伝えることの難しさ

昨日一昨日と、14回目を数えた西本塾を5人の参加者の皆さんと一緒に充実した時間を過ごしました。

金曜日からのどの具合がおかしくなって、もし声が出なくなったらと心配になりましたが、それが現実となり、土曜日の理論編の途中辺りから声が出にくくなり、夜の懇親会ではほとんどかすれた状態になってしまいました。

翌日曜日も、朝起きた時状況は好転どころか、ほとんど声にならない状況で、いくら実技中心の内容とはいえ、説明は必要ですから、家内に横に立ってもらって通訳のような形を取っ手でもと考えなければならない状況になってしまいました。

それでも何とか、皆さんの方に出来るだけ近づいて口をあけるようにして、自分の言葉で伝え続けました。

日頃の自己管理は人一倍行っているつもりでしたが、西本塾という大切な時期にこんなことになってしまい、参加者の皆さんには本当に申し訳ないことをしてしまいました。

回を重ねるごとに、参加者の意識も平均して高いものを感じています。

それ以上に私自身が伝えたい内容、理解してほしい内容も広く深くなっていくような気がしています。

基本的に皆さんは初めて私に会い、私の話を聞き、私の動きを見るということは、1回目に参加していただいた方も今回参加していただいた方も同じなわけですが、すでに2年以上にわたって書き続けているこのブログの内容を読み、他の媒体にも書かせていただいたものを読んで、私のものの見方をある程度知っているという状況で参加してくる人とでは、私の参加者に対する要求も当然高くなってきます。

私がこれまで築き上げてきた経験や知識は、いわゆる誰かから学んだものではありません。

何か壁にぶち当たったり疑問を持った時に、それに応えてくれる相手はいませんでしたし、もし居たとしても私はまず自分で考え自分の思った通りに行動したと思います。

西本塾の申し込みに際して書いていただく受講動機にも、いくつかの共通項があって、その一つに、「自分が学んできたこと、疑問に思っていたことが、私の考えに触れて、点であったものが線に結ばれたような気がすると」か、「試行錯誤の中で答えが見つからなかったり、本当にこれが正しいと信じるに足りる考え方に出会うことがなかったが、やっとこれだというものに出会った気がする」、そんな表現をする人が多くいます。

それは素直な気持ちを書いていただいているとは思うのですが、他のどんな考え方や方法論を学んできたとしても、それを考え出した人には、信に値する部分もどこかしらあるはずなのです。

その本質を極めることなく、表面だけをなぞって分かったような気持ちになっているから、それぞれの理論が点としか受け止められず、その本質までたどり着けないのだと思います。

それを結びつけるための努力をしてきたのでしょうか、その能力がなかっただけなのではないでしょうか。

そういう考え方しかしてこなかったとしたら、申し訳ありませんが私の理論に触れたからといって、点と点を結んで線にするという作業が簡単にできるとは思えません。

本気で点を線で結び、本質に近づこうという気持ちになって、そのための努力をし続けた人だけが、過去に学んだことの意味を再確認できたり、私から学んだことも、一つの点でも、それらを結ぶ線でもなく、広がりや深みをもった面や立体であると気づいてくれるのだと思います。

昨日も最後にお話ししましたが、西本塾に参加したことは、これから先どういう方向に進んで行くのかを決めるきっかけであったり、大きな目標に向かうスタートラインに立ったと思ってくださいと言うことです。

過去100人を超える参加者の中で、私から見てですが、本当の意味で西本理論が信に値するもので、自分が学び深めて行かなけれなならないいものだと感じ、それを実行し継続してくれているのは1割くらいの人ではないでしょうか。

他の人はそれまで学んできた点と思っているものが、また一つ増えたくらいの理解になっているような気がします。

私は西本塾を学校のような形式で行っているわけではありません、修了証も合格証も出しません。

本人のやる気と、私がその人に対して可能性を感じるというふたつが、きちっと組み合わされる人に対してしか、その先に進んでもらおうとは思いません。

本人がいくら真剣に学び続けたいと言ってくれても、私が本当に伝え続けたいと思えるかどうかは別の問題で、ではその基準はと言われても言葉では表現できない、インスピレーションというか感性の問題としか言いようがないのです。

