我ながら大事なことを書いてきました。

桜も散り始めた広島ですが、全国的に花冷えを通り越して、真冬に逆戻りしたような寒さになっています。

一般の我々でもそうなのですから、スポーツ選手たちの試合に臨む体調管理は大変なことでしょうね。

そういう部分も含めて、いわゆるトレーナーという仕事があるわけですが、本当の意味での知識と経験、そしてそれを発揮できる自信と発言力を、それぞれの環境の中で与えられていなければ、選手のそしてチームのために、本当の意味で役に立つ仕事はできないと思います。

そのために必要なのは、やはり正しい知識と経験です。

知識に関しては、資格取得の面からも一律なものが要求され、そこからはみ出ることは基本的に許されないことになります。

そしてそういう教育を受けた人間たちが、それぞれの立場で経験を積んでいくわけですから、それほど大きな違いが出てくることもありません。

そうやって得られた知識や経験ですが、それはあくまでも自分たちの世界でのみ通用するもので、受け取る側の選手たちにはほとんど理解されないものです。

「自分はものすごく勉強をして、知識も経験も積んできたが、肝心な選手が自分のいう通りにやってくれないから結果が出ない」、西本塾に参加した方から届いた志望動機の中に書かれていた言葉です。

自戒を込めて書きますが、これではなんのために勉強してきたのか、まったく意味をなしません。

この方はまだ若い方で、私から見てもまだまだ経験豊富というところまでは達していないと思います。

それでもそう言い切ってしまうところに、教科書的な知識や各種のセミナーを通して学んだことが、本来の意味ではない経験という言葉に変わってしまう怖さがあるのです。

誰かが経験したことを、自分のことに置き換えるのは大事なことですが、それを実際に体験し続けてこそ、本当の意味での経験と言えるのです。

私自身、その経験をたくさん積み重ねて、これが正しいやり方だと信じて疑わないものを築き上げてきたつもりでしたが、それさえ相手に伝えられなければ、ただの独りよがりにすぎないことを思い知らされました。

世の中のすべての人に、体に対する正しい知識を持ってもらうなどということは、誰がどうやっても無理なことだと思います。

それでもせめてトレーナーという仕事を志した人たちには、知っておいてもらわなければならないことがたくさんあると思うのです。

それは資格を取るための教科書的なものではなく、実体験に基づいた理論というか、「セオリーとしてはこうなんだけど、実際にはこう考えこう対処したらこうなったよ」という現実を知って欲しいのです。

ある意味教科書的なことをやっていれば事足りることの方が多いと思います。

チームスタッフとして情報を共有し、選手のケアにあたるのであれば、他の人には分からない自分の感覚的なものを文章にすることすらできないでしょうし、必要とされないかもしれません。

私は長くこういう仕事をしていますが、自分のやったことを記録するということをしたことがありません。

記憶力が良いとかそういうことではなくて、顔や名前を忘れても、一度体に向き合うと、数年前に一度触っただけの体であっても、その特徴が鮮明に思い出されるのです。

そんなことよりも、この体が今この瞬間どういう状態であるかの方が、過去のデータよりもずっと大事なものだと思っているからです。

このブログも、最近は思いついたことを思いのままに、まさに独り言のように書き綴っています。

ですから、記事の前後の脈略もありませんし、1日の記事の中でも、これといって深い内容がないこともしばしばです。

そんな中、前回紹介した西本塾に対する申し込みのメールの中に、紙媒体という言葉があり、印刷して活字として読んでいただいているということだと思うのですが、いつでもどこでも手軽に読めるこの時代に、私の書いた文章を印刷してじっくり読んでいただいていることに、驚きと感謝の念が湧いてきました。

ブログを書き始めてもう2年になろうとしています。

あまりにも分量が多くなってしまい、私自身いつどんなことを書いたのか思い出せない状態になっています。

当然同じことを何度も書いてしまうこともあり、くどいと思われてしまうこともあります。

当初は、自分が実際に経験し結果を残してきたにもかかわらず、組織に受け入れられなかったという現実を、私自身が受け入れられなかったことを、なぜだどうしてだという気持ちから書き始めたものです。

