既成概念の高いハードル

広島も昨日からの雨で、昨年土砂災害で大きな被害が出た地区には、避難準備情報が出ていました。

昨日、織田記念陸上競技大会を観戦するために、アストラムラインに乗ってエディオンスタジアムに行きましたが、車窓から見える景色は、本当にどこでそんな被害が出てもおかしくないと思えるほど、山肌を削り、奥へ奥へと宅地化されて、たくさんの住宅が建てられています。

関東平野に住んでいる方がこの景色を見たら、きっと驚くはずです、それくらい山の奥まで削りとられ、宅地化されています。

それが、一部ではなく、ずっと同じような景色が続いているのです。

沿岸部に住んでいる私には、同じ広島でも普段は想像できない景色であり、生活だと思います。

今回の雨での被害が出ないことを祈るのみです。

学生時代の友人というのは有難いもので、昨年の土砂災害の時には、私が住む南区と、被害のあった安佐南区が南という言葉が同じだったため、普段ほとんど連絡を取り合うこともない高校時代の友人が、心配して電話をかけてきてくれました。

宇和島に帰る用事がなくなってしまい、故郷の友人たちとも疎遠になりがちですか、本当に有難いと思いました。

今回の大雨でも、友人の中には高知県境に近い山間部に住む友人もいますので、何事もないことを祈っています。

さて昨日は陸上競技の大会を観戦に行きました。

サッカー以外であの競技場に行くと、少し不思議な感覚になってしまいます。

サッカーにはサッカーの、野球には野球の、そして陸上には陸上の雰囲気があります。

長女が音楽をやっていたので、コンサートにも行きましたが、こちらは体育会系とは全く違った雰囲気があり、色々な経験をさせてもらいました。

今回の目的は、西本塾に親子で参加してくれた中学生の陸上選手が、4×100mリレーの2走として出場が決まり、応援と指導した走り方のチェックを含めて、お父さんから是非来てほしいと依頼がありました。

私が指導している走り方は、現在サッカー選手に対して、90分間動き続けるために必要な必須の条件ということで、指導を依頼されることが多いのですが、その必要性は、もちろん他のスポーツでも全く同じものです。

走ることそのものが目的である陸上競技に至っては、私の提唱する走り方こそが、それぞれの個人の持っている能力を最大限に発揮できる絶対条件であるとすら思っています。

あのマイケルジョンソン選手の走り方も、私のイメージの中でしっかり生かされています。

事実、短距離の選手から、箱根を目指す長距離選手、また一般の方ですが、フルマラソンでの記録更新を目指すランナーまで、陸上競技を専門とする選手の指導も行ってきました。

どんなスポーツでもそうですが、技術論はトップレベルまで上り詰めた元選手か、その指導者の考え方が中心となっていることは同じだと思います。

競技はもちろん、補助グランドで行われているウォーミングアップも見ましたが、走るという行為に対して、私とは全く反対の考え方が、その場を完全に支配していました。

スピードは、ストライドとピッチの積、この公式に対して疑問を持つ人はいないでしょう。

1センチでも広い歩幅で、なおかつ回転数を上げられれば速く走れる、そのためにはしっかり太腿を引き上げ、少しでも体の前に着地することが求められ、そのためには後ろ脚で強く地面を蹴り、なおかつ腕を前後に強く大きく振ることで、足の動きを助ける必要が出てきます。

小学生からトップレベルの選手まで、アップからその動きを繰り返し、本番に備えています。

おそらくアップの時間やタイミング、メニューも含め、いつものルーティーンを行っているのだと思います。

入念な準備を終え、本番のレースに臨む選手たちですが、他の競技では見られないあることが頻繁に起こります。

それはレース中に起こる肉離れなどのアクシデントです、なかにはアップの最中に肉離れを起こしたなどという信じられない選手までいます。

もちろんサッカーや野球でも肉離れは起こります。

しかし私が思うに、陸上競技でのアクシデントは意味が違うように思います。

スタートの時間は事前に決まっていて、準備に十分時間をかけられる、さらに実際の競技時間は圧倒的に短い、こんな競技は他にないと思います。

ではなぜ当たり前のように同じ光景が繰り返されるのでしょうか。

それは、陸上競技の選手たちが当たり前だと思って行っている走るという行為の体の使い方が、人間本来の体の使い方とは違ったものだからではないでしょうか。

このことは過去何度か記事に書いてきました。

経験者でもないのに何が分かる、おそらくそう言われるでしょう。

しかしよく考えてみてください、例えば野球の試合で、9回まで出番がなくベンチにいた選手が、最後のチャンスとばかりに代走に起用された選手は、何時来るか分からない出番に備えて、十分な準備などできているわけがありません。

