ゴルフスイングにおける飛距離と方向性の両立

昨日に引き続き、札幌で行った「ゴルフ西本塾」の内容を、自分でも忘れないために、きちんと言葉にして整理しておきたいと思います。

表題の通り、ゴルフクラブを握ったことのある人なら、初心者からトーナメントを戦う本当の意味でのプロゴルファーまで、「飛んで曲がらない球を打ちたい」という事が永遠のテーマであると思います。

私自身、42歳でゴルフというものに出会ったときから、どういう訳か遠くに飛ばすという事にかけては一目置かれる存在でした。

何をどうしたらなどという理屈は分からないまま、ただ振れば飛んでいくという感じでした。

ただ方向性に関しては、まさに行き先はボールに聞いいてくれという状態で、真面目にゴルフに向き合っている方から見れば、邪道というか「寄席」で言う「色物」扱いで、私がティーグランドにドライバーを持って立つと、子供の運動会のように、同伴の方から「フレー、フレー」と応援される始末でした。

当然ですが、私も少しでも良いスコアで回りたいと、それなりに考え練習もしました。

形にこだわり本来のスイングができなくなったためか、ある時期には230ヤードくらいしか飛ばなくなった時期もありました。

お世話になっていたシニアのプロに相談すると、「やっとゴルフスイングらしくなってきたのだから、そのまま続けていれば、今のスイングに慣れてまた飛ぶようになるよ」と言われ、半年くらいかかって元の飛距離近くまで戻ってはきましたが、私本来の距離には戻らず、かと言って方向性が良くなったかといえば、以前と変わらない状態でした。

こんな性格ですから、とにかくとことんスイングを分析して、「これがゴルフにおける不変の体の使い方だ」というものを見つけ出してやろうと、レッスン書を読み漁ったり、ユーチューブで様々なレッスン動画やトッププロのスイングを見続けました。

ゴルフスイングは始動してからボールを打ってフォロースルーまでの一連の動作は、本当にあっという間の出来事で、それこそ瞬きをしている間に終わってしまうほどの動作です。

その動作に対して、驚くほど多くの理論や指導方法があり、どの方法を学んでもそれなりに満足できる結果を得る事ができるという不思議な動作です。

レッスン書を買って読んでみると、巻頭カラーで紹介されたスイング理論と、途中のページで紹介される別の方が指導する理論が、とても同じ事を言っているとは思えない内容で、「読者は何を信じれば良いの」というものを目にする事は日常茶飯事です。

私も有名なプロや競技レベルのアマチュアの方から指導を受けた事が何度かあります。

器用貧乏と言うのでしょうか、言われた事をすぐに体が表現できるので、教える方にも満足していただき、私自身もこれでいこうと思ってレッスンを終える事になります。

そのままそれを続けていれば、今ころはもう少しマシなスコアで回れるようになっていたのかもしれませんが、その場では出来たし納得もしたけれど、これは私には合っているけれども、人間本来の体の使い方という意味で、万人に等しく通用するものなのかという疑問が湧いてきて、もっとシンプルにもっと効率的な体の使い方を教えてくれるレッスンはないものかと、それこそ毎日のようにユーチューブを見続けています。

これは現在も続いている事ですが、一度じっくり見た内容が回り回って改めて見直すと、なるほどそういう事だったのかという事がたくさんあって、トータルとして私がレッスンをするというレベルにはまだ届いていないと思います。

何度か書いてきましたが、ゴルフをやっている方々は、スコアという絶対的な評価があるので、自分より下手な人間のいう事に聞く耳を持たないというか、相手にもされない事がほとんどです。

私がいくら真剣にスイングを分析し、普遍の体の使い方に迫ろうとしても、それを求めてくれなければ伝えようがありません。

今回札幌で一緒に回ったお二人は、それぞれ目的は違いますが、何としても課題を克服したいという強い気持ちがあったからこそ、私のいうことを聞いてみようと思ってくれたのだと思います。

これまでもゴルフも含め様々な競技の選手を指導してきましたが、彼らに共通して言えるのは、「このままでは終われない」という危機感と、強い目的意識があったからだと思います。