言いたいことが山ほどあって、13年の7月などはほぼ毎日記事を書いていました。

11年前に書き著した本もそうですが、自分が書いたものを時間をおいて読み返すと、私自身が一番その内容に興味を持ち引き込まれてしまいます。

何を自画自賛しているのかと言われそうですが、本当に真剣に読んでしまい、あらためてそうだった、そういうことなんだと、自分の中で確認したり、そんなことを考えていたっけと、考えを新たにしたりと、誰よりも一番自分自身が、自分の書いたものから学ばせてもらっているのです。

とくに初期の数ヶ月は、今行っている西本塾の基本となっている西本理論の内容が、基礎の基礎からしっかり順序立てて書かれており、このブログを最近読み始めた方には、ぜひ最初から読んでいただくことをお勧めしたいと思います。

「朝3分の寝たまま操体法」が、13刷を数えるロングセラーとなっているのも、内容がシンプルで、私の考え方の根本の部分が伝わる内容だったからではないかと思っています。

いくつか紹介した操体法の実技の部分だけが強調された、いわゆる健康指南書としての評価だけだったら、もうとっくに廃刊になっていたかもしれません。

この本の内容からも、私自身読み返して新しい気づきが常にあります。

西本塾参加者から、ブログの内容を整理し直して、西本理論を一冊の本にまとめたらどうかという提案もいただきましたが、常に新しい何かを探し求めている私にとって、立ち止まって考えることができるのかと、素直に受け入れられませんでしたが、改めて自分の書いてきたものを読み進めて行くと、これは確かに今の時点でも、十分期待に応えられる西本理論としての内容にまとめられるのではと、少し思っています。

私は古い人間かもしれませんが、やはりネット環境で読むよりも、一冊の本として手元においてじっくり読める形のものの方がいいと思います。

どちらか出版関係の方、この企画に乗っていただける方はないでしょうか、ただ売れるものになるかどうかは保証できません。

私の伝えたい西本理論の本ですから、過去の出版の時のような修正要求には、たぶん首を縦に振らないと思いますから。

それにしてもこのブログ、読み応えがあります。

トレーナーを目指す人たちはもちろん、スポーツ選手やスポーツに関わる全ての人に読んで欲しいと思える内容になってきたかなと思います。

私が経験してきた中で作り上げてきたことを、知っておいて損はないでは済まされません、これくらいのこと当たり前に知っておいて欲しいと思います。

初期にブログの閲覧者が、毎日1000人を超えるような日がきたら、大きな会場を借りて西本理論の一大講演会を開く、などと大きなことを書いている文章を見つけましたが、残念ながら、まだまだその10分の1くらいの数にしかなっていません。

それはさておき、言いたいこと、話しておかなければならないことがあると思っている限りは、不定期ではありますがブログを更新していきたいと思っています。

Newspicksの連載企画も週に2回、月曜日と今日木曜日の2回掲載で続けさせていただいています。

こちらは、私にとって百歩譲ってというか、「一般の方の生活シーンの中で、こんなことをすると体が喜びますよ」という、いわゆる健康指南書そのものの内容を書きました。

ただ、これまでのそういう本と一線を画すべく、すべての動作は自分の体と対話することにつながっている、ということをしつこく言い続けています。

形だけを真似して良いだ悪いだと言われることは覚悟していますが、心ある人にはこの動きがどういう意味があるのか、体がどう反応してくれているのか、そういう意識がないとなんの役にも立たないことを知って欲しいと思っています。

それに気づいていただくことが、一番大きな目的だと思って書きました。

やはり図がない動画がないと、毎回コメントがありますが、確かにあればわかりやすいのは当然ですが、最初の時点で体に問いかけるという作業を放棄されてしまうようで、少し残念です。

