子供たちの動きから

昨日一昨日と、島根県の松江市に行ってきました。

目的は、私のところに通って来てくれている6年生のサッカー少年に、テーピングをしてあげることでした。

彼のお兄ちゃんが高校を卒業し、大学に進んでサッカーを続けるために、個人指導を受けに来てくれて、その取り組む姿勢や態度が、私好みというか、こういう青年にはなんとかなってもらいたいと思わせてくれる、とてもいいやつでした。

その弟である少年が、ちょうど2週間前に練習試合で捻挫をし、2週間後に控えた、全国大会につながる中国地区大会に、広島県から出場できる2チームの一つとして出場権を得、なんとかその試合に出たい、ご両親や関係者も、出来ることなら彼に出場してもらいたい、出場させてあげたい、そんな状況の中私の元を訪れてくれたのでした。

お兄ちゃんに連れられて初めて私のところに来たとき、私は聞いていた捻挫のことよりも、体のバランスの崩れ、歪みの大きさに驚きました。

あまりいい言い方ではありませんが、足の長さが違っていると、さも大きな問題があるように指摘しておいて、自分の施術でそれが解消したなどという言い方をする、施術者もあると聞きます。

詳しくは書きませんが、そこにはからくりがあり、本当はたいした問題ではないことがほとんどです。

ところがこの少年は、私が長いことこの仕事をしてきた中でも、ちょっと見ることがないほどの歪みを感じたのです。

小学校の6年生、幼稚園から数えてサッカー歴は6年を超えているそうですが、それにしてもどうやったらこんな体になってしまうのかという状態でした。

一緒に来たお兄ちゃんにそのことを確認してもらい、ご両親に話をして、次回一緒に来てもらうようにお願いしました。

数日後、ご両親と一緒に来てくれ、私の力だけでは改善できないことを伝え、家庭でご両親の手で出来る方法を指導し、継続をお願いしました。

捻挫のことより、こちらの問題の方が、これからサッカーを続けていくうえで、というよりも人間として成長していくうえで大事なことだと思ったからです。

こちらの問題もご両親の協力で、私の思った以上に短い期間で良い変化が見られ安心しました。

まだまだ成長過程の体ですから、きちんと向き合えば良い方向に向かうものだと、私自身良い経験になりましたが、油断せず継続して診ていきたいと思います。

もちろん、試合に向けて捻挫の回復にも努め、これなら本人がやる気になれば、出場できるかもしれないという状態まで回復させることが出来ましたが、最終的にはテーピングによって、足首の安定を確保することが絶対条件だと思いました。

テーピングの技術に関しては、まさに教科書的な技術や、しわもなくきれいに手早く巻けることが評価の対象ではなく、足の状態や筋力など、様々な要素を考慮して、巻き方を工夫しなければなりません。

事前にご両親に巻き方を指導して、これを使ってくださいとテープをお渡ししても、何の意味もありません。

固めて動かなくしてしまっても、巻きが甘く止めなくてはいけない方向を安定させられなくても、どちらにしても巻かない方がいいということにもなりかねませんから。

私がその少年にテーピングをするためだけに、一泊二日の時間とお金をかけて行ってあげるというのでは、ご両親にも気を遣わせてしまうでしょうから、どうしようかと思案していた時、松江・・・そうだ、西本塾に参加してくれた高校の先生が勤務する学校が、たぶん今回の会場のすぐそばにあったはずだと思い出しました。

その高校が、遠征等でいなければだめだけど、学校で練習しているのなら、どちらにも、他の用事があってついでに来ました言うことなら、両方に余計な心配をさせなくてもいいかなと、なぜか私がそんな心配をして、前日に松江行きを決めました。

その目的自体は、両方のお役に立つことが出来、少年もしっかり試合で活躍してくれ、残念ながらチームは準決勝で敗れ、全国への切符は逃しましたが、私が松江まで行った目的は達せられたと思います。

