上手く走ることから

二足歩行となった、人間の基本的な能力である歩くという動きから走るとういう動き、私の考える走り方はこのブログでも詳しく取り上げ、西本塾に参加していただいた方々や、個別指導を受けに来ていただいた方には、それこそ手取り足取り指導をさせていただいています。

Newspicksのテーマとして短距離走を取り上げるために、改めて色々なものを調べてみました。

私がやっていることやお話ししていること、また指導していることは、私しか知らない私しかできないという、専売特許のようなものではないことは何度も繰り返し書いてきたつもりです。

人間という動物として、同じ機能を授かって生まれてきたわけですから、私には出来て他の人にはできないなどということがあるはずはないのです。

持って生まれた遺伝的な要素はそれぞれ違いますから、誰でも100mを10秒で走れるはずはありませんし、150㎞/時のスピードボールを投げられるわけではありません。

しかし、ある動作に関して、明らかに効率的に自分の体を使えている人間と、そうでない人間が存在していることも、まぎれもない事実です。

もちろん望む結果も出ませんし、体の故障の原因はほとんどここにあると言っても過言ではないでしょう。

私に言わせれば、出来るはずのことが出来ていないということになります、けっして出来るはずもないことを出来るようになろうとか、私が出来るようにしてあげますと言っているわけではありません。

今私が提唱している走るという行為での体の使い方、これは私の目に見える、私が身に付けてきたフィルターを通して、超一流と呼ばれる選手たちの体の使い方を見た時、共通する何か、最大公約数的な要素をを見つけることが出来たというだけの話です。

それはたんに陸上選手だけの話ではなく、競技として走ることが要求されるあらゆるスポーツに共通するものでした。

ですから走ること自体を目的とする、陸上競技の選手や指導者の方々にとっては当たり前のことで、私ごときが今さら何を言っているのだと、きっと思われているだろうという気持ちもありました。

しかし、現実にはそうでもなかったようで、私の提唱している走り方のイメージは、こうして言葉で説明しても、到底イメージ出来るものではなく、実際に行うことも出来ないと言われることがほとんどでした。

そんなはずはないと、色々検索してみましたが、ありますあります、本家陸上競技の指導者がアップしている動画の中には、私が言わんとしていることとほとんど違わないニュアンスのことが説明され、実際に指導されていました。

ならばなぜもっとこの走り方のイメージが広まっていかないのでしょうか。

動画をよくよく見てみると、指導されている側が、指導している側の要求している動きを本当に理解できているのか、ただ言われた形をまねているだけなのかが判断しづらくなってきました。

たしかに指導をするうちに動きは変わってきます、とりあえず言われたことが出来ているようには見えます、ですから指導は正しいものだと思います。

では私が指導するときと何は違うのだろうと考えた時、それは体の仕組みや筋肉の性質といった、基本的な体の仕組みからしっかり説明がされているかどうかではないかと思いました。

地面に接しているのは、足の裏であることは間違いありません、ただそれだけを思ってしまうことで、地面の反力を得て体重を運ぶという体重移動のエネルギーを生み出すということになってしまうと、話がそこで終わってしまうのです。

上半身と下半身の接点は、大腿骨と骨盤が形成する股関節ということになります。

その股関節をうまく使って、地面を蹴って自らの体重を運ぶという「体重移動」という概念と、股関節をできるだけ自由にするために、広背筋の収縮を利用し、骨盤を後上方に引き上げてもらう、骨盤から立ち上がる背骨のS字カーブがしっかりとれることで、肩甲骨が背骨側に引き寄せられ、いわゆる腰の入った良い姿勢が取れる、さらにその姿勢であれば、広背筋の停止部である上腕骨の小結節部分を後方に引き寄せやすくなり、その後方への小さな腕振りによって、骨盤の動きを制御して回転数を上げることで、スピードにも乗っていける。

言葉で書いていくと、まさにそんなうまい話があるのかと言われてしまうような言い方になってしまいます。

うまい話はまだまだあって、そういう風に体が連動してくれると、着地する足の位置が、体の重心である股関節のほぼ真下になるために、勢いがついた体の重さに対してブレーキがかかりません。

