体の仕組みに沿ったトレーニング再考

毎日寒い日が続いています。
紅葉を楽しむ間もなく、真冬の寒さがやってきてしまいました。

昨日は休みを利用して、ちょうど100回目の献血に行ってきました。
1回の受付で手続きをしている時、大きなリュックを背負った外国人旅行者が入ってきて、受付の方との会話が始まりました。

私も遠征先で献血したことがありましたが、さすがに海外での経験はありません。

気になって会話を聞いていると、噛み合っていないというか、受付の方は当然献血に立ち寄ってくれたという前提で、どこから来たかとかどこを回ってきたかなど海外渡航歴を聞いているのですが、聞いていてどうも違うなと思ったら、彼らは病院と間違えているようでした。

入り口には大きく赤十字のマークがありますから、そう思っても仕方がないかもしれません。

私がそれに気付くのと同じくらいのタイミングで、受付の方も事態が飲み込めたようで、病院の案内をされていましたが、もう少しで片言の英語で会話に参加しそうになるところでした。

それにしても、四季折々の風情を楽しめるはずの日本の気候はどこに行ってしまったのでしょう。

日本はどこへ行ってしまうのでしょうという意味では、今回の衆議院選挙、いったい日本はどうなっていくのでしょう。

一部の政治屋を生業にしている人間たちが、経済発展という聞こえのいい掛け声で、ほんの一握りの大企業の為に行う政治を、このまま容認するのでしょうか。

政治と宗教の話はタブー視されがちですが、私はあえて声を大にして言いたいと思います、真剣に考える時期にきているのではないかと。

私と家内は、週末に西本塾を行うため、昨日期日前投票を済ませてきました。

それにしても選択肢が少ないというか、当選するしないは別として、私も街頭で今の政治の現状に対する不満を言ってみたいと思ってしまいます。

うまく話をつないでいるようですが、トレーニングにおいても同じようなことが言えます。

「寄らば大樹の陰」ではありませんが、みんながそう言っているから、有名な選手が行っているから、アメリカの最新のトレーニング理論だからと、私が一番嫌う物の言い方で、世間はそちらになびいてしまい、それで満足してしまっているところがあります。

有名になっている人間やその理論には、その中身以上になるべくしてなっている理由があります。

スポーツ選手がそちらを向くように仕向けることができれば、一般の方は黙っていても付いて来てくれますし、商売になると思えば、各媒体も放っておくはずがありません、加速度的にその知名度は上がっていき、正しいことだと認知されていきます。

それが人間の本来持っている機能を向上させるに足りる十分なものであれば、もうそれ以上新しいものは必要ないわけで、「これが真理です」と胸を張っていればいいのですが、人間というのは飽きやすいというか長続きしないというか、新しい物好きで、そこにつけ込んでどんどん新しい手法を用意することで、新たな顧客を開拓できるという、これはもう資本主義の経済成長戦略と全く同じパターンとなります。

しかし人間の体は消費材ではありません。

人間として与えられた能力は平等で、あとはそれをどう使うかという選択も自由です。

そのために必要なことは、自分の体がどういう仕組みで動いているのかという、根本的な問題に目を向けることです。

それをしないから目先のことが気になって根っこを掘る努力をしようとしないのです。


私の主張している「体作りから動き作りへ」という命題は、この体の仕組みを理解し、本来人間はどうやって体を動かすことが、効率的で体に優しい動かし方なのかを探し続けることを目的としています。

