動きの繋ぎ目

昨日、懐かしい訪問者がありました。

サンフレッチェ広島在籍時に、チームの正ゴールキーパーとして、また日本代表の選手として活躍していた「前川和也」君です。

現在彼は、先日指導に行ったFCバイエルンツネイシで、監督兼ゴールキーパーコーチとして、育成年代の指導に当たっています。

私が指導に行った日は、U15の選手たちとともに遠征に出かけていたため会うことができませんでした。

昨日は広島市内に所用があったようで、私のところにも挨拶に立ち寄ってくれたというわけです。

彼とは、私がサンフレッチェを離れて以来、まさに19年ぶりの再会となりました。

あの頃の選手たちと交流が続いているのはほんの数人ですが、今年48歳になるという彼の姿は、現役そのままで、真っ黒に日焼けした大きな体は精悍そのものでした。

仕事の都合でゆっくり話はできませんでしたが、サッカーが大好きで、ずっとサッカーに携われていることが本当に幸せですと語る彼の姿は、とても輝いていました。

サッカー一筋、自分の好きな道を歩み続けている姿を見て、自分に欠けているというか、改めて自分の進むべき方向はどっちなんだろう、自分が本当にやりたいことは何だろうと思ってしまう自分がいました。

さて、西本塾11期生で小学生の卓球選手を指導している、中川さんから嬉しいコメントが届きました。

先日も同じように良い結果が出たことを報告していただいたのですが、今回は全日本選手権(小学生6年生以下の部)に参加した選手が、決勝に進出し準優勝という結果を収めたことを報告して頂きました。

決勝の様子は、8月16日(日)12:00からBSジャパンで放送されるそうなので、私もなんとか見させていただきたいと思います。

私が提唱している「西本理論」と称する体の使い方に関しては、競技種目に関係なく老若男女、スポーツ選手も一般生活者もまったく関係なく共通した理論であって、基本の部分さえ分かれば、それぞれの現場で一工夫してもらうことで、なにがしかの変化や効果は絶対に期待できると思っています

ただ西本塾や深める会でも、一人一人に対して具体的に細かい指導法まで伝えることはできません。

それは私自身が、指導を受ける対象である選手の姿を見ることができないからです。

一般論では本当の意味での指導にはなりませんし、結果にこだわる私の性格上、目の前にいない選手に何をさせればいいかという質問には答えようがないのです。

そういう意味でも私の指導を受けていただく方々には、枝葉の具体論を求めに来るのではなく、自分が本当にやらなければならないことはなんなのか、そのためには何を知っておかなければならないのか、また西本直という人間は、一つひとつの事象に対して実際にどう対処してきたかを知って頂くことで、今やらなければならないこと今できることを、しっかり学び取って帰っていただきたいと思っています。

そうは言っても私自身、参加していただいた皆さんが、私から学んだことをどう活かしていただいているのか、一番肝心な部分なのですが、その後のことが、なかなか伝わってこないことを残念に思っています。

その事は取りも直さず、本当の意味で実践的な理論として、きちんと伝え切れていない私自身に問題があると思っています。

私の言っている事はわかった、私がやってきた事も一般的な考え方や方法論とは少し違うが、結果としてきちんと残してきている事も分かった、目から鱗という言葉や、自分の常識を覆されたという言葉に代表される驚きも感じた、しかし、その事実を今の自分にどうやって落とし込んで指導に活かしたらいいのか、一番大事な部分が曖昧なままだからこそ、実際の指導に活かせたことや上手くいかなかった事など、私が一番知りたいその後の事を、コメントとして送っていただく事が少ない原因だと思っています。

どうやって学んだ事を使ったらいいのかわからない、私の理論が自分が指導している選手たちを、具体的にどう変えてくれるのかが実感しずらい、そう感じている人も多いと思います。

スポーツの現場ではやはり結果がすべてになりがちです、「これをやったらこうなるんだよ」「こういう意識を持てばこういう動きができるようになるんだよ」という、選手が目を輝かせて取り組んでくれる美味しい「エサ」も必要になってきます。

そのためには自分でやって見せなくてはなりません。

自分が出来ないのに、理屈だけ伝えて、「ほらやってみろ、そうじゃないだろ」と言われても、選手たちが分かるはずはありませんから。

だから私は自分の体を動かし続けているのです。

残念ながら今の私と同じ動きをすぐにできるようになってくださいというのは無理な相談です。

ですが、動きのエッセンスというか、肝になる部分だけはしっかり見せられるレベルにはなって欲しいと思います。

そのためにも、今まで以上に深める会は重要になってきますし 、これまであまり受けてこなかった西本塾を受講した後の個別指導も、積極的に行わなければならないとも思っています。

今月の西本塾は、時期がお盆期間中のためか、参加者が2名しかありません、もちろん1人だけでも行うつもりでいましたが、私自身の指導力を磨くためにもお二人のために真剣に準備し、今まで以上の西本塾にしたいと考えています。

前置きが長くなりましたが、私がこれまで縁のなかった卓球という種目で、中川さんの言葉を借りると、「西本塾で学んだことがなければ、この結果が得られたとは思えません」 と言っていただけたことは具体的に何がどう変わったということなのか、現実として中川さん自身も、「選手の背中が使えるようになってきた」という表現しかされていません。

何がどう変わったのか、この部分をしっかり見ることができるようになることが、私のいう基礎の部分根っこの掘り方が分かってきたということなのです。

そろそろ、その事について言葉で説明をしなければならない時期にきたようです。

もったいぶっているわけではなく、「自分で気づいて欲しい、自分で見つけたものでなければ本当の意味で身についたとは言えない」そう思ってきました。

ですから、その部分についての悩みをぶつけて欲しいと待っていましたが、こちらがもう一歩踏み込んで説明しないと、そういうやり取りにはならないようです。

「なぜどんな競技にも共通なのか、実際の行う競技動作は様々で、人間として与えられた体を使うという意味ではすべて同じかもしれないが、すべてに共通と言われると、それはどうなんだろう」、正直そう思っている人も多いともいます。

