トレーニングコーチとしての仕事

またもや回顧録風になることをお許しください。

私はこれまでいくつかのチームや個人を相手に仕事をしてきました。
その度ごとに対外的な呼称が変わりました。

サンフレッチェ広島でのスタート時には、名刺にトレーナーと書かれていました。
二年目はストレングス&コンディショニングトレーナー、そして三年目はフィジカルコーチ、体は一つしかありませんがやることはどんどん増え責任も重くなっていきました。

ただ三年目は、新しく就任した監督の意向で私のやり方が否定され、大きなケガをした主力選手(高木琢也のアキレス腱断裂と森保一の足関節脱臼骨折)のリハビリにかかりきりの一年でしたが。

そして移籍した社会人野球の三菱重工広島では、対外的には登録の関係でトレーナーでしたが、何から何まで思いつくことは何でもやらせてもらいました。

そしてヴィッセル神戸、ここでは広島時代に目をかけてもらったバクスター監督の依頼でフィジカルコーチとして仕事をし、いわゆるメディカルなトレーナーの仕事はしませんでした。

広島カープの佐々岡真司投手の場合は、個人契約のトレーナーとして、チームの練習等には立ち入れませんが(宮崎キャンプンはトレーニングルームまで入っていきましたが)、トレーニングやコンディショニング、投球フォームにまで立ち入ってアドバイスをさせてもらいました。

そして今年の1月から5月初旬まで、川崎フロンターレのトレーニングコーチという立場で仕事をしましたが、風間八宏監督からは、外から言われていたようなケガをしない体作りだとか、けが人の早期復帰といったような、一般的に担当コーチとして当然の仕事をしてほしいというよりも、チームの勝利に向けて個々人の能力アップということが最も重要な課題として要求されました。

私の仕事は多岐に渡ります。
こんなことまでやるのかと思われるくらい何でもやってきました。
そしてそれらを自分の納得できるレベルまで引き上げ、他の誰にも負けない結果を残してきたつもりです。

最近書店で目にした、題名は忘れましたが、「自分でやった方が早い、人に任せられない」ダメな上司の典型的な人間でした。

今回も同じです、風間監督を補佐して、将棋に例えて言うとそれぞれの駒に応じた能力をきちんと発揮できるように、体の動きを作っていくというのが、最も大きな任務でした。
とても一人で達成できる目標ではありません。

駒にはそれどれ違った働きがありますから、歩には歩の金には金の、そして飛車には飛車のと、与えられた能力を余すことなく発揮できる準備が必要となります。
まあ、時々歩が攻め上がって成金ということがありますが、それさえ自分を勘違いしてしまうと本来の仕事ができなくなったりします。

そうやって私が磨き上げた駒を、練習という戦いの場所でしっかり鍛え上げ、たくさんのサポーターが応援してくださる本番の試合で、個人個人そしてチームとしての完成度を確かめていくという作業が繰り返されていくのです。

ケガをしない体作りと一言で言われますが、このブログでも書き続けてきたとおり、どんなに準備をしてもケガをなくするということは現実ありえませんし、早期復帰も選手個人やチームの考え方で、私が思っているようにはいかない部分があることも仕方のないことかもしれません。

そうした現実の中で、使える持ち駒をどうやって並べて、勝利に導くために相手に立ち向かっていくのか、というのが監督の仕事ですから、私のような立場からは想像もつかないプレッシャーの中で、毎日生活をしているのでしょう、せっかく呼んでくれたのに、もう少し役に立ちたかったのですが・・・。

さて、キャンプが始まった頃から、私のトレーニング方法や考え方が、これまでのサッカー界には見られないという意味で、独自の理論とか異質の考え方などと言われましたが、そのことについて少し整理してみたいと思います。

私はいくつかのチームで仕事をしましたが、たとえ同じチームであっても、その時々でチームが求めているやり方も方向性も微妙に違ってきます。

ですから、「私はこういう考え方でこういうやり方しかできません」では、その要求にマッチしない可能性が大きくなります。

今回も同じです。
たまたま、監督である風間八宏が西本直という人間の考え方や方法論をある程度知っていてくれて、それをこのチームで発揮してほしいということで呼ばれたわけですから、こちらはそれに対して、何も構える必要はありませんし、出来ることをやればよいのですから。

しかし、それではこちらもこの仕事をプロとしてやってきた人間ですから面白くありません。

彼が現役生活を終えて最初に著した本と、最新の著作を購入し、今彼が何を考えどういうサッカーをやろうとしているのかということを、素人なりに知っておこうと思いました。

そして、練習の内容に関しても記述がありましたので、いかにスムーズに練習に入っていける体の動きを作るか、そのためにはどういうトレーニングが必要なのか、自分の中でシュミレーションし頭を整理して臨みました。

周囲から聞こえてきた独自の理論という言われ方は、私にとってある意味まったく的外れな評価です。
風間八宏がやりたい練習、彼が求めている選手の能力、それを実現させるために私の引き出しの一部を開けただけなのですから。

もしまったく別の考え方で、別の能力を要求している指導者のもとで同じような仕事をしなければならないとしたら、おそらくまったく違う光景がグランドで見られたかもしれません。
たぶんそんな仕事は受けなかったと思いますが。

トレーニングの主役は私ではありません。
王将はあくまでも監督、選手は優秀な持ち駒として自軍の王将を守り、相手の王将を攻め落とす、私は盤の外側で自分のやってきた方向性を確認する、そんな感じではないでしょうか。

ちなみに、私の著作を読んでいただき、トレーニングに関して冷静な分析をしていただいた方のブログを紹介させていただきますので、参考までにご覧ください。
右側のカテゴリーの欄にある本、スポーツとたどっていただくと私の書評が読めます。
この方がどういう方なのか分かりませんが、サッカー以外にも様々な分野に精通しておられて、内容はとても読みごたえがあります。
こちらからどうぞ。
スポンサーサイト

Trackback

Comment

Post a comment

Secret


プロフィール

Author:西本 直
1993年、Jリーグサンフレッチェ広島を皮切りに、社会人野球三菱重工広島・協和発酵・ヴィッセル神戸・川崎フロンターレ、そして広島カープ佐々岡真司投手など、プロアマ問わず競技レベルのスポーツ選手から一般の方まで、トレーニングやメンテナンスの指導を行ってきました。
その経験と知識の蓄積を「西本理論」としてまとめ、一人でも多くの方に実践していただくことが、これからの私の使命であると信じ、このブログから発信していきます。
私の理論はスポーツ選手のみを対象としたものではなく、ビジネスマンや家庭の主婦まで老若男女すべてに当てはまる不変のものです。
指導や講演のご依頼も受け付けています。
実名でツイッターも書いていますので、チェックしてみてください。
また、2013年9月9日にConditioning Studio 操をオープンしました。こちらもご覧ください。
また、遠隔地にお住まいの方を対象とした動き分析とアドバイスを行っています。
詳細は「スタジオ操」のホームページ内の「遠隔サポート」をご覧ください。

最新記事

カレンダー

03 | 2017/04 | 05
- - - - - - 1
2 3 4 5 6 7 8
9 10 11 12 13 14 15
16 17 18 19 20 21 22
23 24 25 26 27 28 29
30 - - - - - -

カウンター

検索フォーム

QRコード

QR