走るという行為読者のコメントから

走るという行為、やはり全てのスポーツの基本となる動きであると同時に、人間として持って生まれた能力を、いかに効率よく発揮するかという意味でも、もっとも単純で最も難しい動きであるようです。

西本塾や深める会に参加していただく方に対しても、ある意味これが出来なければ、体というものの仕組みや使い方、ひいては体に問題が起きた時の対処法を含めて、スポーツの指導者であっても治療家であっても、また自分の動き作りや動作の改善といった、あらゆる目的に対しての基本であるということはお話ししています。

自分がやる訳じゃないから、やり方や教え方さえわかれば、などという意識では、とても身に付けることはできませんし、指導などできるはずがありません。

もちろんここに来て頂く方々は、みなさんそれは真剣な方々で、こちらが申し訳なくなるほど一生懸命頑張ってくれます。

私なりに毎回工夫して、少しでも分かりやすく説明し、自分でお手本になるような動作を見せた上で、一緒に走っていますが、それでも一度や二度の指導で完全に身に付くようなものではありません。

ご自分のタイム短縮が目的であれ、選手に対して指導者としての感覚を身に付けることが目的であれ、もちろん変化はし上達していくことは間違いありませんが、これで良いこれがベストなものという感覚は、実は私自身にさえありません。

様々な競技の一流選手の動きから導き出された、最大公約数的な動きですから、常にベターなものを探す努力はできても、これが最終目標であると言い切れるものはありません。

現実として、これまで指導させていただいた延100人近いみなさんの中には、後で動画を見ると私の動きとは少し違うようには見えますが、その人なりのスムーズさは十分に感じられ、これがその人の体にとっては一番効率的な走り方なのではと思わせる走り方をしてくれた人が、数名ですがいました。

共通して言えることは、動きが滑らかで力みがなく、動きの中にブレーキを感じる要素がありません、ですから回転数というか、いわゆるピッチがやたらと早く見えます。

おそらくその走りの途中に、過去の走り方で腕を振ってみてくださいと要求しても、できないと思います。

私が腕を振らないと言っているのは、全身の連動の中で生まれる、腕が振られてしまうことを禁じているのではなく、従前の腕はこういう風に振らなければならないということは考えないでくださいと言っているのです。

ですからすぐ目の前の大きな公園の中で走りの実技を行うとき、家族連れや一般の方々からは奇異な視線を感じることがありますが、こればかりは目的があってやっている人にしかわからない感覚です。

ちょうど明日も、この感覚を求めて、以前にも個人指導を受けに来ていただいた私より年長のランナーが、二度目の指導を受けにきてくださいます。

皆さんの熱心さには頭が下がります。逆に、たった一度の指導で満足してしまっているわけではないでしょうが、わかったような気になってしまわれるのは少し残念な気もしますが、それぞれ目的も違うのでそれは仕方がないことなのでしょう。

走るという行為は、ある意味自分との戦いです、タイムや順位という相対的な結果は残りますが、自分の思った通りに体が動かせるということを、究極的に求めている競技だと思います。

自分のことをもっと知りたい、最後に行き着く場所はそこではないでしょうか。

以前にもコメントをいただいた、フロサポの坂井さんから、ブログ等を参考にして、私の走り方をイメージし実践していただいている経過報告をしていただいたので、コメント欄ではなく表で紹介させていただき、みなさんにも参考にしていただければと思います。

以下青字が坂井さんからの文章です。

最近の走り方
ご無沙汰しております。フロサポの阪井です。
いつもブログを楽しみにしています。
今日は最近の自らの走り方の状況をお知らせしたく、コメントいたしました。
前回のコメントで書かせていただきましたが、先月、大町アルプスマラソンでフルマラソン・デビューして参りました。結果は、夏場の走り込み不足で20km手前で脚がつり、目標のサブ4には届かない4時間13分でしたが、西本走り(にしもとばしりと勝手に命名いたしました)のおかげで、終盤に歩くといった失態は避けることができました。
脚がつってタイムは目標に届きませんでしたが、体力的には十分に余裕がありましたので、省エネ走行が徐々に出来ているように思います。


フルマラソン初挑戦でこの記録、素晴らしいと思います。
それも中盤で足がつってしまっての記録となれば、順調にいけばサブ4は確実でしたね。
「西本走り」欽ちゃん走りを彷彿させおこがましいような気もしますが、名前が付くというのは何か嬉しい気がしますね(笑)

