伝える楽しさ、伝わる喜び

今日は13日、世間の皆さんはお盆休みということで、ここ宇品港も多くの旅行客で賑わっています。

私はお盆休みの時期にもかかわらず、西本塾を前もって予定していましたので、予定通り土日も全く関係なくなってしまいました。

明日の午前中に、母の墓参りだけは行こうと思っています、せめてもの親孝行のつもりです。

さて昨日一昨日と、小学生のサッカー選手の「動きづくりのトレーニング」を行いました。

火曜日に来てくれたのは、以前にも話題にしたことがある、現在小学校4年生で、なんとスペインに渡ってサッカーをやっているというスーパーキッズです。

一昨年の1月、もうスペイン出発を数日後に控えた彼と、彼のお父さんが遠く米子から車を走らせ指導を受けに来て以来、帰国するたびに私の元を訪れてくれています。

正直最初に連絡があった時、小学校3年生と聞いて、私の言うことを理解できるのだろうか、それよりちゃんと話ができるのだろうかと心配しましたが、ある意味心配は的中し、また別の意味では私の想像をはるかに超える理解力をみせてくれました。

もう一時もじっとしていないでトレーニングの器具やボールで遊んでいるかと思ったら、自分に必要なサッカーの話になると別人のように真剣に耳を傾けるのです。

集中できる時間は短いですが、こちらもそのことは覚悟の上で受けた仕事ですので、なんとか彼のためになることを伝えなければと、色々工夫しながら教えていきました。

小学生でなく高校生くらいであっても、本人よりも親の方が一生懸命で、私のブログを読んで、これを息子にもと思っていただけることはありがたいのですが、当の本人にはその意欲が感じられず、連れてこられたという表情がありありということも、何度か経験しました。

小学生それも3年生に、自分から私のところに来たいという意思が本当にあったのかと不思議に思いましたが、私の所に来る直前に、西本塾に参加してくれた、彼が通っているスクールのコーチから指導を受けたことに興味を持ち、出発前にその本人から直接指導を受けたいと思ってくれたというのですから、親子共々大した意識の高さだと感心しました。

その後はほぼ半年おきにきてくれていますが、その成長は驚くほどで、また私のところに来る動機というか目的もはっきりしているので、もちろん準備はしていますが、本人の様子を見てから、今日は何を教えようかと決めるようにしています。

今回も大柄なスペイン人の中で一際小さな彼の体を、どういう意識で使えば自分のプレーを生かせるかという、恐らくは彼にとって選手を続ける限り生涯付いて回るであろう体格的なハンデを克服するための、ヒントとなる動きづくりを指導しました。

我ながらというか、相手がどんなレベルであれ何歳であれ、うまく指導するもんだなと感心するくらい、今回も良い指導ができたと思っています。

数年後彼がどんな選手に育って行くのか、私も多少の縁をいただいた身として、楽しみにしていきたいと思います。

そして昨日は地元広島の6年生のサッカー選手が、やはり動きづくりのトレーニングの指導を受けに来てくれました。

彼は以前、捻挫の治療で来てくれたことがありましたが、その後は練習が忙しくなかなか私の所に来ることができなかったようです。

現在でも広島県内では有数の強豪チームのレギュラーとして活躍していますが、これから先高いレベルを目指すためには、今のままでは足りないものがたくさんあると自覚していて、私もそのことに関しては同意見で、その足りないものの正体を私なりに分析できていたので、早い時期にそれを指導したいと思っていました。

今回それが実現し、2時間のトレーニングを終えた後は、お互いに大きな満足感を得ることができました。

クラブの練習が1週間ほど休みになるそうですが、もう今すぐにでもグランドに行って仲間たちと練習し、学んだことを試してみたいと目を輝かせて帰って行きました。

前回の記事の通り、小学生にはこの内容でというような 、マニュアルは存在しません。

その相手のその時その瞬間の表情を見なければ、何も始めることはできません。

6年生の彼に対しては、実際のプレーも見ていますし、偶然ですが小学生の大会のテレビ中継でもその動きを確認できていたので、伝えなければならないこと理解してほしいことは明確でした。

後は本人がそれをどこまで真剣に理解し学ぼうとする姿勢を見せてくれるかの問題です。

それがなければ、どんなに準備した内容があったとしても、それらを伝えることはできません。

あくまでも本人のやる気、本気度の問題です。

今回の二人は、その部分に関してまったく問題がありませんでした。

逆にいえばこんなに真剣にサッカーが上手になりたいと思っている子供に対して、私の持っているノウハウをどうやって正しく伝えるのか、問題は私の指導力の方でした。

こんなチャンスは滅多にありません、相手が小学生だからこそ試される私の伝える力、それを発揮させてもらえることは何より楽しいことです。

そしてそれがうまく伝わって、彼らの動きが変わり表情が変わっていく様子を、リアルタイムで見られることは何にも増して嬉しいことです。

さらには子供さんの変化を目の当たりにして、驚きと喜びを素直に言葉にしてくれる保護者の方の表情も、私にとって何よりのご褒美となります。

例えば今回指導したようなことを、中学生、高校生、また大人と、様々な年代に指導したとしたら、こんな短時間で同じような変化が出せるのだろうかと考えると、少し難しいように思います。