そのために幾つかのキーワードがありますが、その一つが関節を伸ばすために働いてくれる「伸筋」を動かすことです。

一般的に言われる筋肉のイメージは、体の前側に位置する大胸筋や腹筋群などの、関節を曲げる時に使われる「屈筋」 だと思います。

人間は向き合って話をしますから、体の前側にある筋肉が発達していたほうが、たしかに見た目は良いでしょう。

しかしその筋肉がどういう役割を持っているかを考えたことがあるでしょうか。

自然界の動物たちは、天敵となる他の動物たちから身を守るために、瞬発力が要求されます。

攻める方も同じです、一瞬で獲物を仕留めなければ、自分たちが生きていくことができなくなります。

まさに食うか食われるかの命がけの動きが要求されます。

そこで活躍するのが瞬間的な力を発揮する屈筋です。

屈筋は瞬間的な力は発揮してくれますが、持久力はありません、ですから攻めるも守るも短期決戦ということになります。

言い換えれば緊急事態にのみ、その本来の働きを全うしてくれる筋肉と言えます。

では我々人間にはそういう緊急事態は想定されているでしょうか。

少なくとも日常生活の中では、まったく考えられません、危険ドラックを吸引した人間が運転する車が突っ込んでくるとか、刃物で切りつけてくる、などという事態は、緊急事態を超えた異常事態です。

こんなことまで想定されて人間の体は作られていません。

しかし、スポーツが競技として行われるようになってから、ある意味事態は一変しました。

同じ人間として競うわけですが、相手よりも高い能力を身につけ、それを発揮することが要求されてきました。

その一つの手段として考えられたのが、スポーツとはいえ戦うことを前提に緊急事態に対応する筋肉、つまり屈筋を鍛えるという方向性が生まれたのだと思います。

しかし屈筋はあくまでも緊急事態に対応するためのものですから、その能力には限界があります。

限界を越えようと努力すればするほど、本来の体の仕組みからは外れ、体は悲鳴をあげそして壊れていきます。

こうした現実に目を背け、まだまだ鍛え方が足りないと歯を食いしばり続けても、思ったような結果は得られません。

多くのアスリートがこの間違った道を進み、そして消えていきます。

動き作りのトレーニングとは、一言で言ってしまえば「屈筋を使うことをやめ、伸筋に任せてしまう動かし方を身につける」ということになるでしょうか。

屈筋は、「今使うぞ頑張ってくれ」と強く意識しなければ働いてくれません。

日本人好みの、笑顔などもってのほか、歯を食いしばり目を釣り上げてこそ発揮される筋力です。

それに比べ伸筋は、強く意識してしまうと本来の働きをまっとうできません、これが「頑張らずして頑張ってくれる」という伸筋の性質なのです。

言葉で言うのは簡単ですが、これを体得させるためのトレーニングは理論的な説明はもちろんのこと、実際に屈筋よりも伸筋のほうが、大きな筋力を発揮してくれることや持久力があることをまずは事実として受け入れてもらわなければ話が始まりません。

そこをベースに伸筋に働きかけるトレーニングを続けていけば、動きは必ず変わっていきます。

ではコンタクトスポーツにおける緊急事態に対応する前側の屈筋は鍛えなくてもいいのかという問題になります。

人間の体は痛みに対しても、動かすというポイントに対しても、複数箇所を同時に認識することができません。

動き作りを目的として、背中側の筋肉に対してトレーニングをおこない、その負荷が上がっていけば同時に前側の筋肉に対しても、十分な刺激は届いているのです。

例えばベンチプレスという種目を行う際、胸ではなく背中のトレーニングだと強く意識して行えば、背中側の伸筋に対しては動き作りのトレーニングとして有効な刺激となり、二次的には前側の筋肉に対しても十分な刺激が届いているため、必要な肥大は起こって当たり前なのです。

それを前側を鍛えるトレーニングだと思って強く意識してしまうと、屈筋のトレーニングになってしまい、二次的な刺激が届くはずの背中側の伸筋には、本来の目的である動き作りの意識は届けることができないということになってしまうのです。

私一人の力では限りがあることは十分承知しています。

西本塾で一緒に学んでくださる皆さんの力を借りて、延々と間違った方向の努力を続け、結果を残せないでいる多くの選手たちの中から、一人でも多くの選手に気づきを与え、夢に近づくためのお手伝いをしていきたいと思っています。