そして、先週は初のハーフマラソンに出場、フルマラソンの前半練習のつもりで、前回のフルマラソンより速いキロ5分程度のペース走を実施、余裕をもって目標通りのタイム(1時間47分)で完走できました。
ジムのトレーナーには「走力がつきましたね」と言われていますが、体力アップではなく、走り方が良くなってきたというのが実感です。


言われる通り、記録の短縮はイコール走力のアップ、という言葉で片付けられがちです。
その要素は多岐にわたり、走り方の改善によって体に負担が少なくなりスピードも上げやすくなる、距離を踏んでも故障が少なくなり、結果として心肺機能や筋持久力も向上する、とまあこんな流れでしょうか。

一番重要なのは、ただ練習量を増やしたり筋力トレーニングをしたからといって、その先の結果は同じ流れにはなっていかないということです。

もちろん走り方を変えれば練習をしなくてもいいとか、減らしてもいいと言っているわけではありません。

同じ距離を走っても、体の負担が少なく軽快に走れるのであれば距離を増やしてもいいし、練習にかけられる時間が限られているのであれば、同じ時間同じ距離を走っても、自分の動きや感覚に変化を求めることが上達しているという実感に結びつけられるような意識で走れば、十分効果は上がると思います。

ところが、そうは言っても課題も感じております。
フルマラソンでのランフォトを見たところ、顎が上がって、そっくり返るような姿勢で走っているように見えるのです。骨盤を起こし、背中を絞め、「髭ダンス」のイメージで走ったところ、こんな結果になりました。この姿勢ですと、頭が後方に倒れて重心が後ろになり、微妙にブレーキがかかってしまい、無駄な筋力が使われていたように感じております。脚がつった原因の一つかもしれません。

そこで、走法を微妙に変え、ハーフマラソンでは、背中を絞める時に、以前は肩甲骨全体で絞めるイメージでしたが、肩甲骨の下というか、背中の真ん中くらいの高さを絞めるイメージで(肘を曲げたくらいの高さ)、肩周りはリラックスし、NewsPickで書かれていたと思いますが、リオネルメッシのような感じで、背中のてっぺんはニュートラルで走ったところ、顎も引けて、適度に前傾も保て、骨盤の真下に足を落として走ることができました。


こういうやりとりが一番難しいですね、人間の感覚を共有することはできません。
坂井さんが感じたこと修正しようとされたこと、これは坂井さんにしかわからないことです。
私の文章から思いつくことを片っ端から試してみてください。
答えはご自分の体が教えてくれます。

体が喜んで動いてくれる動き、それが酒井さんにとっての効率的な正しい動きということです、私が決めることではありません。

いつも言っていることです「体との対話」を楽しんでください。

腕は自然に曲げて体にくっ付けて、意識はないのですが後方に小さく肘を振り抜き、その力で骨盤を引き上げ、同時に脚を後方から抜くという感覚です。
この走法ですと、速く、楽に走れるのですが、こんな感じで進めてよろしいのでしょうか?
以上、よろしくお願いします。


直接お会いして指導させていただく機会があれば、もう少し突っ込んで言うこともできるかもしれませんが、こうやって自分で工夫して変化が出ることの方が本当は楽しい作業ではないでしょうか。

