走るという動作、そのスピードアップのために①

走るという行為、歩くという移動のための動作を行う時、目的地に到着するために、少し急がなければならないという必然から起こった動作だと思います。

好き嫌い得意不得意はあるにせよ、走ったことがないという人はいないと思います。(障害者の方には申し訳ありませんが、そういう前提で話を進めていきます。)

好き嫌いという意味合いの分類でも、得意不得意、平たく言うと速い遅いが判断の材料となると思います。

さらには足が速くて走ることが得意で、走ることは大好きですという人でも、誰かに強制されたり自分の好きなように走ることができなければ、それはただの苦痛な行為ということになってしまいます。

現在一般的に行われているジョギングという行為も、楽しいから走るというよりも、運動不足の解消のためのカロリー消費の行為であったり、目標とするレースに備えるためのトレーニングであったりと、人間本来の移動手段としての走るという行為とは別の目的となっています。

それぞれのスポーツ競技の中でも、走るという行為が重要視されるものはたくさんあります。

走るという行為だけで勝敗が決まるのは、陸上競技のトラック種目やロード種目だけで、その他の種目では走ること自体のスピードや持久力を競い合うわけではありません。

にもかかわらず、ある意味陸上選手以上の時間や距離を走らされたりすることが日常的に行われています。

これはなぜでしょうか、走ることによって、そのスピードを向上させたり心肺持久力を高めたりという目的よりも、単に苦しくなってからどう頑張るかとか、自分の限界を超えたところでも頑張り続けられるといった、ひと昔どころか一世紀前の根性論が未だにまかり通っている場合もあるようです。

今回の西本塾参加者の中にも、指導者に気に入られるために、不必要な頑張り方、それほど苦しくないときでも苦しそうな顔をして一生懸命走っているふりをするとか、余裕を持って相手に対応できるのに、ガツンとスライディングを仕掛けてみたり、そうしないと指導者からは力を出し切らない選手だというレッテルを貼られてしまい、試合に使ってもらえない雰囲気だったという話を聞きました。

たかだか10年くらい前の話です、それが今でも同じような部分がたくさん残っているというのですから、情けないというか悲しい現実ですね。

私がサッカー選手の求められるのは90分間走り続けられる能力ではなく、90分間を通してクリアな頭で戦況を把握し、自分の体と頭を動かし続けられる能力という言い方をしていることの意味を、未だに正しく理解できず、自分の限界を超えろ120%の力を振り絞れと声を荒げ目を釣り上げている指導者たちには、何を言っても無駄なのでしょうか。

それを実現するための大きな武器というか、絶対に身につけてほしいのが、私が提唱する走り方と体の使い方です。

これは単にサッカーのような競技だけではなく、陸上競技の選手にこそ身につけてもらいたい体と意識の運用方法なのです。

西本塾の2日目には、室内でイメージ作りのドリルを行った後 、外に出て実際に走っていただいて、その感覚をそれぞれの体で実感していただき、ほかの参加者の動きが時間とともに変化して行く様子を見ていただくことで、理論的にも実践でも正しい方法論であることを確認していただいています。

その場ですぐに聞かれる言葉が、「走っているのに疲れない」とか「走ることってこんなに楽しいんだ」という、これまで走るという行為に対して持っていたイメージと真反対の言葉です。

そんなに広い場所ではありませんが、直線にして40メートルくらいはあると思います。

そのスペースを利用してまっすぐ走ったり、スラローム走をしたり、対人の対応動作や、マーカーを設定して応用動作を行ったりと、約1時間にわたってほとんど休みなく動き続けることができることに、皆さん驚かれます、そして異口同音に先ほどの感想が聞かれるのです。

少し厳しいことを言わせて貰うと、ブログは熟読し私の考え方自体はある程度理解してから参加していただいていますが、走りに関しても細かい部分にまで説明をしてあって、その気になれば色々と試してみることはできたはずで、要するにちゃんと予習をしてきてくれれば、もっと早くコツがつかめるでしょうし、理解も深まるはずです。

この実技部分に関しては、初めて参加するということを差し引いても、この人の走りには合格点を与えられるという方が、毎回一人か二人しかいないのは残念です。

今回も島田さんが文句無しの素晴らしい走りを見せてくれました。

中には、最後のスピード走を撮影する時になって、今日やってきたことはどこへ行ってしまったのかと言いたくなるような、おそらく昨日まではこうやって走っていたんだろうなという走り方になってしまう人さえいました。

それくらい体にしみ込んでしまっているのです。

それでもそういう体の使い方で走ると、たった1本走るだけで筋肉の負担がいかに大きいか、息が上がってしまうか、よくわかる結果になりますので、それはそれで意味のある走りになったかもしれませんが。