一般の方でジョギングをしている人のほとんどは、着地が股関節よりも前になっていて、体重を前に運ぶ、それを着地で受け止める、着地した足を重心である股関節が追い越す、後方に残った足が地面を蹴って推進力を得る、の繰り返しになっています。

地面を蹴らないでどうやって進んで行くのだ、そうです、誰もまったく蹴っていないとか、蹴ってはいけないとは言っていません。

これまでの走り方に比べると、という意味ですが、それでもスムーズに走れるようになると、本当に蹴っている感覚はないのに、どうして自分は進んで行くのだろうと不思議な気分になるのです。

これが「重心移動」で走っているという感覚です。

そのためには、たんに走り方だけを指導したのでは、本質的な部分が全く伝わらないのです。

以前指導を受けに来ていただいたランニングの愛好者の方が、「似たような指導を受けたことがあり、今の主流は真下に着地することだというのは聞いてはいるが、実際にどんな感覚なのか全く理解できなかった」と言われました。

まさにそういうことです、枝葉やきれいな花をいくら見せられても、肝心な根っこの部分が見えていないために、その場限りのお花見状態になるのです。

私の指導を受けてから、そういう方の指導を受けることがあれば、素直に体は動いてくれると思います。

この根っこの部分が分かってくると、必ずと言っていいほど質問を受ける、中間走のイメージは分かったが、スタートダッシュはどうやるのか、ターンやストップの時の感覚はどういうものなのかという所も分かってきます。

こういう質問をするということは、私が提唱する本当の意味での股関節のローリングを使った走り方というものが理解できていないということなのです。

股関節のローリングが小さくなれば、アイドリングという言い方に変わります。

ストップという言い方も停止ではなく、その場に留まって次の動作に備えている状態という言い方に変わります。

スポーツ動作の中で走るという行為は、目的地も瞬時に変わり、スピードの切り替えや姿勢の変化、また移動しながらのドリブルやボールを蹴ったりラケットを振ったりという、そのスポーツ本来の目的となる動作も行わなければなりません。

そのもっとも基本となる走るという行為、もっと真剣に取り組まなければ、それぞれの競技力の向上は望めないでしょう。

逆に言えば、いわゆる技術的な部分が伸び悩んでいると思っている選手は、この基本動作である走るという行為がうまく出来るようになることで、自らの動きを自らコントロールするということが出来るようになり、一つの壁を超えることが出来るのではないでしょうか。