週末には10名の方に参加していただいて西本塾を行います。

文字で書かれたこと、またすでに参加された方々が体験したことを、ぜひ頭と体で理解して帰っていただきたいと思います。

しっかり準備してお待ちしています。
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西本先生

わくわくした気持ちで広島に向かいました。

今は大きな驚きと、これからが大事だなという気持ちが芽生えています。

身体が一番感じています。
後ろ側を使った感じだけでなく前側もいつもと違う使っている感じに襲われています。
普段使えてなかったんだなと改めて実感しています。

出会いは必然なのかなと感じています。選手に対して最高のサポートができない自分を情けなく思いクラブを辞め、色々と模索しているなかで出会った西本理論、参加して本当によかった、知らないことだらけです。

まだ頭も身体も整理できていないので、徹底的にやり込みます。

また西本先生に質問させて下さい、宇品へ行きます。
2日間ありがとうございました。

受付業務や寒い中動画を撮って頂いたりと、西本塾を影で支えておられる奥様ありがとうございました。

動画を見直すとイメージと動作のズレが確認できとても参考になりました。

充実した2日間でした、ありがとうございました。
  • 2014-12-15│14:07 |
  • 樋口 敦 URL│
  • [edit]
西本塾に参加して
西本さん、奥様、参加者の皆さん2日間ありがとうございました。
そしてお疲れ様でした。
参加申し込みの際に失礼な文面を送ってしまったにも関わらず参加させて頂き感謝しています。
参加して少人数で参加基準を設けて西本塾が行われる意味がよく分かりました。
そして西本さんの人柄に触れ、理論の理解を深めることはもちろん何度か参加している方々はこの人柄にも惹かれて参加しているのだなと納得しました。

ブログを読まれている方の中には西本理論を自分なりに活用されていることもあると思います。
しかし経験に裏打ちされた西本理論は感覚として体験すると自分で解釈していたものをはるかに超えて行きました。
これまでの感想にも書かれていたようにまさに体験してみないと分からない感覚です。
私は理学療法士として仕事をしているので、今後はこの理論をどう活用し伝えていくかが重要であると思います。
自分の言葉でしっかりと伝えていけるよう経験を積んでいきたいと思います。
活用できそうな方のことを考えてワクワクしています。

西本さんはあまり受けがあまり良くなかった言葉と言われていましたが私の中では人間の身体は流体ということが深く印象に残っています。
まさに流体である身体を固めずに使うことの重要さを身を持って知ることができた2日間でした。