サッカーのようにピッチサイドで走ったりすることは出来ず、ベンチから出てきて、少し屈伸くらいはしますが、間髪入れずに盗塁したり、本塁めがけて全力疾走が要求されます。

そういう選手が肉離れをしたということを聞いたことがありません。

逆に、スターティングメンバーが、打席から一塁に全力で走る際、肉離れを起こすことがありますが、どちらかというと足の遅い選手が、間一髪のタイミングで必死に走る時に起こることが多いと思います。

野球は競技時間は長いですが、こういう瞬発力を発揮する局面は、1試合にトータルしても数分間あるかないかですから、トレーナーとしてベンチから見ている時も気が気ではありませんでした。

陸上競技とは状況がまったく違うのです。

いやスピードがまったく違うから、そういう反論が来そうですが、そうでしょうか。

それぞれの能力を最大限に発揮するという意味では、どのスポーツの選手も同じはずですし、陸上競技の選手でも、トップレベルのスピードを持っている人だけに起こるアクシデントではありません。

体の使い方そのものに問題があると考えることの方が自然だとは思いませんか。

日本の選手がお手本にするのは、当然異次元のスピードを持つ海外のトップレベルの選手たちでしょう。

しかし彼らにしても、まったくアクシデントがないかといえばそうではありません。

持って生まれた筋力の差が歴然としている海外の選手たちの動きが、本当に我々日本人がお手本とする体の使い方なのでしょうか。

投擲種目や棒高跳びなど一部を除けば、道具を使わず自分の体一つで勝負するのが陸上競技、体格差や筋力の差が歴然としすぎて、世界とは勝負にならないという感覚になっていますが、ではなぜ、同じように体一つで勝負する水泳競技が、世界の舞台で堂々と戦って結果を残せているのでしょうか。

それは練習方法や、泳法そのもの、つまり体の使い方を、工夫し研究しているからではないのでしょうか。

水泳の短距離でレース中に肉離れなど聞いたことがありません。

それは地面とのコンタクトがなく筋肉のダメージが少ないから、そうでしょうか。

あれだけのスピードで泳ぐためには、体にかかる水圧は想像を超えるものだと思いますし、水を押して進んで行くためには筋肉に対して終動負荷という大きな負荷がかかります。

私の提唱する走り方を学ぶと、故障を抱え走れないはずの選手まで普通に走ってしまうことがあります。

実技はできないかもしれないが、理論を学び、施術を受けるだけでも行ってみようと、高知からやってきてくれた選手は、ご両親の前で軽やかに走ってくれました。

体の使い方、今まで当たり前だと思っていた走るという行為が、実は体にとってもの凄く不自然で、無理をさせている動作で、そんなことをしなくても無理なく走ることが出来る体の使い方があると分かれば、どちらを選ぶかは自由ですが、答えは決まっていると思います。

100分の1秒を争う競技で、そんなことが可能なのか、もし今私が、もうすぐ57歳にならんとする年齢で、100mを11秒台で駆け抜けることが出来たとしたら、陸上選手や指導者も私の理論に目を向けてくれるかもしれません。

現実にはそうはいきませんが、短い時間とはいえ私が指導した選手の走りが変わり、結果を残してくれれば、少しずつ考え方も変わってくると思います。

水泳の日本記録は毎年のように更新され続けているのに、陸上は何十年も破られない記録がいくつもあるようです。

それが世界に肩を並べるような高いレベルのものであれば、うなずけるところもありますが、残念ながらそうではない記録ばかりです。

十年一日の如く、という言葉がありますが、私が目にした練習風景やレースでの選手の動きを見る限り、この先大きな記録の伸びは期待できそうもありません。

長距離ではすでに、西本塾生の方々がフルマラソンで自己記録を次々と更新してくれています。

アマチュアだからレベルが違うから、そうでしょうか、意識を変え動きが変わらなければ、どんなに努力をしてもすぐに限界は見えてしまいます。

今回応援に行った選手のお父さんは、何と最近のフルマラソンで3時間5分くらいの記録を出したそうで、聞いて驚いてしまいました。

近いうちにサブ3を達成し、私の提唱する走りの有効性を世の中に知らしめていただけることと思います。

とにかく、どんなことでも一度立ち止まって考えてみませんか。

子供の頃からそうやっているから、みんなも同じことをやっているから、自分のやっている競技のトップ選手がやっているから、そんな既成概念はすべて取り払って、人間の体ってどうやって動かしたら楽に効率的な動作が出来るのだろうと考えていみてはいかがでしょうか。

