見たり、たわわに実った果実を味わうことで、自分もいつかこういう結果を残したいと夢を膨らませて欲しいと思います。
そして少しずつ、その隠れた土の下には、人知れず張り巡らされたしっかりした根があることや、栄養を行き渡らせるために土を耕したり肥料をやったり、太陽の恵みも必要だったりという、環境を含めた様々な努力が必要なことが分かってきます。
枝葉どころか、もっと目に見える華々しい部分に興味を持つことは何の問題もありません。
それから少しずつ、そのためには何が必要なのかという発想が生まれてくるのです。
これからの人生多いに楽しんでください。
  • 2014-09-17│15:48 |
  • 西本 直 URL│
  • [edit]
深める会に参加させていただきました
西本先生、深める会での熱いご指導ありがとうございました。

今回、私が深める会に参加しようと思った理由は西本先生から見たら枝葉のことばかりで、根っこの部分が全く分かっていませんでした。二日間の西本塾で学んだことは何だったのか、もう一度考えてから参加させていただきましたが、西本先生からしたらまだまだ納得できるものではなかったと思います。

深める会が始まると、根っこの部分が以前よりも理解できただけでなく、自分自身が感じていた疑問点も解決されていきました。とくに、フライングバックトレーニングでは、やり方の問題だけでなく「なぜ?」の部分を教えていただき、以前よりも意識する箇所が確実に変わりました。また、正しい箇所を意識したまま次の走りの動作に入れたので、以前の西本塾では出来なかった動きをすることが出来たのだと思います。最後に2回ほど全力で走りましたが、あの時の感覚(腕を後ろに振るだけで前に進んで行く感覚)は、初めて感じるものでした。あの走りだったら何回でも走りたいと思うなと、今改めて感じています。ただ、これで満足するのではなく、西本先生がおっしゃっていたように、正しい感覚・姿勢が無意識的に出来るようにしたいと思います。

今回の深める会では、文字通り全ての部分で以前よりも深めることができました。最後に先生にやっていただいた足指もみの感覚も、絶対に忘れることは出来ません。自分自身、将来どのような道に進むかは具体的には決まっていませんが、先生に言われたように早い時期にこうした経験・知識を得られたことを無駄にしないよう、根っこの部分を深めていけるようにしたいと思います。

最後に、今回ご一緒に参加されたお二人にも本当に感謝しています。お二人の仕事に対する熱意や考え方は、お話を聞いているだけでとても勉強になりました。本当にありがとうございました。

  • 2014-09-17│00:19 |
  • 野村です URL│
  • [edit]

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プロフィール

Author:西本 直
1993年、Jリーグサンフレッチェ広島を皮切りに、社会人野球三菱重工広島・協和発酵・ヴィッセル神戸・川崎フロンターレ、そして広島カープ佐々岡真司投手など、プロアマ問わず競技レベルのスポーツ選手から一般の方まで、トレーニングやメンテナンスの指導を行ってきました。
その経験と知識の蓄積を「西本理論」としてまとめ、一人でも多くの方に実践していただくことが、これからの私の使命であると信じ、このブログから発信していきます。
私の理論はスポーツ選手のみを対象としたものではなく、ビジネスマンや家庭の主婦まで老若男女すべてに当てはまる不変のものです。
指導や講演のご依頼も受け付けています。
実名でツイッターも書いていますので、チェックしてみてください。
また、2013年9月9日にConditioning Studio 操をオープンしました。こちらもご覧ください。
また、遠隔地にお住まいの方を対象とした動き分析とアドバイスを行っています。
詳細は「スタジオ操」のホームページ内の「遠隔サポート」をご覧ください。
西本塾を深める会を9月10日(日)に開催を予定しています。
詳細はstudio操のホームページ内の「講習会情報」をご覧ください。

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