走るという行為その5動き出しのイメージ

まずはじめに、今日ツイッターにも書かせていただきましたが、昨日ある方にツイートしたことがきっかけで、たくさんのフロサポの方々からフォローしていただき、このブログの閲覧者数も、ブログを書き始めて以来の数字になっていました。

中途半端に辞めてしまった私のことを、こんなにもたくさんの方が気にかけていただいていたこと本当に嬉しく思います。
ただ、私はもうクラブの人間ではありません。
このブログのタイトル通り、生涯一トレーナとして個人の立場で自分の考えを発信していく場所として、ブログを書いておりますので、直接的にチームや選手個人のことに言及することは基本的にありません、そのあたりをご理解の上、日常生活やスポーツ活動を行ったり、また観戦する際の参考にしていただければと思っています。
今後ともよろしくお願いします。

さて今回は、走るという行為に移行していくための静から動への体の使い方、昨年今年と見せつけられたブラジルチームの選手たちの、言葉に表せない迫力の秘密にも通じる部分が見えてくるかもしれません、お付き合いください。

走っている動作そのものの動きは、下半身・股関節と上半身・肩甲骨や肩関節に分けて考察してきました。

では、サッカーであればピッチの中でチームとして個人として、周りを見ながら流れている時と、ここというタイミングでトップスピードにと、うまく切り替えながら、ハーフタイムを挟んで45分を2回走り続けなければなりません。
ですから、まったく静止した状態から動き出すことは基本的には考えられません。

野球の守備動作ですと、投手の投球動作に合わせて、ほぼ静止した状態から動き出さなければなりません。

陸上短距離のスタートであれば、すでに話題にしましたが、体を支えている指先の支えがなくなって、重心のすべてが前方向に落ちていくタイミングに合わせて足を振りだす、ということになりますが、どんな競技のどんな状況でも応用できる体の使い方を提案していきます。

これまでは、体のパーツを下半身だ股関節だ肩甲骨だと、分けて説明はしてきましたが、実際には体というものは丸ごと一つの物体で、パーツを集めて作られたものではありません。

拙著「朝3分の寝たまま操体法」の後ろに方でも書きましたが、体を板状の「こんにゃく」の形状と質感をイメージしてみてください。
縦長の長方形の下側を持って上側を捩じると、全体が捻れ支えている下側にも動きが伝わりますよね、捻れたものには元に戻ろうとする力が生まれます。

この板状のこんにゃくには動かし方によってさまざまな動きを作り出せますが、こんにゃくの柔軟性にも限度がありますから、無理な動かし方をするとちぎれてしまいます。
人間の体にも同じことが言えるのではないでしょうか。

そのイメージを残していただいて、ではスタート動作をやってみましょう。
何度も言いましたが、地面を強く蹴って走り出すというイメージでは「居付き」の時間がかかってしまって、対人競技であれば、明らかに振り切られたり置いて行けなかったりということになります。

何の準備もせずに全身リラックスしてグランドに立ちすくんでいる選手はいないと思います。

体全体を皮の袋に見立てて、中にはたっぷりの水が詰まっている、そんな状態をイメージしてみてください。
実際に体重の約60%は水分ですから、これはただの空想ではありません。

その皮袋の中の水を常に揺らせておくのです、こんにゃくを柔らかくぷにゅぷにゅさせておくのです。

皮袋のとくに上の方をぶるんと揺らせて振りだしていくことをきっかけに、全身が前方に動き出すというのがスタートのイメージです。

まったくちんぷんかんぷんで、何の事だかわからないでしょう。
たぶんこんなことを考えている人間は、私以外にはいないでしょうから。
では、こういうドリルはどうでしょう。

つくばに講演に出かけた時に、小学生男女3人を相手に行ったドリルです。

運動会で1等賞になりたいそのためにはと、走り方を指導した後、当然のごとくスタートはどうやるんですかと質問されました。

スタンディングスタートですから、足は前後に開いた状態で、重心は前に乗せます。
普通に号砲が鳴ると、いったん重心が後ろに移り、後ろ脚が地面を蹴ってスタートということになります。
これでは居付いてしまう分スタートで出遅れることになります。

私の指導したイメージはこうです。

下半身のことはとりあえず頭から消して、板こんにゃくである上半身に集中させます。
こんにゃくを捩じるのにも時間がかかりますから、こんにゃくの裏側に張り付いている「肩甲骨」の部分をさらに集中させます。

前後の足幅は狭くして、、ほとんど揃えるか1足分くらいにしておき、肩から腕をだらっとぶら下げ、肩甲骨が前傾したこんにゃくの外側にずれ落ちていくくらいの状態にしておきます。

