理不尽なこと

今日はスポーツの現場だけではなく社会全体に蔓延る「理不尽なこと」について書いてみたいと思います。

私がスポーツ(最初はソフトボールでした)に真剣に取り組み始めたのは、小学校3年生の時でした。

私の生まれ育った愛媛県の宇和島市という町はスポーツが盛んで、大人になると男性はソフトボールや軟式野球のチームに複数所属している人がたくさんいました。

勤めている会社のチーム、友人どうしで作るチーム、早朝野球のチーム、県大会や全国大会を目指す本格的なチーム、私も会社員を辞めてふるさとで開業していた2年間は、2着のユニフォームを持っていました。

その頃行っていたスポーツは、友人どうしや地域の方々とのコミュニケーションであり、あくまで楽しむことが目的で、悪い意味での上下関係など無縁のものでした。

小3で始めたソフトボールは、まず小学校単位で住んでいる町内会ごとにチームを作り、トーナメント戦で学校代表を決め、市内の小学校の優勝チームが集まって、決勝大会を行うという本格的な大会でした。

私の住んでいた町は毎年上位に入り、本番の大会が近づくと選手や親たちだけでなく、町中の人が練習をみに来て応援してくれるほど熱の入ったものでした。

町内の魚屋のお兄いちゃんが監督で、今考えると、小学校の、それも町内会のチームが、よくこんなに練習したなと思うほど厳しい練習をしていましたが、辞めたいと思ったことは一度もありませんでした。

それは子供ながらに、厳しい指導をしてくれる指導者に対して、信頼と感謝の気持ちがあったからだと思います。

さらにチームメイトは、気心の知れた幼馴染たちばかりですから、よほどのことがなければ揉め事など起こるはずはありませんでした。

私の人生で、スポーツを心底楽しいと思って取り組めたのは、この小学生時代だけだったように思います。

ソフトボールに水泳、陸上競技とポートボール、学校大会が行われる全ての種目に代表選手として出場し、結果を残すことが出来ました。

指導していただいた教員の方や仲間たちに、本当に恵まれていたと思います。

それが中学校に入ると環境が一変します。

極端にいえば、誕生日が1日違うだけの上級生の言うことが絶対という「理不尽」という言葉に直面していきました。

日本がスポーツというものを学校体育に取り入れた時から、選手と指導者の関係は絶対服従が当然とされました。

そのはけ口として、先輩から後輩への理不尽な行動が行われるようになったのだと思います。

戦時中の日本軍の体制も、おそらくそういうもので、それが未だに続いているのだと思います。

人間はそれぞれみんな平等であるべきです、しかし、人間が2人いれば、どちらかが優位に立とうとして上下関係を作ろうとし、3人集まれば、2人が組みになって1人を疎外して自分たちの優位性を示そうとします。

それが集団となり組織となり国という単位となって、戦争という悲劇まで産んでいきます。

これは過去のことではなく、今この瞬間にも戦火の中に生きていかなければならない人たちがたくさんいます。

小さな集団も同じです。

依然として無くならない「イジメ」の問題です。

私がスポーツトレーナーとして、選手に対して言うところの、本当の平等を履き違えていると言うこととは意味が違います。

トップレベルのチームで戦力にもなっていない新人選手と、なんとしても試合に出場して欲しい中心選手にかけられる私の時間が同じわけがありません、それを自分もチームの一員なのにと言う考えは違うよと言っているのです。

私が高校時代、最終的に野球を辞めてしまった理由も、やはり「理不尽なこと」に耐えられなかったという一言につきます。

以前には、大学の体育会の運動部を卒業した人間は、社会に出てからも性根が座っていて、どんな困難にも耐えられる的な発想からか、一流企業への就職が有利になるなどと言われていました。

社会に出れば理不尽なことばかり、理想や夢みたいなことなど一切通用しない、白いものも黒いと言わなければならないのが大人になるということだと、それが当然のことのように言う人もいます。

子供のイジメ問題や、運動部内での過剰な上下関係によるイジメや暴力の問題が、全くなくなっていかないのは、大人の側にそういう意識が消えないからではないでしょうか。

「今の子供達は我慢することを知らない」と。

私は我慢という言葉の使い方が、全く違うと思います。

子供の頃から正しいものは正しい、間違っていることは間違っている、もちろんそれだけでは通用しないこともある、そんな時こそなぜそうなのかということが納得出来るような答えを見つけることが大事なのです。

