明日はきっと笑えるから

今日8月6日は、今私が住んでいる広島の街に原子爆弾が投下された日です。

爆心地となった場所まで、直線距離で4キロ弱の距離の場所に住んでいて、今平和公園となっているところから流れてくる元安川に架かる幾つかの橋には、火傷を負って水を求めて川に飛び込んでいった人たちのことが書かれた碑を、たくさん目にすることができます。

私は広島の生まれではありませんが、被爆地広島を日常的に感じる生活を送ってきました。

今日も原爆が投下された8時15分に合わせて、静かに黙祷をして犠牲した方々と広島の復興に思いを馳せました。

私が広島に移り住んできたのは、93年にJリーグが開幕し、そこに参入したサンフレッチェ広島の一員として仕事をするためでした。

開幕して3年くらいまでは、サッカーバブルとも言われた時代で、一気にプロ野球人気を追い越すのではという勢いでしたが、20数年経った今、現実にはそうはなっていないようです。

特に広島では、サンフレッチェにとってもJ2への降格があったり紆余曲折を繰り返しながらも、ここ数年、森保一監督就任以来の快進撃で、プロスポーツとしての結果だけで言うと、プロ野球の広島カープをはるかに超える存在になっています。

にもかかわらず、サッカー専用球場の計画は遅々として進まず、交通の不便な現在の競技場では、観客動員数の大幅な増加は望めない状態が続いています。

私はあまり過去のことを引きずりたくないタイプの人間ですが、それでも、これまで経験してきた様々な出来事を忘れた訳ではありません。

一歩でも半歩でも前進したいと思って生きてきました。

20数年広島に住んで、少しずつですが分かってきたことは、70年前落とされた原子爆弾によって、今後75年間は草木も生えないと言われた広島の中心部が、ここまで復興を遂げ発展してきた要因の一つに、「広島東洋カープ」という存在が、絶対的な心のよりどころになっていたということです。

そしてその感覚は、親から子へ子から孫へと引き継がれ、脈々と広島市民の心の中に生き続けているのです。

現在のカープ人気は一過性のように思われているところもあるでしょうが、長い歴史の中で育まれてきた部分と、現在の世界情勢というか自衛権の問題を含め、広島の街が見直されていることも大きな要因だと思います。

チームが勝ったとか負けたとか、強いとか弱いとか、そんなことは二の次で、自分たちが守り育てた、まさに我が子のような存在となっています。

サンフレッチェがいくら優勝を繰り返しても、このカープの歴史を超えることはできないでしょう。

私のお世話になっている方々の中にも、カープ命と言わんばかりに熱心に応援されている方がたくさんいます。

一野球チームを超え、カープの存在は知れば知るほど不思議な力を持っていることがわかってきます。

そんな広島の街のシンボルとして、球団にも選手スタッフにも、応援に恥じない一生懸命なプレーが要求されます。

不甲斐ないプレーや采配には、広島弁の厳しいヤジが襲いかかりますから(笑)

そんなカープと共存していかなければならないサンフレッチェは、森保監督のもと、毎年主力選手を他のチームに持っていかれながら、素晴らしいチームを作り続けていることは大きな賞賛に値すると思います。

今年もきっと、大きな成果を上げて広島の街を盛り上げてくれることと思います。

広島という街の地方レベルでは、こんな状況だと思うのですが、日本全体で見れば、サッカーでは現在東アジアカップが行われていて、残念ながら昨夜行われた韓国戦の引き分けで、連覇は無くなってしまったようです。

Jリーグが開幕して20数年、チーム数も増えカテゴリーもJ2、J3と増え、サッカー自体のレベルも確実に進歩してきているのだと思います。

そんな中、日本代表として活躍した選手たちは、当然のようにヨーロッパの強豪国のリーグへ移籍していきます。

野球と同じような状況になっています。

もともと歴史が違いますし、それぞれのリーグが切磋琢磨しながら、独自のプレースタイルを築き上げ、世界で一番競技人口の多いスポーツとして君臨している訳ですから、選手の流失もある意味仕方がないことかもしれません。

そんな中でも、Jリーグの戦いの中で技と力を競い合っている選手たちの方が当然多い訳ですから、今回日本代表として選ばれた選手たちには、なんとしてでも良い結果を持ち帰って欲しいと思っていました。