過去にも、この人の走りは合格という人は何人かいましたが、次の段階として、その走り方でいかにスピードアップするかということが問題となります。

楽に気持ちよく走れることで、がむしゃらに走る時よりも、スピード感というか頑張って速く走っているという感覚がありません。

実際には遜色ないスピードで走れていますが、いわゆる屈筋を総動員して歯を食いしばってという力感がないのに、スピードが出るということを、頭が理解できないのです。

こんな楽な感覚でこれくらいのスピードが出るのなら、もっと頑張れば…と、これまでの既成概念が頭をもたげてくるのです。

私自身、この走りでスピードアップを図るために試行錯誤が続いています。

今現在でも、前出の島田さん(年齢差30歳、元高校球児) と一緒に走っても、40メートルくらいの距離なら、それほど差をつけられることなく走ることができます。

私自身元々走ることは嫌いではありませんし、遅い方ではなかったと思いますが、学生時代私より速かった友人と今一緒に走ったら、おそらく負けないと思いますし、ここ数年スピードは上がっているのではと思います。

そのためにマイケルジョンソン選手や伊東浩司選手をお手本に、ほかの選手とどこがどう違うのか、私なりの分析を続けています。

ある程度見えてきていますが、自分の体で自分の走りで再現し、現役の選手に確実に身につけてもらえる指導の機会を得て結果を検証してみたいと思います。

具体的なイメージはまた改めて記事にしますが、物事突き詰めて考えるといろいろなことが見えてくるものです。

なかなか楽しい作業です、ただ自分の体がいつまで実験材料として機能してくれるのか、一番の不安要素は実はこの部分です、今持っている疑問はたくさんありますが、一つでも多く自分の体で実証したいと思っています。

なので、少し焦っています(笑)

「あの人は特別だから」という言葉で済ませてしまっては何の進歩もありません。

天才は努力し続けられる能力のことだと思います。

私のような平凡な人間が、こうして疑問を持ち探求し続けることで、同年代のほかの人たちとは少し違う能力を身につけることができました。

何のためにやっているのか、どこでその能力を使うのか、そう言われると困るのですが、そのノウハウと結果が今まさに誰かのために役立つと思える状況になってきました。

どこまで続くかわかりませんが、とりあえず歩みは止めません。

さて西本塾の感想が、また届いていますのでご紹介します。

西本先生、奥様、12期の皆様
2日間本当にありがとうございました。職業や立場など関係なく各々が違った目的をもって参加し始まった西本塾でしたが、西本先生が発する言葉の一言も聞き逃さないという参加者の「学びたい」という気持ちは皆一緒でした。
この同じ志をもった空間での2日間はあっと言う間に過ぎ充実していた証拠だと感じております。
今、レジュメを振り返り、こんなに多くのことを学んだのかと思い返し整理しております。
1日目にお話しいただいたことを2日目に目の前で実践する西本先生の姿を見ることが出来たこと、そして自分でも少しながら体感できたこと。
これら事実を知ってしまったことは、患者のためには西本先生のように実践しなければならないことを意味し、ものすごい課題をいただいたように思います。
西本先生の何事にも全力で臨む態度、その裏には完璧なまでの準備を怠らない姿勢、妥協を許さない人間性を感じました。
その意味では、自分自身は実技に対する準備が出来ておらず、頭で理解していても身体がついていかないという、まさに運動していないお父さんの徒競走状態になってしまい 、しっかり実技を体験できなかったことが心残りです。
昨日、早速いろいろとチャレンジしてみました。リハビリでは動作獲得のために無理やり行う動作を代償動作と言いますが、代償動作がでないように、時には代償動作を利用して動作獲得を目指します。
この代償動作の多くは力む筋肉、つまり屈筋です。ここで伸筋を使用し連動させ動作を獲得できないものか患者さんに試してみました。
結果は当然ながらすぐには出来ませんでした。しかしながら筋力での動作獲得ではなく、重心移動によるエネルギーと伸筋を連動させることで筋力に頼らない動作獲得への方向性に少しながら光が見えたように感じています。
今後も工夫しながら失敗しながら諦めることなくチャレンジしていきたいです。
ただ、我流になりたくないので、またご相談させてください。そして、深める会にも参加させていただきたいと思います。この次に参加する時までには今回以上に走れるように準備しておきます。
2日間という短い期間でしたが本当にありがとうございました。そして、今後とも宜しくお願い申し上げます。
くれぐれも体調を崩されませぬようご自愛ください。
山本武


山本さんは理学療法士として、機能回復訓練の指導をされています。

過去にも理学療法士の方がたくさん参加してくださっていますが、みなさん意識が高く、もちろん知識も経験も豊富なのにもかかわらず、患者さんのためにもっと自分を高めなければという使命感を持っておられました。

私の体に対する基本的な向き合い方は、どんな職種であっても共通するはずです。

ぜひ色々試していただきたいと思います。

ここで一つ提案ですが、「理学療法士」として西本塾に参加してくださった方々のネットワークが作れないものかと考えています。

私から見ても理学療法士として参加してくださった方々の意識や、参加目的は共通点が多く、医療現場の専門職として、私から学んでいただいたことを活かし、大きな影響力を発揮していただきたいと思っています。