その共通点の中でも私が一番重要視しているのが、「体勢を立て直す能力」「一つの動作を完了した後、次の動作に移る繋ぎの動作」言葉にするとこういう事になるでしょうか。

この能力が最も要求され、結果に結びつくのが 、中川さんが指導する「卓球」という競技ではないでしょうか。

卓球台の長さは国際規格で2.74mだそうです、その距離を挟んで小さなボールを打ち合うのですから、すごいスマッシュを打つことも、どっちへ変化するかわからないサーブを打つことも大事でしょうが、それ以上に打ち終わった後、いかに早く相手の返球に対して準備をするかという動きの方が、もっと重要なことなのではと思います。

素人では目で追うこともできないようなラリーの応酬、見た目には打つ時の動作ばかりが目が行きますが、そこからの体勢の立て直し方を私は注目しています。

私の3男が中学生の頃バトミントン部に所属していて、時々試合を応援に行った時、「打った後早く」と大声を張り上げ、子供が迷惑そうに2階席を見上げていたのを思い出します。

その時も、やはり優勝を争うような選手の動きはとても滑らかで、ただ単に打っているというより、流れの中でラケットを振り体勢を立て直し次の動作に備えるという一連の動作が自然にできているということでした。

バドミントンやテニスも、ボールやシャトルのスピードが速いですが、卓球の場合は距離が短いため、その能力がより必要とされるのではないでしょうか。

屈筋ではなく伸筋の重要性を理解し、フライングバックトレーニングを実践し、ランニングでも伸筋のみを使って走るという意識付けを行った結果、得られた効果が「体勢を立て直す速さ」だったのです。

この部分に関しては、まさに競技種目を問いません、どんな競技にでも必要な要素です。

アイドリングからの動き出し、重心を落としておいて広背筋で骨盤を引き上げることで加速していく走り方、目線から頚椎の捻転が始まり、自然に行きたい方向へ動き出していくターンのやり方、すべてがこの一連の流れで動き続けるための準備動作なのです。

股関節と肩甲骨、それを連動させてくれる広背筋、私が言い続けていることは本当に大事なことなのです。

スポーツに限りません、日本舞踊でもヒップホップでも、先日参加していただいた方が行っていたコンテンポラリーダンスでも、つまるところ、動きの角をどうやって削っていくか、わざとカクンカクンと動いて見せているような動きでも、実は内部で滑らかに連動させている。

そうです、人間が動くということ、そのものに明確な意識とテクニックが必要なのです。

そのために少しだけ私の理論も参考にして欲しいのです。

ボールを攻めるために打つこともあれば、守るために打つこともあるでしょう、1球1球の勝負でもあり、流れの中での一打でもあるはずです。

今回卓球という競技の指導者である中川さんとの出会いで、改めて体の使い方、動きづくりの重要性を再認識することができました。

ボールを打つことが練習なのでしょうが、打つことと打つことの繋ぎの部分の動作に、もっと意識を持って練習すれば、今回歯が立たなかった選手にも太刀打ちできるようになるのではと期待しています。

準優勝してくれた選手と、西本理論を応用してと言ってくださる中川さんに対する、ささやかなお祝いとお礼を込めて、「動きの繋ぎ目」の大切さという言葉を贈りたいと思います。
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Comment

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動きの繋ぎ目というお言葉ありがとうございます。
いろいろな子の動きをもっと観察して、動きがわかるようにしたいと思います。
漠然と競技に活かす動き作りの目指す方向は、オボロげながら見えてきたましたが、細かい部分が見えていないため、できる子と出来ない子の差をどのように詰めていくのかを考えていたところなので、とても参考になりました。

動きはどの競技も共通であるということは、私が西本塾を受講して強く感じたことです。共通である部分をどのように競技での動きに活用するかを考えてきました。
結局最近では指導中に動きを例えるとき、サッカーや野球の例えばかりになっています。
(余談ですがあまり子供たちはサッカーや野球を見ないみたいで、ちょっとピンときていないようです。昔は誰々のバッティングフォームといえばみんなに伝わったのですが・・・)

簡単でないことは当然ですけれども、成長すればどのように見方が変わっていくのかを楽しみに頑張りたいと思います。
  • 2015-08-01│13:38 |
  • 第11期 中川 URL│
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プロフィール

Author:西本 直
1993年、Jリーグサンフレッチェ広島を皮切りに、社会人野球三菱重工広島・協和発酵・ヴィッセル神戸・川崎フロンターレ、そして広島カープ佐々岡真司投手など、プロアマ問わず競技レベルのスポーツ選手から一般の方まで、トレーニングやメンテナンスの指導を行ってきました。
その経験と知識の蓄積を「西本理論」としてまとめ、一人でも多くの方に実践していただくことが、これからの私の使命であると信じ、このブログから発信していきます。
私の理論はスポーツ選手のみを対象としたものではなく、ビジネスマンや家庭の主婦まで老若男女すべてに当てはまる不変のものです。
指導や講演のご依頼も受け付けています。
実名でツイッターも書いていますので、チェックしてみてください。
また、2013年9月9日にConditioning Studio 操をオープンしました。こちらもご覧ください。
また、遠隔地にお住まいの方を対象とした動き分析とアドバイスを行っています。
詳細は「スタジオ操」のホームページ内の「遠隔サポート」をご覧ください。
西本塾を深める会を9月10日(日)に開催を予定しています。
詳細はstudio操のホームページ内の「講習会情報」をご覧ください。

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