永遠のテーマである「体づくりから動きづくりへ」の意識の大転換は、この走るという行為が最も端的にそれを測る指標となります。

大きな体、強い筋力では、上には上がいるのです、さらにそれを求めた結果、体に対する負担は大きくなるばかりです。

「動きづくり」にはゴールがありません、無理なく無駄なく効率的に、これを実現させていく作業はとても楽しいものです、何といっても体が喜んでくれるのですから。

週末は「深める会」が待っています、5名の方がそれぞれの思いを持ってここにやってきてくれます。

色々な方々との出会いが、毎回「私自身を深める会」となっています。

皆さん気を付けてお越しください。

12月に行う西本塾も、すでに9名の方から申し込みをいただいています。
今の自分に出来ることをしっかりやっていきたいと思います。
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Re: 近状報告です。
既成概念を離れ自由な発想ができるようになると、今までと同じことをしても違った感覚を得られるようになってきます。
同じ人間として生まれ、様々な能力を与えられているのですから、必要に応じて機能してくれるように、それなりの準備をしておく必要があります。
それを飛び越して何かをやろうというのは土台無理な話です。
だから故障もしてしまいます。
まずは自分の体の可能性を広げ、そこから得た感覚を他者に対して伝えることを続けてください。
それはそれは楽しい作業です。
また近況等お知らせください。
  • 2014-11-18│10:26 |
  • 西本 直 URL│
  • [edit]
近状報告です。
西本先生、こんにちは。
西本塾に参加させて頂いてから、早くも1ヶ月が経ちました。あの日以来、自分で復習する日々が続いております。参加させて頂いて明らかに変化があったのは、広背筋はもちろん骨盤や背骨を「使う」という意識です。まだまだ未熟だとは思いますが、フライングバックを実施してから他の動作をするとスムーズさ(動きやすい)が全然違います。自然とまた違う疑問が浮かび上がってきますがお客様にこれを感じてもらう瞬間が楽しみです。素晴らしい天気の下行なったトレーニングで感じる事が出来た「無駄な力を使わず」走り続ける事を意識せずに出来るように、更に磨きをかけ追い求めようと思います。
それとサッカーをしている小学生に対して、少しずつ動作を落とし込んでいますが、本人自身が力いっぱいやらなくても、同じような力(もしくはそれ以上)を発揮できる事を納得してくれています。私が感じた事を感じてもらえるように更にトレーニングしていきます。
余談ですが、西本塾終了後の即席レッスンのおかげでゴルフのスイングも変わり、下手くそなりに効果を実感しています。こちらも今後が楽しみです。
深める会にもまた参加させて頂き、浮かび上がった疑問を消化したいと思っております。
今後とも宜しくお願い致します。
長々と失礼しました。
  • 2014-11-17│13:48 |
  • 竹内健太朗 URL│
  • [edit]
Re: 明日のランニング指導に使わせていただきます
お役に立てて何よりです。
広島と札幌、距離は離れていても伝わるものはあるのですね。
私から伝わったことが、皆さんの力でまた誰かに届いていく、私ではない人間が私とは違う言葉で伝えていく。
どんなふうに広がっていくのか本当に楽しみです。
大きなことはできませんが、自分の身の丈に合った出来る範囲のことをコツコツやっていきます。
今日の指導がどなたかの心と身体に届きますように。
それにしてもウルトラマラソン凄いですね。
私はひたすらドライバーを振り回すしか能がありません(笑)
  • 2014-11-14│09:37 |
  • 西本 直 URL│
  • [edit]
明日のランニング指導に使わせていただきます
西本先生、いつもブログやNewspicksの記事を興味深く読ませていただいております。

私は今、ウルトラマラソンのランナーさんに「無駄のない走り方」を指導させていただいております。元々足底や膝に痛みがあって走れない方だったのですが、治療とともに走り方が変わることで徐々に長い距離も走れるようになってきました。

ただ西本先生がブログに書かれていた「たんに走り方を指導しただけでは本質的な部分が全く伝わらない」ということが自分の指導にも当てはまり、その部分がランナーさんの走り方に影響していることを気付かせていただきました。


ちょうど明日指導をする日でしたので、西本先生から個別指導を受けた気になっています。

「基本的な体のしくみ」からしっかり伝えられるように準備しておきます。

いつもタイムリーなアドバイス、ありがとうございます。
  • 2014-11-14│00:48 |
  • 諏訪 俊一 URL│
  • [edit]

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プロフィール

Author:西本 直
1993年、Jリーグサンフレッチェ広島を皮切りに、社会人野球三菱重工広島・協和発酵・ヴィッセル神戸・川崎フロンターレ、そして広島カープ佐々岡真司投手など、プロアマ問わず競技レベルのスポーツ選手から一般の方まで、トレーニングやメンテナンスの指導を行ってきました。
その経験と知識の蓄積を「西本理論」としてまとめ、一人でも多くの方に実践していただくことが、これからの私の使命であると信じ、このブログから発信していきます。
私の理論はスポーツ選手のみを対象としたものではなく、ビジネスマンや家庭の主婦まで老若男女すべてに当てはまる不変のものです。
指導や講演のご依頼も受け付けています。
実名でツイッターも書いていますので、チェックしてみてください。
また、2013年9月9日にConditioning Studio 操をオープンしました。
また、遠隔地にお住まいの方を対象とした動き分析とアドバイスを行っています。
詳細は「スタジオ操」のホームページ内の「遠隔サポート」をご覧ください。
「第25回西本塾」を11月18・19日の土日に開催を予定しています。
詳細はStudio操ホームページ内の「講習会情報」をご覧ください
尚、深める会も12月10日に予定しています。

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