伝え続けなければ

先日、個別指導に訪れた高校生のサッカー選手の話です。

通常、個別指導を希望して電話を頂く方は、様々な媒体から私のことを知って、このブログにたどり着き、中身を読んで、もしかしたら自分のお子さんの成長のために、何かプラスになるかもしれないと思って頂くことがきっかけになっていると思います。

そこには残念ながら、子供さん本人の意思は無く、子供のためにという親心だけが先行しています。

以前にも、そういうお電話を頂き、子供さんにとって貴重な休みとなる期間を潰してまでも、わざわざ広島に来ることを、本人の了解もなく決めてしまうことはあってはならないとお話をして、もし本当に本人が私のブログ等を読んで、自分から行きたいと言ってくれるのなら、改めてお電話をいただけますかということにしましたが、その後の電話はありませんでした。

スポーツに限らず、一流大学に入って一流企業に就職するためには、本人の努力はもちろんのこと、保護者の方の協力と支援は欠かせないものだと思います。

少しでも子供のためになれば、私も4人の子供を育ててきた一人の親として、考えないはずはありませんでした。

しかし、それが高校生ともなれば自分の考え方があって当然です、そうは言いながらも、人生経験や情報量の豊富な、親の意見にも耳を傾けるべき時もあると思います。

このブログを、中学生や高校生の現役スポーツ選手がどれくらい読んでいるのかわかりませんが、それほど多いとは思えません。

そうした中で、保護者の方が子供のためにと電話をかけて頂くことは、有難いことだと思います。

これまで、そういう形で私も納得して、この親子のためにしっかり指導してあげようと予約を受け付け、小学生から高校生、また自らの動き作りのトレーニングのために訪れていただいた一般の方を含め、たくさんの方々に指導をさせていただきました。

そうした方々は、すべてとはいきませんが、私のブログを読み、その中のどこかの部分に共鳴し期待を持って来て頂いています。

そう言う意味では指導もしやすく、あれはこういう意味だったのかとか、読んだだけではわからなかったが実際に指導を受けてみると、なるほどそういうことだったのかと納得していただけることもあります。

ところが今回訪れてきたのは、私に対する予備知識が本人には全くないという初めてのパターンでした。

電話をしてきた父親も、聞いてはいませんがおそらく私のブログに関しては、全く読んだことはないと思います。

ではなぜという事ですが、息子の将来に期待する父親が、自分の友人であるJリーグ関係者に相談したところ、それなら一度広島に行って、西本という人間に息子を見てもらってはどうかと勧められたようです。

今回は仲介した人間からは事前の連絡もありませんし、実際に本人と一緒に来たのは父親ではなく、お兄さんでしたので、父親が私に何を期待してここにこさせたのか、それ自体が正直よくわかりませんでした。

事前の経緯はどうあれ、本人が私のことを全く知らないと言われようが、せっかく遠いところからきてくれたのだから、少しでも彼のこれからに役立つことを教えて返そうと、いつものように張り切って動き作りの重要性を伝えていきました。

近い将来Jリーグでプレーする姿が見られるかもしれない選手のようでしたが、私が西本塾で伝え続けているような、体の仕組みや使い方といった基本的な部分など知る由もありません。

高校生として、今現在周りの選手と比較しての相対的な評価で言えば、いわゆる「良い選手」なのでしょうが、そういうレベルの選手は数限りなく存在すると思いますし、毎年毎年増え続けていきます。

そういうハイレベルな争いの中を勝ち抜いていくために必要な要素の一番基本的な部分が、私が提唱している「西本理論」という事になるのです。

その内容は多岐に渡りますが、それなくして本来の意味での技術の向上などあるはずがないのです。

一緒について来てくれたお兄さんは、現在育成年代の指導をされているということで、ついでと言ってはなんですが、私の指導をしっかり見て聞いて、自分の指導に生かしてくださいと、無理やり巻き込んでしまいました。