高校のサッカー部でも、選手たちを相手に、サッカーにおける西本理論と走りの実技を指導させてもらったので、こちらも行った甲斐があったと思います。

普段現場で選手を見る環境にありませんので、今回の小学生と高校生の実際のプレーや動きを生で見るということには、私の中で大きな意味があると思っていました。

過去には、もう嫌というほど現場に立ち、他の誰よりも真剣に選手の動きを見てきたつもりです。

それが今は、PCやipadの画面の中に映る、日本や世界の一流選手たちの動きを見ることが主になってしまいました。

たしかに冷静な目で見ることが出来ますし、何回も繰り返し見ることで、動きの本質を探るという作業にはもってこいだと思います。

しかし、人間の動きが平面の中で行われているはずはありません、平面から読み取れる情報には限りがあるのは当然だと思います。

出来ることなら世界の超一流選手の動きを生で見てみたい、今でもそう思っています。

現実的にそれは難しいことなのですが、まずは子供たちがどんな動きでサッカーをやっているのか、これを見ることが大事なのではともずっと思っていました。

それが全国大会を賭けた真剣勝負の場であるなら、子供たちの今できる最高のプレーが見られると思ったのです。

何試合か見ましたが、とくに最後に山口県代表に敗れた試合を見ていると、指導者の指導方針というか指導目標のようなものが、私にはまったく違っているのではと感じられました。

前日の予選リーグの2試合で通用した足元のテクニックが、その試合ではまったくといっていいほど通用しないのです。

ボールを扱う技術という面ではおそらく負けていなかったと思います。

それが、自分がボールを持っている時の姿勢であったり、ボールを奪いに行く時、また浮き球に対して体をぶつけ合う時、要するに、対ボールではなく、対相手の体という時の、体の使い方がまったく違っていました。

ボールを持っていても体を入れられる、相手が持っている時には入れてもらえない、ルーズボールを追っかけても、スピードでは勝っても球際で体をコントロールできない、苦し紛れに出したパスはことごとく相手に奪われる、そんなシーンが続きました。

私はドリブルの仕方もボールの蹴り方も、いわゆるサッカーの技術的なことは教えられませんが、対人スポーツという側面を考えれば、大きい小さい強い弱いだけで表現できない体の使い方という技術を、この小学生年代から身に付けておかなければ、カテゴリーが上がっていく中で、技術だけでは結局通用しなくなることを感じる時が来るのではと思いました。

土曜日に高校生を相手に指導したのも、まさにそういう体の使い方です。

高校生くらいになってくると、自分の体のことが分かってきて、それをどう克服するかという時に、いわゆる肉体改造的な発想のトレーニングに取り組もうとしますが、ここで方向性を間違えてしまうと、最終的に届くレベルが決まってしまうことになります。

過去それを現場で痛感し、今それを理論的に伝える活動をしていますが、改めてというか、初めて小学生のプレーを実際に見て、やはり自分の方向性は間違っていないなと確信しました。

今回与えられた宿題は、ある程度の年齢になった選手たちに対してなら、理論も実技もちゃんと指導できる準備は出来ていますし、実際に指導していますが、そういう選手たちでさえ、そう簡単に理解できるはずのない理論が、小学生に分かるはずはありません。

そういう子供たちに対して、難しい話は別として、体はこういう風に使うんだよという明確な指針というかドリルのようなものを準備して、そのためにこういう走り方が重要で、それが出来るようになるためにフライングバックトレーニングというものを考えたんだよと、「へーそうなんだやってみよう」と思ってもらえる説明とトレーニングを作っていかないといけないなと実感しました。

今回松江でいただいた、大きな成果です。

大きく言うと、この部分がきちんと指導できなければ、育成年代の指導者は本当の意味で子供の将来性にふたをしてしまうと思いました。

足元のボール扱いが上手になることは楽しいでしょう、リフティングが何千回も出来たり、変化するボールを蹴ることが出来るようになることも楽しいでしょう。

でもサッカーの本質は、もちろん格闘技ではありませんが、相手の体とのコンタクトスポーツであることは間違いありません。

そのためにはまず自分の体を自分の思ったように動かすことが出来る能力を作り上げる、私が言い続けている「動き作りのためのトレーニング」の意味をしっかり理解し、実践することが絶対に必要なのです。

その先に、これから答えを探し続けて行こうと思っていますが、「キレのある動き」と、自他ともに感じることが出来る、超一流の選手たちの仲間入りが出来るのだと思います。

サッカー選手の話ばかりしていますが、現状、私の元を訪れてくる選手の比率が、絶対的にサッカーが多いと言うだけのことで、私はすべてのスポーツに共通するものだと思っています。