仕方が無いでは済まないと思うのです。

年長者を敬うことは当然のことです、それは、こうして毎日生きていることだけでも大変なことだからです。

しかし、1日1日をどう生きて来たかということの方がもっと大事なことです。

後輩に信頼してもらうためには、1年多く努力して来たのだという、自分なりの自信が必要です。

言うことを聞かない後輩に対して、同級生が徒党を組んで、絶対服従を課すなどという行為は、一人一人の努力と自信のなさの裏返しに過ぎません。

子供だから許される、学校生活の中の問題だから許される、そんな問題ではないのです。

そういうことが許されてしまうから、大人になってもそれが続いてしまうのです。

私のお世話になっている方に、怒った顔も見せたことがない、声を荒げたこともないという、仏様のような方がいます。

そういう方こそ、これまでの人生の中で理不尽な思いを嫌という程経験されて来たのだと思います。

そういう経験を経て、私が知るその方の人間性が育まれて来たのだと思います。

逆に同じくらいの年廻りの方で、いろいろなことを経験して来て、もう何も怖いものはないと公言し、何かにつけて大きな声で人を罵倒する方がいます。

はたから見ていて、こちらの方が悲しい気持ちになります。

私自身、32歳で会社員を辞めるまでの8年間在籍した会社で営業の仕事をしている時、「理不尽なこと」を嫌という程経験しました。

取引先の担当者の態度は、本来ならば許されるはずのないことがたくさんありました。

そこで我慢出来たのは、やはり家族のためにという想いしかなかったと思います。

32歳から現在に至るまで、普通の人に比べれば、私は理不尽なことと感じたことを受け入れることをしないで来られたと思います。

ただ自分からそこを離れただけですが(笑)

少子化が問題となり、スポーツを行う子供の数も減ってきています。

コミュニケーションのスタートとなる兄弟姉妹の数も減り、人との関わり方がうまく出来ない子供も増えてきていると思います。

年上が威張るのが当たり前、後輩に何をしてもバレなければ咎められることはない、いつになったらこんなつまらない発想がなくなるのでしょう。

オリンピック選手レベルにまで、選手同士のイジメや、指導者からの過剰な暴力やセクハラなど、スポーツのイメージとは程遠いことが日常的に報道されています。

高校野球で、こういう問題が表面化され、処分されたことが報道されても、全く他人事のように同じことが繰り返されています。

いったいなぜでしょうか、誰の責任でしょうか?

子供達だけのせいではないと思います、悪いものを悪いと言えない大人にこそ責任があると思います。

トレーニングだ戦術だと、指導者としての結果を求めて行動する前に、まずは自らの行動を戒め、子供達の心を指導出来てこそ、初めて指導者と言えるのではないでしょうか。


保護者が何もしてくれない指導者に対して意見すると、心象を悪くして試合に使ってもらえなくなるのでは、などという心配から声を上げられないことをいいことに、知らぬ存ぜぬを決め込んでいたり、自分の仕事はスポーツを指導することで、そんなことまで引き受けたつもりはないとうそぶいている指導者もいます。

何年何十年と同じことが繰り返されている現状に、一言言いたくなりました。
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Comment

すごく共感することができました。
西本先生が今回のブログで書かれていたことと少し観点が違ってくるかとは思いますが、学校で命を大切さを道徳の時間に習うにも関わらず、保健所で犬や猫などの命が人間によって毎年20万匹殺されているという事実を知ったとき、大きな矛盾とショックを受けました。
女優 杉本彩さんのブログで社会で生まれる虐待の最初は社会で一番弱いもの、つまり動物から始まって、子供、老人に発展するとも言っていました。動物が好きな人も、そうでない人もいるのが当たり前とは認識していますが、無駄に傷つけることが何事にも多い社会をどうにかして変えていきたいと思います。
  • 2014-09-20│16:01 |
  • 稲垣良輔 URL│
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プロフィール

Author:西本 直
1993年、Jリーグサンフレッチェ広島を皮切りに、社会人野球三菱重工広島・協和発酵・ヴィッセル神戸・川崎フロンターレ、そして広島カープ佐々岡真司投手など、プロアマ問わず競技レベルのスポーツ選手から一般の方まで、トレーニングやメンテナンスの指導を行ってきました。
その経験と知識の蓄積を「西本理論」としてまとめ、一人でも多くの方に実践していただくことが、これからの私の使命であると信じ、このブログから発信していきます。
私の理論はスポーツ選手のみを対象としたものではなく、ビジネスマンや家庭の主婦まで老若男女すべてに当てはまる不変のものです。
指導や講演のご依頼も受け付けています。
実名でツイッターも書いていますので、チェックしてみてください。
また、2013年9月9日にConditioning Studio 操をオープンしました。
また、遠隔地にお住まいの方を対象とした動き分析とアドバイスを行っています。
詳細は「スタジオ操」のホームページ内の「遠隔サポート」をご覧ください。
「第25回西本塾」を11月18・19日の土日に開催を予定しています。
詳細はStudio操ホームページ内の「講習会情報」をご覧ください
尚、深める会も12月10日に予定しています。

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