もちろん個人差はありますが、歳を重ねるごとにいい意味でも悪い意味でも経験値が積み重ねられ、既成概念というものが出来上がっていきます。

私の言うことがそこから外れていたとしたら、素直に受け入れることは難しくなっていくのが辛い所です。

子供にはほとんどそれがありません、何より自分の体で動いてみて、良いと思ったことは無条件に受け入れてくれます。

子供だからと適当なことを言ってしまっては、とんでも無いことになってしまいますから、指導の現場では大人以上に言葉を選び、動きの見せ方を工夫しなければなりません。

それがうまく伝わって、私と同じ感覚で動くことができた時の嬉しそうな顔は、どう表現したらよいのでしょうか。

彼らの将来に大きな影響力を持ってしまった私の言動、さらに工夫を加えもっともっと良いものを与え続けなければなりません。

私が指導できるのは、せめて中学生以上かなと思っていましたが、小学生であっても意識の高い選手はたくさんいて、そういう子供たちこそ小学生の間に正しい知識や体の使い方を教えておく責任が、今一番指導者に求めれれている能力ではないかと思います。

トップレベルの選手たちと一緒に、勝ち負けを争う舞台に戻ってみたい気持ちはまだまだ捨ててはいません。

しかし、こうして将来ある小学生を指導させてもらって感じることは、こんな内容をこんなに分かりやすく伝えられるのは自分しかいない、もっと広くこの指導内容を普及させなければ、という気持ちにもなります。

私一人の力は微々たるものです、今の私と同じような気持ちになって、対象は誰であれ、誰かのために真剣に伝えようという指導者を、一人でも多く育てることが、最も現実的な私のやるべき仕事かなと思います。

週末、そんな高い意識を持った5人の方々と一緒に、二日間西本塾で学び合いたいと思います。

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Re: お久しぶりです。
木下さん
サッカーは大変ですね、世界を股にかけて学びの旅、ご苦労様です。
Kくんも順調に成長してくれているようで嬉しいです。
日本でも世界でも、フィジカルという言葉の意味が、体づくりから、動きづくりへと変わっていって欲しいと思います。
広島から発信を続けたいと思います。
  • 2015-08-17│13:26 |
  • 西本 直 URL│
  • [edit]
お久しぶりです。
西本さん、ご無沙汰しております。K君がトレーニングに伺ったようですね。6月バルセロナに行った際、久しぶりに彼のプレーを見ましたが、情報収集→判断→実行のプロセスが本当に成長しているなと感じました。私は現在マドリードに来ていますが、先週はヨーロッパトップクラスの育成システムを持つオランダのアヤックスで5日間トレーニング法を学んできましたが、彼らも動き作りを重視しています。アヤックスで活躍して、イングランドのクラブに移籍していった選手のほとんどが動き作りではなく、身体作りのトレーニングによりパフォーマンスを落として活躍出来なると教えてくれました。今後も動き作りのトレーニングを徹底的に実施していきたいと強く思いました。今週はレアル・マドリードのコーチからいろいろ話しを聞いてきます。
  • 2015-08-16│04:06 |
  • 木下 桂 URL│
  • [edit]

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プロフィール

Author:西本 直
1993年、Jリーグサンフレッチェ広島を皮切りに、社会人野球三菱重工広島・協和発酵・ヴィッセル神戸・川崎フロンターレ、そして広島カープ佐々岡真司投手など、プロアマ問わず競技レベルのスポーツ選手から一般の方まで、トレーニングやメンテナンスの指導を行ってきました。
その経験と知識の蓄積を「西本理論」としてまとめ、一人でも多くの方に実践していただくことが、これからの私の使命であると信じ、このブログから発信していきます。
私の理論はスポーツ選手のみを対象としたものではなく、ビジネスマンや家庭の主婦まで老若男女すべてに当てはまる不変のものです。
指導や講演のご依頼も受け付けています。
実名でツイッターも書いていますので、チェックしてみてください。
また、2013年9月9日にConditioning Studio 操をオープンしました。こちらもご覧ください。
また、遠隔地にお住まいの方を対象とした動き分析とアドバイスを行っています。
詳細は「スタジオ操」のホームページ内の「遠隔サポート」をご覧ください。

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