それでもイラストを描いていただく担当者の方のご苦労もあって、動きをうまく表現していただき、確かにこれならやってみようかと思っていただけるものになっています。

あまり肩肘張らずに、第三者的な目で自分の書いたものを評価することも必要かもしれませんね。

諸々お付き合いください。

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Comment

Re: 初めまして
走ることに関しては、過去記事がたくさんありますので熟読をお勧めします。
もちろん実際に私の指導を受けていただいた方のコメントも含めてですよ。
色々な感想が聞かれますが、これまで当たり前だと持っていた走法が何だったのかというのが、全員の感想です。
具体的な指導は文字や言葉で出来ないことはご理解いただけると思います。
本気で取り組む気持ちがあるのなら、広島に来ていただく他に、現在は方法がありません。
  • 2015-04-22│22:32 |
  • 西本 直 URL│
  • [edit]
初めまして
初めまして小林と言います。西本さんの考え方に同感して書かせてもらいました。自分はサッカーをしていますが足が速くありません。そこで自分の足の特徴をじっくり見てみると膝から下ばかり筋肉がついて膝より上が筋肉が全然つきません。これは膝から下でしか使わずに走っているのだと思いました。なのでいい体の動かし方をすればいい動きができるしそのいい動かし方をすれば無駄ではないいい筋肉が付くのではないかと思いました。この考えは正しいのでしょか。またそれについてのトレーニングについて教えていただきたいと思いコメントさせてもらいました。
  • 2015-04-22│22:19 |
  • 小林 URL│
  • [edit]
Re: 昨日はありがとうございました。
むかいしまそだちさんご家族と過ごす時間は本当に充実しています。
息子さん本人の取り組む姿勢はもちろんですが、ご両親自らが、私から少しでも多くのことを学ぼうと、真剣に向き合っていただけることが、何より私をやる気にさせてくれるのだと思います。
今回もご家族総出で取り組まれている自主練のメニューには驚かされました。
手作りのハイプーリーは、とてもよく考えて作られていましたね。
内容に関しては、私が少し手直しをさせていただきましたが、そのままでも十分効果がある素晴らしいものでした。
失礼ながら素人の方がよくここまで考えられたなと感心しました。
讃岐に指導に行った際にも、私の指導法を学びに来ていただいたり、このブログやその他の媒体にも真剣に目を通していただき、身の引き締まる思いです。
息子さんには、中学生になって色々なことがあったようですが、このご両親と一緒なら、様々な試練も乗り越えてくれると信じています。
私も微力ながら、成長を見守り、そして指導者という夢に向かって着実に歩みを進める彼の応援をしていきたいと思います。
またお会いできることを楽しみにしています。
いつか実際のプレーも拝見できればと思っています。
今回も、お越しいただきありがとうございました。
  • 2015-04-20│17:31 |
  • 西本 直 URL│
  • [edit]
昨日はありがとうございました。
こんにちは。昨日は、指導と施術をしてくださり有難うございました。

まずは、からだほわっと。息子曰く、「足の指からズワーッと温かいものが流れてきて、手先から頭のてっぺんまでぽかぽかと満ちていった。自然と口元がゆるんで全身が楽になった」と、驚いていました。痛めていた大腿も、施術により痛みが消失し喜んでいます。ありがとうございました。

また、うちで続けていた自主練習メニューを、動き作りという視点から作り直していただけました。井桁の動き、肩甲骨のスライド、背骨の滑らかな動き、骨盤の意識、クランクの回転速度、全身の連動、ゆっくり正しく繰り返すこと、トン ストーン パン等のオノマトペで伝えてくださることでリズムやタイミングを鮮明に思い出せること、まだまだ沢山書ききれないほどです。ラダーや反発素材のクッション等の道具を使った練習も、解説書のメニューをこなして速かったりポーズが取れるのでは無く、道具に使われているような方法でも無く、いかに動き作りに結びつけしなやかに力まず動くかを意識することの大切さを知りました。

息子からの質問にも、丁寧に答えてくださり、ロッペンの3分割の動き、わかっていても止められない動きは、体がどう動いて生み出されているのか驚きの連続でした。そして、人間の体というものが、知れば知るほど面白く奥深いと しみじみと感じました。

