からだと向き合うために

Newspicksの連載記事、読んでいただいているでしょうか。

私が一般の方向けに健康法的なものを書かせていただいたのは、もう12年も前のことです。

万人に叶う健康法など存在するはずも無く、すぐに得られる効果を求めて世に現れては消えていく、各種の健康法やトレーニング方法に一喜一憂している現状に、そんなことを発信している側の一員にはなりたくないという思いの私でしたが、その時点での自分の考えを文章にしてみてはという誘いに、ならばと重い腰を上げたのでした。

その当時は今とはまったく考え方が違っていて、自分のやっていることが第三者に理解できるはずがない、だから教えるという発想はありませんでした。

それが今、色々なことを経験している中で、今のような活動を行うようになってきました。

このブログやツイッターをはじめ、Newspicksやnumberwebなど、ネットを介して私の考えていることを発信させていただいたりもしています。

それでも、それらを読んでいただいた方に、私の思いや実際の方法論が正しく伝わるとは思っていません。

西本塾に参加してくださる方や、直接指導を受けに来ていただく方には、それなりの指導はできますが、そうでない方には現実的には不可能だと思います。

それでもこの考え方や実践方法を、少しでも多くの方に知っていただきたい、広めなければならないと言ってくれる人が現れてくれたことで、私の考え方も少しずつ変化してきました。

言葉や文字で伝えることが難しいことは百も承知で、その無理難題に挑戦せよと、スポーツライターであり、現在Newspicksのスポーツ担当でもある「木崎伸也」さんが、私という人間を知ってもらうために、皆さんお忙しい中、出版社の方に直接お会いする機会を作って頂きました。

その中から二つの方向性が生まれ、ひとつは操体法の施術の中に取り入れている足指もみと呼ばれている操法にテーマを絞った内容のものを書いてみてはと言っていただいた出版社がありました。

この足指もみという言い方は、操体法を学んだ方々には一般的なのですが、私が指導する立場になった時、文字や言葉の響きが、実際に行うにしても受けていただくにしても少し違うなという感覚があり、あえて「からだほわっと」という呼び方を使っています。

残念ながら直接お会いする事ができなかった橋本敬三先生も、直接指導していただいた渡辺栄三先生も、「好きなようにやっていいよ」と、笑ってお許しいただけると思っています。

実際に何人かの方に体験していただいたのですが、これを体験した方々の感想というか驚きは、30年近く日常的に行っている私には想像以上のインパクトがあるようでした。

もちろん他の話もしましたが、この感覚をなんとか文字で伝えることはできないかと編集者としての感性が働き出すようでした。

もう一つの出版社では、この足指もみを体験して、体が揺れるということに何か大きな意味があると感じていただいたようで、この揺れるという感覚と健康法を結び付けられないかという話になりました。

どちらも詰まるところ同じことを私は言っているわけで、からだほわっとだけで一冊の本を書けと言われても、揺れるということだけにテーマを絞ってと言われても、どちらも結局同じことを書かなければなら無くなることはわかっていましたが、せっかく時間をとっていただいて話を聞いていただいたのですから、要求に沿った内容の文章を書かなければと頑張ってみました。

私の中では一つのことを、なるべく重ならないように二冊の本を書き上げたのです。

どちらも少し不完全燃焼ではありましたし、これがそのまま本になったとしても中途半端で、一般の方が満足できる内容になるとは私自身思えませんでした。

どちらの原稿も陽の目を見ることなく、木崎さんの手元で眠ってしまう運命だと思っていました。

書いたものが出版という形で世に出ることはもちろん嬉しいことですが、私はいつも文章を書きながら、自分自身の頭の中の整理をしたり、今まであまり言葉にしてこなかったことが文字になっていく事も含めて、自分のためになっている気がして、とても楽しい時間だと感じることができています。