たった一度でも私の言葉に触れてもらえたら、おそらくは一人一人のこれからの言動に、大きな影響を与えることにはなるでしょう。

それによって恩恵を受ける「誰か」が、一人でも増えてくれればそれは本当に有難いことです。

ただそれだけでは私の理論が広まることはあっても、受け継がれることはないと思います。

受け継いでくれるレベルにまで引き上げる人となると、私も対象を狭めざるを得ません。

今回の西本塾では最後のまとめで、運動神経が良い悪い、センスがあるなしは後天的なもので、環境を与え正しく導いてあげられれば、一人一人が持って生まれた能力を余すことなく発揮することは出来ると言いました。

当然個人差があって、全員が同じレベルに到達しないことは当然です。

同じ機能を持って生まれた人間の体、それがどういう仕組みでできていて、どういう意識で使うことが最も効率的なのか、そこまでは指導できると思っています。

その先にそれぞれ個別のスポーツ動作があるわけで、この一番基本となる人間の体の仕組みを理解することなく、スポーツ動作を習得させようとするから、出来る人出来ない人、早くできる人時間のかかる人が出てくるのです。

毎回そうですが、「私から学んだことを自分なりに消化して、これからの指導や施術に活かしていきます」という言葉を残してくれる人がほとんどなのですが、その後には必ず、「疑問や課題が出てきたらまた私に質問させてもらいたいと思いますので、これからもよろしくお願いします」という言葉が続くのです。

普通に考えれば、何の問題もない正しい感想でしょう。

しかし西本塾に参加した皆さんには、それだけで終わって欲しくないのです。

過去記事でも触れましたが、質問というのは自分が分からないことの答えを聞くためのものではありません。

もっと言えば、私が質問に対して答えたことが唯一無二の正解ではないのです。

学校で学ぶことの様に、教科書という絶対的な答えがあって、それに合致していれば〇で、違っていれば×という問題ではありません。

そういう教育の中で育ってしまったために、分からないことがあればそれを知っている人に聞けばいいという、短絡的な発想になるのです。

私はそういう質問には基本的に答えません。

何か疑問が出てきたり、答えに迷ってしまった時、まずしなければならないことは、私から学んだことやこれまで経験したことをベースにして、何か良い解決策はないかと自分で考えることです。

そこから導かれた答えをまず自分の体で試してみて、行けそうだと思ったら、相手の体で試してみるのです。

そして、そこでまた問題が生まれたら、もっと良い方法はなかったのか、しっかり検証して善後策を考える、当たり前のことですが、それ以外に自分を成長させる方法はありません。

失敗を恐れ答えを持っていそうな人に聞けばいい、そんな態度を続けているから何の進歩もないのです。

私に問いかけて欲しいのは、「疑問が湧いたり問題が起こった時、自分はこう考えこんなことをやってみた、その結果こうなった、またその後さらにこういう工夫を加えているが、あなたはどう思うか」という、私に対しての質問ではなく、自分の考えや行動を、私に対して教えてくれるようなやり取りを期待しているのです。

私には質問する人もディスカッションする相手もいませんでした。

試行錯誤の結果はすべて選手の体が答えを出してくれました。

トップレベルの選手たちをそんな練習台に使わせてもらって申し訳ないとは思いましたが、それだけに失敗は許されないと、それこそ24時間考えを止めることはありませんでした。

私が自分のことを自慢できるとしたら、この部分だけではないでしょうか。

だからこそ安易な質問をぶつけてくる人に対して、腹が立つというか何というか、最低限質問と同時に「自分はこう考えるのですが、あなたはどう思いますか」という言葉だけは付け加えて欲しいと思うのです。

今回も終了後でしたが、「4スタンス理論をどう思いますか」という質問がありました、まさに今書いているパターンの質問のされ方です。

4スタンス理論に対して、その方がどれだけの勉強をしてどれだけの理解があって、それを何に応用したいのか、また実際に活用してどんな利点や問題点を見つけたのか、それを聞かなければ、私の4スタンス理論に対する考えを、どこに焦点を当てて応えればいいのか、まったく分からないまま中途半端な一般論しかお答えすることは出来ませんでしたから。