示唆に富んだお話をしていただきながらの3時間はアッという間でした。贅沢な時間を過ごさせていただきました。

今日から、毎日積み重ね体験し続けて、また夏休みに伺います。本当に有難うございました。


お忙しい毎日、お体くれぐれもご自愛ください。



  • 2015-04-19│13:20 |
  • むかいしまそだち URL│
  • [edit]
西本先生、アドバイスありがとうございます。先生のコメントから、自分の中で、色々な気づきを感じました。体調がよくなったら、色々な感覚を感じながら、歩きから走りを再開したいと思います。正しくゆっくりした動き、自分のものにできるよう、努力してみます。どうもありがとうございました。
  • 2015-04-10│21:22 |
  • 清水 URL│
  • [edit]
Re: 現状報告ですが・・・
清水さん、近況報告ありがとうございます。
私を含め、普段長い距離を走っていない人が、一念発起で走ることを始めると、どうしても距離やスピードという数字が目安や目標になってしまいます。
まずはお伝えした走り方が、本当に体に優しい理想的な走り方なのか、自分の体で試してみようというくらいの気持ちがいいのではないでしょうか。
どこまで走れたとか、どれくらい早く走れたかに気持ちが行くと、動きを極めることができなくなります。
まずはしっかり動き作りに専念してください。
その先にはきっと目指す目標が達成されていくはずです、順序を間違えないようにのんびりいきましょう。
12月の深める会でも、清水さんの走りはスピード重視のイメージでしたが、正しくゆっくり動けるようになることの方が実は大事なのです。
スピードを上げると満足感はありますが、動きをいくらでもごまかせてしまい、本当の意味での動きが身につきにくくなります。
体と相談しながら、無理をしないように楽しんでください。
  • 2015-04-10│10:24 |
  • 西本 直 URL│
  • [edit]
現状報告ですが・・・
こんばんは。昨年の6月、12月に西本塾、深める会に参加した、清水です。自分の中で、ちょっとした報告をしたいと思います。

西本塾に参加してからは、ほぼ毎日(体調不良以外は)続けているトレーニングといえば、フライバックです。その効果を確認しようと思い、去年の秋に地区の運動会でリレーのメンバーに登録しましたが、雨で中止になって、確認できませんでしたが、12月の深める会で、河川敷を走った際に少々手ごたえがあったと感じています。今年に入って、望月さんがフルマラソンでとてもよい結果が出ているとのコメントを見て、自分もマラソンに挑戦してみようかという気持ちになりました。でも、いきなりフルは無理なので、家の近所を走りながら、走れそうな距離の種目に出てみようと目標を立てました。先月の終わりから、同じコースを背中を意識して走りながら、タイムを計ってみました。ちなみに自分は小学生ごろ風邪をひいているにもかかわらず、無理に走る練習をして、かぜを長引かせ、それまでは得意だった持久走が、すぐに息が上がるようになってしまい、不得意になってしまいました。それで今に至るので、なかなか家の周りも走り続けられません、途中で歩きながら、また走るの繰り返しです。でも、走り始めの初日は息は長く続きませんが、走りやすくなっていました。数日続けると、歩かなくても走れるようになりました。タイムも徐々に上がってきました。走りながら色々意識して走ってみると、西本理論ベースの走りは走りやすい、ちょっと昔の走りにもどすと、走りづらい、と感じ、もう前の走りには戻れません、というか西本理論ベースの走りは楽だなあ、と改めて実感しました。この調子で続けていこうと思いましたが、今週の寒さ(昨日は埼玉も雪でした)で、熱発、咳、痰と体調を崩してしまいました。また風邪が治ったら再開しようと思います。

以上、まとまりの無い話ですいませんですが、現状報告でした・・・
  • 2015-04-09│20:13 |
  • 清水 URL│
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プロフィール

Author:西本 直
1993年、Jリーグサンフレッチェ広島を皮切りに、社会人野球三菱重工広島・協和発酵・ヴィッセル神戸・川崎フロンターレ、そして広島カープ佐々岡真司投手など、プロアマ問わず競技レベルのスポーツ選手から一般の方まで、トレーニングやメンテナンスの指導を行ってきました。
その経験と知識の蓄積を「西本理論」としてまとめ、一人でも多くの方に実践していただくことが、これからの私の使命であると信じ、このブログから発信していきます。
私の理論はスポーツ選手のみを対象としたものではなく、ビジネスマンや家庭の主婦まで老若男女すべてに当てはまる不変のものです。
指導や講演のご依頼も受け付けています。
実名でツイッターも書いていますので、チェックしてみてください。
また、2013年9月9日にConditioning Studio 操をオープンしました。こちらもご覧ください。
また、遠隔地にお住まいの方を対象とした動き分析とアドバイスを行っています。
詳細は「スタジオ操」のホームページ内の「遠隔サポート」をご覧ください。
西本塾を深める会を9月10日(日)に開催を予定しています。
詳細はstudio操のホームページ内の「講習会情報」をご覧ください。

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