あと1試合を残してはいますが、北朝鮮には逆転負け、韓国とは引き分けが精一杯、その内容も素人目にも「惜しかった」と言えるものではなかったと思います。

前回の記事でも監督が協会に不満をぶつけていたということを取り上げましたが、いくら順応性が高く協調性もあるのが日本人の良いところだと言われても、ブラジルやドイツ、イタリアにオランダと、その国の名前を聞けばなんとなくどんなサッカーをするのかが、私のような人間にもわかるようなプレースタイルが、20年経った今でも確立されていないことが一番大きな問題ではないでしょうか。

これが日本にとってベストだというものはまだ見つからないのかもしれません。

見つけるというより、作り上げていくのが本当ではないでしょうか。

ドイツだったりオランダだったりは、基本的な体格の問題や国民気質を含め、なるほどということをやっていると思います。

ならば日本も、自分たちの特性を最大限に生かした何かを作り上げていく、もうそんな時期にきているのではないでしょうか。

当然指導者も日本人でなければなりません、その候補となる人間も何人かは皆さんの中に思い浮かべられる人材はいると思います。

今回の試合を見ていて、韓国選手の姿勢の良さがやたらと目につきました。

逆に言えば、日本の選手たちの姿勢が悪いということです。

遺伝の問題もあるでしょう、しかし筋肉の支え方で決まる姿勢は、後天的なトレーニングで変えられる問題です。

プロサッカー選手、それも日本代表に選ばれるレベルの選手たちが、トレーニングをしていないわけがありません。

普段の生活の中で彼らを目にした時には、一般の人から見ればしっかり鍛えられた良い体をしていると見えるはずです。

なのになぜピッチ上で猫背気味の悪い姿勢に見えるのでしょう。

それは意識の問題だと思います。

「頑張らなければ」この一言に集約される思いが、体の前側に位置する屈筋群に力が入り、背中を丸める結果になってしまいます。

このブログでずっと書き続けてきましたが、そのことで股関節の自由度を失い、一歩目が遅くなり、地面を蹴って動き出すことで疲労が増し、時間の経過とともに頭も体も動かなくなるという、悪循環が繰り返されていくのです。

では、姿勢が良いといった韓国の選手たちは疲れないのか、そんなことはありません、比較の問題です。

彼らの方がボールに対しても人に対しても、明らかにその一歩目は速く、体をぶつけ合うときの態勢も崩れないことは、誰の目にも明らかだったと思います。

ではどうやって体を使う意識を変えるか、方法はいくつかあって、それぞれ一朝一夕とはいきませんが、一番大きな問題でなおかつ即効性があるのは、やはり意識を変えるということです。

一言で言ってしまえば、「屈筋を捨て伸筋で動く」という意識です。

これにはもちろん訓練というか練習は必要です。

意識を変えるとどんな良いことがあるか、頭と体が理解していなければ、誰もそうしようなどとは思わないでしょうから。

プレーを楽しめとか気楽にやれとかいう言い方がありますが、そんな簡単なことでは済まされません。

自分がそして自分たちが何をなすべきか、それができればどんな結果が待っているのか、それを全員が理解し、そのための練習を繰り返し、「よしこうやって戦うんだ」という覚悟を持ってピッチに立たなければ、そんな心持ちにはなれないでしょう。

意識を変えるためにはやることがたくさんあるのです。

日本の選手たちを見ていて、誰一人としてプレーを楽しめていると感じる選手はいませんでした、ということはそれだけの準備ができていないということなのでしょう。

監督の言い分もわかるような気がします。

ただ現実として与えられた環境の中で、最善を尽くすのがプロですから、環境を作る側にも大きな意識改革を期待して、応援してくださるたくさんの方々のために、最善の努力を行って欲しいと思います。

私如きがこうして言葉を連ねても、どこに届くわけでもないし、何が変わるわけではないでしょう。

しかし、被爆者団体の代表を務める、今年90歳になられる「坪井直」さんの言葉を借りれば「諦めたらおしまいなんですよ」ということがすべてではないでしょうか。

私に何ができるわけではありません、それでもこれを読んでいただいた方が、「今自分たちが行っていることが本当に正しいのか、何か違うんじゃないのか」 そんなことを考えるきっかけになってくれれば十分です。

