私の根本にあるもの、雑感

讃岐での三日間、私にとっても本当に良い経験をさせてもらったと思っています。

一対一の個別指導で、相手の表情や息遣いを感じながら、臨機応変に指導をして行くのが私の得意とするスタイルで、西本塾のような形であっても、一度に対応できるのは10人くらいが限度かなと思っています。

それをプロのサッカー選手を相手にして、約30人の選手たち全員に、私の考え方を伝え、意識を変え、動きを変えるという仕事を、結果責任を含めて自信を持って指導できるのか、私にとっての大きな挑戦でもありました。

自己満足の部分はあるとしても、今の私は色々な意味でそれができる人間に成長できていると思うことができました。

相手があることですから、受け入れる側の環境づくりが、指導の成否の大きな要素になることはもちろんですが、どんな相手に対しても、「誰かのために」の気持ちを常にベースに持っていれば、ちゃんと伝わるのだということを確信しました。

今週に入ってからも、個人指導を受けにきてくれた高校生の指導を行いましたが、すでに讃岐での経験が活かされていることを実感しています。

20数年この仕事を続けてきて、いつの時点からか「体作りから動き作りへ」が、トレーニングの本質であり目指すべき方向であると確信し、それをどうやって形にしていくかを考え続けてきましたが、私の力では、それが一般的な定説になるという、大きな目的には程遠く、いまだに「大勢とは対極にある独自の理論」という扱いから抜け出ることはできません。

しかし、その部分に対する世の中のニーズというか興味は、私が思っている以上に大きいことも最近感じてきました。

世間が正しいと言っている理論や考え方に沿ったトレーニングを行った結果が、本来自分が目指した方向性に合致しておらず、努力を重ねれば重ねるほど目標から遠ざかっていくという現実を経験をした選手が、ものすごく多いのです。

それがなぜ表面化してこないかというと、たんに自分の努力が足りなかったとか、そこまでの選手だったという、本質的な原因の究明がされることなく、それぞれの胸の内にしまいこまれているからだと思います。

現在フットサルの現役選手として活躍している選手が私のブログに出会い、長年の疑問を解消するヒントになるのではと、ここを訪れてくれたことがありました。

高校時代は全国制覇を経験し、関西の大学に進んでからもリーグの新人賞を獲得するなど、その先にはJリーグで活躍する自分の姿が明確にイメージできるところまで来ていたそうです。

それが学年が上がるとともに、選手としての能力がチームメートとの相対評価で少しずつ下がっていったと言うのです。

もちろん油断や慢心があったのではなく、逆にトレーニングや練習に対する取り組みは、質量ともに日々真剣さを増していったそうです。

それが何故Jリーガーという結果に結びつかなかったのか、このことに対する答えを見つけ出せないままに現役を退きたくない、その思いが私のブログに興味を持たせることになったようです。

これは偶然ではなく必然だったかもしれません、常に疑問を持ちアンテナを張り巡らせている人間に対して、そのヒントは必ず与えられるように、世の中には目に見えない力が働いていると思うからです。

「求めよさらば与えられん」という言葉がありますが、誰かが教えてくれるのを待っていたり、もちろん何も考えていない人間に対しては、目の前にあるヒントさえ気付くこともないでしょう。

その選手は私のところを訪ねる前に、便箋6枚にもわたる手紙を書いてくれ、その想いを綴ってくれました。

もう1年くらい前のことですが、ことあるごとにこの手紙を読み返し、「せめてあと10年早く西本さんに出会いたかった」、そういう気持ちになる選手を一人でも減らせるよう、「動き作りのトレーニング」を声高に発信し続けなければならないと気持ちを引き締めています。

それにしてもどうして我々人間は体の前面に位置する、屈筋群を鍛えることがトレーニングの目的になってしまったのでしょう。

「筋肉の仕事は骨を動かすこと」それ以上でも以下でもないことは、少し説明すれば誰にでもわかってもらえることです。

ではその骨の中でも、人間が運動をするために主になって動いてくれなければならない部分はどこでしょう。

骨盤と股関節、肩甲骨と肩関節、それをつなぐ背骨、それらを動かしてくれる仕事をしているのはいったいどこなのか、冷静に考えれば誰が考えてもわかるはずなのに、何故見栄えの良い体の前側にばかり意識がいくのか、何故どうしてという物事の本質に迫る作業は、地味で目立たないことかもしれませんが、これなくして何の進歩があるのでしょうか。

生まれ持った遺伝的な要素は、如何ともしがたいものがあります。

しかしそれは器質的なものであり、機能的な体の使い方という部分では、一人一人平等にその能力は備わっていると思います。

それに対してどうやってアプローチしていけば、自分の能力を向上されられるのか、そこに目を向けた人だけが、過去の自分の殻を破り、新たな可能性にチャレンジする権利を得たと言えるのではないでしょうか。