4スタンス理論はゴルフで有名になりましたが、提唱者の書かれた理論編の本を読まなければ、その本質に近づくことは出来ません。

その他のこともそうです、「操体法の本を読みました」、どんな本ですか、答えはたったの2冊、野口整体のこと古武術のこと、私が読んだ本の数は、可能な限りですが、一つの分野で10冊を下ることはありません。

同じような内容を手を変え品を変えだしてきますから、それ以降は立ち読みで十分ですが、せめて10冊くらいは関連の書籍やDVDを見て研究しなければ、名前だけ知っているという程度でしかないと思います。

そういう意味では私は世間でいう「おたく」かもしれません、中途半端な知識でものを言うのが嫌いなのです。

私のブログを読んで共鳴する部分があって、私に直接会ってみたい話を聞いて見たいと思ってくれる人は、おそらく私の同類でしょう。

ならば私以上に勉強して、私を言い負かすくらいの知識を持ってきてほしいと思います。

ただ知識だけで実戦経験もない人はすぐに分かります、頭でっかちではせっかくの知識も何の役には立ちませんから。

西本塾は、今の私にとって戦いの場所です。

生半可に知識や技術を教える講習会ではありません。

今回もかすれた声ではありましたが、何度も声を荒げ厳しい言葉もぶつけました。

「本気で取り組んでほしい、こっちは真剣に戦っているんだ」、そんな私の心からの叫びです。

現在広島は、激しい雷と豪雨に見舞われています、昨日こんな天気だったら公園での実技はできませんでした。

声が出なくなったことも必然、天気が持ってくれたことも必然、すべてを受け入れ、今できることを真剣に取り組む、私にできることはこれだけです。

2年前の5月27日、自らを勇気づけ新たな第一歩を歩き始めるために書き始めたこのブログ、当初は家族しか読んでいなかっただろう閲覧者の数字が、もしかしたら今日中に5ケタの数字がすべて9を並べ、そしてすべての数字が0という、振出しに戻る瞬間が近づきました。

私のつたない文章を楽しみにしていただいているという言葉を頂いたり、このブログから西本塾が始まったり、たくさんの出会いをいただいたり、この2年間、本当にいろいろなことがありました。

奇しくも今日は私の57回目の誕生日です、もう振出しに戻るつもりはありませんが、また小さな一歩を積み重ねて行きなさいと言う、皆さんからの激励の声が、このタイミングに区切りの数字を用意していただいたと思って、明日から、いえ今この瞬間から新たな気持ちでスタートしていこうと思います。

このブログを応援してくださっている皆さんに、改めて感謝します、ありがとうございます!

そしてこれからもよろしくお願いします。

スポンサーサイト

Trackback

Comment

Post a comment

Secret


プロフィール

Author:西本 直
1993年、Jリーグサンフレッチェ広島を皮切りに、社会人野球三菱重工広島・協和発酵・ヴィッセル神戸・川崎フロンターレ、そして広島カープ佐々岡真司投手など、プロアマ問わず競技レベルのスポーツ選手から一般の方まで、トレーニングやメンテナンスの指導を行ってきました。
その経験と知識の蓄積を「西本理論」としてまとめ、一人でも多くの方に実践していただくことが、これからの私の使命であると信じ、このブログから発信していきます。
私の理論はスポーツ選手のみを対象としたものではなく、ビジネスマンや家庭の主婦まで老若男女すべてに当てはまる不変のものです。
指導や講演のご依頼も受け付けています。
実名でツイッターも書いていますので、チェックしてみてください。
また、2013年9月9日にConditioning Studio 操をオープンしました。
また、遠隔地にお住まいの方を対象とした動き分析とアドバイスを行っています。
詳細は「スタジオ操」のホームページ内の「遠隔サポート」をご覧ください。
「第25回西本塾」を11月18・19日の土日に開催を予定しています。
詳細はStudio操ホームページ内の「講習会情報」をご覧ください
尚、深める会も12月10日に予定しています。

最新記事

カレンダー

09 | 2017/10 | 11
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30 31 - - - -

カウンター

検索フォーム

QRコード

QR