過去は変えられませんが、今この瞬間から先は変えることができるはずです。

「明日はきっと笑えるから」そう思って苦しい時期を乗り越えていきたいと思います。

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Comment

ありがとうございます。
先生の言葉をいただいて、勇気をもらい背中を押してもらえました。ありがとうございます。
まだまだ未熟なので、これからも努力をし続けて少しでも西本理論の根元が理解できるようにしていきます!
  • 2015-08-11│15:37 |
  • 土屋信三 URL│
  • [edit]
Re: ご相談があって連絡させていただきました。
土屋さん
まずはこんな仕事を頼まれたことに自信を持って欲しいと思います。
本当に信頼してくれていなければ、頼んでくるはずはありませんから。
それだけ、土屋さんという人間と、土屋さんがやってきたことを評価してくれたのだと思います。
私も、神戸を解雇され広島に戻った年に、広島時代にご縁があったFM広島のディレクターさんから、番組の企画をいただき、30分番組を毎週日曜日の朝、一年間担当させていただきました。
話をする内容はすべて私に任せてもらったので、毎回何を話そうかと真剣に考え言葉にする作業をしたことが、その後のFM愛媛で同じように8年間も続く番組を担当させてもらうことに繋がり、そしてまた今の西本理論の基礎を築いてくれたと思っています。
土屋さんも不安は大きいかもしれませんが、目の前の一つひとつの仕事を真剣にこなしていくことで、数年後必ずやって良かったと思える時が来ると思います。
内容的に私の受け売りの部分があったとしても、正直私のことなど誰も知らないでしょうから大丈夫ですよ。
私から学んで頂いたと思う部分と、ご自分の経験を織り交ぜ、誰かの為にを大いに実践してください。
応援しています。
  • 2015-08-10│21:28 |
  • 西本 直 URL│
  • [edit]
ご相談があって連絡させていただきました。
こんにちは、西本先生、お元気ですか?
第10期西本塾、2015年深める会2に参加した土屋信三です。
自分はあるJリーガーのコンディションの調整に関わらせていただきながら、その方がオーナーのサッカースクールで子供達のフィジカルを向上させる手伝いをさせてもらっています。
今、ブログを書いてほしいと頼まれています。内容はフィジカルの事を含めたことなのですが、自分は西本理論に出会ってから身体に関する考えた方がとても変わりました。
自分はブログで西本理論を書きたいと思ってるのですが、まだ自分は全然理解できておらず、そんな自分が発信をしてもいいものなのか、失礼にならないかとても考えています。
深める会が終わった後も、注意された走り方を意識して練習しています。当たり前ですが、これからも努力し続けて自分なりに先生の理論を理解していきます。
まだ自信がないのですが、これからの子供達、成長期の子供を育てている親子さんに知ってもらいたいことと強く思っています。
勝手にブログに西本塾で習ったことを書いたら失礼かと思い、連絡させていただきました。
先生の許可がでればブログにかこうと思っています。先生はどお思われますか?
長くなってしまいすいません。
  • 2015-08-10│10:32 |
  • 土屋信三 URL│
  • [edit]

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プロフィール

Author:西本 直
1993年、Jリーグサンフレッチェ広島を皮切りに、社会人野球三菱重工広島・協和発酵・ヴィッセル神戸・川崎フロンターレ、そして広島カープ佐々岡真司投手など、プロアマ問わず競技レベルのスポーツ選手から一般の方まで、トレーニングやメンテナンスの指導を行ってきました。
その経験と知識の蓄積を「西本理論」としてまとめ、一人でも多くの方に実践していただくことが、これからの私の使命であると信じ、このブログから発信していきます。
私の理論はスポーツ選手のみを対象としたものではなく、ビジネスマンや家庭の主婦まで老若男女すべてに当てはまる不変のものです。
指導や講演のご依頼も受け付けています。
実名でツイッターも書いていますので、チェックしてみてください。
また、2013年9月9日にConditioning Studio 操をオープンしました。
また、遠隔地にお住まいの方を対象とした動き分析とアドバイスを行っています。
詳細は「スタジオ操」のホームページ内の「遠隔サポート」をご覧ください。
「第25回西本塾」を11月18・19日の土日に開催を予定しています。
詳細はStudio操ホームページ内の「講習会情報」をご覧ください
尚、深める会も12月10日に予定しています。

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