プロと呼ばれるために

プロ野球もシーズンを終え、各チーム来期に向かってスタートを切っています。

地元広島東洋カープも、緒方新監督が就任し、早々に新外国人選手の獲得も決まり、来シーズンはいよいよ本気で優勝を狙うチームとしての体制が整いつつあるようです。

以前にパーソナルトレーナーとして一緒に戦った、佐々岡真司元選手も、7年間の評論家生活にピリオドを打って、2軍の投手コーチ就任が決まりました。

あれだけの実績がある彼が、なぜ一軍ではなく二軍の投手コーチになるのか、フアンの方の中には疑問に感じる方もあるかもしれません。

私はこの人事、カープ優勝の大きな切り札になるのではと思っています。

私が彼と関わっている9年間、何人かの他の投手たちとも言葉を交わしたことがありました。

プロの1軍で投げる投手とはいえ、もちろん長所はありますが、ここを直したらもっと良くなるのにという部分は誰にでも必ずあります。

突然言われても困るでしょうが、本人が気づいていないとしたら気の毒なので、それとはなしに話しかけたこともあります。

なるほどそういう見方もあるのかと、思ってくれる選手もいましたが、「今ここに立っていられるのは、今の自分の技術を評価されてのことで、今すぐそれを変えることはできない」という意味の返事が返ってくることが多かったです。

たしかにそうでしょう、アマチュアとして活躍し、プロの球団からスカウトされて入団してきた選手たちです、それなりに実力はあるでしょうし、プライドも持っていると思います。

しかしそのままで通用するほど甘い世界ではありません。

いち早く改善点を見つけて、さらなる向上を目指さなければ、数年後には消えていく運命にあるのです。

入団して早い段階で、自分の力と一軍レベルの差を感じてしまい、自分から諦めてしまうように見えた選手もいます。

車に乗るためには運転免許証が必要なように、プロ野球選手として活躍するためには、まずプロのユニフォームを着なければなりません。

それはゴールではなく、本当にスタートラインに立たせてもらっただけで、まだスタートすらできない状態であることを自覚しなければなりません。

これから何をしなければならないのか、自分で考える力がなければ、そのまま取り残されてしまいます。

プロという組織は、何かを教えてもらいに行くところではなく、自分の力でお金を稼ぎに行くところです。

詳しくは分かりませんが、ビジネスの世界でもこれまでは終身雇用という発想の中で、何もできない新人を数年かけて教育し、少しずつ戦力として育てていくというのが当たり前だったと思います。

それが今では、その分野に関して高い能力を身に付けた即戦力をかき集め、すぐに戦力として働いてもらうというスタンスに変わってきているのだと思います。

スポーツの世界こそ、そういう意味で最もシビアな世界で、戦力にならないと判断されれば、即契約を打ち切られてしまうです。

そうはいっても、入団してきた選手をただ好きなように練習させて試合経験を積ませるだけでは、本来の意味での成長は望めません。

一軍の試合に出場し、勝利に貢献できる選手を育てる、そういう意味で二軍の指導者は一軍の指導者以上に、大きな責任があると思います。

小さいころから野球に打ち込み、言葉は悪ですが、野球しかできないつぶしのきかない人生を歩んできた若者が、夢を叶えプロの世界に飛び込んできたにもかかわらず、的確な指導もされないままに放り出されてしまうようなことがあっては、彼らの人生を大きく狂わせてしまうことになります。

それは勝負の世界の厳しい現実であることは間違いないのですが、やはりプロの組織としての受け入れ態勢を整えておくというのは、最低限のことであり、選手に対する礼儀でもあると思います。

そういう意味で佐々岡君の二軍投手コーチ就任は、現在二軍で伸び悩んでいる若手や、これから入団してくる選手にとっては朗報だと思います。

投手というポジションの特性もあるとは思いますが、独立独歩あまり人の言うことに耳を傾けない、よく言えばマイペースな人間が多いように思います。

そういう意味でも佐々岡君は9年間、こんな私の分かったような分からないような理屈に耳を傾け、提案するフォームや練習に取り組んでくれました。

体に染み込んだそれらのノウハウを、これからいかに選手に伝えていくか、これは自分がやることよりも難しいことだと思います。

ある意味佐々岡君だからできたという部分もあります、捕手のミットから目を切って投球モーションに入り、打者に佐々岡君の視線からコースを悟られないようにしようと提案したことがありましたが、コントロールに自信のない投手であれば、絶対にできないし提案できなかったことだと思います。

とにかくさまざまな工夫をしながら9年間を終えましたが、それらを受け入れる能力がある若手が何人いるか、彼がどうやって指導していくか、これから指導者としても一流を目指すためには、まず二軍の若手を育てることが出来なければ、名前だけのコーチで終わってしまいます。