もしそういうグループなら情報交換をしてもいいという方がいらっしゃいましたら、私宛にメールを送ってください。

個人情報の管理が難しい現状ですが、そういう方々の名簿を作成し、今後の活動に役立てていただければと思います。

もう一人、大石さんからの感想です。

西本さん、奥様、2日間ありがとうございました。
最初、ブログなどで想像していた西本さんはもっと怖い方なのかと想像していましたが、心優しい方でした。2日間立ちっ放し、動きっ放し、しゃべりっ放しで、熱意を感じ、すごいなと思いました。
受講生の方々の熱意もすごく、会の雰囲気もよくて、楽しく学べました。
私はブログや本で西本理論を理解していたつもりでしたが、実際に受講してみてやり方が違っているものがありました。ブログには図示されていないので仕方ないのではなく、理論の理解が足りなかったのだと思います。なので、西本塾に参加し理論と実践が出来たことは本当によかったです。
1日目にフライングバック、広背筋トレーニング、股関節トレーニングを行った後は、肩甲骨がいつもと違う正しい位置にあり、またそれが次の日まで維持されている不思議な感覚でした。2日目の走りの練習では、伸筋を使えば身体も楽でスピードもでて、何本も続けられることを体感し、今まで屈筋で頑張る走りは、無駄な事をしてたなと感じました。
実は走っていたら左ふくらはぎが痛くなったので、帰りの新幹線で肉離れの話を参考に、アクチンとミオシンを意識して足関節を動かしていたらだんだん痛みが楽になっています。
なぜ痛くなったか、鏡の前で動きを確認したところ、広背筋の作用が弱く、腕と骨盤を引き上げれず、ふくらはぎを使って足から骨盤を上げようとしていたことや、反対側の股関節に乗り切れていないのではと分析しました。今後は痛めないように、自分の身体と対話しながら、走りをマスターしたいと思います。
オクタントトレーニングでは、1人をやるのにも体力がいることを、トレーナー時代は試合前に7、8人やっていたと聞き驚きました。選手のためを第1に考えている、西本さんのように、自分も選手のために動けるトレーナーで居ることをブレずに続けていきたいと思いました。
からだほわっとも練習していき、また今回学んだ理論を日々の施術に生かしていきたいと思います。
また、自分が理解するだけでなく、相手にも伝わるようにデモンストレーションや説明する話術も磨いていきたいと思います。
充実した楽しい2日間でした。学んだ事をまた再確認しながら、活動でどんどん実践していきたいと思います。
そして、西本さんや第12期生の皆様と、またお会いするのが楽しみです。ありがとうございました。


これまで参加していただいた方の中にも同じように聞こえてきた、「私の理論や考え方は本やブログを読んでわかっていたつもりだったが」、という言葉ですが、私が参加条件にブログを熟読していることを求めているのは、しっかり読んでくればわかるからではなく、熟読という言葉に相応しいうくらい読み込んで初めて、本当の意味でわからないことがわかる、そんな意味を持たせています。

わかったつもりと言われれば言われるほど、多分何もわかっていないんだろうなと思ってしまいます。

わからないということがわかることと、わからない部分がわかったということは全く違うのです。

二日間の中で、何を感じてもらえたか、表面だけわかったつもりにならないように、しっかり整理していってください。

まだまだ土日の内容を色々考えている時期ではありますが、7月11日12日に札幌で行う西本塾が近づいてきましたので、少しづつ頭を切り替えて行きたいと思います。

北海道在住の方の参加をお待ちしています。

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プロフィール

Author:西本 直
1993年、Jリーグサンフレッチェ広島を皮切りに、社会人野球三菱重工広島・協和発酵・ヴィッセル神戸・川崎フロンターレ、そして広島カープ佐々岡真司投手など、プロアマ問わず競技レベルのスポーツ選手から一般の方まで、トレーニングやメンテナンスの指導を行ってきました。
その経験と知識の蓄積を「西本理論」としてまとめ、一人でも多くの方に実践していただくことが、これからの私の使命であると信じ、このブログから発信していきます。
私の理論はスポーツ選手のみを対象としたものではなく、ビジネスマンや家庭の主婦まで老若男女すべてに当てはまる不変のものです。
指導や講演のご依頼も受け付けています。
実名でツイッターも書いていますので、チェックしてみてください。
また、2013年9月9日にConditioning Studio 操をオープンしました。こちらもご覧ください。
また、遠隔地にお住まいの方を対象とした動き分析とアドバイスを行っています。
詳細は「スタジオ操」のホームページ内の「遠隔サポート」をご覧ください。
今年2回目の西本塾を8月26・27の土日に開催を予定しています。
詳細はstudio操のホームページ内の「講習会情報」をご覧ください。
なお、今回も参加者が5名に満たない場合は開催しません。
9月10日には深める会も予定しています。

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