3時間の指導の後、父親からとにかく行ってこいと言われて、おそらくなんの期待もなくやってきたと思われる彼の表情は大きく変わっていました。

ここに来なければおそらく生涯知ることが出来なかったことを学び、自分の可能性を感じ、大きく広げるきっかけをつかんでくれたと思います。

私の指導を受けた選手は、どんなレベルの選手であっても同じ思いを持ってくれています。

育成年代だから、まだまだ上を目指さなければならないレベルの選手だから必要な知識ではありません。

すでにプロというカテゴリーの中でプレーしている選手たちにこそ、学んでもらわなければならないことなのです。

私が伝えることを、すでに理解して使いこなせている選手は、残念ながらいません。

一度教えたからわかりました、出来ますというほど簡単なものでもありません。

頭で体でしっかり理解し、それを正しく継続する以外に身につけていく方法はありません。

逆に言えば、「動きを作る」という作業にゴールはないのです。


求めれば求めるほど、さらなる高みがあることに気づき、歩みを止めない限りは永遠に成長していくことができるのです。

自分の持ち味はこういう動きができて、こういうプレーが得意で、そういう選手がたくさんいます。

それを評価されてプロになったのだから、その技術を磨いてくのが成長だと思ってしまいます。

しかし、それでは足りないのです。

すぐに同じような特徴を持ち、更に上のレベルの選手が現れた瞬間、自分のポジションは無くなってしまうのです。

本来ならば、そういう選手たちに、私の理論と実践を伝えたい、今もそう思っています。

しかし、今私にはその環境はありません。

だからこそ、どんな経緯であれ、私の前に立った選手に対しては、私自身が悔いを残さないよう真剣に伝えています。

そして指導する立場の方々にもその思いを伝えています。

二人がここを後にして30分くらい経った頃、父親から電話がありました。

「息子はどうでしたか」と、正直その言葉の意味がわかりませんでした。

何のためにここに行かせたのか、紹介されて行けと言われたから、それだけだったとしたら、私が彼に何を伝えたのか想像もつかないでしょう。

おそらくは長年に渡って様々な選手を見てきた私の目から見て、息子のサッカー選手としてのこれから可能性をどれくらい感じたか、どう評価したか、そんなことを聞きたかったのでしょうか。

もしそんなことのために広島に行かせたとしたら、全くの無駄足だったと思います。

一緒に来るのかと思ったら、付き添いを長男に任せ自分はそのあと電話一本で感想を聞こうとする、そんな態度にも、私は真剣さを感じませんでした。

これまで私の指導を受けたいと来て頂いた方々との温度差は、比較になりません、皆さんの真剣さは私の想像を超えた方ばかりでした。

私の知り合いの名前を紹介者として出せば、悪いようにはされないからと言われたのでしょうか。

それにしても本人とお兄さんは、真剣に学んで帰ってくれました。

選手として指導者として、二人にとって大きなインパクトを与えられたと思っています。

もっともっと多くの人に伝えなければならない、改めてそう思いました。

知らないでは済まされません、間違った努力をしていたのでは絶対に自分の定めた目標に届くことはできません。


正しい方向性の努力にはゴールがなく、ずっと成長していくことができるのです。

その方法論を深めていくのが私の仕事です。

今日今考えていることが、自分の中でのベストな「西本理論」です。

決してベターではありません。

しかし、昨日考えていたことと今日考えていることが違っていることは日常茶飯事です。

だからと言って昨日考えていたことが間違っていたとか、ベストではなかったとは思いません。

その瞬間瞬間、精一杯考えた結論です、自信を持って伝えています。

おそらく私のことを正しく評価できる人間はいないと思います。

過去どんなに私の存在が役に立っていたと思ってくれたとしても、それはその時の私のベストを尽くしただけのことです。

私を評価し、必要としてくれた人間にも、今の私の考えていることはわからないと思います。

あの時にはあの場所でベストを尽くそうとしていましたが、今ははるかにあの時の自分を超えています。

「西本という人間は、こんなことを考えていてこんなことができる人間だ」、それはあくまでもその瞬間、その相手に対して発揮した私の能力の一部です。

人に指導する仕事を1年と少し続けてきて、自分にはもっと違う能力がある、もっと高みを目指すことができる、そう思うようになりました。

それをどういう形で発揮していくか、生きていく中で一番大切な環境という問題、それが与えられないと嘆いていても何も始まりません。

少しずつでも自分の力で切り開いていくしかないと思います。

週末は東京に行きます、千葉と埼玉で仕事をして帰ってきます。

その瞬間のベストを尽くせるようしっかり準備しております。

受講予定の皆さん期待してお待ちください。

皆さんと過ごせる貴重な時間を、私自身が一番楽しみにしています。

追伸
お正月休みを利用して、私のところへ指導を受けにと思っていただいている方があるかもしれません。
年末は30日から休みにします。
28日、日曜日も、もしご希望があれば予約を受けます。
30日もどうしてもと言われれば考えます。
年明けは、通常ですと6日の火曜日からですが、こちらもどうしてもと言われれば、5日の月曜日は予約を受け付けます、お早めにご連絡ください。
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深める会感想
西本先生
広島よりお越しいただき深める会in東京ありがとうございました。
また、場所を提供して下さった望月を始め開催に携わってくれた方々、ありがとうございました。