その答えを誰かが探しだして、それをまた誰かが教えてくれるのを待っているだけでは、今までと同じです、何も変わりません。

私はそのお手伝いくらいのことしかできないのです。

このブログを読んで、このことに関しては野次馬根性大歓迎ですので、いろいろやってみてはどうでしょう。

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Comment

お疲れ様でした。
途中まではなんとか天候も持ちそうだと思いましたが、後半は大変な天気になってしまい、泰己君のレースの時はひどい雨でしたね。
アップに向かう時からいろいろ話をして、理論的にはかなりわかってくれているなと思いましたが、現実として一緒に練習する選手や、日本のトップレベルの選手の動きを見てしまうと、どうしてもその形が気になってしまうのだと思います。
中学生としてレースに臨むのも残り少なくなったきたと思いますが、納得のいく走りを身につけてほしいと思います。
桐生選手の走りも見ましたが、まだまだアメリカで見せた走りは完成途中で、今回は今までになく悪い動きだったように思います。
お父さんもすごい記録でマラソンを走り、さらにはもっと長い距離を走るとのこと、ぜひ楽しんで走ってください。
直接指導ができる機会がないのが残念ですが、泰己君の走りをもう一度指導してみたいと思います。
親子共々これからも頑張ってください。
それにしても、あの時一緒に見た女子選手がどこの誰なのか気になっています。
あれだけの人数がいて、私が唯一目を止めたよう走り方でしたから。
  • 2015-04-23│13:06 |
  • 西本 直 URL│
  • [edit]
No title
先日はお忙しいなか、また悪天候の中、足を運んでいただき、ありがとうございました。奥様もお休みのところお越しいただきありがとうございました。
まだまだ息子の方はご覧になられた通り十分な成果が出ている状態ではありませんでしたが、広島で日本のトップ選手が集ういい機会でしたので、是非先生の視点で動きを考察いただき、問題提起もしていただけたらと思い、お誘いしました。
やはり、自分なりの走り方をしようと思っていても、周りがこうしているから、トップ選手の動きはこうだからと、ついついその枝葉の部分を取り入れて、惑わされている部分があると思います。はや中学最後の年、改めて根っこの部分を追求して動き作りに励むよう、息子にはアドバイスしたいと思います。
また、私自身もフルで想像以上に走れましたが、その時も39kmあたりまで余裕をもっていて、さあここからペースアップと思うと、かえってスピードダウンしてしまいました。エネルギー切れなどの要因もあるかもしれませんが、やはり頑張る=力みにつながり、自然な体の動きを阻害してしまったのかもしれません。
5月末には、約80kmのトレイルランが待っています。これこそごまかしの効かない距離なので、常にやっていることですが、今一度動きを再確認してみたいと思います。
また、深める会や個別指導に伺いたいと思っていますので、その時はよろしくお願いいたします。
  • 2015-04-22│12:37 |
  • 西本晴雄 URL│
  • [edit]

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プロフィール

Author:西本 直
1993年、Jリーグサンフレッチェ広島を皮切りに、社会人野球三菱重工広島・協和発酵・ヴィッセル神戸・川崎フロンターレ、そして広島カープ佐々岡真司投手など、プロアマ問わず競技レベルのスポーツ選手から一般の方まで、トレーニングやメンテナンスの指導を行ってきました。
その経験と知識の蓄積を「西本理論」としてまとめ、一人でも多くの方に実践していただくことが、これからの私の使命であると信じ、このブログから発信していきます。
私の理論はスポーツ選手のみを対象としたものではなく、ビジネスマンや家庭の主婦まで老若男女すべてに当てはまる不変のものです。
指導や講演のご依頼も受け付けています。
実名でツイッターも書いていますので、チェックしてみてください。
また、2013年9月9日にConditioning Studio 操をオープンしました。
また、遠隔地にお住まいの方を対象とした動き分析とアドバイスを行っています。
詳細は「スタジオ操」のホームページ内の「遠隔サポート」をご覧ください。
「第25回西本塾」を11月18・19日の土日に開催を予定しています。
詳細はStudio操ホームページ内の「講習会情報」をご覧ください
尚、深める会も12月10日に予定しています。

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