つまるところ本気で私から学ぼうとする心構えができているかということが全てだと思います。

それを感じなければ、私自身が本気になりませんので、うわべだけの付き合いというか指導なら、結果など出るはずがないので、初めからお断りしたほうがお互いのためだと思います。


これは西本塾に参加を希望している方にも言えることですが。

さて前置きが長くなりすぎましたが、私が札幌で飛距離不足に悩むゴルファーに対してどういうアドバイスをして、たったのワンラウンドをプレーする中で、自他共に大きな変化を感じることができたかという内容です。

飛距離をアップさせるためにはいくつかの要素があります。

まずは単純にヘッドスピードを上げるということです。

二つ目はミート率といってドライバーのフェース、ボールを打つ部分のスイートスポットと呼ばれる部分でいかに正確に打てるかということ、単純に言えばこの二つです。

大人の男性が、いわゆるフィジカル的な能力で負けるはずのない女子プロの選手より飛ばないということは普通にあります。

そこで言われるのがミート率を上げようというレッスンです。

その方は、このミート率に関しては、私が教えてもらいたいほど再現性のある正確なスイングができるので、後はヘッドスピードをどうやって上げるか、ということになります。

その方法として筋力トレーニング等でパワーアップしてとなるのですが、実際のスイング動作をどう改善するかという明確な目標がなければ、闇雲に筋力をつけても全く意味はないのです。

今ケガをしてしまって、全英オープンには参加できないというニュースがありましたが、現在世界ナンバーワンの「ローリーマキロイ選手」は、公式には175センチ73キロと、平均的な日本人の体格とそれほど変わらないというか、もっと大きな日本選手はたくさんいます。

にもかかわらず彼の飛距離はツアー選手の中でも上位にランクされる飛ばし屋です、しかも本当に正確なドライバーショットを打つことができす。

まさに飛んで曲がらないの見本のような選手です。

以前から彼のスイングにはとても興味があって、それこそいろいろな動画を食い入るように見てきました。

その中にある研究者が、まさに科学的な分析を試みているものがありました。

結論だけを言うと、腰の回転速度が驚くほど速いというのです。

トップの位置で右に回転している骨盤が、ダウンスイングに入るより一瞬速く、左にねじり戻されるときのスピードのことです。

一般のゴルファーが毎秒350度、ツアープロで550度、マキロイはなんと720度という数字が出たそうです。

しかしこれだけを見て腰を速く回せば遠くに飛ぶかというと、そんな簡単な話ではありません。

ゴルフをやっている人は聞いたことがあるかもしれませんが、ツイスト打法や左一軸スイングなどの呼び方で言われている体の使い方は、右から左にねじり戻されてきた骨盤を、なんとインパクトの瞬間に、もう一度元の右方向にねじり戻せということを言っています。

アドレスから体が右にねじられてトップの位置までクラブが上がって、それを勢いよく左にねじり戻すことでクラブを振ってボールを打ち、遠くに飛ばそうとする、まさにそのインパクトの瞬間に骨盤をまた右にねじり戻せという説明に、流石に私もこれはできないと思いました。

説明されるドリルはちゃんとできますが、実際にスイングするときにはインパクトで逆回しというイメージはどうしても持つことはできませんでした。

提唱者は実際にそれをやっていると言います、私はその動画を何度も再生しスローで見てもそうは見えない、なぜどうして、なかなか疑問は晴れませんでした。

以前からゴルフ理論で言われている、左の壁という存在も私には理解できませんでした。

そんな中。今回の「飛距離アップ大作戦」を成功させるためには、何としても自分が納得できる体の使い方を見つけ出す必要がありました。

いろいろ考えを巡らせているとき、私が指導していた野球の投手の体の使い方が大きなヒントになりました。

人間が静止状態からエネルギーを生み出すためには、落下と進行方向への重心移動と、最後に上半身と下半身の捻転を使った回転動作があると、私の中では定義しています。

その回転動作を最高に使い切るためには、回し切る目的の位置から逆算して135度の角度がベストであるというのが私の結論です。

それをゴルフスイングに当てはめると、終点の位置はヘソが飛球線方向に向いた位置ですから、逆算すると正面より右45度を向いた位置までヘソを回すことが必要になります。

しかし、ヘソイコール骨盤と、上半身が一緒に右に向いてしまったのでは、ただ右向け右になってしまい、上半身と下半身の捻転差を作ることができません。

実際には下半身の方が先に動きが制限され、上半身はさらに回り続けますから、ここで捻転差はできているとほとんどの人が満足してしまい、そのまま切り返してダウンスイングに移行することが、飛ばない原因だと言う結論に達しました。

