走るという行為その1

私に鳥肌を立たせるほどの衝撃を与えてくれたブラジルチームの動きの変化、とくに走り方、今日はこれがテーマです。

我々が他者の動きを見て、単純に頑張っているな一生懸命やってるなと感じる動作のほとんどは、屈筋が優位に働いているいわゆる力んでいる状態であることがほとんどです。

逆に、まだ余力を残しているんじゃないの、もっとできるんじゃないかと言われてしまうような状態のときにこそ、本来我々が正しく筋力を発揮できていると私は思います。

走るという動作を取り上げる時、おそらくほとんどの人が「腕を振る」という言葉にたいして何の違和感も感じないと思います。
というよりも、早く走るという目的に対して必要不可欠な要素であると思っている方がほとんどでしょう。

以前にも取り上げましたが、走るという動作は歩くことの延長線上にあります。
ある場所からある場所への移動手段であって、それ以上でも以下でもありません。

単純に言えば重心が前に傾いていったとき、体が倒れてしまわないようにどちらかの足が前に出て体を支えるという行為が繰り返されているだけです。
そこには腕を振るという行為は関与していません。

階段をできるだけ早く駆け下りたいと思えば、腕など振っている余裕はないはずです。

これがスポーツ動作に置き換わると、スピードのある選手はそうでない選手に比べて明らかに評価が高くなります。

そのスピードだけを競う陸上競技は別として、他のスポーツでは、そのスピードを生かして地点間の移動が他の選手より明らかに早い選手であっても、到達した地点で次にどんな動きが要求されているかによって、まったく評価が変わってきます。

球技であればボールに追いついた、さてそこでということになります。

サッカーのサイドバックの選手が50m以上の距離をオーバーラップして攻め上がったところにパスが届いて、それを中央に折り返すためのクロスを上げるという状況で、走ってきたスピードを殺さずに正確にボールをキックすることは本当に難しい技術です。

野球でもベースから数mのリードを取り、投球動作に合わせてスタートを切り、トップスピードのままでスライディングをするという技術が必要となります。

何を言いたいのかと言えば、そこにどうやって腕を振るかという、腕振りありきの走法は存在しないということです。

体重を前に移動させていくとき、体のどこを運ぶのか、今はやりの言葉で言えば体幹部分ということになりますが、もっと限定的な言い方をすれば、それはずばり骨盤ではないでしょうか。

骨盤の両サイドにはまり込んだ大腿骨の骨頭部分が形成する股関節が、いかに滑らかに回転運動・ローリングできるかどうかが、早く重心を移動できる、つまり速く走れることになります。

走ることは全身運動ですべての運動の基礎となる、間違いではありません。

様々なスポーツで、いわゆる走り込みの期間が設けられ、野球など調子を崩すとミニキャンプと称し、ひたすら走り続ける光景が繰り広げられます。
走ることが有用であることの一番の利点は、重心を移動するという目的のために全身が協調して働かなければならないことを体感できるということです。

腕を振るとか腿を上げるとか、一部の筋肉を強調して使うイメージではとてもじゃないですが、長い時間走ることはできませんし、ダッシュを繰り返しても疲れるだけです。

本数を繰り返していくうちに、余分な力を使わない体のバランスを意識した、個人個人の持つ本来の力の発揮の仕方が分かってくるという意味では、走りこむという行為にも意味があるのかもしれません。

しかし、そこまでしなければ分からないものなのでしょうか。
正しい体の使い方を身に着ける方法はないのでしょうか。

次の動作に備え、走りながらも刻々と変化して状況を判断しながら、スピードを殺さないように走るためには、手は振るのか振らないのか、次回考察を深めていきます。
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プロフィール

Author:西本 直
1993年、Jリーグサンフレッチェ広島を皮切りに、社会人野球三菱重工広島・協和発酵・ヴィッセル神戸・川崎フロンターレ、そして広島カープ佐々岡真司投手など、プロアマ問わず競技レベルのスポーツ選手から一般の方まで、トレーニングやメンテナンスの指導を行ってきました。
その経験と知識の蓄積を「西本理論」としてまとめ、一人でも多くの方に実践していただくことが、これからの私の使命であると信じ、このブログから発信していきます。
私の理論はスポーツ選手のみを対象としたものではなく、ビジネスマンや家庭の主婦まで老若男女すべてに当てはまる不変のものです。
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また、2013年9月9日にConditioning Studio 操をオープンしました。こちらもご覧ください。
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