面白くなってきました。

私が自分の考えていることを表に出すようになって2年近くになります。

このブログがそのスタートでした。

それがスポーツライターの木崎さんとの縁で、様々な媒体に私の考えを書かせていただいています。

最初の頃はこのブログも読者は少なく、numberの雑誌やウエブ版に掲載された時にはたくさんの方が目にしていただいたようですが、けそれとてあくまでも一般の方で、今まで私がやってきたスポーツの現場で、直接同じような仕事をしている人間たちの目に触れることは少なかったと思います。

それらに対する反応というか感想も、私にとっては一般の方はこういう風に受け取るのだなという感覚で、お褒めの言葉をいただいても、その反対のことを言われても、畑違いの方々で、本質的な部分が分からない人たちの意見に、失礼ですが私がいちいち反応していては精神衛生上よくありません。

どんな事柄にも、一言言いたい人はいるようで、そんなコメントを見るたびに、だれでも自由にものが言える平和な国なんだなあと、妙なところに感心してしまいます。

何度か書きましたが、「好意的なコメントがほとんどで、アンチが少ないうちは、まだまだ本物ではないよ」という、某名監督の言葉通り、私の考え方も世の中に広まっているとはとても言えるところまでは来ていないことは分かっています。

ところが最近になって、Newspicksに連載させてもらっている記事の内容に、スポーツ関係者と思われる人間の書き込みで、「トレーナーや選手は、私の記事を読んでも誰も納得しない、現場が分かっていない」、という趣旨のコメントがありました。

やっと来たかという感じです。

自分が学んできたことをベースにして、選手を相手に頑張っているのでしょう、さらに学び続け様々な経験をしていく中で、自分は最大限の努力をしている、おそらく誰に聞いてもそう言うと思います。

トレーナーとして仕事をしている人たちには、様々な背景があって資格も様々です。

しかし、多くの人が早くから目標を定め、その道を真っ直ぐに歩んでいる人が多いと思います。

一番多いパターンは、自分も競技者として活躍したかったが、ケガに悩まされたり、選手としての能力に限界を感じ、支える側になりたいという動機です。

それぞれの資格を取るために一生懸命勉強し、有名な先達の指導を受け、そして運良く現場に立つことが出来るのはわずかな確率ですが、日々選手と一緒に戦っているのだと思います。

残念ながら、彼らの歩んでいる道の途中に、私のような人間はいなかったと思います。

彼らに異端視されるのはある意味当然のことでしょう。

しかし、私に言わせると、誰かから学んだ知識や経験は、すでに教科書的な事実として誰でも知りうる情報だったり、現場で要求されている知識や技術も、当然ある一定の枠の中に納まっているものです。

「医療スタッフも個人としての技量より、チーム医療の一員としての役割が大きな比重を占めるようになる」、広島に初めて来たときに、サンフレッチェ広島の先輩トレーナーだった、現在了徳寺大学の教授を務める野田さんからのアドバイスでした。

彼はけっして私のやり方を否定して言ったのではなく、私の技術を評価してくれたからこそ、その技術が現場で活かし続けられるようにするために、平たく言えば孤立しないように、あえてその言葉を贈ってくれたのだと思います。

一昨年、オープンしたばかりの私の施設を、彼が訪れてくれた時、思い出話でそのことも話題になりましたが、改めて彼が私に言ってくれたのは、今トレーナー志望の学生を育てる立場にある彼としても、あまりにも平準化してしまったトレーナーという立場に、「本当に必要な能力が育たない、西本さんはいつまでも変わらずにそのスタイルを貫いてください」という言葉でした。

私が過去現在、そして未来も含めて何をやってきて、何をやろうとしている人間かも知らないで、現場ではそんな理屈は通用しないと言い切ってしまうような人間たちに、私は何のアドバイスも指導もすることは出来ません。