私はそれを趣味というか、人生のライフワークとして楽しんできました。
それがこうして人の役に立つことになるとは思ってもみませんでした。

ぜひ記録更新また、動きの改善ができたという報告をお待ちしています。
これからの季節こそ本番ですね、楽しんで走ってください。
スポンサーサイト

Trackback

Comment

Re: No title
好記録が出てでて良かったですね。
なんば走りという言葉が一人歩きしていますが、それ自体に明確な定義はないと思います。
加藤さんが努力して身につけた走り方だと思います、「加藤走り」と自負して頂ければ良いのではないでしょうか。
さらに磨きをかけて、どんどん記録を縮めてください。
  • 2014-12-01│15:20 |
  • 西本 直 URL│
  • [edit]
No title
昨日の日曜日に20キロ走を実施しました。以前は前半の下りの10キロで疲れ果てて、後半の上りは1時間以上かかっていたのですが、57分10秒で楽に走れました。この時、無意識に力を抜いて腕をからだにつけて力を抜いて上下に振っていると気がついたら右腕で右の骨盤を下に差し込むように、左腕で左の骨盤を差し込むようにただゆらゆらとスイングするだけで進んでいました。気持ちがよく、楽で、いままで感じたことのない爽快感でした。これはいわゆるなんば走りで、からだの捻れがまったくありませんがどうなんでしょうか。
Re: 御礼
私という人間をしっかり理解してくださっていますね。
答えだけを求めて安易な気持ちで広島にきていただいても、けっして思ったような成果は得られないでしょう。
ただ直接でないと伝えられないことの方が多いのは当然のことです。
自分の経験や既成概念を捨て、真っ白な気持ちで参加していただいた方は、どんどん吸収して変化していくのがわかります。
自分で自分の動きが説明できる自信がついたときは、私のところにきていただく必要もないと思います。
自分の体です、自分の思った通りに動かしてください。
  • 2014-11-22│13:05 |
  • 西本 直 URL│
  • [edit]
御礼
西本様

フロサポの阪井です。
今回も充実したアドバイスをちょうだいし、たいへん恐縮しております。ありがとうございます。

ブログを読み始めた頃は、杓子定規に「書いてある通りに身体を動かすもの」と思っていましたが、前回のご回答でも「動きやすい動きをどんどん試してごらん」といった示唆でしたし、普段、ジムで個人トレーニングを受けているときも、「一人一人、骨格も違えば、筋肉量や質も違うので、絶対的な動きというモノはない」と言われているので、最低限の基本原則を意識した上で自分に合った動き作りを模索するのかなと思い始めています。

それで良いようですね!

基本原則として、最近になって最も意識しているのが「伸筋で動く」です。ランニングの際は、着地の足で地面を押すことに細心の注意を払っており、着地の位置はどこがいいか、そして、地面を押す圧力はどの程度がいいか、もっと言えば、それを実行しやすいシューズはどんなシューズか、こんなポイントを気にしています。そこがしっかりして、あとは骨盤さえキープできれば、その他はリラックスした自然体で良いと今は思っていて、しばらくはこの線で行こうと思っています。

最後に広島訪問についてですが、今回も来月の塾に参加するか否かを迷っていたら〆切になりました。
迷っていた理由は、今、直接の指導を受けに行くということは、「答えを貰いに行く」ような意識になってしまい、それは西本さんが最も嫌うことだと思ったためです。多分、参加動機として認められないだろうと。
今はブログを通じていただく「ヒント」を元に、自分で考えていくステージだと思い、ある程度、自分で自分の動きを説明できるようになったら、その成果をご覧いただこうと考えました。その時に塾が開かれていればですが。

今後もご指導をよろしくお願いします。
  • 2014-11-22│12:02 |
  • 阪井徹史 URL│
  • [edit]

Post a comment

Secret


プロフィール

Author:西本 直
1993年、Jリーグサンフレッチェ広島を皮切りに、社会人野球三菱重工広島・協和発酵・ヴィッセル神戸・川崎フロンターレ、そして広島カープ佐々岡真司投手など、プロアマ問わず競技レベルのスポーツ選手から一般の方まで、トレーニングやメンテナンスの指導を行ってきました。
その経験と知識の蓄積を「西本理論」としてまとめ、一人でも多くの方に実践していただくことが、これからの私の使命であると信じ、このブログから発信していきます。
私の理論はスポーツ選手のみを対象としたものではなく、ビジネスマンや家庭の主婦まで老若男女すべてに当てはまる不変のものです。
指導や講演のご依頼も受け付けています。
実名でツイッターも書いていますので、チェックしてみてください。
また、2013年9月9日にConditioning Studio 操をオープンしました。こちらもご覧ください。
また、遠隔地にお住まいの方を対象とした動き分析とアドバイスを行っています。
詳細は「スタジオ操」のホームページ内の「遠隔サポート」をご覧ください。
西本塾を深める会を9月10日(日)に開催を予定しています。
詳細はstudio操のホームページ内の「講習会情報」をご覧ください。

最新記事

カレンダー

07 | 2017/08 | 09
- - 1 2 3 4 5
6 7 8 9 10 11 12
13 14 15 16 17 18 19
20 21 22 23 24 25 26
27 28 29 30 31 - -

カウンター

検索フォーム

QRコード

QR