どういうことかと言うと、捻転差はもっと作れるし、できる限り捻転さを大きくしないと飛ばないのです。

そこで言われるのが、トップの位置からすぐにグリップを動かさず、「下半身主導で切り返す」ということの本当の意味がわからないとダメだということです。

テークバックからグリップが右腰のあたりを過ぎたあたりから下半身の右への回転を、急激に左回転に戻すことで、ヘソは左に向こうとしますが、グリップは慣性力で、まだトップの位置に上がろうとして動き続けているため、下半身と上半身の捻転がこれ以上ねじれないという感覚になった瞬間に、上半身の捻り戻しが自然に発生し、何も考えなくてもグリップは下降し始めダウンスイングへと移行するのです。

この下半身と上半身の生き別れ状態をいかに強く作れるか、これが飛距離を生む秘訣だと確信しました。

マキロイは右回転から左回転への切り替えのスピードが前述の通り異常に速いのです。

それを可能にしているのが、研究者の弁によると外腹斜筋という説明でしたが、加えて私が重要視している広背筋の関与はいうまでもないと思います。

それほどの勢いで右回りを左回りに転換しても、胸はまだ右45度を向き続けておく意識を持てば、ヘソは正面を向いたところで止まってしまいそれ以上は回転することができません。

これが左の壁の正体です。

そして止まっている骨盤の中心にあるヘソを、ヘッドがものすごいスピードで追い越してきます。

この動きを腰がさらに右に逆回転している、ツイストしていると言う表現を使うことになったのでしょう。

マキロイのように左回転のスピードが早ければ速いほど、その勢いで正面に止まった際逆回転しているような感覚になるのだと思います。

これは結果であって、けっして正面の位置に戻ってきた骨盤を、自分の意識で右に逆回転させるということなど、誰が考えてもできるはずがありませんから。

いかに勢いよく正面に戻せるか、そこで左の股関節の上で骨盤の回転を受け止められるか、これがツイスト打法と呼ばれているものの正体だと思います。

これらのことを考え合わせ、アドバイスとして使った表現が、「トップから腰(骨盤の一番高い部分)を、前傾角度に合わせてではなく、できるだけ地面と水平に思い切り真横に回してください」というものでした。

ゴルフでは左の股関節を切り上げるという表現が使われますが、前傾している骨盤を切り上げるというイメージで使うと、ほとんどの人が上半身も左にめくれて体が開き、それに伴ってフェースも開いてスライスしたりあたりの弱いインパクトになります。

切り上げるのではなく、地面と水平に真横に回すことで、前傾角度の分、結果的に左側が切り上がるということになるのです。

言葉というのは難しいものです、プロのレッスンに書いてあることは結果として間違っていなくても、その言葉通りに動きを再現すると、同じ動きにならないということが起こります。

相手にどういう動きをさせたいか、そのためにはどういう意識でどういう言葉で伝えるか、それがきちんとできなければその場限りのレッスンだったり、形だけのもので終わってしまうのです。

真横に回すという意識が、彼の動きを見違えるようなものに変え、結果として飛んで曲がらないというボールが打てるようになったと思います。

ここまで色々考えて伝えたアドバイスはこれだけかい、という事ですが、できるだけテーマを絞って大きな効果を与える事こそ指導する側腕の見せ所と言うものです、今回の指導に関しては私も時間をかけて準備した甲斐があったと思っています。

本人は今まで以上に体もクラブも左へ振っている感覚になって、引っ掛けて左へ行ってしまうような気がすると言っていましたが、しっかり左へ振り抜くことでヘッドがきちんと返りヘッドスピードが上がり、遠くへまっすぐ飛ぶという結果が得られるのです。