それこそが私の提唱する「動き作りのトレーニング」なのです。

もちろんそういう考えを否定する人間もいます。

自分はこれくらいの能力、あいつはこれくらい、あいつには敵わないがあいつには負けるはずがない、これでは個人としてチームとして成長することなどできるはずはありません。

今日は痛みに対する、感受性の個体差や、いわゆる施術を行う際の考え方、また器質的な回復と機能的な回復など、操体法をベースに長年の経験で作り上げられてきた自分なりの感覚で、それらにどうやって対処して行くかという問題を、最近感じていることがあって、それをテーマに書こうと思ってキーボードに向かいましたが、改めて言っておかなければならないと思ったことを書き綴ってしまいました。

西本理論などと大風呂敷を広げていますが、日々の生活の中で思うことがたくさんあり、また誰かのために役に立つ指導をするためには、どんな工夫をすればいいのか、などなど、自問自答、根っこを掘り起こす毎日が続いています。

「動き作り」と「痛みを取る」という作業は、表裏一体どころか全く同じものではないかと思っています。

近いうちに痛みに対するアプローチから、体の仕組みを語ってみたいと思います。

いつまでこのブログが続けられるか、すぐに書くことが無くなってしまうのではと思っていましたが、私の頭の中の思考作業は一瞬たりとも立ち止まることはなさそうです。

今感じたこと伝えなければならないこと、ただの独り言、誰かのためにはもちろん、自分の生きている証として、マイペースで書き続けていこうと思います。

家内にはしつこいと言われそうですが、下の拍手の数が最近大体同じ数になっています。
更新するたびに熱心に読んでくださる方が押してくれるのだと思いますが、数が増えると書いている私としては単純に嬉しいですし励みにもなります。
押してくださっているみなさん、いつも応援していただき本当にありがとうございます。
どなたがというのがわからないのが残念ですが、心から感謝していることをお伝えしたいと思います。
また感じたことなど、コメントも是非送っていただければと思います。
全てにお答え出来るとは言えませんが、お答えすることで、読んでいただいている方にも関心を持って読んでいただけるような質問であれば、喜んでお答えします。
ただ膨大な量になりましたが、すでに答えは書いてあるという場合もあると思いますので、その際は改めてのお答えは多分できないと思います。

さて、今月行う「西本塾」、今回も定員の10名に達しましたので、募集を終了しました。
今回も様々な立場の方が参加してくれます。
親子で参加していただく方、子供さんのために勉強したいというお母さん、それぞれの皆さんに参加して良かった、そう思って帰っていただけるようしっかり準備してお持ちしています。
新たな出会いを楽しみにしています。
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Comment

ありがとうございます
西本走りは大腿四頭筋を使わないと西本先生から言葉を頂き、今の自分の走りにとっての課題がはっきりして嬉しいです。
階段での重心移動の話覚えています。
ただ、移動した重心の下に足をスタンプを押すように着地させるという感覚がまだまだ掴みきれていません。
1つのレースが終了し、また1から走りを見直すつもりですので、重心移動、アイドリングにしっかり取り組もうと思っています。