かわいそうなのは、そういう環境しか与えられない、そこにいる選手たちです。

私が言っているのは理屈ではありません、経験してきた事実です。

そんなうまい話があるはずはない、聞くに値しない、そう思う人はずっとそう思っていればいいのです、ただ本当に選手はかわいそうですが。

土曜日、現在タイのトップリーグでフィジカルコーチを務めている〇田君(あえて匿名で)が、勉強に来てくれました。

彼こそ、その経歴を見れば、私のことを一番胡散臭い人間だと思ってもおかしくない人間だと思います。

それでも彼は西本塾にやってきました。

自分が学んできたこと経験してきたことだけでは実際の現場で対応できないことがたくさんある、あまりにもかけ離れた私の考え方ではあるが、少しでも自分の役に立つことがあるのならという一心だったと思います。

実際に彼は二日間、ほとんど笑ってくれませんでした。

何を言っても何をやっても、首をかしげ眉間にしわを寄せ、そんなバカなそんなはずがないという表情は変わることはありませんでした。

約100人の方に指導してきましたが、二日間を終えて帰る際にも納得のいかない顔で帰っていった、数少ない人間の一人でした。

当然でしょう、大学でまじめに勉強し、名のある人の指導を受け、自分なりに精いっぱい努力して学び続けてきたはずです。

そしてすでに現場に立って指導している立場の人間です。

もう彼が私の前に現れることはないと思っていました。

ところが今回を含め、もう4回目になるでしょうか、現在指導しているチームの選手たちと接する中で、私から学んだことが形になり、さらに疑問が湧いたり欲が出てきて、また私の元を訪れる、その繰り返しが続いています。

来るたびに成長を感じますし、言葉の通じない選手たちへの指導の苦労も感じます。

だからこそ彼は、自分の体で身を持って見せられるようにすることが、何よりも大切だと思っているのです。

そして私が、その動きを今もってできることに驚き、目標としてくれるのです。

今回も、事務手続きのための、わずかな帰国期間の中の一日を、私のところに来る時間にあててくれました。

「そんな甘いものじゃない、現場ではそんな理屈は通用しない」、そんなことを言ってくるやつが出てきたよと、話をすると、彼もそのことはすでに知っていて、「もしここに来なければ自分もずっとそう思っていたはずです」と、正直に話してくれました。

私はそういう人間たちに対して、喧嘩を売るつもりはありません。

自分たちが出来ることを精いっぱいやってくれればいいと思います。

私は、もしかしたら本当にそういうことが過去にあって、今でもその理論や技術を発展させている人間がいると信じて、わざわざ広島まで来てくれる若い人たちに対して、出来る限りの指導を続けていきたいと思います。

まだまだその数は少なく、技術や知識の伝承も道半ばです。

申し訳ありませんが、私の指導を直接受けられる環境は広島にしかありません、それでも少しずつ学びを深めてくれている人たちがいることは間違いありません。

「もっと早く出会っていれば」、毎回同じ言葉をいただきますが、これも縁です。

どこか琴線に触れて、私の波長を感じてくれた人に、私に出会うことがおそらくないであろう人も、そこで縁がつながるかもしれません。

アンテナを立てていれば、どこかから必要な情報が受信されます、という言葉を書いたときに、私のアンテナに西本さんが引っ掛かりましたと、笑って話をしてくれた西本塾の受講者がいました、世の中そういうものだと思います。

自分が目にした、私の書いた記事からしか判断できないような人間を相手にしても仕方がありません。

これまで表に出てきた記事や、すでに膨大な量となっているこのブログの内容を読んでもなお、そんな話があるはずはないと思うような人間の既成概念まで何とかしてあげるつもりはありません。

私は、こういう仕事がしたかったとか、こういう立場でこういう選手を相手にしたかったとか、そんな目標じみたことが全くなかったことが幸いしたのでしょう。

よく、どこで勉強したのですかとか、どなたに師事したのですか、などという質問をされますが、それこそ誰かに何かを教わらないと何もできないということを自分が認めているからなのでしょう。

私の答えはいつも同じです、「基本的な知識は鍼灸の専門学校で学び、体に対する向き合い方は、操体法の師である渡辺栄三先生から学びました。今の私を育ててくれたのは、これまで関わってきた選手たちや一般の方々の体そのものです」と答えるしかありません。