今日の感想はまず
連動する、からだの使い方、重心移動、言葉にすると聞き馴染みはありますが、こんなに身体が変わり、身体が喜ぶ感じを味わうことはここにしかないと感じています。
操体法について。
名前こそ操体という名が付いてますが、6方向への動きをどのように導き出すか、これに尽きると感じました。
また、声掛け・伝え方も動きを導き出すための大事なもので、いかに部分でなく全体を使えるようにできるかがポイントだと思いました。
3通りの操体パターン、をこれからどう派生させて患者に合わせて臨機応変にできるかが今後の課題です。

ランニングについて。
走れるようになったら、ランニングだけしてればOKではなくドリルや室内での動き作りがあってこそだと思いました。
ドリルの順序立て方とても勉強になりました。
また、ものの数十分で人の走り方が変わる様を目の当たりにして、驚くのと同時に、人間の身体は本当に使い方ひとつで良い方にも悪い方にも転がると感じました。

6月の初参加から半年でまさか3回も受講するとは自分でも驚きですが、まさに《身体に終わりはなし》であって、西本理論すなわち身体の構造に即した使い方をしていくことに終わりはないと感じました。
先生のブログでもありますが、○○法、○○メソッドを覚えたところで、身体の仕組みが分かってないと、ただ方法に使われてるだけで意味のないことです。

硬い・柔らかいと個体差はあるものの身体の仕組み自体は昔も今も、人種も関係なく、これをカラダと頭に覚えこませてくことが大切で、ブレずに追求していきたいと思います。

関東近郊のみなさん、今後と交流を深め、機運を高めてまた開催できればと思います。よろしくお願いします。

西本先生、来年以降もよろしくお願いします。
  • 2014-12-21│23:12 |
  • 川端翔太 URL│
  • [edit]
近況報告
西本先生、ご無沙汰しております。第7回の西本塾に参加した本田です。

8月の西本塾からもう4ヶ月が経ってしまいましたが、まだまだ自分が未熟なためか、自信を持った指導をし切れていない感覚を持ち続けています。もちろん、受講前とは比較にならないくらい生徒やこの競技を見る目は変わっていますし、より一層好きになってしまっています。だからこそ、中途半端なことを伝えられない…と考えてしまいます。
それでも少しずつ変わってきていることを実感できていることがあります。それは『姿勢』です。背中の大切さ、屈筋ではなく伸筋…などの体の変化ももちろんありますが、それとともに学んだことは『西本先生が私たちに向き合ってくれた姿勢』だと思っています。広島から帰ってきてから、生徒の前で『姿勢』の話を多くするようになりました。話をすることで自分にも責任が生まれ、責任が生まれることで自分の行動も変化し、その自分の行動によって生徒に伝わることがあるように感じています。
『姿勢』の変化の見られた生徒の1人が、来週関東大会に出場します。明日の深める会への参加もずっと悩んでいましたが(本当に残念です…)、今は生徒に寄り添って、自分なりに試行錯誤を続けていってから、また西本先生にお会いできたらと思います。

拙い文章ではありますが、近況方向させていただきました。学校でも少しずつインフルエンザなどが流行り始めています。どうか、お体に気をつけてください。
  • 2014-12-20│13:25 |
  • 本田 亮介 URL│
  • [edit]

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プロフィール

Author:西本 直
1993年、Jリーグサンフレッチェ広島を皮切りに、社会人野球三菱重工広島・協和発酵・ヴィッセル神戸・川崎フロンターレ、そして広島カープ佐々岡真司投手など、プロアマ問わず競技レベルのスポーツ選手から一般の方まで、トレーニングやメンテナンスの指導を行ってきました。
その経験と知識の蓄積を「西本理論」としてまとめ、一人でも多くの方に実践していただくことが、これからの私の使命であると信じ、このブログから発信していきます。
私の理論はスポーツ選手のみを対象としたものではなく、ビジネスマンや家庭の主婦まで老若男女すべてに当てはまる不変のものです。
指導や講演のご依頼も受け付けています。
実名でツイッターも書いていますので、チェックしてみてください。
また、2013年9月9日にConditioning Studio 操をオープンしました。こちらもご覧ください。
また、遠隔地にお住まいの方を対象とした動き分析とアドバイスを行っています。
詳細は「スタジオ操」のホームページ内の「遠隔サポート」をご覧ください。
西本塾を深める会を9月10日(日)に開催を予定しています。
詳細はstudio操のホームページ内の「講習会情報」をご覧ください。

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