このブログもそうです、誰が読んでいるとかいないとかよりも、自分自身のために書いていると言ったほうが正しいのかもしれません。

そうやって書き上げた二冊分の原稿が、今Newspicksに連載という形で世に出ることになりました。

週に二回のペースでアップされていますが、もちろん原稿がそのまま記事になっているわけではありません。

一度に載せられる文字数や読み切りで役に立ててもらうという配慮もあるでしょうから、編集されることに異論はありませんし、すべては木崎さんにお任せしています。

それがこの月曜日にアップされた記事を見て驚きました。

一冊の本が連載されて行くものだとばかり思っていたら、いきなり内容がもう一冊の話に変わってしまったのです。

最初は正直「なんで」と思いましたが、よくよく考えてみると、もともと一つだった話を無理やり二つに分けたのだから、それをうまく合体させることができれば、そのほうが自然で、むしろそうでなければおかしい事だったのです

急な方向転換で事前に聞いていなかったのですが、そう判断した木崎さんは、二冊の原稿をしっかり読み込んでくれたからこそ、こういう判断をされたのだと思いました、有難いことです。

私にはそういう発想がありませんでしたので、こういう判断をしてうまくつなげていける木崎さんの編集力は流石だと思いました。

改めて原稿を読み直し、これからどう展開されて行くのか、私自身がワクワクするような気持ちで、アップされる記事を待つことになりそうです。

読んでいただく方にいろいろな感想があることには慣れてきましたが、少しづつ私の言いたいこと「からだとの対話」という事に目を向けてくれる人が増えてきたように思います。

過去にも十分に役に立てる内容の健康指南書は存在してきたと思います。

とくに操体法に関する本や、創始者である橋本敬三先生が参考にされたであろう野口整体や、その他日本にも独自の「からだ感」を持っていた先人は沢山おられたようです。

日本は戦後目覚ましい発展を遂げました、この数十年の変化は歴史上でもそうは見られない劇的な変化かもしれません。

効率や目に見える効果が優先され、深く物事を考える事が少なくなってしまったように思います。

そういう意味では先人たちの残した健康法は、からだという存在に対する哲学にも似たもので、効率優先の時代からは置き去りにされてきたかもしれません。

しかし、何年何十年いえ何百年という年月がすぎたとしても、人間という生物のからだはもうそれ程大きな変化はないと思います。

だからこそ、「どこをどうしたらどうなる」的な健康法に頼らず、じっくり自分のからだと向き合う事を行わなければ、本当の意味での健康などというものを目指せるわけはないと思うのです。

人間ももちろん地球上に生息する動物の一つです。

不老不死などあるはずがありませんし、幾つになっても痛いところ一つなく生命を全うするなどという人もほとんどいないと思います。

受け入れるべきは受け入れる、普段の生活で備えができるところはしっかり備えながら、老いていく体と向き合っていかなければなりません。

私が書いた二冊の本が一つになる事で、少しでも健康指南書としての役割を果たせる事ができるならば、これはこれで嬉しい事です。

どんなに声を大にしても、人任せな人には届かないかもしれません。

それでも一人でも多くの人が自分の体と真剣に向き合うきっかけになってくれたらと思っています。

前作と同じで、もう私の手を離れてしまった感がありますが、これからどう育てていただけるのか楽しみにしています。
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プロフィール

Author:西本 直
1993年、Jリーグサンフレッチェ広島を皮切りに、社会人野球三菱重工広島・協和発酵・ヴィッセル神戸・川崎フロンターレ、そして広島カープ佐々岡真司投手など、プロアマ問わず競技レベルのスポーツ選手から一般の方まで、トレーニングやメンテナンスの指導を行ってきました。
その経験と知識の蓄積を「西本理論」としてまとめ、一人でも多くの方に実践していただくことが、これからの私の使命であると信じ、このブログから発信していきます。
私の理論はスポーツ選手のみを対象としたものではなく、ビジネスマンや家庭の主婦まで老若男女すべてに当てはまる不変のものです。
指導や講演のご依頼も受け付けています。
実名でツイッターも書いていますので、チェックしてみてください。
また、2013年9月9日にConditioning Studio 操をオープンしました。
また、遠隔地にお住まいの方を対象とした動き分析とアドバイスを行っています。
詳細は「スタジオ操」のホームページ内の「遠隔サポート」をご覧ください。
「第25回西本塾」を11月18・19日の土日に開催を予定しています。
詳細はStudio操ホームページ内の「講習会情報」をご覧ください
尚、深める会も12月10日に予定しています。

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