自分が出来ないことは誰にもできるはずはない、思い上がりも甚だしいとしか言いようがありません。

私がやってきたことは誰にでもできるはずです、既に20年前、私が出来ていたことが、今になっても誰も出来ないというのであれば、それはできないではなく、やろうとしてこなかっただけでしょう。

そういう道を歩く、先達に出会えなかっただけでしょう。

私でもできたことを出来る人、独自な理論ではなく当たり前だと思ってくれる人を、少しずつではありますが増やしていきます。

知らない出来ないという人の方が少数派になる、そんな日が来ることを信じています。

今月開催の深める会、参加者は少ないですが、私の本気の指導がどこまで伝わるか、とても楽しみにしています。
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Comment

返信アドバイス、ありがとうございました。
返信へのお礼が遅れました。

現在、楽に感じるフォームで走れる限界速度(ジョギングですね)の引き上げ練習、そして、心肺が楽ではない速いペース走練習の両方を練習しています。やはり、前者で走れるスピードを上げていくことが必要だと思っています。

足腰が悪い義理の母にからだほわっとをやってみて感じたのですが、あの日、西本塾にいらしていた医療関係従事者の皆さんは、こうした状況が毎日なのだと、そういう視点で考えれば、西本理論をできる限り吸収したくなります。
一方、自分の道楽のために塾に来た私の感度が低いのは当然予想できると思いました。塾での真剣度を保つ意味では、遠慮してもらう生徒さんが出ても仕方ないでしょうね。
  • 2015-03-28│10:45 |
  • 阪井徹史 URL│
  • [edit]
Re: 驚きました。
コメントありがとうございます。
スピードとフォームの関係、私流で言えば、そのフォームを維持できるスピードが、その人の適正スピードということになるのでしょうか。
速く走りたい気持ちと、楽に感じるフォーム、追求してください。
大島選手の件は、試合を見ていないのでコメントできません。
本気で背中のトレーニングを続けている選手がいるのかどうかも今は分かりませんし、本当にそれが大事だと思ってくれているのかも分かりません。
私と同じ情熱で同じことを伝える人間はいないでしょうから。
お母さんのこと、これは良かったですね。
技術の上手い下手ではありません、最も大事なことは相手に対する思いやりの気持ちですから。
坂井さんにはそれがあったということです。
そうそう訪ねてはいけないでしょうが、また親孝行してあげてください。
  • 2015-03-24│13:48 |
  • 西本 直 URL│
  • [edit]
驚きました。
西本様
第10回西本塾に参加しました阪井でございます。本文とは関係のないコメントですが、良い意味で驚いたことがありましたので、近況報告と併せてコメントさせていただきます。

1点目はランニングについて
ランニングフォームの改造、広背筋トレーニング、股関節の旋回の柔軟性向上といったトレーニングを続けていますが、走って足が疲れる(痙攣)症状は格段に減ってきました。その分、スピードが上がるため、今は心肺機能がボトルネックとなっています。もちろん、もっと理想的なフォームがあるのでしょうが、一歩一歩進むのみと思って続けています。

2点目はフロンターレについて
選手の姿勢に注目してサッカーを見ています。背中がビシッとするようになった大島君が見違えるようなプレーをするようになりました。3人くらいに囲まれても、スルスルとドリブルで抜いていってしまいます。
一方、背中が丸まった選手が多く、昨日の山形戦では、相手のプレスにビビってサッカーになりませんでした。風間さんが言うところの「向かってくるディフェンダーを軽くいなす」行為、あの背中では出来ません。困ったものです。

3点目はからだほわっとについて(本題)
家内の実家(山形)に来ているのですが、体の重さや冷えに悩まされている義理の母にからだほわっとをやってみました。
まず、足に触ってみると、すごいむくみです。火傷でもしたのかと思うほど腫れています。膝裏もかなり空いていて、お腹も浮き上がっています。
最初は脚の部分しか揺れなかったのですが、徐々にボディ、そして、首より上まで揺れるようになり、最終的には、あれだけ腫れていた足も薄くなり、膝裏は沈み込み、浮かんでいたお腹も視認できるほど下がりました。40~50分はかかったと思いますが、あまりの変化の大きさに驚きました。
今朝の感想を聞くと、からだがポカポカして、いつになくぐっすり眠れたとのこと。いつもは寒くて夜中に起きるそうです。私は東京育ちですが、山形の家で寒くて寝れない経験はないので、イマイチ理解できないのですが、かなり効果があったようです。
山形ではマッサージに行っているようですが、こんな感覚は初めてとのこと、同じことをやってくれる人がいないかなあ?と漏らしていました。