陰ながら応援していきたいと思っています。

これまで広島カープは、本気で優勝を目指すのかと疑いたくなるような言動が多かったと思います。

これだけ応援してくれるフアンが増え、機運が盛り上がってきた今、球団としても本気で優勝を目指しているというアピールがなければ、さすがに温かい広島フアンも離れてしまいかねません。

親会社を持たない市民球団と言われていますが、現実的には個人商店のような経営で、オーナーの権限が絶対の組織のようですが、球団の安定経営ばかりに目を向けるのではなく、フアンが一番望んでいるチームの勝利、優勝へ向かって舵を切ってほしいと思います。

サッカーも、J1は残り3試合となりました。

各チーム終盤の順位争いと同時に、来季の構想がサポーターの話題になる季節にもなってきました。

Jリーグはチーム数も多く、経営状況もクラブによってさまざまですが、クラブが会社という組織として、健全に運営されていくことが企業経営者としては最も手腕を発揮しなければならない部分なのでしょう。

そこには様々な要素が含まれていると思います。

私のように現場でしか仕事をしない人間からすると、選手に対して非常に甘いというか、厳しさと優しさを取り違えているのではないかと感じたことも多々ありました。

たしかに選手はクラブにとって最も重要な商品です、大事に扱うことは当然です、しかし、その大事な商品の価値を高めるのは、たんにサッカー選手としてピッチに立ち、プレーをしている時だけではないはずです。

現場は現場、フロントがあまりにも選手の言葉を聞きすぎるのはいかがなものかということもありました。

チームワークとかチームの和とかいう言葉が、違った意味で使われてしまい、本当の意味での平等とか上下関係というものが薄れてしまっているのではないでしょうか。

もう20年近く前の話ですが、社会人野球の指導をしていて、遠征して行った練習試合に、ふがいない負け方をした日の夕食時に、何の反省もなくにこやかに食事会場に入ってくる選手たちに向かって大声を出したことがありました。

大きな大会を控え、もっと緊張感のある時間を過ごしてほしいと思っていた私にとっては、納得のいかない選手たちの姿でした。

いつまでも引きずらず、すぐに切り替えて次に向かって準備しようなどと、聞こえのいい言葉が使われるようになりましたが、それにも限度があるだろう、今それで済ませていいのかというのが私の思いでした。

自分たちが置かれている立場、社会人野球とはいえ、お金をもらって野球をやらせてもらっている選手たちです。

あの場での姿を、もし応援していただいている社員の方が目にしたらどう思うでしょう、背負っているものがあるのです。

プロの選手たちはなおさらです。

普段それぞれ働いて得た、貴重なお金を払ってスタジアムに足を運び、レプリカのユニフォームやグッズを買って、心の底から応援していただいている方々の前で、自分の持っている力のすべてを発揮して戦わなければ、それはもうプロの選手とは言えません。

感謝の気持ちを持ってなどというきれいごとではなく、どこから誰が見ても真剣に戦ったという気持ちが伝われば、応援してくれるサポーターは、最低限満足してくれると思います。

もし選手たちからそういう気持ちが伝わってこなかったとしたら、サポーターはどうすればいいのでしょうか。

選手たちは一生懸命頑張りました、で済むのでしょうか。

昨年チームを離れサポーターの方と同じ目線で話をさせていただく機会があり、その思いが強くなりました。

私の厳しさは間違っていないと思いました。

勝負ですから、勝つこともあれば負けることもある、ただ勝つための準備を精いっぱい行い、気持ちを込めて戦った結果であるかどうかがプロとしての結果だと思います。

自分に足りない能力があって、それを改善したい気持ちがあるのなら、年齢は関係ないと思います。

もっともっと努力して、何のために誰のためにプロとしてプレーしているのか、真剣に考えてほしいと思います。
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プロフィール

Author:西本 直
1993年、Jリーグサンフレッチェ広島を皮切りに、社会人野球三菱重工広島・協和発酵・ヴィッセル神戸・川崎フロンターレ、そして広島カープ佐々岡真司投手など、プロアマ問わず競技レベルのスポーツ選手から一般の方まで、トレーニングやメンテナンスの指導を行ってきました。
その経験と知識の蓄積を「西本理論」としてまとめ、一人でも多くの方に実践していただくことが、これからの私の使命であると信じ、このブログから発信していきます。
私の理論はスポーツ選手のみを対象としたものではなく、ビジネスマンや家庭の主婦まで老若男女すべてに当てはまる不変のものです。
指導や講演のご依頼も受け付けています。
実名でツイッターも書いていますので、チェックしてみてください。
また、2013年9月9日にConditioning Studio 操をオープンしました。
また、遠隔地にお住まいの方を対象とした動き分析とアドバイスを行っています。
詳細は「スタジオ操」のホームページ内の「遠隔サポート」をご覧ください。
「第25回西本塾」を11月18・19日の土日に開催を予定しています。
詳細はStudio操ホームページ内の「講習会情報」をご覧ください
尚、深める会も12月10日に予定しています。

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