今後の西本塾の開催は未定のようですが明確な目標があり、参加を悩まれていた方はぜひ西本直という人間に会いに行ってみるべきだと思います。

自分もそんな人間になれるよう頑張っていきます。
改めて2日間濃い時間を過ごさせて頂き、第9回西本塾に関わった皆さん、ありがとうございました。
それぞれのフィールドで頑張っていきましょう!
  • 2014-12-15│10:25 |
  • 豊岡 浩介 URL│
  • [edit]
西本塾
お疲れ様です。西本塾に参加した生部 麦です。
西本さん、西本先生の奥さん、昨日と今日の二日間本当にありがとうございました。他の参加者のみなさまもお疲れ様でした。また、専門知識も何もないただの学生を温かく迎え入れていただきありがとうございました。
今回の西本塾を通して、人間に元々備わっている、合理的に身体を動かすことのできるしくみを知り、そして自分自身でそれを実感することができたので、本当に西本さんの所へ行って良かったなと思いました。広島港という穏やかな場所と、西本さんと奥さんに初日に笑顔で迎えていただいたり、名前で呼んでもらったことによって、リラックスしながらも集中して二日間を過ごすことができました。とても濃密でありながら、あっという間に時間が過ぎてしまったという印象です。
講義の中では、屈筋と伸筋のはたらきと、広背筋を意識し、正しく機能させることが大切だと学びました。使わずして使われている、頑張らずして頑張っているという感覚はここへ来なければ絶対に理解できないことだと思いました。「屈筋を意識しているときは伸筋は働かないが、伸筋を意識しているときはちゃんと屈筋も働いている」というのは自分としてもびっくりしましたし、なりより人間の身体というのは本当に良くできているんだなと知ることができました。それと同時に、今まで屈筋優位で無理をさせてしまっていた自分の身体に謝らなくてはいけないと思いました。反省します。
3・5・7理論とアクチンとミオシンの滑走説では、筋肉のしくみを理解することができ、なぜ筋肉や腱の怪我が発生するのかがとてもよくわかりました。初動負荷トレーニングのことも補足として入れていただいたので、自分の中でリンクして考えることができて、より一層理解することができました。フライングバックトレーニングは自分でイメージしているよりも背骨を反らすことができたり、想像以上の刺激やキツさがあったりして、器具なしでこんなに刺激がくるのかと驚きました。継続していって必ず動きの変化に繋げたいと思います。マシントレーニングでは、今まで自分がやってきたウエイトトレーニングは一体なんだったのだろうと思うくらいやったあと姿勢も良くなり、気持ちがよくてびっくりしました。刺激や筋肉痛の来る場所は今までとは違い、伸筋(広背筋)が中心になっていましたし、本来はここを使わなくてはいけないのだと身をもって感じることができました。世間と自分の中にあったいわゆる「常識」が覆された瞬間でした。オクタントトレーニングは、西本さんの施術に圧倒されてしまって、必死についていくことで精一杯でしたが、終わった後の自分の感覚としては「あれだけの力を何回も出し続けたのに、身体はスッキリしている」という不思議な感覚になって、軽くパニック状態になってしまっていました。笑 同様に、からだほわっとも自分の身体じゃないようで、本当に流体という表現がぴったりだと思いました。
また、西本さんは、各テーマを話すごとに目を合わせる人や時間を変えていたことがとても印象に残りました。自分が事前資料に書いたことと、リンクする事柄の時は必ず自分の目を見て伝えていただきました。自分が必要としていることや興味のあることについて、本当に丹念に準備していただいたのだなと思い、自分も心の底から理解しなくてはいけないし、その気持ちに応え、さらにそれを超えるほど吸収したいと思いました。そのため、実技などではずっと西本さんの近くにいるように心がけて、くっつきまくってしまいました。すみませんでした。笑
二日間だけでしたが、僕は西本さんは本当にプロフェッショナルであり、すごい人だなと感じました。自分もプロを目指す身として、こういった魂や誠実さ、真摯さをもって人生をかけて取り組まなければいけないと思いました。今日持ち帰ったことを自分自身で整理し、発展していって、より高みを目指し、努力を続けたいと思います。二日間本当にありがとうございました。

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プロフィール

Author:西本 直
1993年、Jリーグサンフレッチェ広島を皮切りに、社会人野球三菱重工広島・協和発酵・ヴィッセル神戸・川崎フロンターレ、そして広島カープ佐々岡真司投手など、プロアマ問わず競技レベルのスポーツ選手から一般の方まで、トレーニングやメンテナンスの指導を行ってきました。
その経験と知識の蓄積を「西本理論」としてまとめ、一人でも多くの方に実践していただくことが、これからの私の使命であると信じ、このブログから発信していきます。
私の理論はスポーツ選手のみを対象としたものではなく、ビジネスマンや家庭の主婦まで老若男女すべてに当てはまる不変のものです。
指導や講演のご依頼も受け付けています。
実名でツイッターも書いていますので、チェックしてみてください。
また、2013年9月9日にConditioning Studio 操をオープンしました。
また、遠隔地にお住まいの方を対象とした動き分析とアドバイスを行っています。
詳細は「スタジオ操」のホームページ内の「遠隔サポート」をご覧ください。
「第25回西本塾」を11月18・19日の土日に開催を予定しています。
詳細はStudio操ホームページ内の「講習会情報」をご覧ください
尚、深める会も12月10日に予定しています。

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