西本塾で習ったことは少しずつですが効果を上げています。西本さんのお考えも日々進歩していますので、また機会を見つけてUpDateにお邪魔したいと思います。

阪井
  • 2015-03-23│10:59 |
  • 阪井徹史 URL│
  • [edit]
Re: タイトルなし
今回もお疲れ様でした。
毎回毎回真剣に取り組んでくれて、来るたびに顔つきも違ってきたように思います。
そんな馬鹿なから始まったと思いますが、知れば知るほど見れば見るほど、自分の殻を破って私の考え方を身につけなければと思ってくれることが大事だと思います。
枝葉の答えを知りたいと思うのはみんな同じです。
Newspicksのコメントを見ても、本当に内容を読んでいるのだろうかというコメントも目立ちます。
我々の目指すところは、本質であり真理です。
目指す方向と、労を惜しまず根っこを掘り起こす気持ちがあれば、答えは目の前の選手が教えてくれます。
一緒に頑張りましょう。
  • 2015-03-18│10:27 |
  • 西本 直 URL│
  • [edit]
今回で西本さんの指導を受けるのは4回目になり、おそらく西本さんの指導を受けた人の中では多い方だと思いますが、恥ずかしながら申し込みのご連絡の際に無礼があったり、質問の内容が未だに⁇と思わせる内容であったりと、色々と失礼があったのにも関わらず、指導をして頂きありがとうございました。

今回は短期間の帰国のために数時間の短い時間でしたが、その内容は学ぶべきことで溢れており、今までのものからもさらに進化されていて、短時間でも広島を訪れて本当に良かったと思っております。

まだまだ西本さんの考えの数%しか得られておりませんし、当たり前のことですが実際に自分の現場でうまくいかない事が多く壁にぶちあたる時、西本さんならどうするのだろう?目の前にいる選手の身体とどう対話するのだろう?そんなことを思うことが多く、ついつい直接答えを求めてしまったり、枝葉の部分に目がいってしまうような未熟なところがまだまだありますが、少しずつでも成長しこの考えや指導方法を身につけるようこれからも学ばせて頂きたいと思います。

こんな私ですが、これからも時間を見つけ広島に行かせて頂きます。
今後ともご指導ご鞭撻のほどよろしくお願いします。

毎回全力で指導され非常に体力を使われる西本さんだと思いますが、くれぐれもお身体ご自愛下さい。

井田征次郎
  • 2015-03-16│21:43 |
  • 井田征次郎 URL│
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プロフィール

Author:西本 直
1993年、Jリーグサンフレッチェ広島を皮切りに、社会人野球三菱重工広島・協和発酵・ヴィッセル神戸・川崎フロンターレ、そして広島カープ佐々岡真司投手など、プロアマ問わず競技レベルのスポーツ選手から一般の方まで、トレーニングやメンテナンスの指導を行ってきました。
その経験と知識の蓄積を「西本理論」としてまとめ、一人でも多くの方に実践していただくことが、これからの私の使命であると信じ、このブログから発信していきます。
私の理論はスポーツ選手のみを対象としたものではなく、ビジネスマンや家庭の主婦まで老若男女すべてに当てはまる不変のものです。
指導や講演のご依頼も受け付けています。
実名でツイッターも書いていますので、チェックしてみてください。
また、2013年9月9日にConditioning Studio 操をオープンしました。こちらもご覧ください。
また、遠隔地にお住まいの方を対象とした動き分析とアドバイスを行っています。
詳細は「スタジオ操」のホームページ内の「遠隔サポート」をご覧ください。
西本塾を深める会を9月10日(日)に開催を予定しています。
詳細はstudio操のホームページ内の「講習会情報」をご覧ください。

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