なぜ治っていくのか

先日深める会に参加していただいた森さんから頂いたコメントを読んで、本人はもちろんのこと、私の施術を目の前でそれも解説付で見ていた方たちでさえ、休憩時間に「本当に良くなったのですか?」と、本人に確認したくなる状況だったことを知りました。

重症ではなかったにせよ、深める会の実技で外を走れる状態ではないという本人からの連絡がありましたが、なんとか歩くことはできていますという言葉に、ならば私の施術を見せる良い機会だからと参加していただきました。

普段施術を見せることはありません、それは隠しているとかではなく、受けてくれている相手に配慮してという問題です。

私の前では肩書きなど通用しません、相手にしているのは人間の体そのものですから。

だから素の自分をさらけ出す必要がある状態を他人に見せることは当然はばかるべきだと考えるからです。

1時間ほどの施術時間ですが、患部であるふくらはぎに手を触れることはありませんでした。

最後に確認の意味で触りますが、これまでの既成概念の中では、患部に触れずに痛みが改善したり動きやすくなるなどということは考えられないのだと思います。

私自身、数年間渡辺先生の元で学び、基礎的なことはわかっているつもりではありましたが、自分が行う施術行為、私の場合は基本操体法ということになりますが、その行為と体が改善するということが、いまひとつイコールにならないというか、現実として目の前で変わっていく体を何度も見て経験していても、それを言葉で説明したり誰かに教えるということは、いつかはできるようになるかもしれないくらいで、とりあえず結果が全てくらいにしか思っていませんでした。

そんな程度の理解ですから、結果が出ない時には、本当にこれでいいのだろうかと、本人が痛いと訴える部分にどうしても気持ちを向けることになってしまいました。

しかしそう思えば思うほど、結果は良い方向へは向かわず、基本に戻って体全体を整えるという考え方で、体に向き合う以外に、本当の意味で体との対話を行い、体の言い分に耳を傾け、この体はどこからどういう方向へ連動する動きを望んでいるのかが見えてきませんでした。

仕事として行う限りは、少しでも早く結果が欲しい、相手に良くなってもらいたい、そう思うのは当然です。

日々体に向き合い、いろいろな症状色々な人間に向き合うたびに、部分じゃないんだ体全体の問題なんだという思いを深めていきました。

今それを伝えようとする時、自分がそうであったように、痛みや違和感を訴える部分の改善のための施術行為が、できるだけ両端が結ばれた一対一対応のやり方を知りたと思うのは当然のことです。

いくら目の前で施術を見たとしても、患部には触れていないのになぜ、ということばかりに気持ちが奪われ、本質の部分にはなかなか目が向けられません。

と言うよりも、操体法に限らず各種の手技療法は、その方法論は教えてくれても、基本となるからだ感や、なぜ良くなっていくのかという、一番知っておかなければならない部分に対して、納得のいく理論や説明が不十分で、ある種の職人技や特殊技能だったり、感覚的な捉え方しかされていないのではないでしょうか。

理学療法的な手技にしても、その手技が体の仕組みという根源的な部分に合致していて、万人に通用し、なおかつお互いに理解納得ができるものではないような気がします。

私はその部分を伝える方策として、基本的な体の仕組みから話を始め、人間にとって良い状態というのはどういうものかという問題について、認識を共有できるようにしています、そうでないと会話が成り立ちませんから。

単純に言えば、そこから外れてしまった状態が痛みや違和感を生んでいるという説明になります。

ですから本来こういうカラクリで動いていて、という部分が共通でないと、どこがどうなることが体の歪みを取るだとかバランスを整えるという目標設定ができないのです。

だから施術のやり方がどうのこうのではなく、持って生まれた本来体に仕組まれたカラクリを知ることからしか始まらないと思うのです。

現実痛みを抱えて訪れる人たちにすれば、そんなことは全くどうでもいいわけで、早くこの痛みから解放されたいということだけになります。

そんな人たちを相手にしてきた中で、やはり患部に気を取られそうになることは多々ありますが、そこをぐっとこらえて体に向き合っていけば、必ず体は応えてくれますし、改善のヒントを与えてくれます。

痛みは神経が感じて脳に伝える感覚ですが、神経自体も生きているわけで、ダメージを受けている期間が長ければ、当然神経という組織自体も損傷を受けていることになります。

この神経自体が発する痛み、いわゆる神経痛ということになるのでしょうか、この状態を緩和するためには、神経が安心してその場に存在していられる環境を作ってあげる、すなわち体全体を整えるということなのですが、整ったからといってすぐに神経の組織が修復されるわけではありません。

会話の中で一番気を使うというか難しいのが、この修復期間の見極めだと思います。

自力で動かせる方向や可動域の改善は、早い時期に感じてもらえますが、肝心の痛みという感覚はなかなか思ったようには改善してくれません。

もしここで痛み止めなどを使ってしまったら、体本来の機能で治って行ったわけではなくなってしまうので、本来の意味の治癒に近づいたのかどうかの見極めがまた難しくなります。

痛みの感覚を隠して無理をさせてしまうことで、組織としての修復が遅れてしまうような気がします。

とにかく痛みの感覚には個人差があり、恐怖心もあります。

ただ、痛みのことも含めて、本来の体に戻っていくというプロセスをきちんと経ていくと、必ず痛みも消えていくし体は楽になっていきます。

元のようになりたいという、望みは体自身が叶えてくれることです。

毎度の口癖ですが、「体を治してくれるのは、新鮮な酸素とたくさんの栄養をたっぷり含んだ血液です」、幸い喫煙者ではなかったので厳しくは言いませんでしたが、自分で自分の体を蝕むような行為をしておいて、痛いから早く治せは絶対に不可能です。

色々な意味で、普段の自分の体の状態を知っておくということは、とても重要なことだと思います。

そこに戻っていくことが目標です。

目標を知らない人を相手にするのは本当に大変な作業です。

施術の手段としてではなく、本当の意味での操体法がもっと広がるといいと思います。

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プロフィール

Author:西本 直
1993年、Jリーグサンフレッチェ広島を皮切りに、社会人野球三菱重工広島・協和発酵・ヴィッセル神戸・川崎フロンターレ、そして広島カープ佐々岡真司投手など、プロアマ問わず競技レベルのスポーツ選手から一般の方まで、トレーニングやメンテナンスの指導を行ってきました。
その経験と知識の蓄積を「西本理論」としてまとめ、一人でも多くの方に実践していただくことが、これからの私の使命であると信じ、このブログから発信していきます。
私の理論はスポーツ選手のみを対象としたものではなく、ビジネスマンや家庭の主婦まで老若男女すべてに当てはまる不変のものです。
指導や講演のご依頼も受け付けています。
実名でツイッターも書いていますので、チェックしてみてください。
また、2013年9月9日にConditioning Studio 操をオープンしました。こちらもご覧ください。
また、遠隔地にお住まいの方を対象とした動き分析とアドバイスを行っています。
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