フライングバックトレーニングによる背中の変化で、少しずつ気づきが増えている事も実感できていますので、もちろんトレーニングを続けます。

また広島へ行ってご指導を受けたいと考えていますし、ブログの中でも報告や質問が出来るように真剣に取り組みます。
今後ともよろしくお願い致します。
Re: フルマラソンの筋肉痛から
古賀さん、フルマラソンの完走お疲れ様でした。
このブログへのマラソン完走の報告は3人目でしょうか、みなさん3時間半くらいの記録で走り切っていて、凄いとしか言いようがありません。
中には千葉の望月さんのように、まだ余力があって次回にはさらなる記録の更新が望めそうだという感想もいただきましたが、古賀さんはラスト10キロの向かい風に相当苦労されたようですね。
いくら私が提唱する走り方が体に負担が少ない走法であると言っても、想像するにかなりの風速であったことを思えば、他の人に比べればなんとか走りきれた結果で出た、それなりに納得できるタイムではないでしょうか。
もし条件が良ければ、さらに記録は短縮できたのでしょうね。
筋肉痛がある状態でも、アイドリングが出来、ゆっくりなら走れるというところがこの走りの特徴です。
基本的に大腿四頭筋の筋力を必要としないのですから。
背中を使って股関節を振り出し、移動した重心の下に足が着地していくからこそ筋肉の負担が少ないのです。
屋外での実技の後、階段で2階に上がるときに説明したこと覚えていますか。
膝が伸びて着地した瞬間に、反対の足の股関節は次の段の上に移動しているため、そのまま踏み下ろして膝を伸ばすという動作を繰り返すことで、階段も平地と同じ感覚で上っていけるという説明をしました。
望月さんはこの感覚をうまく利用して、アップダウンの多いコースでも最後まで動きを維持できたそうです。
古賀さんの場合は、向かい風によって呼吸が難しかったのではないでしょうか。
この走り方が楽に走れることの条件として、呼吸がしやすいからということも大きな要因です。
呼吸がしにくければ当然酸素を取り込みにくく、いくら良い動きをしていても体の負担は大きくなります。
セグウェイなら機械ですが、人間は酸素を取り込まなければ筋肉は活動できません。
この辺りのことは、こうしたらいいですというアドバイスはできませんが、セコイやり方ですが、誰かの後ろについて風除けになってもらうくらいしかアイデアが浮かびませんね。
走り方をマスターするためには、実際に走ること3割、室内でのアイドリングと重心移動の練習7割と、指導の際には強調しています。
速く走れば細かい動きはごまかせますが、ゆっくり動くとごまかしが効かず、全身の連動ができていないとぎこちない動きになります。
それがつながると、まさにセグウェイに乗っているような感覚で走ることができますね。
フライングバックトレーニングも必須です。
このままトレーニングを続けていただければ、きっと近いうちにさらなる記録更新の報告がいただけると思います。
またコメント宜しくお願いします。
  • 2015-02-10│15:49 |
  • 西本 直 URL│
  • [edit]
フルマラソンの筋肉痛から
ご無沙汰しております、4期生として西本塾を受講させて頂いた北九州の古賀です。
西本塾で教わったことを実践し、更新される西本先生のブログもすべて読ませて頂く中で、自分なりには身体の使い方に変化を感じておりますが、なかなかブログへのコメント、質問で反応を見せられずすみません。
西本塾で教わった中からまずは背中作りを行おうと思い、フライングバックトレーニングと姿勢作りを続けております。
西本走りの練習も行っており、リラックスした短距離走であれば完全ではありませんが、蹴らない走りも実感出来るようになっております。
完全でないというのは、一度だけ、西本塾でも教わった走っているのにセグウェイの上に乗っているような感じの走りが出来た事があり、自分の感覚を信じあの走りが目標とする走りだと思っております。

1つ、フルマラソン後の筋肉痛から判断する動きの間違いについて質問させて下さい。
先日、北九州マラソンを走りました。
タイムは3時間39分でまぁまぁのタイムではあったのですが、骨盤を前傾させた状態で腰を高く保ち、骨盤の上下運動で走ることが出来たのは前半10km位であり、その後はこれまでの自分の走りに戻ってしましました。
それは西本走りの動きを身体に覚えさせきれていない自分のトレーニング不足なのですが、この日は、ラスト10kmの海沿いがすべて向かい風でそれも進む事が大変な程の強風でした。
完走から2日経った今でも私の身体は、これまでのマラソン後と比べても大腿四頭筋が激しい筋肉痛です。
他のランナーの方々も、普段なら3時間30分台ランナーに歩く方はほとんどいないのですが、この日は、向かい風の中脚が攣って歩いている方を本当に多く見かけました。
この身体の状態を自分としては、強い向かい風の中、屈筋優位で脚の力を使い進もうとした結果だと解釈しているのですが正しいでしょうか?
また、筋肉痛が激しい今日の私の身体でも、西本走りをその場で行う動きは出来ます。
これは私が行った走りと西本走りでは、骨の動き、使う筋肉が違うからと解釈してよろしいでしょうか?

大した質問でないかもしれませんが、今後も西本走りの質を高めて行きたいと思っておりますのでよろしくお願い致します。

最後になりますが、普段であればフルマラソン後は腕の力みから上半身にも筋肉痛が来るのですが、今回は全くありません。バドミントンでもショットの強さ、精度も上がって来ています。
これはフライングバックトレーニングを教えて頂いた成果しか考えられません。
ありがとうございました。
今後も背中だけでなく、身体一つとして上手な動き作りが出来るように頑張ります。

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プロフィール

Author:西本 直
1993年、Jリーグサンフレッチェ広島を皮切りに、社会人野球三菱重工広島・協和発酵・ヴィッセル神戸・川崎フロンターレ、そして広島カープ佐々岡真司投手など、プロアマ問わず競技レベルのスポーツ選手から一般の方まで、トレーニングやメンテナンスの指導を行ってきました。
その経験と知識の蓄積を「西本理論」としてまとめ、一人でも多くの方に実践していただくことが、これからの私の使命であると信じ、このブログから発信していきます。
私の理論はスポーツ選手のみを対象としたものではなく、ビジネスマンや家庭の主婦まで老若男女すべてに当てはまる不変のものです。
指導や講演のご依頼も受け付けています。
実名でツイッターも書いていますので、チェックしてみてください。
また、2013年9月9日にConditioning Studio 操をオープンしました。こちらもご覧ください。
また、遠隔地にお住まいの方を対象とした動き分析とアドバイスを行っています。
詳細は「スタジオ操」のホームページ内の「遠隔サポート」をご覧ください。
西本塾を深める会を9月10日(日)に開催を予定しています。
詳細はstudio操のホームページ内の「講習会情報」をご覧ください。

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