これは肩甲骨を上下に大きく動かすための準備です。

号砲と同時に、まずは右の肩甲骨を引き上げてみてください、たぶん肩を動かしていると思いますがそれでいいです。
もっと言えば、こんにゃくに例えた上半身自体を捩じっている感覚しかできなければそれでもいいです。

右を引き上げれば当然左はさらに下に下がります。

その瞬間足はどうなりましたか、肩甲骨を動かした瞬間に股関節が連動して足はしっかり踏み出されています。
力強く上半身を使えば力強く足は踏み出されています。
右がやりずらいと感じたら、左主導でやってみてください、どちらかやりやすい方が見つかるはずです。

これが我々人間に備わっている体の仕組みなのです、理屈ではありません。

いわゆる予備動作がなく、動き出した瞬間に重心の移動が始まっていますから、これができる人とできない人がマッチアップすれば結果は見えています。

今でも現役を続けている有名選手のフェイント動作は、何度も体自体をゆするので下半身さえ見ていれば十分対応できますし、その間に守りの陣形が整えられたのであまり脅威には感じませんでした。

ヴィッセル神戸の時にチームにいた、デンマークのミハエル・ラウドルップ選手の動きには、そういうフェイントという動きが見えず、何事もなかったように真っ直ぐ相手をかわしていくように見えるドリブルで、その頃の私には意味が分かりませんでした。

今なら世界一のプレーヤーであるメッシ選手がそういう動きをしていると思いますし、ブラジルチームはなんと全員からそういうイメージが伝わってきたことに、私は驚いたのです。

まだまだ私には分からないことだらけですが、こういうことを考えながらスポーツを見ることは、ほかの人にはない楽しみ方であると思います。
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Re: 散歩しながら
歩くこと、走ること、人間の動きの根源です。
二日目の実技を楽しみにしていてください。

  • 2014-01-28│15:59 |
  • 西本 直 URL│
  • [edit]
散歩しながら
いろいろ、考えさせられております。
私自身は、陸上競技が専門であったため、走るとどうしても速く、そして追い込むと言うことに目的が向かいがちになるので、とりあえず歩きの中で何かを感じてみようと思い、1時間ばかり歩いてみました。

おっしゃろうとされている事に近づけているのかはまるでわかりませんが、途中から背骨がうねる事をただ感じてそれを妨げない。と言う感覚に気づきました。

日頃、どうしても、骨盤を動かして、重心の真下に接地して、肩甲骨から腕を振って、いかに地面に力を伝えるか......
を考えていることが、余計な事だと言うのが何となくわかったような気がします。

背骨がうねるのを邪魔しないために肩甲骨が動き、股関節も自由度が大きいのではないか?背骨のうねりを手足にどんな方向でも伝えれる様に、自由度が高くかつ大きな骨が肩甲骨と骨盤として存在するのではないか?
そんな事をふと感じた次第です。

これが、方向性としてよい気づきであれば、従来のイメージとは正反対からの発想になります。
コメントありがとうございました。
温かい言葉をいただきありがとうございました。
こんなにもたくさんの方々に応援していただいていたことを、もっと早く気づいていれば、精神的にももっとゆとりを持って仕事ができていたのではないかと、今頃になって少し後悔しています。
もう後戻りはできませんので、何度目かの再出発に向けて準備をしております。
今後とも八宏フロンターレをよろしくお願いします。
  • 2013-07-09│12:12 |
  • 西本 直 URL│
  • [edit]

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プロフィール

Author:西本 直
1993年、Jリーグサンフレッチェ広島を皮切りに、社会人野球三菱重工広島・協和発酵・ヴィッセル神戸・川崎フロンターレ、そして広島カープ佐々岡真司投手など、プロアマ問わず競技レベルのスポーツ選手から一般の方まで、トレーニングやメンテナンスの指導を行ってきました。
その経験と知識の蓄積を「西本理論」としてまとめ、一人でも多くの方に実践していただくことが、これからの私の使命であると信じ、このブログから発信していきます。
私の理論はスポーツ選手のみを対象としたものではなく、ビジネスマンや家庭の主婦まで老若男女すべてに当てはまる不変のものです。
指導や講演のご依頼も受け付けています。
実名でツイッターも書いていますので、チェックしてみてください。
また、2013年9月9日にConditioning Studio 操をオープンしました。
また、遠隔地にお住まいの方を対象とした動き分析とアドバイスを行っています。
詳細は「スタジオ操」のホームページ内の「遠隔サポート」をご覧ください。
「第25回西本塾」を11月18・19日の土日に開催を予定しています。
詳細はStudio操ホームページ内の「講習会情報」をご覧ください
尚、深める会も12月10日に予定しています。

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