もっともっと色々なスポーツの選手に訪れていただき、私の頭を悩ませてくれる無理難題を突き付けてくれることを期待しています。

塾生の望月さんの奥さんから頂いた、「出会いは自ら行動し、出て行って会うこと」という言葉に勇気づけられました。

今回は割と近場の話でしたが、まだまだ知らないこととばかりです、出て行って色々な人との出会いをいただき、自分の幅を広げていきたいと思います。

今回、塾生である松江南高校の本間先生には、宿の世話をいただき本当にありがとうございました。

松江市内からほど近い、玉造温泉の「千代の湯」さんに宿泊させていただきました。

教え子の方が嫁がれ、若女将として仕事をされている旅館でしたが、美味しい食事を部屋で頂き、新任の若い先生と3人で深夜まで話が盛り上がってしまい、早く食器を片づけたい仲居さんにはご迷惑をおかけしてしまいました。

作り話でもこれだけ色々な経験談はないだろうという、私の漫談のような話を延々と聞いていただきありがとうございました。

久しぶりに温泉にも入らせていただき、ゆっくりさせていただきました、改めてお礼申し上げます。

今日は月曜日、本来休日ですが、塾生の川端君からトレーニングの指導を受けている大学生が、直接私の指導を受けたいと、たぶん神奈川からやってきてくれますので、午後からしっかり指導して返そうと思っています。

私を本気にさせてくれる相手は大歓迎です、ただ筋道を間違えるとすぐにへそを曲げてしまう古い人間ですので、ご注意ください(笑)


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Comment

返信ありがとうございます
そうですよね…
何軒か病院に行ったのですが、
それでも痛みが引かないので
なんでもいいから治したいと思って
連絡をさせていただきました
自分でなんとかします
  • 2015-04-16│21:41 |
  • URL│
  • [edit]
Re: 突然すみません。
せっかく質問していただきましたが、私は自分の目で見て触って、様々な情報を得るために色々な話をして、それでやっと体のことがわかる適度の人間です。
なんともお答えのしようがありません。
然るべき施設で診断と処置を受けてください。
多分納得のいく結果は得られないかもしれませんが、私の意見を求めるなら直接来ていただく以外に方法はありません。
  • 2015-04-16│21:25 |
  • 西本 直 URL│
  • [edit]
突然すみません。
自分は高校生で今両足、疲労骨折と
足底腱膜炎になってしまっています。
おそらく自分は歩き方や走り方にクセが
あると思っているのですが、意識して
歩くようにしていて今2週間ちょっと運動を
せずにいるのですが右足の足底腱膜炎の方の
痛みが一向に引かなくて…
是非助言をいただけたら嬉しいです。
  • 2015-04-16│21:19 |
  • 高校2年生 URL│
  • [edit]

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プロフィール

Author:西本 直
1993年、Jリーグサンフレッチェ広島を皮切りに、社会人野球三菱重工広島・協和発酵・ヴィッセル神戸・川崎フロンターレ、そして広島カープ佐々岡真司投手など、プロアマ問わず競技レベルのスポーツ選手から一般の方まで、トレーニングやメンテナンスの指導を行ってきました。
その経験と知識の蓄積を「西本理論」としてまとめ、一人でも多くの方に実践していただくことが、これからの私の使命であると信じ、このブログから発信していきます。
私の理論はスポーツ選手のみを対象としたものではなく、ビジネスマンや家庭の主婦まで老若男女すべてに当てはまる不変のものです。
指導や講演のご依頼も受け付けています。
実名でツイッターも書いていますので、チェックしてみてください。
また、2013年9月9日にConditioning Studio 操をオープンしました。こちらもご覧ください。
また、遠隔地にお住まいの方を対象とした動き分析とアドバイスを行っています。
詳細は「スタジオ操」のホームページ内の「遠隔サポート」をご覧ください。
今年2回目の西本塾を8月26・27の土日に開催を予定しています。
詳細はstudio操のホームページ内の「講習会情報」をご覧ください。
なお、今回も参加者が5名に満たない場合は開催しません。
9月10日には深める会も予定しています。

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