この文章はまさに自分のために書いています、自分で考え自分で見つけた結論ですが、いつものようにすぐに忘れて違うことを考えてしまうので、ここにしっかり記録として今回のことを書いておきたいと思いました。

飛距離アップを望むゴルファーには大きなヒントになるはずです。

さて、西本塾参加者からの感想も続々と届いていますので今日も紹介しておきます。

西本塾in札幌、塾生の高畠です。
blog拝見したところ無事広島に着かれたとのことでしたので、是非、感謝の言葉を伝えたいと思いメールさせていただきます。
改めまして、西本先生、二日間誠にありがとうございました。
また小林先生、諏訪先生には開催準備等々で大変お世話になりました。
他の塾生の方々も大変お世話になりました。
西本先生に出会えたこと、皆様との出会いのおかげで今回の西本塾において学んだことは、一生の財産になると確信しております。
初日は今まで具体的に感じることのできなかった”伸筋の優位性”、”広背筋の重要性”といったことや具体的な身体の運用方法の言語化などを実際に拝見し、人間の身体の仕組みとは何かと考えさせられる内容でした。
既存の安易な考えによる身体の使い方では非効率的な動きになるとは、人間は何て面倒くさい生き物だとも思ってしまいますが、それとまた同時に素晴らしく精巧に作られた生き物とも思えます。
一日学ぶことこんなにも身体の変化を感じることができるのも人間だからこそ。そんな気付きを頂きました。
今後は学んだ動きをまずは自分で体現できるように習熟し、自分の能力アップの為、今後の指導の為、迷えばここに戻ってこれるという羅針盤として活用させて頂きたいと思います。
二日目は全て操体法ということで、非常に密度の濃い一日を過ごさせていただきました。
聞けば、このような回は稀という事でしたので、非常に運が良かったです。
今まで片思いをしていた操体法にやっと出会えたという感動と、その手技の奥深さであっという間に一日が過ぎ去り、復習の毎日です。
手技は早速活用させていただき、効果を実感することもできました。
こちらも今後の活動における武器を頂いたので、これをさらに磨いていこうと思います。
両日通して感じたことは、やはり治療・トレーニングと分けて考える必要はなく、人間一人の存在として見ることが重要なんだと感じました。
両方とも根幹は一緒で、その根の部分に西本理論があることによって私の中では今はまだまとまっていませんが、今後の深化によって何かにはたどり着けそうだという、漠然とした手ごたえを感じています。
一歩一歩この道を一生懸命に進んでいきたいと思います。
乱文失礼いたしました。思いだけでも伝わるといいのですが。
西本先生本当にありがとうございました。


熱い感想をありがとうございました。
色々感じるところはあったと思いますが、高畠さんの夢を目標に変え実現していくために、今回の出会いを活かして欲しいと思います。

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プロフィール

Author:西本 直
1993年、Jリーグサンフレッチェ広島を皮切りに、社会人野球三菱重工広島・協和発酵・ヴィッセル神戸・川崎フロンターレ、そして広島カープ佐々岡真司投手など、プロアマ問わず競技レベルのスポーツ選手から一般の方まで、トレーニングやメンテナンスの指導を行ってきました。
その経験と知識の蓄積を「西本理論」としてまとめ、一人でも多くの方に実践していただくことが、これからの私の使命であると信じ、このブログから発信していきます。
私の理論はスポーツ選手のみを対象としたものではなく、ビジネスマンや家庭の主婦まで老若男女すべてに当てはまる不変のものです。
指導や講演のご依頼も受け付けています。
実名でツイッターも書いていますので、チェックしてみてください。
また、2013年9月9日にConditioning Studio 操をオープンしました。こちらもご覧ください。
また、遠隔地にお住まいの方を対象とした動き分析とアドバイスを行っています。
詳細は「スタジオ操」のホームページ内の「遠隔サポート」をご覧ください。
西本塾を深める会を9月10日(日)に開催を予定しています。
詳細はstudio操のホームページ内の「講習会情報」をご覧ください。

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